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B001FR1O0W.jpg『40歳の童貞男』(2005) THE 40 YEAR OLD VIRGIN 132分 アメリカ UNIVERSAL PICTURES

監督:ジャド・アパトー 製作:ジャド・アパトー、ショーナ・ロバートソン、クレイトン・タウンゼント 製作総指揮:スティーヴ・カレル、ジョン・ポール 脚本:ジャド・アパトー、スティーヴ・カレル 撮影:ジャック・N・グリーン プロダクションデザイン:ジャクソン・デ・ゴヴィア 衣装デザイン:デブラ・マクガイア 編集:ブレント・ホワイト 音楽:ライル・ワークマン
出演:スティーヴ・カレル、キャサリン・キーナー、ポール・ラッド、ロマニー・マルコ、セス・ローゲン、エリザベス・バンクス、レスリー・マン、ジェーン・リンチ、シェリー・マリル、カット・デニングス、ナンシー・ウォールズ、ジェリー・ベッドノブ、ミンディ・カリング、エリカ・ヴィッティナ・フィリップス、モー・コリンズ、ストーミー、ミキ・ミア、マリカ・ドミンスク、ジョナ・ヒル

 このところ製作関係で取り上げていたジャド・アパトーの初監督作品。
 ビデオレンタル屋でパッケージを見かけた時は、40歳の童貞男を徹底して下ネタでこけにしまくる映画だと思って特に興味が湧かなかった。今回、こうして観てみるとなんだかんだで40歳まで童貞でいてしまった男が愛を掴むまでの純愛物語であった。

 大手家電販売店の在庫主任のアンディ(スティーヴ・カレル)はフィギアやゲームに夢中な世に言うオタクである。しかし、毎朝の筋トレは欠かさないしちゃんとお風呂にも入る。一般社会にちゃんと溶け込んだオタクなのだ。
 そんな彼は40歳にして未だに童貞。これまでにも何度かチャンスはあったのだが、ことごとくそれをふいにして40にして童貞。
 職場の三人の仲間がアンディが童貞だと知ってしまったばかりに、アンディの童貞脱出大作戦を立てる。

 考え用によっては大きなお世話なこの作戦。アンディがそれで満足しているならそれで良いじゃないか。アンディ曰く、最初はあせっていたけど、今となっては無理矢理やる気はないと悟っている。悟らせときゃ良いじゃない。それとも男は女とやって一人前か?
 酒場で良い雰囲気になった女性は飲酒運転の常習犯で、助手席に座ったアンディは死ぬような思いをする。あげくにゲロを顔面にぶちまけられる。
 あげくに強迫観念に駆られたアンディは露店売り書店のヌード雑誌が目に飛び込んでしょうがなくなり、それから逃れるべく走り出すと性的なコマーシャルの載ったラッピングバスが横を走る。もう、どうしろっての。
 近所の店の"e-bay代理販売業"を営む女性と親しくなるが、童貞というハンディからなかなか積極的に出られない。
 女性にもてるようになるため、胸一面に生えた胸毛をワックスで取るシーンは笑った。あまりの痛さに普段は丁寧なアンディが女子店員に悪態をつく。それだけ痛いんだろう。
 アンディは決して悪い人間ではない、むしろ善人なのだが、ポロシャツの裾をズボンの中に入れてしまったり、七三分けの髪型など微妙にずれているのだろう。
 タイトルから考えるようなどぎつい下ネタは意外に少なかった。
 40歳で童貞なのも別に病気でもなければ異常でもない。ましてやゲイなわけでもない。ただ巡り合わせが悪かっただけ。そんな彼が一人の女性と出会って、自分が童貞だと打ち明けられずに悩む映画。ラストは恋愛映画だ。
 アンディが一番大事にしているフィギアが『600万ドルの男』の主人公ではなくその上司のフィギアだというのが良い。最終的にはオタクを卒業したアンディは子供の頃から集めていた『アイアンマン』などのフィギアを全て売り払って50万ドルの大金を手にするのだが、オレとしては最後までオタクを貫いて欲しかった。
 アンディの特技は手品(といっても子供だまし)なのだが、そのレパートリーの中に「耳が大きくなっちゃった」ネタがある。あれはマギー審司オリジナルのネタじゃなかったのか。審司にはがっくりだよ! まぁ考えてみれば素人でもやるいくらでもありそうなネタだが。
 エンディングのプチミュージカル"アクエリアスの時代"がなかなかに良い。
 とかまあいいつつも、オレは童貞じゃないよと付け加えずにはいられない。やっぱ、男にとって童貞か非童貞かというのは大きな問題なのだ。

B00006AUWB.jpg『U.M.A. レイク・プラシッド』(1999) LAKE PLACID 82分 アメリカ PHOENIX PICTURES

監督:スティーヴ・マイナー 製作:デイビッド・E・ケリー、マイケル・プレスマン 製作総指揮:ピーター・ボガート 脚本:デイビッド・E・ケリー 撮影:ダリン・オカダ クリーチャーエフェクト:スタン・ウィンストン プロダクションデザイン:ジョン・ウィレット 編集:マーシャル・ハーヴェイ、ポール・ハーシュ 音楽:ジョン・オットマン
出演:ブリジット・フォンダ、ビル・プルマン、オリヴァー・プラット、ブレンダン・グリーソン、ベティ・ホワイト、メレディス・サレンジャー、マリスカ・ハージティ、デヴィッド・ルイス

 コミックの『勝手に改蔵』で"予告編は面白そうだった映画(クメタ総研調べ)BEST1"として堂々と上げられていたのがこの作品UMA。改蔵いわく「『UMA』なんてどんなすごい未確認生物が出るかとワクワクしてたら、ただの大きいワニですよ!!」なんだそうである。
 もっとも『U.M.A(未確認生物)』なんてタイトルを勝手につけてしまったのは日本の配給側東宝東和で、原題は『LAKE PLACID(静かなる湖)』で人食いワニ映画というのがそもそも向こうでは売りだったそうだ。東宝東和は平気でこういう事をやってくれるから困るし嬉しい。
 路線としてはこれまでも続編の『U.M.A レイク・プラシッド2』など何作か紹介してきた人食いワニ映画だが、水中に住み人食い動物物ということで基本的にはジョーズの延長線上にある。水面下から、水面を泳ぐ人を捉えたカットは定番だ。

 フォンダ一族のブリジット・フォンダ、インデペンデンス・デイの戦う大統領役のビル・プルマン、『エグゼクティブ・デシジョン』のエンジニア役などのオリヴァー・プラットなど意外に豪華なキャスティングの映画でもある。特にニューヨーカーの博物館員役のブリジット・フォンダなんてこんな映画にも出てたんだ。

 犠牲者の数としては少ないが、ワニが犠牲者をバクバク食う食う。下半身だけ食べたり頭だけ食べたり、食べ放題である。
 序盤では、太古の恐竜が生き残っている可能性がとか言っているがあっと言う間に正体がワニだと分かる。ブリジット・フォンダの仕事は古生物学者なのでワニと分かった時点でお役ご免な気もするが最後まで付き合う。印象薄いけど。
 オリヴァー・プラットは大金持ちの変人でワニを神とあがめている。変人だけに面白いキャラクターで、天敵の地元保安官とのやり取りが可笑しい。水上ヘリコプターを所有していて、それでワニが生息している湖の上を飛び回る。ヘリコプターのブイをワニに囓られて飛ぶに飛べないシーンは『ジョーズ2』のオマージュだなきっと。
 ビル・プルマンは印象が薄い。まぁこの人はいつも薄いんだが。終わってみるといたなぁという感じ。顔は濃いんだけどね。

 とにかくワニの現れるタイミングが絶妙。こいつ絶対間を読んでやがるなと思う。ボートをドッカーンとひっくり返したり、ヘリにズドーンと飛び込んできたりと、来るな来るなと思っているところで出てくるのでビックリ度数が倍になる。リアクション芸人になれば大成間違いなしだと思うんですよこのワニ。しかもデカい、やたらとデカい。全長10メートルでなおかつ動きが素早い。強敵だ。こんなのを相手に人間はどう戦ったら良いんだ。
 しかしどうにかこうにかヘリに身体を突っ込んで身動きが取れなくなったワニに麻酔を撃ち込んで眠らせホッとしたところで二匹目のワニが!!ピンじゃなくてコンビだったんだ、こいつら。
 ワニの内、一匹は小型ミサイル(でもショットガンで発射する)で吹き飛ばし、10メートルの巨大ワニは博物館で飼うことに。でも餌代だけで大変そうだ。しかもこのワニ、アジア原種らしいのだがどこからどうやってメイン州の湖にやって来たかは一切の謎。別に語るつもりもないんでしょう。

