『ビートルジュース』(1988) BEETLEJUICE 92分 アメリカ
監督:ティム・バートン 製作:マイケル・ベンダー、ラリー・ウィルソン、リチャード・ハシモト 原案:マイケル・マクダウェル、ラリー・ウィルソン 脚本:マイケル・マクダウェル、ウォーレン・スカーレン 撮影:トーマス・アッカーマン 音楽:ダニー・エルフマン
出演:マイケル・キートン、アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー、キャサリン・オハラ、シルヴィア・シドニー、グレン・シャディックス
ティム・バートンの日本初お目見え作品。登場するクリーチャーやセットなどにすでにティム・バートンの不思議と魅力的な悪趣味が展開される。
田舎の一軒家で平凡ながら幸せに暮らしていた若夫婦が、自動車事故で川に落ち死んでしまう。そして幽霊となった二人は125年を自宅で過ごさねば次の段階へと進めないのだ。どうしようと思っているところに、ニューヨークの俗物夫婦が家を買い取り一人娘と一緒に引っ越してくる。アーティスト気取りの妻はインテリアデザイナーとアイディアを出し合って、カントリー調の古き良き家を胡散臭いアート系に改装してしまう。
これには勘弁ならないと、幽霊夫婦はゴーストとして一家の前に現れ、脅かして追い出そうとするが、これがまったく怖くなく通用しない。
そんな時に、自称“バイオ・エクソシスト”ベテルギウスのことを耳にする。こいつは下品な上に無茶苦茶で関わったら大変なことになる。しかし自分たちではどうにもならないと思った幽霊夫婦は、ベテルギウスを呼び出す呪文として彼の名前を三回唱えてしまう。
「ビートルジュース、ビートルジュース……ビートルジュース」
DVDには日本語吹替版も収録されているが、こいつがなかなか良くできている。
ビートルジュースの声を吹き替えているのは西川のりお。上手いかといわれれば下手だ。オリジナルのビートルジュース役マイケル・キートンのしゃべりと合っているかといわれると合っていない。だが、そういったことを無視してしまえるほど西川のりおのビートルジュースは面白い。非常に下品で、相手の言うことなど耳に入っていない様子で、ひたすらしゃべり続ける。これを一度聞いてしまうと他の人による吹替は考えられない。
本職の声優・俳優ではなくコメディアンなどタレントによる吹替については色々と問題があるだろう。とりあえず出来上がった吹替版がちゃんとしているかどうか。ダメな方が圧倒的の多そうな感じではあるが。『TAXi4』のタレント吹替版なんかひどかったからな。『1~3』までと同じ声優を起用した声優版音声も収録されていたのはメーカーの良心だろう。
一人娘は常に喪服を着ていて、顔も血色が悪くて青白。常にカメラを持ち歩いてはなにかしら撮影している不思議系少女。演ずるのは当時17歳(かな?)のウィノナ・ライダー。これがまた可愛い。ゴスロリ少女の元祖かもしれない。彼女にだけは幽霊夫婦がちゃんと見える。理由は彼女自身が人とは違っていて両親や世間に幻滅して自殺も考えているから。あの世とこの世の境界線上を生きているということだろうか。そんな彼女が希望を取り戻す物語でもある。
しかし、不思議系少女を演じたウィノナ・ライダーだが、その後実生活でも不思議な人になってしまった。最近はかなり落ち着いたようで今後の更なる活躍に期待。顔つきとか雰囲気が日本人好みする女優さんだよね。
色々と笑いどころの多い映画だが、一番傑作なのは招待客を招いてのディナーの最中に、幽霊夫婦が連中を脅かすために彼らを操って『バナナボート』を歌い踊らせるシーン。もっとも、連中は逆に喜んじゃうんだけど。
「デ、イデオイデオイデオ」とか歌っているところの日本語字幕が「胃と手、胃と手」だったり、「なんとかかんとかタランチュラ」は「みんな頭がタランチュラ」と「いらねーだろその字幕ネタ」が下らなすぎて良い。このセンスは戸田奈津子か?!と思ったが新村一成という人だった。
登場するクリーチャーはサンドワームを除いて本来名前はないのだが、日本公開時には勝手に名前を付けて宣伝などに利用していた。
上半身と下半身が腰のところでぶった切れている『セパレーツ・ガール』、探検家の格好をしていて、おそらくどこかの現地人に頭を干し首にされグレープフルーツぐらいの小さな頭になってしまった『チョロピー』、自動車に轢かれて板のようにぺっちゃんこになってしまった『当たり屋ジェリー』などなど。『バタリアン』(1985)でも『タールマン』だとか『オバンバ』と日本でゾンビに名前を付けていたが、あれと同じセンスか。
勝手なことをやるもんだと思うが、ティム・バートンに話すと案外うれしがるかもしれない。つか、アメリカ・ワーナーの許可取ってんのかな?
ティム・バートンは変な人だが、分かりやすい変な人なので作品も人気があるのだろう。そこら辺で、ちょっと底が浅いのかもと思うこともあるが、本気で徹底して変な人だったら娯楽映画としては受け入れられないだろうから、メジャー映画界で活躍するにはちょうどいいバランスなのだろう。
ちなみに、自殺するとあの世に行ってから公務員として働かされるそうだ。アメリカでは公務員の仕事はうんざりするほど魅力が無く退屈で、それを延々と続けされるなんて考えたくないということらしい。
日本だと、自殺したら公務員になれると知ったら、これまで以上に自殺する人が増えるんじゃ……