『ドク・ハリウッド』 ビバリーヒルズか田舎か

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B000TXY7PW.jpg『ドク・ハリウッド』(1991) DOC HOLLYWOOD 104分 アメリカ WARNER BROS. PICTURES

監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ 製作:スーザン・ソルト、デボラ・D・ジョンソン 製作総指揮:マーク・マーソン 原作:ニール・B・シェルマン 脚本:ジェフリー・プライス、ピーター・S・シーマン、ダニエル・パイン 撮影:マイケル・ケイトン=ジョーンズ、マイケル・チャップマン 音楽:カーター・バーウェル タイトルデザイン:ソウル・バス
出演:マイケル・J・フォックス、ジュリー・ワーナー、ブリジット・フォンダ、ウディ・ハレルソン、バーナード・ヒューズ、デヴィッド・オグデン・スタイアーズ、フランシス・スターンハーゲン、ジョージ・ハミルトン、アイダ・バード、ロバーツ・ブロッサム

 ワシントンDCのワシントン長老教会病院という総合病院で働く外科医のベン(マイケル・J・フォックス)は、麻薬中毒患者などを診るのに飽き飽きしてビバリーヒルズの美容整形外科に転職すべく愛車の56年型ポルシェでカリフォルニアに向かった。
 工事による交通渋滞を脇道に逸れてかわしたのだが、道に迷ってサウスカロライナ州に迷い込んでしまった。グレイディーという小さな田舎町で自動車事故を起こしてして手作りの木の柵を壊してしまう。よりによってその柵を作ったのは裁判長。ベンは罰として32時間の医療奉仕をしなければならなくなり、おまけにこの町の医者になるように請われる。
 当然そんな気はさらさらないベンだが、診療所の美人助手ルー(ジュリー・ワーナー)と出会い、彼女を物にしようと考え始める。ビバリーヒルズに行って美容整形で儲けるという最初の決心が次第にぐらつき始めた。
 しかしある夜、医療奉仕から解放されたベンはポルシェでカリフォルニアへ向かう。その途中で道ばたに止まって往生している車を見つける。中には逆子の妊娠で苦しんでいる妊婦がいた。彼は見事にそれを取り上げた。
 ビバリーヒルズに行って念願の美容整形外科医になったベンだったが・・・・・・

 都会者が田舎町で罰で無料奉仕をさせられて、その間にその町や住民の魅力に気付くという点では昨日紹介した『カーズ』に良く似ている。
 ルーは湖から全裸で登場して、ハンターから鹿を守るためにオシッコを森中にしまくるという前代未聞のヒロインである。なんでも人間の尿の匂いで鹿が寄ってこなくなるそうだ。それに付き合わされてベンもズボンのチャックを上げ下げしながら森中を駆け回る。
 足の指の怪我を治してやった男からお礼でブタをもらったり、3人の老女がご飯を作ってくれたりと正に田舎暮らし。ちょっとした噂もあっと言う間に町中に広まってしまう。ベンが町長と一週間でルーを落とせるかという食堂のテーブルでした10ドルの賭けもいつの間にかルー本人の耳に入っている。
 グレイディー名物カボチャ祭りではベンとルーが急接近し、ダンスをしたりボートで湖に乗り出して花火を見たりする。それまではニコニコしてばかりだった町長が真面目な顔で、「この町は良いだろう。鏡を見てみたまえ、満足している自分の顔が見えるはずだ。町に残って医者を続けてくれないか」と懇願される。
 お金が幸せか。成功が幸せか。真剣に考え始めるベン。しかし、やはりビバリーヒルズに向かってしまう。逆子を取り上げた時にポルシェにトラックがぶつかりポルシェは大破してしまう。ポルシェを見て、「ま、なんとかなるだろ」という自動車整備工場の二人組が笑える。最初にポルシェを修理した時には部品が入った箱をベンに渡して、「何故か余っちまったんだ」だって。
 ベンが病院から出入りする度にタイムカードをカチャンと鳴らす無愛想な看護婦がベンのためにベッドを用意しているのは、ちょっと感動してしまった。最初は手術台の上に寝かせていたのに。
 病院には年老いた医師がいて、もはや常勤ではないのだが、ベンが心臓に欠陥があると判断して大病院で手術をと焦った子供を、胸焼けの薬の飲ませ過ぎと父の噛み煙草を食べただろうと診察してコーラ一缶で治療してしまう。ベンは自分の腕に過信しすぎていたことを思い知る。
 ベンは生まれついてのワシントンっ子ではなくて人口2,000人ちょっとの田舎町の出身だった。だからこそ大都会に固執していたとも言える。
 壊れてしまったポルシェではビバリーヒルズまで行けない。そこで町民たちがカンパしてロサンゼルスまでの飛行機切符をプレゼントしてくれた。病院前でベンを見送り送り出す住民たち。
 ラストはご想像の通りだが、キレイに決まって爽快感がある。
 ウディ・ハレルソンと田舎を抜け出して大都会へ出たがっているジェーン・フォンダも面白いキャラクターだ。
 オレも田舎育ちで一度は東京へ出て、また田舎へ戻った。田舎の方がよいとまでは思わないが、大都会には大都会の良さが、田舎には田舎の良さがあると思う。ベンは田舎町の住人に魅了されたが、実際に住んでみると田舎の人間には底意地の悪さ、排他意識、他人の迷惑を意識しないなどなど色々と問題がある。
 オレは田舎の人間は純朴で素直だなんて嘘だと思っている。彼らはかなりこすっからい。もちろん良い面もあるのだが、長年そこに住まないと仲間になれないしその良さは伝わってこない。アメリカの南部の田舎は違うのかな。いやいや南部と言えば同族意識の強いことで有名。ベンが後悔しないことを祈る。
 でも映画だからこれでいいのだ。ベンはルーとその娘と一緒に幸せになった。それでいいのだ。
 それにしてもずっと田舎の医者だった老医師が名医として有名だったというのは意外。
 なにげにタイトルデザインがソウル・バスだったりする。でも特にどうということはなく平凡だったな。さすがのソウル・バスも老いには勝てないか。
 ちなみにDVDは4:3のスタンダード・サイズ仕様。これにはちょっとがっかり。

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このページは、東森時音が2010年2月 9日 20:14に書いたブログ記事です。

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