 巨大人食いワニ映画としては並みの出来。それほどショッキングな惨殺シーンはないし、『ジョーズ』シリーズがいけるなら観ても大丈夫。
 脇役だけど保安官が割と良い味を出しているのもお薦めする点。主人公のブリジット・フォンダとビル・プルマンよりよっぽどキャラが立っている。
 ワニに餌をやって飼い慣らして育てたのは一人のバアさん。二匹のワニとも湖からいなくなったわけだけど実は......なエンディングはホラーやパニック映画だとお約束か。

B000UMXBZ4.jpg『夜の訪問者』(1970) DE LA PERT DE COPAINS/COLD SWEAT 94分 フランス

監督:テレンス・ヤング 製作:ロベール・ドルフマン 原作:リチャード・マシスン 脚本:アルベール・シモナン、シモン・ウィンセルベルグ 撮影:ジャン・ラビエ 音楽:ミシェル・マーニュ
出演:チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・メイソン、ジル・アイアランド、リヴ・ウルマン、ミシェル・コンスタンタン、ガブリエル・フェルゼッティ、ルイジ・ピスティッリ

 ジョー(ブロンソン)は南フランスで観光客相手の釣り船・観光船で生計を立てている。妻(例によってジル・アイアランド)と彼女の連れ子であるローティーンの娘の三人家族だ。家族、ここが重要である。
 そこへブロンソンの過去を知る男が訪れてきて、船を使った仕事を強要する。ブロンソンはかつて軍刑務所に収容されていた。そこから運転手役として脱走する時に仲間がドイツ警官を殺してしまい、ブロンソンは仲間を置き去りにして一人だけで車を運転して逃げたのだ。
 仲間は警官殺しで40年は出てこられない。そこで安心して南フランスで生活していたのだ。しかし、船舶救助活動をやった事が写真付きで新聞に載ってしまい、またもや刑務所を脱走したかつての仲間に目を付けられたのである。
 彼らの目的はトルコの船とヘロイン・アヘンをやり取りする事らしい。妻と娘を人質に取られたブロンソンは一人ずつ悪党どもを始末していく。

 リチャード・マシスンの原作小説を映画化したのは『007ドクター・ノウ』(1962)など初期の007シリーズを手がけたテレンス・ヤング。後に『バラキ』などでも組むがブロンソンとはこれが初顔合わせとなる。さすがにスピード感のある演出で、特に終盤のカースタントは見物だ。
 悪役は1954年版『スタア誕生』などのジェームズ・メイスン。最初は普通のボス役で登場するが、部下のミスで腹を銃弾で撃ち抜かれてからは、母娘を庇うなどの行動を見せ始め、次第に身体は弱っていきながらも目の力は強く、ただの悪役ではない人間を感じさせる迫真の演技を見せる。
 ブロンソンは黒のTシャツにジーンズ姿で肉体派の活躍を存分に味合わせてくれる。銃は持つが一度しかも発砲せず、素手で悪党を相手に立ち向かっていく。
 見せ場は終盤のカースタント。寂れた山の中にある山荘でジェームズ・メイスンが撃たれてしまう。
 車で運んでは出血が激しくなって医者まで持たないと判断したブロンソンは医者を迎えに行くのだが、このカースタントがすごい。
 山道を赤いスポーツカーで疾走し、トラックを追い越し、白バイを振り切る。タイヤは悲鳴を上げ、時には山の斜面を滑り降りていく。ブロンソンは良いが、脅迫じみた形で連れてこられた医者はたまったものじゃない。

 この作品でのブロンソンの行動原理は悪党を退治する事ではない。あくまでも自分の家族、つまり妻と娘を守る事なのだ。そんなブロンソンの家族主義が前面に押し出された作品である。
 ブロンソンのヨーロッパでの活躍絶頂期で、公私ともに充実していた頃であろう。
 ジル・アイアランドもブロンソンに頼り切りな妻ではなく、出血で弱っていくジェームズ・メイスンを少しでも治療しコーヒーを飲ますなどして励ます強い女性を演じている。
 山荘を逃げ出してからはマシンガン使いと山中での追跡劇となるが、しぶとく逃げ回りいよいよとなるとライターで枯れ草に火を着けて山火事を起こしてしまう。子供を連れた母親は強いのだ。ところで、あの山火事はその後無事に鎮火したのだろうか。

 ラストは最後の敵を火だるまにして倒す。その時に大金が入ったアタッシュケースも一緒に燃えてしまうが、家族揃って無事な事に比べたらそんなのはささいなことだ。
 そしてフランス独立記念日の花火の中、ブロンソン一家は家へと帰るのだった。

 ところで、ジェームズ・メイスンを助けるために山荘に連れて行った医者はそのままだがその後どうなったんだろうか。車はブロンソンが乗って行ってしまったし、寂れた場所で車もあまり通らなそう。

 このDVDはマイナーなメーカーが出していてなんとamazon価格で780円。
 スタンダードサイズではなくビスタサイズ収録は嬉しいのだが、画質音質が悪い。大手メーカーの廉価版が1500円ぐらいで買える事を考えるとあまりお得感はないか。吹替も入ってないし。
 かなり面白い映画なのでメーカーを変えて良質なフィルムをマスターとした新バージョンも観てみたいものだ。

B0009J8EO6.jpg『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』(1999) UNIVERSAL SOLDIER: THE RETURN 83分 アメリカ

監督:ミック・ロジャース 製作:クレイグ・ボームガーテン、アレン・シャピロ、ジャン=クロード・ヴァン・ダム 製作総指揮:マイケル・ラックミル、ダニエル・メルニック 脚本:ウィリアム・マローン、ジョン・ファサーノ 撮影:マイケル・A・ベンソン 美術:デヴィッド・チャップマン 衣裳:ジェニファー・L・ブライアン 編集:ペック・プライアー 音楽:ドン・デイヴィス
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、マイケル・ジェイ・ホワイト、ハイジ・シャンツ、ザンダー・バークレイ、ジャスティン・ラザード、キアナ・トム、ダニエル・フォン・バーゲン、ジェームズ・ブラック、カリス・ペイジ・ブライアント、ビル・ゴールドバーグ

『ユニバーサルソルジャー』から数年、ドルフ・ラングレンとの死闘を戦い抜いたヴァン・ダムはユニバーサルソルジャー2500の開発に携わっていた。
 ってなんでだよ。自身がユニバーサルソルジャーになってあれだけヒドい目にあったのに、今度は死んだ兵士をユニバーサルソルジャーにする側になってどうする。政府に強制されているとかではなく自ら進んでやっている様子。設定の意味が分からん。
 前作のテレビレポーターをその妻とし娘が生まれた後に死んだ設定になっているが、その娘が人質になっている様子でもでもなさそう。ちなみに妻は死んでいるのがセリフで簡単に説明されて終わりです。出てくれなかったんだろうな。父親役のヴァン・ダムはちょっとレア。
 この『サイボーグ009』がブラックゴースト団で新型サイボーグの開発を行っているような設定がどうしても納得がいかん。

 ともあれ、そうして作られた新型ユニバーサルソルジャー2500は何が2500なのかは不明だが、ヴァン・ダムたち初代ユニバーサルソルジャーよりも強い。しかもヴァン・ダムは改造が解かれて普通の人間になっているので戦って勝ち目はない。
 というわけでユニバーサルソルジャーとヴァン・ダムの格闘戦はほとんどない。ひたすら銃撃戦と爆破。ならヴァン・ダム出す必要ないじゃん。プロレスラーのビル・ゴールドバーグを出す理由ないじゃん。

 ユニバーサルソルジャー2500計画の中心はスーパーコンピューター“SETH”が担い手となっている。ところが「軍事予算削減」のために計画が中止になってしまうことをしった“SETH”はソルジャーたちを操って叛乱を起こすのだ。コンピュータの叛乱物だな?。
 普通のアサルトライフルで撃たれたぐらいでは蚊に刺されたぐらいにしか感じないソルジャーを相手に一般兵士は大苦戦する。うーむ、やはり計画は中止しなかった方がアメリカにとってその後の“イラク戦争”なんかで良かったんじゃないの。
 で、ヴァン・ダムとSETHとの対決となるが、スーパーコンピューターを相手にヴァン・ダムが戦っても絵にならない。そこで“SETH”のメイン回路を人間に埋め込んだスーパーコンピューターソルジャーが登場する。でも大したアクションシーンにならないまま、映画は終わってしまうのであった。

