2010年1月アーカイブ

B002TUEW80.jpg『F.R.A.T./戦慄の武装警察』(2005) EDISON 99分 アメリカ MILLENNIUM FILMS

監督:デヴィッド・J・バーク 製作:ボアズ・デヴィッドソン、ランドール・エメット、ジョージ・ファーラ、ジョン・トンプソン 製作総指揮:ダニー・ディムボート、アンドレアス・グロッシュ、アヴィ・ラーナー、アンドレアス・シュミット、トレヴァー・ショート 脚本:デヴィッド・J・バーク 撮影:フランシス・ケニー
出演:モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー、ジャスティン・ティンバーレイク、LL・クール・J、ディラン・マクダーモット、ジョン・ハード、ケイリー・エルウィズ、ロゼリン・サンチェス、マルコ・サンチェス、アンドリュー・ジャクソン、パイパー・ペラーボ

 F.R.A.T.(フラット)とはエジソン市警察の緊急突撃チームのことである。
 てっきりアクション映画かと思ったら、オープニングとエンディングに派手だが安っぽい銃撃戦が2回あるだけで、あとはF.R.A.T.の汚職を暴く社会派映画だった。
 なによりキャストが豪華だ。このキャストを揃えるのに力を使い果たしてしまってあとは息切れしている感じがある。

 15年前、エジソンシティは犯罪の巣窟だった。そこで強行に悪に対抗するF.R.A.T.が設立された。そのおかげで犯罪率は激減したが、F.R.A.T.も警察内の悪に変質してしまった。
 F.R.A.T.は犯罪現場から現金や麻薬、武器などを持ち去り不正に資金源にしていた。そのためには犯人の殺害も辞さなかった。
 そのことに気がついた若手新聞記者とF.R.A.T.で唯一まともな警官が手を組んで不正を暴いていく。
 ところが新聞記者と恋人が警告で襲われ重傷を負う。復帰した新聞記者はさらにしつこく事件を追い続ける。ところが証人となるはずの囚人が刑務所内で刺し殺されてしまう。
 果たして、F.R.A.T.の悪事は暴かれるのだろうか。

 モーガン・フリーマンが相変わらずの渋い演技を見せてくれる。浅い映画に深みを持たせてくれている。
 新聞記者の上司なのだが、若くて突っ走る彼を抑え本物の記者魂を教える。今でこそ地方新聞で働いているが(それとも社長?)元はピューリッツァー賞を取った名記者だった。
 新聞記者が正確な情報もなく憶測で記事を書いたことに腹を立てる。記事には裏付けとなる証拠が必要なのだ。
 ケヴィン・スペイシーは調査官。正直、なんかいるなぁといった印象で影が薄い。出番はそれなりにあるのに演出が下手なのだ。もったいないにもほどがある。
 そもそもこの映画、キャラクターの掘り下げが浅く、個性が発揮されていない。役者陣のメンツが揃っているのにもったいないことである。
 ストーリー自体は単純な勧善懲悪物で、悪のF.R.A.T.が滅ぼされて終わり。サスペンスとしては深みがなく面白味に欠ける。警察署内で銃を抜いたF.R.A.T.隊員をすかさず射殺して口封じしてしまうシーンなどはいいのだが、全体的に安易で凡庸である。

B00005R22O.jpg『クライング・ゲーム』(1992) THE CRYING GAME 113分 イギリス MIRAMAX FILMS

監督:ニール・ジョーダン 製作:スティーヴン・ウーリー 製作総指揮:ニック・パウエル 脚本:ニール・ジョーダン 撮影:イアン・ウィルソン 音楽:アン・ダッドリー
出演:スティーヴン・レイ、ミランダ・リチャードソン、フォレスト・ウィッテカー、エイドリアン・ダンバー、ジェイ・デヴィッドソン、ブレッフィニ・マッケンナ

