『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』 (1966) THE WAR OF THE GARGANTUAS 88分 日本 東宝
監督:本多猪四郎 製作:田中友幸、角田健一郎 脚本:本多猪四郎、馬淵薫 撮影:小泉一 美術:北猛夫 デザイン:成田亨 編集:藤井良平 音楽:伊福部昭 アクション:開田裕-サンダ 中島春雄-ガイラ 特技・合成:向山宏 特技・撮影:有川貞昌、富岡素敬 特技・操演:中代文雄 特技・美術:井上泰幸 特技監督:円谷英二
出演:ラス・タンブリン、佐原健二、水野久美、田崎潤、中村伸郎、伊藤久哉、田島義文、桐野洋雄、山本廉、岡部正、勝部義夫、伊藤実、岡豊、渋谷英男、橘正晃、小宮康弘、ヘンリー大川、森今日子、沢村いき雄、広瀬正一、伊原徳、堤康久、坂本春哉、津田光男、キップ・ハミルトン、大前亘、古谷敏
声の出演:睦五郎、木下華声
『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965)の続編である。
何故日本にフランケンシュタインの怪物がいるのかなどは本編では一切説明されていないので、知りたい方はそちらを参照のこと。
船が大ダコに襲われた。その大ダコの後を追うように、巨大な怪獣が出現。乗組員5人のうち4人までを食ってしまう。クロールしながら乗組員を追ってくる怪獣がまず怖い。この後、大ダコは登場しない。何だったんだアレは。『フランケンシュタイン対地底怪獣』の海外版では向こう受けする大ダコとの対決のシーンがあったと言うからセルフパロディか?
海の怪獣はフランケンシュタインの怪物サンダの細胞が分裂して生まれたその名もガイラ。サンダは性格が優しく人の言うことを聞くのに対して、ガイラは人を捕まえてムシャムシャと食う。そして衣服などをペッっと吐き出す。怪獣映画だと思って観に行った子供達の心にトラウマを残したという。
ガイラは羽田空港へ上陸。羽田は一大パニックとなる。この羽田空港のセットは精巧に作られていて特に広さに見応えがある。怪獣というと大体ゆっくりと動くが、比較的小型なガイラは動きが速い。ダッシュでスクリーン目がけて走ってくる。怖い。
陸上自衛隊がガイラ退治に乗り出すことになる。大型ヘリコプター3機や戦車、特殊車両を貸し出すなど実際の自衛隊は大盤振る舞いだ。
山に向かったガイラを放電作戦とメーサー光線で良いところまで追い詰めるが、兄弟の危機を感じ取ったサンダが現れガイラを救い出すと山の中に消えてしまう。
ここまでならば仲の良い兄弟なのだが、ガイラが人を食うと知ったサンダは弟とケンカ別れ。そして一大兄弟ゲンカの場は銀座へと移る。
この作品はBlu-ray版で観た。自分が生まれる前の映画がこれだけクッキリ高画質で見られるとは思わなかった。光度バランスも取れていて、照明の当たり具合も上手く再現されていて画面に深みを感じる。
弱点としては、高画質すぎてミニチュアワークの粗が見えてしまうことだ。かなり凝ったミニチュアなのだが、今現在の大人から観るとやっぱりちょっとね。
それでも、サンダ(だったかな)がへし折る橋がちゃんとコンクリートとアスファルトでえ出来ているように見えるのは見事。実際は石膏や木なんだろうと考えるとすごい職人芸だなと感じさせる。
円谷英二が特技監督を務めているだけあって特撮のクオリティは高い。お気に入りのメカがメーサー殺獣光線車だが、こいつがメーサー光線を横になぎ払うと、立ち並ぶ木が光線にあわせてなぎ倒されていく。おそらくやってることはミニチュアの木に火薬を仕掛けて順番に爆発させていくなど単純なことなのだろうが、効果としては抜群である。それにしてもメーサー殺獣光線車のデザインは見事。『ウルトラセブン』で有名な成田亨デザインでいいのかな。
しかし、サンダは山の怪獣なのにガイラは何で海の怪獣になったのか。何で人間を食うようになったのかは不明のままである。
人を食うに関しては幼少時に人間と触れ合わなかったものだから、単に食料としてしか思っていないのだろう。生きるためには物を食べなければならない。食べられる人間側としてはたまったものではないが、怪獣としての道理は通っている。
サンダが人間を食べないのは幼少時に水野久美ら京都のフランケンシュタイン研究所の人間と親しくして教育を受けたからだ。サンダの怒りは正当なものだが、それをガイラに分かれというのも無理があるのだろう。
巨大な海彦と山彦はしょせん相容れない存在だったのだ。そう考えると、怪我をした弟に必死で湖の水をかけてやる光景が悲しくてならない。
2匹の戦いは人間型であるがゆえに、恐竜型のゴジラなどと比べて遙かにアクションの自由度が高い。終盤の銀座→港での戦いは迫力物である。
音楽は伊福部昭が担当し存分に伊福部節を聞かせてくれる。特に、山でのガイラとの戦いでかかるマーチは最高の出来だ。
ラストは唐突に海底火山の噴火が起こって海で繰り広げられる世紀の兄弟ゲンカはなんだかよく訳の分からないまま無理矢理決着が付いてしまう。これもデウス・エクス・マキナと言っていいのだろうか。