B000244ROY.jpg『ユニバーサル・ソルジャー』(1992) UNIVERSAL SOLDIER 104分 アメリカ

監督:ローランド・エメリッヒ 製作:アレン・シャピロ、クレイグ・ボームガーテン、ジョエル・B・マイケルズ 製作総指揮:マリオ・カサール 脚本:リチャード・ロススタイン、クリストファー・レイチ、ディーン・デヴリン 撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ 特殊効果:キット・ウェスト 音楽:クリストファー・フランケ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレン、アリー・ウォーカー、エド・オロス、ジェリー・オーバック、レオン・リッピー、チコ・ウェルズ、ラルフ・モーラー、リリアン・ショーヴァン

 CAROLCO Pictures作品で製作がマリオ・カサールというのは『ターミネーター2』と同じ組み合わせ。ヴァン・ダム映画としても規模が大きく、おそらく制作費は一番多いんじゃないだろうか。でも『ターミネーター2』の制作費の何割どころか何分なんだろうけど。

 まずはベトナム戦争の夜から始まる。指揮官である軍曹のドルフ・ラングレンがイカれてしまって非戦闘員であるベトナムの村人だけではなく自分の部下であるアメリカ兵まで虐殺し始める。倒した相手の耳を削いではドッグタグ(認識票)に吊していく異常っぷり。もうすぐ除隊が決まっていて故郷に帰れるヴァン・ダムが立ち向かい相打ちになって二人とも死ぬ。
 翌朝、現場に駆けつけた軍の特殊チームは死体を大量の氷と一緒に死体袋に詰めると、「全員行方不明だとしておけ」と言い残してどこかへ持ち去っていく。
 それから25年。アメリカ本土のダムでテロリストが人質を取って立てこもる事件が発生した。警察では太刀打ちできないこのテロリストを短時間で制圧してしまったのが一切が謎の特殊部隊“ユニバーサルソルジャー”だ。
 おや、その中にはヴァン・ダムとドルフ・ラングレンの姿があるではないか。25年の月日がまるで経過していない若い姿のままなのは何故だ?

 冒頭ではスケールの大きさを感じさせる。監督はこれがハリウッドデビューとなるドイツ人のローランド・エメリッヒ。中盤からグダグダになっていき、この頃からエメリッヒはすでにエメリッヒ。
 ユニバーサルソルジャーは一度死んだ兵士を蘇生させ生化学的処理をして機能強化させた一種のサイボーグだ。記憶も封印し、感情を持たず上官の命令にのみ従う。どこか『ロボコップ』(1987)っぽい。筋肉ムキムキの男たちが感情を見せずに時に全裸で登場するところは『ターミネーター』か。
 司令部はマスコミの取材を断固拒否する。それはそうだろう、これでは情報公開できない。人権やらなんやらで袋叩きだ。
 感情を持たないはずのユニバーサルソルジャー。だが、ドルフ・ラングレンは殺人を喜びと感じているようである。
 そこへ、特ダネを求めた女性テレビレポーターがソルジャー基地に侵入したことから事態は一変する。レポーターを殺そうとしたドルフ・ラングレンからヴァン・ダムが守り、命令を無視して車で逃亡したのだ。追跡を始めるソルジャーたち。そして、ドルフ・ラングレンも命令を無視して暴走を始める。

 ドルフ・ラングレンが暴走を始めてからはSF色はすっかりなくなり追跡アクション、そして肉体派アクションスターによる格闘アクションへ。
 格闘はヴァン・ダムとドルフ・ラングレンという空手の達人同士の戦いなのにあまり見栄えがしない。ひたすらヴァン・ダムが蹴ってるだけでかなり大雑把。洗練されたカット割りもカメラワークも存在しない。ただぶつかりあってるだけで、先っちょの尖ったバナナじゃなかった先っちょの尖った物が映った時点でオチが見えてしまうし。
 変形トラック基地などのSFパートは上手いがアクションパートはせいぜい並み。印象に残っているのが、すっかり戦場モードになってしまったドルフ・ラングレンがスーパーで怒鳴り警備員を躊躇せず撃ち殺すところ。記憶が、死んだ時=ベトナム戦場のままなのだ。役者としての見せ場はヴァン・ダムよりもドルフ・ラングレンの方が多い。
 ソルジャーの一人がステーキ肉を生のまま食べて栄養補給しているが、その肉売り場にはデカい肉の固まりがゴロゴロ。細かな点だが日本人の感覚とは違うわ。あのステーキ肉、ちゃんと焼いてから食いたいなぁ。日本で買ったらいくらするんだろう。
 とにかくヴァン・ダムが脱ぎたがりで、あのシーンで全裸このシーンで全裸。ソルジャーは肉体が異常な高熱を発してしまうので冷却剤や氷で冷やす必要があるのだが、その設定もヴァン・ダムが脱ぎたいからでは?「俺の鍛え上げられた肉体に魅了されろ?!」なんだろうか。
 ヴァン・ダムが少しずつ感情を取り戻していくのだが、それを食堂で食ってるランチで表現。美味そうにメシを食う奴だ。

 ユニバーサルソルジャーという設定で、演技面にはちょっと弱いヴァン・ダムとドルフ・ラングレンをカバーしている。女性レポーターが途中で逃げ出さずに最後までヴァン・ダムに付いていく点にも説得力があり、これまた男性陣をカバー。

B001544MAE.jpg『U.M.A レイク・プラシッド2』(2007) LAKE PLACID 2 88分 アメリカ

監督:デヴィッド・フローレス 製作:ジェフリー・ビーチ、フィリップ・J・ロス 製作総指揮:T・J・サカセガワ 脚本:トッド・ハーヴィッツ、ハウイー・ミラー 撮影:ロレンツォ・セナトーレ 音楽:ネイサン・ファースト
出演:ジョン・シュナイダー、サム・マクマレー、ジャスティン・ユーリック、クロリス・リーチマン、テリー・ウィンクレス、サラ・ラフルール、アリーシャ・ジーグラー、イアン・リード・ケスラー、ジョー・ホルト

 前作『U.M.A』(1999)の時にも言われていたのだが、UMAと言いつつ襲ってくるのは巨大なワニ・クロコダイル。UMAじゃないじゃん。
 ところはメイン州の湖。水質調査にやってきた二人組の調査員の内、一人がボードから水中に引きずり込まれて何者かに食われるという事件が発生する。
 食いちぎられた腕と足という物証があるにも関わらず、やけに呑気な保安官。動物保護局の女性担当員と湖の調査を始め、生首まで発見するが、それでも呑気。田舎の湖なので携帯電話は通じないが保安官の無線は通じるのに応援も呼ばなければ湖の閉鎖も命じない。おかげでキャンプにやって来た若者などが食われ始める。
 ハンティングを道楽にしているお金持ちも加わってワニの捕獲作戦を開始する。そんな折り、保安官の息子は知り合ったばかりのガールフレンドと湖の畔でキャンプパーティーに参加していた。例によっていちゃついていたカップルから襲われ始め、被害は拡大していく。
 アメリカ北部のメイン州ではクロコダイルは冬を越せず生きていけないはず。それが何故生息しているのか。その謎は湖の畔に住む一人の老女が答えだった。