 『俺たちは天使じゃない』(1988)『ブレイブ ワン』『IN DREAMS/殺意の森』などの監督ニール・ジョーダンが故郷イギリスで撮った作品。彼はアイルランド生まれだからかIRAが話に大きく関わってくる。

 IRAがイギリス軍の兵士(フォレスト・ウィッテカー)を誘拐、監禁する。イギリスに拘束されている仲間の解放の引き替え材料として使うためだ。しかし、交渉は上手く行かない。兵士と、その見張りをするファーガス(スティーヴン・レイ)の間に奇妙な友情が芽生え、死を覚悟した兵士はファーガスに自分の恋人に会って、酒場のメトロでマルガリータをおごり愛してると伝えてくれとファーガスに頼む。
 兵士を射殺することになったファーガスだが、撃てずに逃げられてしまう。しかし、道路に飛び出した兵士は皮肉にも軍用トラックに轢かれて死んでしまう。
 IRAのアジトはイギリス軍の強襲を受けて壊滅してしまい、ファーガスは何とか逃げ延び協力者に頼んでロンドンへ渡る。
 ロンドンで美容院の務める恋人ディル(ミランダ・リチャードソン)に会いに行ったファーガスは次第に彼女に惹かれていく。しかし彼女には驚くべき秘密があった。
 IRAアジトから逃げ出したのはファーガスだけではなかった。男女2人も脱出していた。そしてファーガスにディルの命を脅しに使って判事の暗殺を命令する。
 変装のため、ディルの髪の毛を短く切り、クリケットの服を着せるファーガス。
 果たして彼らの運命は如何に。

 この作品は東京時代に確か試写会で観た。
 ディルの秘密にはイスから転げ落ちるほど驚いたが、今観直してもやはり驚く。一度驚いたらそれで終わりなちゃちなネタじゃないのだ。
 まず冒頭の移動遊園地のシーンからしてただならぬ物を感じさせる。
 出番は短いながらフォレスト・ウィッテカーが好演していて、命を奪われるのが確実な兵士の役を時にはびびり時にはふてぶてしく演じている。
 スティーブン・レイはドルーピーを思わせるような顔立ちでこちらも好演。運命に翻弄されるIRAの闘士がディルに出会って次第に惹かれていき、驚きの出来事があってからも愛を持っているのに気付く複雑な役だ。
 ディルが薄暗い酒場で歌う『クライング・ゲーム(涙のゲーム)』を歌うシーンは実に深く妖しく美しい。ファーガスとディルがメトロですぐ近くの席にいるのに一々バーテンを通して会話するシーンも面白い。
 サソリとカエルの寓話も人の性を表していて、結局IRAの闘士だなんだと言っても善人でしかなかったファーガスを象徴している。
 ファーガスとディルの間に芽生えた変わった愛情の物語。ファーガスはディルを愛してしまっただろうが、抱けるのだろうか。抱けない気がする。
 オチも決まっていて、お気に入りの一本。
 DVDの特典ディスクにはもう一つのエンディングが収録されている。スポンサーが安易なハッピーエンドを希望して仕方なく撮ったものだ。雪の中腕を組んで歩く2人。こちらにならなくて本当に良かった。
 主題歌の『クライング・ゲーム』をボーイ・ジョージが歌っているのが意味深である。

511XM361V6L__SL500_AA240_.jpg『サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出』(1981) SOUTHERN COMFORT 106分 アメリカ 20th CENTURY FOX

監督:ウォルター・ヒル 製作:デヴィッド・ガイラー 製作総指揮:ウィリアム・J・イマーマン 脚本:デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル、マイケル・ケーン 撮影:アンドリュー・ラズロ 音楽:ライ・クーダー
出演:キース・キャラダイン、パワーズ・ブース、フレッド・ウォード、ピーター・コヨーテ、ブライオン・ジェームズ、フランクリン・シールズ、T・K・カーター、ルイス・スミス、レス・ラノム、アラン・オートリー、ソニー・ランダム

