学校からの帰り道を、二人は歩いていた。

 足首をひねったシンジにアスカが肩を貸しているものだから、その歩みはゆっくりとしている。

 遠目で見ると、仲良く腕を組んで歩いているようでもある。

 あたりは夕日に照らされ、紅く染め上げられたようだ。

 なんともいい雰囲気である。

 音流布は今日も日本晴れであった。



第拾八話

  ”姫さま 一段落です”



「本当に良かったの?せっかくの優勝を辞退しちゃってさ」

「あんな飛び入りの勝ちなんて無効に決まってるじゃない。そもそも男子のみの大会なんだし」

「でも、せっかく賞品まであったのにさぁ。学食の1ヶ月無料券は魅力的だったと思うけどな」

「いらないわよそんなの!」

 突然不機嫌になったアスカである。

 ふと思いついたシンジは真剣な顔で見つめた。

「なっ、なによ・・・」

「そっか、アスカは学食のご飯じゃ駄目なんだ」

「どっ、どういう意味よ、それは・・・」

 思わず、どっきんこのアスカである。

 学食の無料券があってはシンジお手製のお弁当が食べられない。だから、辞退したのである。それが、ばれてしまったのだろうか?

「学食だと嫌いなものがあっても全部食べないといけないからね。アスカって好き嫌いが案外と多いから。ほらピーマンも食べられないし」

「人を幼稚園児みたいに言うなっっ!」

 ゲシッッ

 アスカの肘打ちがシンジの脇腹に決まった。

 ウウウッとうなる痛みに顔をしかめるシンジ。剣術大会での勇姿はすでにどこにも見当たらない。それにしても、あいかわらず鈍感な男である。

「大体、あんなヘナチョコメガネを倒したぐらいどってことないわよ」

「ヘナチョコって・・・そう言えばよくあのケンスケに勝てたね。アスカがあんなに強いなんて知らなかったよ、ケンスケの攻撃がかすりもしなかったじゃないか」

「わたしも今日まで知らなかったわよ。まっ、あれね、この天才アスカ様に出来ないことなんてないって事ね。ああっ、自分で自分の才能が恐ろしいわ」

 ぐっとこぶしを握り締め、アスカは夕日を見つめた。

「・・・いや、そこまで盛り上がらなくても・・・」

 もちろん、シンジのそんなつぶやきはアスカの耳には届かなかったが。

「まっそれはそれとして、あんたもそれなりにがんばったじゃない。一応だけど決勝戦まで残ったんだから」

「うん、アスカのおかげだよ。あの特訓がなければあんなとこまでは勝ち抜けなかった」

「そうよ、感謝しなさい。さっ、それじゃ明日から次の大会に向けて特訓再開ね」

 アスカはグッと腕まくりをする。

 ギクッとシンジは青い顔になった。

「ちょっと、待ってよ。もう特訓は・・・」

「しょうがないわね、明日だけは休みにしてあげるわ。ほんと軟弱者なんだから」

「いや、そういうことじゃなくってさ、次の大会がいつかなんてまだわからないし、それにそれに」

 必死の抵抗を続けるシンジであった。それに山へと帰るカラスの鳴き声が重なった。

 シンジの受難の日々はまだまだ続きそうである。

つづく       

 

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「ようやくですが皐月編の終了でーす。ふぅ2年かかった」

「途中でずいぶんと誰かさんがさぼってたからね。実質書いてたのは1年ってとこじゃないの?」

「うーむ確かに。しかも中途半端な終わり方だし」

「あっ、人に言われる前に自分から言って免罪符のつもりね」

「まあまあ、アスカ。せっかく終わったんだし。それより、これからはどうなる予定なんですか」

「そうだね、水無月編に入ることになるね。皐月編で剣術大会なんか始めちゃったばっかりに
最初の予定とはずいぶん違う話になっちゃったから、今度はもっとラブコメっぽくなるかな。
まっ、あくまで予定だけど」

「へぇ、そうなんですか」

「ちょっと、ラブコメって誰と誰がよ?」

「さー、誰だろう?」


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