『UMA』とタイトルを付けたのは日本側。『UMA』物として売るよりも素直に巨大ワニ物として売った方が良かったんじゃないだろうか。UMAファンは観たら正体に怒るぞ。そもそもUMAファンと巨大ワニファンはどちらが多いのか。案外、巨大ワニ物ファンの方が多いかも知れない。
 TV用映画なのでクロコダイルのCGがちょっとちゃちいのはしかたない。登場人物が少ないのも低予算だからだろう。そう考えると、応援を呼ばないなどの行動も納得がいく。
 この手の人喰い映画だとモンスターが突然現れるシーンでは普通ビックリするのだが、この作品ではさっぱりビックリさせてくれない。予告なしで出てくるシーンもそうだし、出てくるかな出てくるかなと予想させて出てくるシーンでも別に「ああ、出てきたね」って感じ。もっとドキドキさせてよ。
 登場人物に魅力が乏しいのも大きな欠点。人喰い映画では喰う側の怪物も重要だが、それと同じぐらいに喰われる側の人間の魅力も大切。嫌な奴が喰われるシーンでは「ざまぁみろ」と溜飲を下げるし、善良な人間が喰われるシーンでは「この人まで喰われるなんて」という衝撃がある。
 ところがこの作品では、大金持ちとその部下の黒人、ワニを飼っていた老女が少し面白いぐらいで、主役の保安官と動物保護局の女性、保安官の息子とそのガールフレンドを始めとしてどうでもいいと感じる人間が大半。特に動物保護局の女性は我が儘で、動物愛護は良いがそのために消極的な捕獲作戦を主張した結果犠牲者が出てしまう。すでに何人も殺されてるんだから最初から抹殺計画でいいじゃん。どうでもいい人間が喰われても、別に観てるこっちも「どうでもいい」。
 一匹だと思っていたワニをなんとか倒して、ワニステーキなどを食っていたら、実は何匹もいて(合計4匹だったかな)、やっつけてもやっつけても次々と出てくるのはちょっと笑ったが、ワニの卵をいくつも手に入れ、保護局に運ぶというラストはパニック物やホラー映画でお約束の「解決したようで実は……」ネタぐらい仕込んでいてくれるかと思ったがそれもなし。だったら、道を去っていく車を延々と捉えるラストカットの意味が分からん。

B00005YWD7.jpg『ヤング・ブラッド』(2001) THE MUSKETEER 105分 アメリカ

監督:ピーター・ハイアムズ アクション監督:熊欣欣(ション・シンシン) 製作:ルディ・コーエン、モシュ・ディアマント 製作総指揮:マーク・ダモン、フランク・ヒュブナー、スティーヴン・ポール、ロメイン・シュローダー 原作:アレクサンドル・デュマ 脚本:ジーン・クインターノ 撮影:ピーター・ハイアムズ 編集:テリー・ローリングス 音楽:デヴィッド・アーノルド
出演:ジャスティン・チャンバース、カトリーヌ・ドヌーヴ、ミーナ・スヴァーリ、スティーヴン・レイ、ティム・ロス、ニック・モラン、ジャン=ピエール・カスタルディ、スティーヴン・スピアーズ、ダニエル・メズギッシュ

 三銃士物としては一番新しいのがこの作品かと。これまでの『三銃士』とは違う作品を作りたいという意欲はとりあえず伝わっている。
 まず、アクションにこれまで以上に力を入れている点。アクション監督に香港から『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなどに出演しているアクション俳優のション・シンシン(熊欣欣)を起用して香港お得意のワイヤーアクションやアクロバティックなアクションが繰り広げられる。
 ダルタニアンは例によって銃士になるべくガスコーニュからパリへと向かうが、その途中の酒場で悪党どもとの戦いになるが、転がる樽の上に乗ってサーカス芸人状態で剣捌きを振るったり、天井の梁に貼り付いて「お前は忍者か」という戦いを見せてくれる。
 最大の見せ場はラストの倉庫での隻眼の剣士フェブル(ティム・ロス)との戦いだ。ちなみにフェブルはダルタニアンの両親の敵である。
 倉庫にはいくつもの梯子が架けられていてそれを伝ったりクルッと回転したり、壁を蹴って梯子ごと反対側に飛び移ったりとワイヤーアクションと組み合わせて華麗なアクションを披露する。ついには支柱に乗った梯子の左右にのってギッコンバッタンのシーソー状態での戦いまで。
 でもこの梯子を使っての戦いは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』のラストの戦いのパクリである。ション・シンシンは天地黎明で武術副指導も務めているからまったくのパクリとは言い切れないのだろうが。
 『ヤング・ブラッド』と『天地黎明』の梯子の戦いではやはり『天地黎明』の方が数段上。一つには梯子の材質というのがあるだろう。『天地黎明』の梯子は竹製なのでしなる。それを利用して反動を付けたりしてアクションの幅が広がっている。それに対して『ヤング・ブラッド』の梯子は木製なのでつまりただの棒。この柔軟性の違いは大きい。

 原題が『THE THREE MUSKETEERS』ではなく『THE MUSKETEER』になっているのが象徴しているように、三銃士は脇役でほぼダルタニアンの主演作。アトスの過去など欠片も登場しないし、三銃士の登場シーンでは銃士隊の隊長が逮捕され牢獄に入れられていても助けるでもなく酒を飲んだくれている始末。ダルタニアンの指示に従って動く手下のような感じで情けない。キャストも印象が薄い。そもそも主人公のダルタニアンに魅力がない。良かったのはティム・ロスの悪漢振りぐらいか。カトリーヌ・ドヌーブのフランス王妃は悪くはないが、作品からは浮いている。
 ダルタニアンの恋人の名前がコンスタンスからフランチェスカになっているのも謎。変更する理由が思い浮かばない。

『三銃士』と言えば決めゼリフの「One for All , All for One」(1人はみんなのために、みんなは1人のために)が有名だが、この作品では「我らは銃士、結束は固い」と訳されている。本来の翻訳セリフが有名なのに、何故こんな訳にと思ったら翻訳は戸田奈津子女史。でも、ストーリー展開上から言うと「我らは銃士、結束は固い」の方が意味として通じやすいので意訳の範囲内かと。戸田奈津子女史の翻訳はいろいろ言われがちで知識不足なところをあまり調べないでいい加減な訳をする時があるなど問題もあるが、実力のある人だと思う。

B0017XB580.jpg『四銃士』(1974) THE FOUR MUSKETEERS 107分 イギリス

監督:リチャード・レスター 製作:ピエール・スペングラー、イリヤ・サルキンド 脚本:ジョージ・マクドナルド・フレイザー 撮影:デヴィッド・ワトキン 音楽:ラロ・シフリン
出演:オリヴァー・リード、リチャード・チェンバレン、フランク・フィンレイ、マイケル・ヨーク、ラクエル・ウェルチ、フェイ・ダナウェイ、チャールトン・ヘストン、ジャン=ピエール・カッセル、クリストファー・リー、シビル・ダニング

 前作『三銃士』と同時に撮影されたのでキャスト・スタッフともほぼ同じメンツ。何故か音楽だけミシェル・ルグランからラロ・シフリンに変更になっている。ラロ・シフリンは好きだが、このシリーズに関してはミシェル・ルグランの楽曲の方が合っていた。
 ストーリーはそのまんま続き。念願かなってダルタニアンは銃士となり、アトス、アラミス、ポルトスの三銃士と合わせて四銃士となる。愛人のコンスタンスとの仲も良好で人生を満喫するダルタニアンだが、リシュリュー枢機卿の陰謀が再び襲いかかる。
 前半は軽快なテンポで物語は進む。凍った池(川?)の上でダルタニアンがロシュフォールとその部下たちとつるつる滑って転んだりの戦いはほとんどコント。氷に穴が開いて水にはまりこみ困った顔のロシュフォール(クリストファー・リー)なんてのはなかなかお目にかかれない。
 四銃士だけの内緒話をするために、フランス軍と解放軍が戦う前線で互いの中央にある無人地帯の城壁に「ちょっとあそこで朝食を取ってくる」とでかけ、大砲の弾丸が飛び交う中、本当に食事をしながらついでに城壁を攻めてくる敵をやっつける。前作では意外に活躍シーンがなかったアトス、アラミス、ポルトスの三人も今作では剣劇などで存分に腕を振るう。
 四銃士の主人公は、血気盛んで熱血漢で惚れっぽいダルタニアン、何か過去がありげでニヒルな酒好きのアトス、聖職者を目指していて銃士は仮の姿と言いながら女好きのアラミス、そして派手好きでホラ話が得意なポルトスとそれぞれに魅力的なキャラクターがきっちり書き分けられていて、それぞれの個性が互いに引き立て合っている。
 今となってはありきたりなキャラ付けかもしれないが、アレクサンドル・デュマが『三銃士』を書いたのは1800年代前半から半ば頃だから、現在作られている作品がその影響を受けていて当たり前に見えるのかもしれない。