 まずこのDVD、やたらと画質が悪い。まるでVHSの3倍モードであるかのようだ。
 でも悔しいことに出ているだけで嬉しい。この頃のウォルター・ヒルはほんと最高だった。『ロング・ライダーズ』(1980)と『48時間』(1982)の間に撮られているのだ、この作品は。

 場所はルイジアナ州。湿地帯で軍事訓練を行うルイジアナ州軍のブラボー小隊は行軍中に地図にない湖にぶち当たってしまう。そこで地元住民のケイジャンのカヌーを無断借用して湖を渡り始めた。
 そこへ帰ってきたケイジャン達に馬鹿が空砲のマシンガンを乱射する。ケイジャンはカヌーを盗まれたことと銃撃されたことに腹を立て、指揮官の軍曹(ピーター・コヨーテ)を射殺する。
 こうしてケイジャンに追われることとなったブラボー小隊の恐怖の脱出が始まったのだ。

 最初はケイジャンに強気に出ていて、片腕のケイジャンを人質に取ったり小屋を爆破したりするが、場所は相手のホームグラウンド。次第にブラボー小隊は追い詰められていく。
 罠で殺され、銃撃で殺され、首吊りにして殺される。
 物理的にも精神的にも追い詰められたブラボー小隊は、軍曹代理が無能なこともあって内部でも分裂していく。
 中には精神的に破綻してしまい、自分は神から使わされた復讐の天使だと思い込む者もいる始末だ。
 比較的冷静なキース・キャラダインとパワーズ・ブースだけが生き残るが、救助された場所は皮肉にも最後の戦いを繰り広げたケイジャンの村のすぐ裏の道だった。

 ケイジャンとはルイジアナ州に住むフランス系移民のこと。よって基本的にフランス語しか話さない。主人公達にとっては異人である。
 その異人の暮らす異界で実弾は十数発。あとは空砲で戦わなければならない。絶望的な戦いだ。
 ジョン・ブアマンの『脱出』を思わせる題材でもある。
 フレッド・ウォードなどのむさくるしい男たちが湿地帯を這いずり回るだけなのに、なぜこんなに面白いのだろう。カヌーの上で銃撃されて、パニックに陥った隊員の1人が全てのカヌーをひっくり返してしまい、おかげで無線はおろか地図にコンパスまで失ってしまって自分たちのいる位置すら分からない。当然、どちらに行けば助かるかも分からない。
 軍人と言っても、彼ら州兵は上官を除くと普段は普通の仕事をしている人々。パワーズ・ブースはエンジニアをやっていて、会社の命令で軍事訓練を受けに来たのだ。軍人としてのプロフェッショナルを求めるのが無理というものだろう。
 終盤では平和なケイジャンの村にたどり着き、取りあえず一安心と思いきや追っ手が現れる緩急の効いた演出が見物だ。
 キース・キャラダインとパワーズ・ブースが「結婚して何年だ」、「5年だ」、「別荘なんか持ってないよ」、「なら買ってやる」と野営時に話し合い、最後に必ず生き残ろうと誓い合うシーンが良かった。そしてその後に衝撃のシーンがっっ!!
 この映画が劇場未公開だったとはもったいない。せめてまともなDVDを出してくれ。いやBlu-rayでもいいから。
 ちなみにビデオ化された際のタイトルは『ダーティアーミー/対決!悪魔のカルト集団』だとか。ひどいもんである。ケイジャンをカルト集団扱いしちゃ差別的でマズイだろ。
 それにしてもケイジャンを不気味で怖ろしい連中として描いた内容は、今では差別面からもはや映画化不可能であろう。

B000XII57E.jpg『クン・パオ!燃えよ鉄拳』(2002) KUNG POW: ENTER THE FIST 82分 アメリカ 20th CENTURY FOX

