司令室は騒然としていた。
部屋の前方には巨大なスクリーンが設置されている。
そこに映し出された光景は、まるで現実のものとは思えなかった。
山間から峰をまたぐようにして「それ」は現れた。
身の丈40〜50メートルはあるだろう。ビルほどもあるそれは、紛れもなく生き物だった。
「15年ぶりだな」
冬月がスクリーンを眺めながら言った。
「ああ、間違いない」
サングラスをかけた髭面の男が応えた。
特撮映画じみた映像を見ながら、まるで動じた様子がない。
まるで、今日のこのことを予期していたようである。
「間違いない、『ひと』だ」
ゲンドウの言葉に、いつもは冷静な冬月が驚きを露わにした。
「なっ、なんと!?あれは使徒ではなくて人間なのか?それは本当か、碇?」
「なにを言っているのだ。人間であるはずがない。あれは『ひと』だ」
「だから・・・人なんだな?」
「いや、『ひと』だ」
「つまり人だろ」
「何度言ったら分かるのだ。『ひと』だ」
「なるほどなるほど。お前の言いたいことはよく分かった。巨大ではあるがあれは人ということだな。
納得のいかん話だが、今は信じるほかあるまい。」
「違うと言うのに。どう言えば分かるのだ、あれは『ひと』だ」
「どう聞けば分かるんだ、あれは人なのか?」
「『ひと』だ」
ああっ、なんてことでしょう。
実はチャキチャキの江戸っ子であったゲンドウは、『ひ』と『し』の区別が出来なかったのです。
ゲンドウと冬月が不毛な問いかけ合いをしているうちに、サキエルは第三新東京市にたどり着き、
ついにはセントラルドグマに突入しました。
そして、サードインパクトが起こり、人類は滅亡しました。
めでたしめでたし
終わり