 後半にはいると物語はかなりシリアスになってくる。以下、大いにネタバレを含む。これ書いとかないと1993年版の『三銃士』に繋げられないんだよね。

 コンスタンスは一度は毒婦ミレディーによって誘拐されるが、四銃士の活躍で救出され修道院に匿われる。しかし、その居場所を知ったミレディーの手にかかりコンスタンスは命を落とす。
 コンスタンスの死を知り怒りに狂ったダルタニアンはロシュフォールと対決し、激しい戦いの後ついにロシュフォールを倒す。修道院の聖堂の中で繰り広げられるこの戦いはアクションの激しさと長目の時間でシリーズ最大の見せ場。『スター・ウォーズ』でクリストファー・リーが演じたドゥークー伯爵の戦いはスタントマンが演じた物にクリストファー・リーの顔を合成したと聞いたことがあるが(真偽は不明)、『四銃士』ではクリストファー・リー本人が実際に剣を振るって戦っている。クリストファー・リーは1922年生まれだから撮影当時はなんと50過ぎ。だが、その動きの華麗さは年齢を感じさせない。ここで前作のオープニングで父から「ここぞという時にだけ使え」と言われていた必殺の秘技を使うのかと思ったが違った。というか、その秘技は前作でロシュフォール相手に使ってあっさり避けられてたな。
 そしてなんとミレディーの正体は伯爵だったアトスの元妻だった。しかし、狩りの最中に落馬して肩に犯罪者の刻印が押されているのを見つけたアトスがミレディーを絞め殺し、その後爵位を捨てて銃士となったのだ。これでアトスが時に見せる影の意味だったのだ。ところがミレディーは死んではおらず、裏社会をのし上がりリシュリュー枢機卿の手先となったのだ。ミレディーの正体を掴んだ四銃士は彼女を死刑と決め首切り役人に刑を執行させミレディーは最後まで悪女のまま命を落とす。
 こうしてリシュリュー枢機卿の陰謀は四銃士によってまたもや打ち砕かれたのだ。

 『三銃士』の回で書いたがコンスタンスは下宿屋の妻でダルタニアンとは不倫の愛人関係。それなのに真っ昼間の大通りで平気な顔してデートしている。前作では登場した下宿屋のしょぼくれたオヤジは妻を寝とられただけではなく出番まで無し。
 その上、ダルタニアンは正体は知らないとはいえミレディーと寝るし、彼女の侍女とまで寝る始末。いくら若いとはいえなぁ。それで「コンスタンスを愛している」とか言われてももう一つ説得力が......まぁ17世紀フランスが舞台だから現代日本の倫理をあてはめてもしょうがない。

 ちなみにこれから20年後が舞台の『新・三銃士/華麗なる勇者の冒険』(1989)という続編も作られている。監督はもちろんリチャード・レスター。日本では劇場公開されず、ビデオが発売されただけ。DVDにはなっていない。レンタル開始時にさっそく観ましたが相変わらずのリチャード・レスター節。ダルタニアンの召使い(レスターの『HELP!』にも出てた『三・四銃士』と同じ人)が食堂で料理をかっぱらうシーンから始まるんだったかな。昔のことなんで細部は忘れてるが、結構面白かった。世間の評価は低いようだが。

B00009PN0Z.jpg『勇気あるもの』(1994) RENAISSANCE MAN 128分 アメリカ

監督:ペニー・マーシャル 製作:サラ・コレトン、エリオット・アボット、ロバート・グリーンハット 製作総指揮:ペニー・マーシャル、バズ・フェイトシャンズ 脚本:ジム・バーンスタイン 撮影:アダム・グリーンバーグ 音楽:ハンス・ジマー
出演:ダニー・デヴィート、グレゴリー・ハインズ、クリフ・ロバートソン、ジェームズ・レマー、リロ・ブランカトー・Jr、ステイシー・ダッシュ、カディーム・ハーディソン、リチャード・T・ジョーンズ、カリル・ケイン、ピーター・シモンズ、グレッグ・スポーレダー、マーク・ウォールバーグ、アン・キューザック、アラナ・ユーバック

『ビッグ』(1988)からして嫌いなペニー・マーシャルの監督作。例によって都合の良い展開と都合の良い結末。刺激を感じさえない凡作。
 広告代理店を失業して、仕方なく陸軍新兵訓練所で8人の落ちこぼれ兵士に教養を教えることになった主人公(ダニー・デヴィート)が、ふとしたきっかけで彼らにシェークスピアのハムレットを教えることになる。そこからの展開が早い早い。詰め込みすぎなストーリーは考えるよりも先に答えが提示され、落ちこぼれのはずの兵士達はあっと言う間に素直な生徒に変身。トラブルが起きてもダニー・デヴィートが高所訓練所によじ登ることでいとも容易く解決。事はそんなに簡単でも単純でもないだろうに。
 1994年当時は湾岸戦争も終わったばかり。遠く中東まで軍隊を送り、勝ったとはいうものの被害も受けた。何のための戦争なのか、世論にも軍内にも問題意識があっただろう。それに対して、「軍隊最高ー!陸軍最高ー!」と言いたいのが結論。
 ベトナム戦争時には反戦デモに参加していた主人公が軍隊を受け入れるまでの話し。

 そんな映画をなんとか見られるようにしてくれているのが俳優達。落ちこぼれ兵士はデビュー当時のマーク・ウォールバーグを始めとしてそれぞれに個性があるし、グレゴリー・ハインズの鬼教官やクリフ・ロバートソンの軍の偉いさん、アン・キューザックなどの脇役が支えてくれる。クリフ・ロバートソンとアン・キューザックの出番はほとんどないが、印象は強い。
 単純な鬼教官ではなく、おそらく何かしら背負っていることを感じさせるグレゴリー・ハインズに必要以上のことを語らせなかったのは正解。仮にベトナム戦争参戦時の悲惨な過去などを話し始めたらかなりうんざりしたことだろう。訓練時に丸太を飛び越える模範を示すところでは名タップダンサーらしいさすがの身の軽さも見せてくれる。
 高所訓練所の20メートルはありそうな壁面から、ダニー・デヴィートがロープ降下するシーンでは、引きの画になってスタントマンが演じるところになるととたんに足が長くなり等身が長くなる。ダニー・デヴィートのような体型のスタントマンはいないだろうから仕方ない。

B000SKJ0BW.jpg『恐喝(ゆすり)』(1929) BLACKMAIL 82分 イギリス

監督:アルフレッド・ヒッチコック 製作総指揮:ジョン・マクスウェル 脚本:ベン・レヴィ 撮影:ジャック・コックス 音楽:キャンベル・コネリー
出演:アニー・オンドラ、サラ・オールグッド、チャールズ・ペイトン、ジョン・ロングデン、ドナルド・カルスロップ、シリル・リチャード

 ヒッチコック初のトーキー作品にして、イギリス初のトーキー。トーキーというのは声や音が入っている物で、サイレントの対義語だな。
 撮影開始時はサイレントで撮っていたが、途中からトーキーを導入したらしい。どのような順番で撮影されたかは知らないが、冒頭のある男が逮捕されるシーンは明らかにサイレントで撮られている。

 刑事を恋人に持つ女性が、遊び心から画家の家に遊びに行く。ところが、画家の目当ては彼女の肉体で、強引に迫ってきた画家を、彼女はナイフで刺し殺す。
 人目を避けて画家のアパートから逃げ出した彼女だが、一人の悪漢がそれを見ていたばかりに、彼女と刑事はゆすりられることになる。

 主人公の実家は雑貨屋を営んでいて、そこへ買い物に来たオバさんが「ナイフ事件知ってる。まったくナイフで刺すなんてねぇ。イギリス人だから殴り殺すならば分かるけど、ナイフで刺すなんて理解できないわ」とナイフを連発する。その度に、ドキッと怯える主人公。すでにトーキーを使いこなしている。
 建物最上階から吹き抜けの階段を、見下ろしたヒッチコック的カットも登場する。

 殺人の起きた晩にアパートの近くを怪しい人物がうろついていたという目撃証言が上がるが、その人相書きはゆすりの悪漢そのもの。
 そして、悪漢は逮捕されるがパトカーから抜け出して、大英博物館に逃げ込む。
 ちょうどそのころ、良心の呵責に耐えられなくなった主人公は、自首するために警察を訪れる。
 そして、ラストは悪漢が大英博物館で逃げ回ったあげくに屋根から落ちて死亡し、主人公の告白はどさくさで無視されてしまうという灰色決着。

B000E42PXW.jpg『ヤング・フランケンシュタイン』(1974) YOUNG FRANKENSTEIN 107分 アメリカ

監督:メル・ブルックス 製作:マイケル・グラスコフ 脚本:ジーン・ワイルダー、メル・ブルックス 撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド メイクアップ:ウィリアム・タトル 音楽:ジョン・モリス
出演:ジーン・ワイルダー、ピーター・ボイル、マーティ・フェルドマン、マデリーン・カーン、クロリス・リーチマン、ジーン・ハックマン、テリー・ガー