監督:スティーヴ・オーデカーク 製作:ポール・マーシャル、スティーヴ・オーデカーク 脚本:スティーヴ・オーデカーク 撮影:ジョン・J・コナー 音楽:ロバート・フォーク
出演:スティーヴ・オーデカーク、ロン・フェイ、レオ・リー、ジェニファー・タン、ジョン・B・キム

 ジミー・ウォング監督・主演の『ドラゴン修行房』(1976)という作品がある。
 この作品の権利を買い取り、好き放題にいじくりまくったのがこの作品。
 監督・主演は『親指タイタニック』や『ジム・キャリーのエースにおまかせ』などで知られるバカ監督スティーブ・オーデカーク。
『ドラゴン修行房』をブツ切りにして、新作カットを入れ、主演のジミー・ウォングの顔をデジタル合成でスティーブ・オーデカークのそれと入れかえてまったく別のストーリーの映画を作ってしまった。

 香港のある貧家に"選ばれし者"が生まれた。その選ばれし者を始末するためにイテテ師が家を襲い家族を皆殺しにする。
 生まれたばかりの赤ん坊なのに天性のクンフーの達人の選ばれし者だけが戦って生き残る。
 そして逃げ出して断崖絶壁をエイヤッと転がり降りる選ばれし者。途中でオバサンに拾ってもらい、なんて可愛いんでしょと言われ、「じゃあね」とまた断崖絶壁に落とされる選ばれし者。生まれたばかりなのに苦難の連続である。
 そして青年になった選ばれし者は、イテテ師を倒すために旅を続け、鶴拳の大家の元に身を寄せる。そしてそこの女弟子と恋に落ちる。
 そこへ現れたのがイテテ師。今では名前を改め男なのにベティと名乗っている。
 一度はベティと対戦するが、ベティが振り回す鉄の爪にやられてしまう。
 ベティが胸に付けている金属片が彼にパワーを与えていることに気付いた選ばれし者はそれをもぎ取る修行をする。
 ついに技を完成させた選ばれし者は、ベティと再び戦うことになる。
 しかしベティの背後には怖ろしい軍団がいたのであった。

 話にあわせるために違うシーンを同じシーンにまとめていて、登場人物の服の色が変わっているものだから、「俺は魔法が使えるんだ。お前の服を赤にする」でそれまで黒い服を着ていた男の服が赤色に。次いで「黒になれ」で黒い服に変わる。
 選ばれし者にはその印があって、それが舌の先に人間の顔が付いているというよく分からないもの。ベロも出すしウインクもして気色悪いったらない。でもどこか可愛らしい。単なるギャグネタかと思いきやラストでは大活躍。
 空に現れ選ばれし者にお告げを告げる精霊はそれらしいことを言うだけで、実のところ何を言っているのかよく分からない。後になってああそう言う意味かとなるのだが、それでは意味がないんだがなあ。
 用心牛との草原での戦いはマトリックス風味のバレットタイムを駆使してのクンフー戦。牛が雌牛で牛乳を振りかけて攻撃してくるのには笑ってしまった。その乳攻撃をマトリックスのリンボーダンス体勢でかわす。最後には選ばれし者に乳を搾り尽くされてしまいカラッカラになってしまう。
 対決のシーンでは互いの顔へのズームインがしつこく繰り返され、最後には上半身裸の選ばれし者の乳首にズームインして終わる。
 敵の腹を殴ると肉が丸形になってスポーンと抜け穴になってしまう。そこへナレーションが「背骨があるからこうはいかないよね」と冷静なツッコミ。この抜け穴男は後に抜けた肉に鎖を繋いで振り回して武器にして登場。
 空をUFOが飛んでいるシーンがあって、単なるギャグだろうと思ったら、意外にストーリーに繋がっていた。
 とにかくくだらないギャグ満載で、カンフー映画ファンなら笑えること間違いなし。冒涜だなんて怒っちゃダメ。制作者側に愛があるよ、これは。でなきゃそもそもこんなの作ろうとは思わない。
 映画の終わりにどうやってジミー・ウォングとスティーブ・オーデカークの顔をすげ替えたのか特殊撮影の撮影現場があるが、かなり手が込んでいそうだ。作業は大変だったろう。こんなことに全力を尽くすバカ。バカはやはり良い。
 もっとも全ての顔をすげ替えてあるわけではなくて、遠景だったり後ろや斜め後ろぐらいだったらジミー・ウォングの顔をそのまま使っている。
 ベティと倒してめでたしめでたしと思ったら、パリでは大変なことが怒っていた。『クン・パオ2』だと偽予告もうれしい。
 エンド・タイトルが終わった後におまけが付いているので見逃さないこと。
 ところで『クン・パオ』ってどういう意味なんだ?

