『未来少年コナン』(1978/04/04-1978/10/31) 全26話×約30分 日本 NHK
監督:宮崎駿 絵コンテ:宮崎駿、早川啓二、とみの喜幸、石黒昇、奥田誠治、高畑勲 製作:本橋浩一 プロデューサー:中島順三、遠藤重夫 企画:佐藤昭司 原作:アレグサンダー・ケイ「残された人々」より 脚本:中野顕彰、吉川惣司、胡桃哲 キャラクターデザイン:宮崎駿、大塚康生 作画監督:大塚康生 美術監督:山本二三 撮影監督:三沢勝治 色指定検査:保田道世 音楽:池辺晋一郎 演出補:早川啓二 製作管理:高桑充 録音監督:斬波重治
声の出演:小原乃梨子、信沢三恵子、青木和代、永井一郎、吉田理保子、山内雅人、家弓家正、神山卓三、池田勝、増岡弘、若本紀昭、水鳥鉄夫、石丸博也、つかせのりこ、宮内幸平、田中秀幸
オープニングナレーション:伊武雅之
冒険、戦争、希望、嫉妬、憎しみ、敵、味方、愛、そして恋。
これらのものが約780分にぎっしりと詰まっているのがこの作品だ。
本放送以来、久しぶりに今回観直してみて、30年以上前の作品とはとても思えなかった。この『未来少年コナン』が宮崎駿の初演出作品であり、宮崎作品の原点と言ってもいいだろう。
2008年7月、世界大戦が起き核兵器を遙かに超える超磁力兵器によって世界の半分は一瞬にして消滅してしまった。そして5つの大陸はことごとく裂け海に沈んでいった。
といったような伊武雅刀のナレーションで物語は始まる。(伊武雅之は旧芸名)
のこされ島におじいさん通称おじい(血縁関係はなし)と暮らす少年コナンは海を自在に泳ぎ回り、怪力で冒険心に富んだ元気な少年だ。
そんな彼が砂浜で一人の少女が倒れているのを見つける。ラナと名乗るその少女を追って大異変から残った近代都市インダストリアから飛行艇が一隻やってくる。結果、おじいは死に、コナンは飛行艇の翼に足の指でつかまる大活躍をしながらもラナを連れ去られてしまう。
コナンは船を造りインダストリアに向かうことにする。その間に、友人の山の子ジムシーやバラクーダ号のダイス船長などと出会う。
インダストリアがラナを連れ去った理由はレプカという男がラナの祖父ラオ博士に太陽エネルギーを復活させるためだった。レプカは太陽エネルギーで空飛ぶ戦艦ギガントを復活させ、世界を手中に収めようとしていたのだ。
コナンはそれを阻止できるか。そして無事にラナを取り戻すことが出来るのだろうか。
未来少年というイメージとはずいぶん違うコナンの超人的体力にはとにかく恐れ入る。数十メートルはありそうな高さをラナを連れて「飛ぶ」と言って実際に飛んでしまう。そのあとで足がしびれてがに股で歩くのはご愛敬。
他のシーンでもラナと共に「飛ぶよ」でひょいっと飛んでしまう。両シーンともラナがコナンを信頼してちっとも怖がっていないのがまた良い。
女の子だったらコナンみたいな恋人が欲しいことだろう。自分がどんな苦境に陥っても必ず助けに来てくれる。絶対の信頼を寄せられる相手がいたらどんなにいいことだろう。
男の子だったらラナみたいな恋人が欲しいに違いない。優しくて愚痴をこぼさず、芯が強くて自分のことを信じてくれる。おまけに可愛い。
この二人の関係は『天空の城ラピュタ』のパズーとシータに一番近い物がある。というよりも『天空の城ラピュタ』が『未来少年コナン』の発展系なのだろう。ただ、パズーは意志は強いが普通の少年だが。少年と少女が出会うところから物語が始まる所も似ている。悪党が少女を狙いそれを少年が助けるのも似ている。ちなみにオレが一番好きな宮崎作品が『天空の城ラピュタ』だ。成績はジブリ作品の中で一番悪かったらしいが。
ジムシーはコナンと同じくらいの体力の持ち主なのだが、キャラクターが似すぎてしまうせいか今一つ活躍していなかった。
ダイス船長は最初はラナを利用しようとする卑劣漢なのだが、コナンと接している内に次第に一緒に戦う仲間になってくる。なんのことはない精神年齢が同じなのだ。ラストには思いがけない人物と結婚することとなる。
飛行艇に乗ってラナを捕まえに来たモンスリーという女性がいる。最初は冷酷で残忍なのだが、人々が麦畑を作って平和に暮らしているハイハーバーという島に行ったことで精神的に変化が現れる。そして自分も自然の中で平和に暮らしたいと望むようになり、レプカにその旨を申し出、危うく銃殺されそうになったところをコナン達に助けられる。口癖は「バカねぇ」。最初は冷たいこの口癖がラストでは甘くとろけそうな物になっている。
インダストリアの地下には貧民屈がありそこでコナンがおじいそっくりの老人に出会うシーンは涙ものである。
手錠をかけられたコナンが乗った小舟が沈んでしまい、海底で船の金具に手が引っかかって浮上できないコナンにラナが水面から潜ってきて、「コナン、生きて、生きて」と口移しで空気を送るシーンの美しいこと。その後、コナンは手錠を引きちぎりラナと一緒に水面に飛び出す。
終盤はついに飛び立ってしまった巨大飛行機ギガントの上での戦いである。無茶にもほどがあろうに空を飛ぶ飛行機の羽根の上を走るコナン達。大砲を撃ち、エンジンを壊し、もうやりたいほうだいである。
尾翼の銃座から銃撃をするダイスとジムシーを尾翼ごと切り離すレプカ。ギガントは尾翼なしでも飛行可能なのか。最後にはレプカを始め敵乗組員達は死んだが、死ぬところはあえて見せない。当たり前だ、子供向けアニメなのだから。
だが、子供向けアニメと言っても、大人が観ても充分に面白く、宮崎駿の原点という意味では観ておいて損は無かろう。
そして最後は大団円。
ちなみに小学生の時に原作を読んだが、まったくと言って良いほど関係がない。ほとんどオリジナルである。