 メル・ブルックスとジーン・ワイルダーによるボリス・カーロフ主演の『フランケンシュタイン』(1931)のパロディ・オマージュ映画。ちゃんとモノクロ映画として撮っているところがうれしい。
『プロデューサーズ』との間には『メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦』(1970)という作品があるのだが、日本未公開。ビデオソフト化はされたので20年ほど前に観ているのだが、憶えていないので飛ばす。
 ボリス・カーロフ主演版と書いたのは、メアリー・シェリーによる原作とはかなりかけ離れているから。原作本は原文も翻訳も古くて読みにくいので、ロバート・デ・ニーロ主演、ケネス・ブラナー監督による『フランケンシュタイン』(1994)を観ると手っ取り早くていいかもしれない。

 主人公はフランケンシュタイン博士の孫(ジーン・ワイルダー)だ。アメリカで外科の教授として教鞭を執っていた彼の元を、ご先祖様からの文書を持った弁護士が訪れる。
 そして、トランシルバニアに渡った彼は、やぶにらみの召使いアイゴール(マーティ・フェルドマン)が操る馬車によってフランケンシュタイン城に到着した彼は、隠された実験室と、死体再生の研究書を見つけ、禁断の実験に手をつける。

 おなじみのセリフ「Alive!It's Alive」も登場し、基本的なストーリーは『フランケンシュタイン』(1931)に則りながら、細かいギャグを交えつつ展開していく。表で待っていた警官の帽子にダーツの矢が刺さっているギャグとかがお気に入り。
 コメディ映画として作られいるので死人も出ず、ホラー映画が苦手な人でも大丈夫。あー、でも『フランケンシュタイン』(1931)を観ていないと面白さは半減なので、出来ればそちらと続編の『フランケンシュタインの花嫁』は先に観ておいた方がいいだろう。厳密にはホラー映画ではなく怪奇映画だろうし。

 途中で、ジーン・ワイルダーが歌と踊り、そしてタップを披露するシーンがあるが、これがばっちり決まっている。
 コメディアンとしての側面が語られることが多いジーン・ワイルダーだが、ブロードウェイ出身だけあって、このぐらいはお手の物だと思われる。
 俳優の能力として求められる物が、日本と比べて格段に高いのだろう。ここら辺にアメリカショービジネスの奥深さを感じる。

 メル・ブルックス作品の中でも評価は高めなようだ。
「メル・ブルックス本人が出演している作品は、くだらないし、つまらないから嫌い」という声もあるようなので、本人未出演というのもポイントになっているのかもしれない。
 だが、オレはメル・ブルックス出演で、タイトルが『メル・ブルックスのなんとか』となっている作品の方が好きだ。くだらないって?そこがいいんじゃないかと強く主張する。

B000CFWORA.jpg『痩せゆく男』(1996) THINNER 92分 アメリカ

監督:トム・ホランド 製作:リチャード・P・ルビンスタイン、ミッチェル・ゲイリン 原作:リチャード・バックマン(スティーヴン・キング) 脚本:マイケル・マクダウェル、トム・ホランド 撮影:キース・ヴァン・オーストラム 特殊メイク:グレッグ・キャノン、ボブ・レイデン 美術:ローレンス・ベネット 衣裳:ハ・ニュイエン 編集:マーク・ローブ 音楽:ダニエル・リット
出演:ロバート・ジョン・バーク、ジョー・マンテーニャ、カリ・ウーラー、ルシンダ・ジェニー、マイケル・コンスタンティン、ジョー・レンツ、スティーヴン・キング

 スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で出版した『痩せゆく男』(文春文庫刊)の映画化。
 リチャード・バックマンという仮の名を使っていた理由は、当時のアメリカでは「作家たる者、1年に1冊以上本を出すと軽く見られる」という不文律があり、書いたはいいが出版できない原稿を埋もれさせるのが残念だったから。キングにとって小説を書くのは呼吸をするのと同じようなものだろうからな。
 逆に言えば流行作家ならば1年1冊で充分な収入があったということでもある。ひたすら書いて書いて書き続けないと出版界から消え去ってしまう日本とは対照的だ。『羊たちの沈黙』のトマス・ハリスなんて昔からいるのに4作しか出していない。

 130kgを超える肥満体の弁護士ビリーは、ある日誤ってジプシーの老婆を自動車で轢き殺してしまう。しかし、狭い田舎町でツーカーの仲だった判事や警察署長はうまくごまかしてビリーを無罪にしてしまう。
 ご機嫌のビリーをその老婆の父で100歳を越えるジプシーの長老が指で腹を触りながらこうささやく。
「痩せていく」と。
 次の日から、いくらダイエットを試みても一向に減らなかった体重と贅肉がみるみる減り始めた。やったダイエットの効果が出たと喜んだのはつかの間、体重は異様に減り続ける一方で、ダイエットを止めて1日1万2000キロカロリーの過食をしても減っていく。
 判事と警察署長は悲惨な死を遂げ、これはジプシーの呪いだと気づいたビリーは長老の元へ謝罪に訪れるが、あえなく拒絶される。

 傲慢な白人と迫害されるジプシーという構図ではあるが、ジプシー側もそうそうお人好しの憐れむべき者ではない。一度かけた呪いは解くことは出来ず、別の者に移すしか手がない。結局のところ双方は別の世界に生きている存在で、分かり合えることも交わることもないのだ。
 ラストの残酷さと主人公の狂気は見物で、ハッピーエンドを期待していた観客は大きく裏切られることとなる。

 最初は特殊メイクで巨体を揺らしていたビリーを演ずるのはロバート・ジョン・バーク。最初は分からなかったが、痩せていくとどこかで見た顔だった。そうだ、『ロボコップ3』(1992)の2代目ロボコップではないか。終盤ではイカれた目つきで迫力のある演技を見せてくれる。ちなみに、DVDの日本語吹き替はDVD版『ダイ・ハード』のジョン・マクレーンと同じ樋浦努氏である。ジプシーの長老に許してもらえなかったら愛銃M-92Fを抜いてジプシー軍団と対決しそうな印象でしばし戸惑う。
 スティーヴン・キング自身は薬局の店員役で登場。度の強そうな眼鏡をかけてうろうろしている。

 監督のトム・ホランドは『フライトナイト』や『チャイルド・プレイ』などなかなか面白い映画を撮っている人で、キング作品では『ランゴリアーズ』を手がけている。ウーピー・ゴールドバーグとサム・エリオットのラブシーンという通好み(?)な物が観られるアクション映画の佳作『危険な天使』もこの人だ。

 この呪い、1週間限定でオレにもかけてくれんかな?・・・っていかんな、それではダイエットダイエットと騒ぎ立てる人々を面白いなと題材にしたキングに笑われてしまう。よーし、納豆食おう、っておい。

B000G7PRX2.jpg『遊星からの物体X』(1982) THE THING 109分 アメリカ

監督:ジョン・カーペンター 製作:デヴィッド・フォスター、ローレンス・ターマン、 ラリー・フランコ 原作:ジョン・W・キャンベル・Jr 脚本:ビル・ランカスター 撮影:ディーン・カンディ 特撮:アルバート・ホイットロック 特殊効果:ロブ・ボッティン 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ダイサート、ドナルド・モファット、T・K・カーター、デヴィッド・クレノン、キース・デヴィッド、チャールズ・ハラハン、ピーター・マローニー、リチャード・メイサー、ジョエル・ポリス、トーマス・G・ウェイツ、ノーバート・ウェイサー、ラリー・フランコ

 雪原の上を一機のヘリコプターが危険なまでの低空飛行をしている。
 その下を走っているのは一匹のハスキー犬。そしてヘリコプターの乗員はライフルでそのハスキー犬を半ば乱射状態で狙い撃っている。
 たかが犬に何故そこまで必死になっているのか。それはその犬がアメリカ南極越冬基地に逃げ込んだ後で次第に明らかになってくる。