B002DGTAJQ.jpg『アドレナリン2:ハイ・ボルテージ』(2009) CRANK: HIGH VOLTAGE 96分 アメリカ LIONSGATE、LAKESHORE ENTERTAINMENT

監督:ネヴェルダイン、テイラー 製作:トム・ローゼンバーグ、ゲイリー・ルチェッシ、スキップ・ウィリアムソン、リチャード・ライト 製作総指揮:ネヴェルダイン、テイラー、エリック・リード、デヴィッド・スコット・ルービン、マイケル・パセオネック、ピーター・ブロック、マイケル・デイヴィス 脚本:ネヴェルダイン、テイラー 撮影:ブランドン・トゥロスト プロダクションデザイン:ジェリー・フレミング 衣装デザイン:デイナ・ピンク 編集:フェルナンド・ヴィレナ 音楽:マイク・パットン
出演:ジェイソン・ステイサム、エイミー・スマート、クリフトン・コリンズ・Jr、エフレン・ラミレッツ、バイ・リン、デヴィッド・キャラダイン、ドワイト・ヨーカム、ジュラン・チディ・ヒル、レノ・ウィルソン、キーオニー・ヤング、アート・シュー、ジョセフ・ジュリアン・ソリア、コリー・ハイム、ジェリ・ハリウェル、ビリー・アンガー

 前作のラストから始まるので前作を必ず観ておくこと。他にも前作と繋がっている部分があるし。
 アドレナリンを放出し続けなければ死んでしまうのが前作だったが、今作では高圧電流を浴びないと死んでしまう。
 中国マフィアの100歳になるボスのために手術で心臓を取られてしまい、今では人工心臓が埋まっているのだ。外付けのバッテリーがあるのだが、こいつが壊れてしまったために1時間しか持たない内蔵バッテリーで主人公のチェリオス(ジェイソン・ステイサム)は活動している。
 バッテリーが切れてくると、外部から何らかの方法で充電しなければならない。車のバッテリーブースタースタンガン、車のシガレットライターの充電口、道ばたの高電圧電気ボックス、電柱。
 そして静電気を起こすために恋人のイヴ(エイミー・スマート)との身体をこすりあわせての競馬場での公開エッチ。前作では通りでのエッチだったが、今回はパワーアップしている。
 そして自分の心臓を求めて街を駆けずり回ることになる。
 スタッフが前作以上に悪のりして作っていて、ケツの穴にショットガンを突っ込んだり、前作でチェリオスに銃を突きつけられて以来ノイローゼになっていた看護師が、カウンセリングで自信を取り戻した途端に銃撃戦で飛んできた弾に頭を撃ち抜かれて死んでしまい、カウンセラーはカメラに向かってゲロを吐く、水槽に浮かんだ生きた頭部だけなど散々だ。
 独特の映像感覚も相変わらずで、上空から移動する地点を地図のように捉えたり、字幕スーパーで言葉が飛び交ったりする。
 変電所での戦いは、何故かチェリオスと敵が全長20メートルぐらいに巨大化して怪獣になってしまい、『サンダ対ガイラ』のようにとっくみあいで戦う。チェリオスのドロップキックには笑った。チェリオス怪獣のアゴがやたらに強調されていて笑ってしまった。
 残虐シーンも多く、銃撃戦で身体がボロボロになったり、刃物で肘を切り落としたり、刑罰として両乳首を切り取らせるシーンもあった。日本のヤクザは指を詰めるが、向こうのマフィアは乳首を切り取るのか。
 銃撃戦のシーンはひたすら撃ちまくるだけでちょっと物足りない。何らかの工夫が欲しいところだ。
 下品なシーンが多く、お子様に観せる映画ではない。だが、シャレが分かった大人には存分に楽しめること間違いなしの一本である。
 『死霊の牙』などで一世を風靡した元子役コリー・ハイムが出ていたようだが、どこに出てきたか分からない。
 ジェイソン・ステイサムの男臭さが匂ってくるような作品で、高電圧にビリビリしてしまう。
 ひょっとしたら次回作があるかもという終わり方をして映画はTHE END。

B002YZB1CU.jpg『16ブロック』(2006) 16 BLOCKS 101分 アメリカ MILLENNUM FILMS

監督:リチャード・ドナー 製作:アヴィ・ラーナー、ランドール・エメット、ジム・ヴァン・ウィック、ジョン・トンプソン、アーノルド・リフキン、ブルース・ウィリス 製作総指揮:ダニー・ディムボート、トレヴァー・ショート、ボアズ・デヴィッドソン、ジョージ・ファーラ、ハディール・レーダ、アンドレアス・ティースマイヤー、ジョセフ・ローテンシュレイガー 脚本:リチャード・ウェンク 撮影:グレン・マクファーソン プロダクションデザイン:アーヴ・グレイウォル 衣装デザイン:ヴィッキー・グレイフ 編集:スティーヴ・ミルコヴィッチ 音楽:クラウス・バデルト
出演:ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モース、ジェナ・スターン、ケイシー・サンダー、シルク・コザート、デヴィッド・ザヤス、コンラッド・プラ、ピーター・マクロビー、ロバート・クロヘシー

 アル中ですっかりダメ刑事なジャック(ブルース・ウィリス)に人手不足のため一つの任務が回ってくる。それは黒人囚人のエディ(モス・デフ)を16ブロック先の裁判所まで送るという任務だった。
 アル中のため途中の酒屋の前で車を停めて、酒を買いに来たジャックだがその間にエディは殺人犯に狙われていた。辛うじて殺人者の手から逃れた2人だが、ジャックの目の前に同じ刑事仲間のフランク(デヴィッド・モース)が現れ、エディは殺されなければならないと告げる。

 アル中の警官対普通の警官という意味ではクリント・イーストウッドの『ガントレット』を思い出す。
 特に、ジャックがバスに立てこもって警官隊を相手にするところはそのままだ。
 エディはこれまで犯罪者としての人生を送ってきたが、獄中でケーキ作りに目覚め、出所後はケーキ屋を開店しようというのがユニークでよい。そのケーキ屋がラストにちゃんと繋がっているのも良い。ただし、DVD収録の『もう一つのエンディング』はまったくもって蛇足である。劇場公開版が正式採用になって良かった。
 監督はリチャード・ドナー。もう大御所である。そんな彼が、軽い感じの娯楽作を撮ることの嬉しさよ。リチャード・ドナーはいつまでたってもリチャード・ドナーなのである。
 二日酔いの髪の禿げ上がった胴回りの太いブルース・ウィリスは特殊メイクによるところもあるのであろう。情けない口ひげまで生やしている。
 ジャックがそこまで必死になってエディを守るのが不可解なところもあるが、刑事としての最後の良心なのだろう。
 悪徳警官のデヴィッド・モースが映画全体を締めてくれている。
 傑作だとは思わないが、出演者・演出陣ともに粒ぞろいの佳作である。
 劇中でエディが『遊戯王』の絵柄のケーキを作るんだと言っているので笑ってしまった。おいおい、コナミは著作権にうるさいぞ。それにしても、『遊戯王』はアメリカでも有名なんだ。
 アクションは地味で暗い。マンハッタンの裏路地で繰り広げられるアクションのなので地味なのはしょうがない。作り手はそれを地味な作品であることをはっきりと理解している。