 オレが初めて映画館で観たジョン・カーペンター作品。いきなりこんな物を観せられた日には夢にも見ますわ。いや、観せられたというか観に行ったんだけど。
 おそらくもっとも有名なカーペンター作品なので観た人も多いと思うが、他の生物を乗っ取ってしまう「THE THING(物体X)」が本性を現したときのSFXの怖ろしいこと。
 変形前の犬や人間の印象が微妙に残っているのがまた気味が悪い。
 と怖がっていたのも昔の話で、今では大笑いしながら観ているのだから困ったものだ。頭にカニ状の足が生えてカサカサと逃げていくシーンは最高。
 逆に、物体Xに乗っ取られていないかをテストするために血を採るシーンで、メスで指の先を切るシーンでゾッとしていたりする。物体Xに出会う機会はまずないだろうが、怪我をすることはあるだろうしな。

 南極の長い長い冬に入り、無線やヘリコプター、雪上車は錯乱した隊員によって破壊されてしまった。
 隊員の誰かが物体Xに乗っ取られている可能性がある。それは一人なのか二人なのか。そして一体誰なのか。閉鎖空間が疑心暗鬼で満たされていき、パニックにおちいる者も出てくる。
 この辺りの心理描写があまり深く描かれていなくて、多少残念である。
「あいつは乗っ取られている」と密告したり、自分がすでに乗っ取られたと思い込んで自殺するなど極限状態での人間性を出しても良かったのではないだろうか。
 回りの人間のうち誰を信用して良いのか、そういえばこいつの言動がいつもとちょっと違うがひょっとしたら乗っ取られているのではないか。さっきしばらく姿を見なかったが、その間に乗っ取られたのではないか。そういった方向性もあったと思うのだが、カーペンターは前面に出すことは避けたようだ。
 ただし、ラストに生き残った二人の会話シーンからも分かるように裏ではしっかりと描いている。

 音楽がエンニオ・モリコーネなのに、何故だかカーペンター節になっている不思議。
 南極観測基地に、何故だか火炎放射器がいくつもある不思議。
 まぁ、気にするな。

『遊星からの物体X』も再映画化の話が進行中だとか。気になるのは隊員の中に女性を入れてしまうんじゃないかということ。当然、主人公とのロマンスがあって、でも最終的にはヒロインは乗っ取られてしまって・・・頼む、それは止めてくれよ。
 男ばかりの殺伐さが重要なんだから。

B00005L89T.jpg『要塞警察』(1976) ASSAULT ON PRECINCT 13 90分 アメリカ

監督:ジョン・カーペンター 製作:J・S・カプラン 製作総指揮:ジョセフ・カウフマン 脚本:ジョン・カーペンター 撮影:ダグラス・ナップ 美術監督:トミー・ウォーレス 編集:ジョン・T・チャンス(ジョン・カーペンター) 音楽:ジョン・カーペンター
出演:オースティン・ストーカー、ダーウィン・ジョストン、ローリー・ジマー、マーティン・ウェスト、トニー・バートン、ナンシー・ルーミス、キム・リチャーズ、ヘンリー・ブランドン、チャールズ・サイファーズ

 都市開発による移転作業中のため最低限の人員しかいない警察署に中年男性が逃げ込んでくる。
 通りでアイスクリームを買っていた娘がストリートギャングに意味なく殺され、連中の一人を倒したため追われているのだ。
 人気のない街で回りをすっかり敵に囲まれてしまった。電話も使用不可能となり救助を呼ぶことも出来ない。
 必死の抵抗を続ける警官たちは、留置場に収容されていた凶悪犯ナポレオンの手も借りて圧倒的多数の敵を相手に戦いに挑む。

 一言も口をきかず、淡々と迫ってくるストリートギャングが怖ろしい。ハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』に強い影響を受けているという。そこには砦に立てこもってインディアンと戦う西部劇の姿も見て取れる。
 そして個人的には『エイリアン2』などの立てこもりホラーに近い物も感じる。ストリートギャングたちも犯罪者というよりはモンスターに近い。サイレンサーを使った銃で音もなく襲いかかってくる。何が目的なのか、正体は何者なのか、最後まで不明なままだ。
 低予算故に廃ビル一つを舞台に絞り、ラストこそ「えっ、これで終わり」という物足りなさがあるが、前半は緊張感溢れる物語が展開される。
 刑事とナポレオンとの立場を超えた言葉ではなく行動による信頼感が表現されており、アクション映画ファンには嬉しい。

 ジョン・カーペンターにとってはこれが商業映画デビュー作にあたる。脚本もカーペンターということもあり本人の趣味性が強く表れた作品だ。
 立てこもり系の映画はその後いくつも作ることになるし、凶悪犯ナポレオンは『ニューヨーク1997』シリーズのスネーク・プリスケンの原形だろう。
 いや、そもそもカーペンターは自分の趣味に合う作品しか撮っていないのではないだろうか。フィルモグラフィーを見ても、「何で撮ったの?」というのは『透明人間』(1992)ぐらいだ。

『ヤング・アインシュタイン』(1988) YOUNG EINSTEIN 91分 オーストラリア

監督:ヤッホー・シリアス 製作:ワーウィック・ロス、ヤッホー・シリアス 原作:ヤッホー・シリアス 脚本:ヤッホー・シリアス、デヴィッド・ローチ 撮影:ジェフ・ダーリング 音楽:ウィリアム・モツィング、マーティン・アーマイガー、トミー・タイチョ
出演:ヤッホー・シリアス、オディール・ル・クレジオ、ジョン・ハワード、ピー・ウィー・ウィルソン

 偉大なる科学者アルバート・アインシュタインの人生を描いた作品。
なんとアインシュタインがオーストラリアはタスマニア島生まれのタスマニア育ち。どんなアインシュタインだそれは。
アインシュタインが手作りビールを醸造中に誤って小屋ごとドカン!と吹っ飛ぶ。その弾みで彼は新たなビール製造法を思いつく。特許を取るためにさっそくヨーロッパへ向かうが、実はその製造法こそE=mc2を始めとした相対性理論にほかならなかったのだ。
その道中で出会ったキューリー夫人ことマリー・キューリーに恋に落ちる。観たのがずいぶん前なのではっきりと憶えていないのだが、マリー・キューリーは独身という設定だったと思うので正確にはキューリー夫人ではない。それにそれだと不倫になるしな。
その後、悪人の仕掛けた罠にはまって精神病院に入れられたりしながらも、最後はこれまた発明したエレキギターを使って悪人が作り出した原子爆弾の爆発を阻止する大活躍。
「なるほど、アインシュタインはこんな人だったのか」と感心しないように。もちろん大嘘だから。

 『ヤング・アインシュタイン』というタイトルは、やはりメル・ブルックスの『ヤング・フランケンシュタイン』(1974)から思いついたのだろうか?
全編を通してふざけていて、その徹底ぶりが気持ちいい。
監督・脚本・主演を務めるヤッホー・シリアスはなかなかの二枚目。でも演技はバカ。真面目な顔でバカなことばかりやっているのは、昔のジム・キャリーを思わせる。1994年と1999年にも監督・脚本・主演で新作を撮っているようだが日本未公開でビデオ発売のみ。機会がなくてまだ観ていないが相変わらずバカだそうだ。
ヤッホー・シリアスという名前は多分芸名だろう。シリアスという姓は本名の可能性もあるがヤッホーは違うだろ。これが本名だったら親を尊敬する。
ちなみに綴りは「Yahoo Serious」。ヤッホーはヤフー!と同じ綴りだ。yahooにはバカとか田舎者という意味もあるそうだ。オーストラリア英語ではチンピラを意味する俗語だとか。・・・やっぱ芸名だよねぇ・・・

『U-571』

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『U-571』(2000) U-571
監督・脚本:ジョナサン・モストウ 出演:マシュー・マコノヒー/ビル・パクストン/ハーヴェイ・カイテル/ジョン・ボン・ジョヴィ

久々に潜水艦物を観た。『クリムゾンタイド』以来かな。

「潜水艦物っていうほど数あるかね」

えーっと、『レッドオクトーバーを追え!』だろ、『Uボート』だろ、『深く静かに潜航せよ』だろ、『海底2万里』に『海底軍艦』。

「そんなこと言ったら、『緯度0大作戦』とか『原子力潜水艦シービュー号』もありだな」

う?ん、そうだな。実際の潜水艦が出てきた物までにしとこうか。
とにかく、最近の潜水艦物は中が広くて閉塞感や息詰まる雰囲気がなかったけど、Uボートはやっぱり狭くて良い。アメリカの潜水艦のS-33の中にある3段ベットが寝苦しそうだった。ちょっと身体を起こすと頭をぶつけそうだったな。

で、簡単に粗筋を話しておくと、航行不能になったUボートへアメリカ軍がドイツ軍になりすまして近づき、占拠して暗号機“エニグマ”を奪うという作戦を立てる。U-571ってのはそのUボートの船番号。
占拠は上手くいったが、自分たちの潜水艦を破壊されてしまう。そこで故障したUボートを使ってなんとか味方の陣地を目指す。

まず、敵軍の格好をして騙すってのは戦術上ありなのか。条約やなんかで規制されてるんじゃないのか?

「詳しいことは分からないが、どうみたって卑怯だよな」

それに、占拠時にドイツ兵士をほぼ全員撃ち殺してしまうんだが、これの布石として序盤にU-571が投降を希望する連合軍兵を撃ち殺してしまうシーンがある。こんな奴らだから、殺されてもかまわないと観客に感じさせるためだけのシーンだったな。
それでも、爆雷の爆発音が近づいて恐怖に脅えるところや、震度を深く潜って水圧でビスが飛んだり、計器のガラスが砕けたり、浸水してくる恐怖ってのは潜水艦物の醍醐味だ。
まぁ、全体的に大味な作品だと思ったら、製作にディノ・デ・ラウレンティスが絡んでいる。
どーりで。
ハーベイ・カルテルは良かったけどね。
でも、なにしに出てきたんだ、ジョン・ボン・ジョビ。

「最近はすっかり映画俳優だな」

でも、誰がジョン・ボン・ジョビか、最後まで分からなかった。

「それじゃ、ダメだろ」

『ユージュアル・サスペクツ』(1995) 監督:ブライアン・シンガー 出演:ケビン・スペイシー、ガブリエル・バーン

先日、ケビン・スペイシーが寸借詐欺に引っかかり携帯電話を盗まれたというニュースが流れたとき、「あのケビン・“キント”・スペイシーを口先で瞞すなんて、なんて凄腕の詐欺師だろう」と驚いたものだ。日本の「俺だ俺だ」を繰り返すだけの芸のない“おれおれ”詐欺師連中も少しは見習ってほしい。そもそも、詐欺とは入念な下調べと相手を言いくるめる話術・演技力が必要で、暴力や流血に訴えることのない芸術的犯罪である。
結局、そのニュースはベッカムの不倫騒ぎから報道の目をそらすためのジョークだったというオチがついたが。

監督のブライアン・シンガー、脚本のクリストファー・マッカリーの才気みなぎる若手コンビによって、観客のわたしは見事ペテンにかけられてしまった。
作品の内容上、細かなストーリーを述べるのは避けるが、脚本的な面白さだけではない。あまり語られてはいないようだが、一癖も二癖もある悪党どもの犯罪群像としても良く出来ている。そういった点が弱いと「オチはびっくりしたけど、結局それだけ」という『第六感』のような薄っぺらな作品になってしまうところだが、この作品はかなり健闘している。

DVDは「絶賛絶版中!」のようで、中古開封品でも美品は定価の倍の1万円程度で取引されているようだ。
もう、何回も観たしな、再販される前に売っちゃおうかな・・・

『野獣捜査線』(1985)のパンフレット 監督アンドリュー・デイヴィス 出演チャック・ノリス

 わたしがチャック・ノリスファンになったきっかけがこのアクション刑事映画『野獣捜査線』。
 『地獄のヒーロー』は正直ヒゲオヤジがランボーの真似をしているといった感じでピンとこなかったのだが、この作品のあくまでも正義と己を貫くタフガイ刑事にはやられてしまった。
 舞台はシカゴ。麻薬を扱うコロンビアマフィアを追うシカゴ警察特捜班。そのリーダーがチャック・ノリス。老刑事が捜査中に犯した不正に関して審問会で証言したためにチャックは裏切り者として警察内部で孤立していく。だが、そんな逆境を物ともせずチャックはただ黙々と悪を追い続ける。賢しげに正義を口にしたり権力に溺れることなく戦うその姿はなるほど“野獣”だ。
 全体的にガンアクションが多いが、敵の集まる酒場での30対1の格闘アクション。派手な技はないが地道に骨の髄まで痛そうな突きに蹴りがさすがチャンピオンである。演出いかんでもっと見せ場になっていたのだろうが、これが1985年のアメリカ映画での格闘シーンの限界なのだろう。ボクシング的な殴り合いの演出ならばとっくに形が出来ていたが、空手やクンフーなどの動きが速く足技もあるアクションについてはまだ定着しておらず演出方法も模索中だったのだ。
 もちろん、色んな物を積極的に取り入れるハリウッドではその後格闘アクションの分野では飛び抜けた進化をしていた香港映画からキャストやスタッフを引き抜きすでにその弱点を克服してしまっている。自分のところで一から育てるのではなく、すでに技術を持っている者がいるならばそれをヘッドハンティングしてくるというのが実にアメリカ的だ。
 1985年のアメリカ映画なりの空手アクションを手がけた監督のアンドリュー・デイヴィスはその後『刑事ニコ 法の死角』(1988)で合気道アクションに挑戦し、引き続きスティーブン・セガール作品の『沈黙の戦艦』の大ヒットで今では一流監督になってしまった。
 チャック・ノリスと並んでこの映画を支えているのが悪役コロンビアマフィアのボスヘンリー・シルヴァだ。『シャーキーズ・マシーン』(1982)や『パリ警視J』(1984)などの主役を食ってしまう狂人じみた悪役ぶりはここでも健在。特筆すべきは“コロンビア・ネクタイ”だろう。これは制裁の手段で、相手の喉を切ってそこに手を突っ込むと舌を引っ張り出すという荒技だ。切れ目からぶら下がった舌がまるでネクタイみたいなのでコロンビアネクタイ。うん、これでノーネクタイお断りの店でもOK、おしゃれさん。なんてことはないわけで、普通喉を切られた時点で死んでるな。
 そして、ラスト。悪投どもが待ちかまえる倉庫に他の警官の応援がこないまま一人で乗り込んでいくチャック。男だねぇ。いや、正確には一人じゃない。テスト期間中の警察ロボットも一緒だ。(見にくいだろうが写真の左上がそのロボット。人型ではなく自動で動く小型装甲車といったところか)最初は「おいおいロボはないだろロボ」はと思ったが、いったん戦い始めるとこいつがなかなか頼りになる。物騒な昨今、我が家にも一台欲しいところだ。・・・マシンガンやランチャーで撃ち殺しちゃったら過剰防衛かな、やっぱ。

 刑事物好きなら押さえておきたい1本。刑事がたむろっているバーに押し込み強盗が入ってくるシーンは爆笑だ。

『ヤンヤン 夏の想い出』(2000) 監督エドワード・ヤン 台湾映画 (株)ポニーキャニオン

 『ヤンヤン 夏の想い出』の廉価版DVDが出たんで購入。廉価版といっても2,500円なんでちょっと高めだが、エドワード・ヤン作品だと考えると安いなうん。『クーリンチェ少年殺人事件』も出ないかな?。
 プレイヤーにセットするとさっそく再生。路地裏の子供たち。ん?こんなオープニングだったか?って、何でクレジットがハングル文字。っつーか、これ韓国映画の『友へ チング』(2001)じゃねーかっ!
 慌ててディスクを取り出す。レーベル面にはちゃんと「a one & a two[YIYI] (ヤンヤン夏の想い出の原題)A FILM BY EDWARD YANG」と書いてある。ディスクの入れ間違いではないのだ。なんなんですか、これは??

 うむ、きっとあれだな。出荷前のポニーキャニオンの倉庫で作業員がうっかりして『ヤンヤン夏の想い出』と『友へチング』の段ボールを一緒に階段から落としてしまったのだろう。そのときのショックで、パッケージとかレーベルはそのままでディスクのデータだけが入れ替わってしまったに違いない。いわゆる『転校生』現象ってヤツだ。
 これは画期的事件だぞと、とりあえずポニーキャニオンに連絡したら、「単なるプレスミスです。宅配便で正規のディスクを送ります。チングはそのとき宅配便のドライバーに渡してください」ってことだった。なんだ超常現象じゃないのか。いや、ひょっとしてすでに政府機関やメン・イン・ブラックによる情報操作が行われている可能性も否定できないが、ともあれせっかくだから返す前に『チング』を観ちゃおう。

 交換せずに手元に置いておいたら稀少品として値が付いたりしないかな。しないだろうな。

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