B002P6XVAS.jpg『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』  (1966) THE WAR OF THE GARGANTUAS 88分 日本 東宝

監督:本多猪四郎 製作:田中友幸、角田健一郎 脚本:本多猪四郎、馬淵薫 撮影:小泉一 美術:北猛夫 デザイン:成田亨 編集:藤井良平 音楽:伊福部昭 アクション:開田裕-サンダ 中島春雄-ガイラ 特技・合成:向山宏 特技・撮影:有川貞昌、富岡素敬 特技・操演:中代文雄 特技・美術:井上泰幸 特技監督:円谷英二
出演:ラス・タンブリン、佐原健二、水野久美、田崎潤、中村伸郎、伊藤久哉、田島義文、桐野洋雄、山本廉、岡部正、勝部義夫、伊藤実、岡豊、渋谷英男、橘正晃、小宮康弘、ヘンリー大川、森今日子、沢村いき雄、広瀬正一、伊原徳、堤康久、坂本春哉、津田光男、キップ・ハミルトン、大前亘、古谷敏
声の出演:睦五郎、木下華声

『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965)の続編である。
 何故日本にフランケンシュタインの怪物がいるのかなどは本編では一切説明されていないので、知りたい方はそちらを参照のこと。

 船が大ダコに襲われた。その大ダコの後を追うように、巨大な怪獣が出現。乗組員5人のうち4人までを食ってしまう。クロールしながら乗組員を追ってくる怪獣がまず怖い。この後、大ダコは登場しない。何だったんだアレは。『フランケンシュタイン対地底怪獣』の海外版では向こう受けする大ダコとの対決のシーンがあったと言うからセルフパロディか?
 海の怪獣はフランケンシュタインの怪物サンダの細胞が分裂して生まれたその名もガイラ。サンダは性格が優しく人の言うことを聞くのに対して、ガイラは人を捕まえてムシャムシャと食う。そして衣服などをペッっと吐き出す。怪獣映画だと思って観に行った子供達の心にトラウマを残したという。
 ガイラは羽田空港へ上陸。羽田は一大パニックとなる。この羽田空港のセットは精巧に作られていて特に広さに見応えがある。怪獣というと大体ゆっくりと動くが、比較的小型なガイラは動きが速い。ダッシュでスクリーン目がけて走ってくる。怖い。
 陸上自衛隊がガイラ退治に乗り出すことになる。大型ヘリコプター3機や戦車、特殊車両を貸し出すなど実際の自衛隊は大盤振る舞いだ。
 山に向かったガイラを放電作戦とメーサー光線で良いところまで追い詰めるが、兄弟の危機を感じ取ったサンダが現れガイラを救い出すと山の中に消えてしまう。
 ここまでならば仲の良い兄弟なのだが、ガイラが人を食うと知ったサンダは弟とケンカ別れ。そして一大兄弟ゲンカの場は銀座へと移る。

 この作品はBlu-ray版で観た。自分が生まれる前の映画がこれだけクッキリ高画質で見られるとは思わなかった。光度バランスも取れていて、照明の当たり具合も上手く再現されていて画面に深みを感じる。
 弱点としては、高画質すぎてミニチュアワークの粗が見えてしまうことだ。かなり凝ったミニチュアなのだが、今現在の大人から観るとやっぱりちょっとね。
 それでも、サンダ(だったかな)がへし折る橋がちゃんとコンクリートとアスファルトでえ出来ているように見えるのは見事。実際は石膏や木なんだろうと考えるとすごい職人芸だなと感じさせる。
 円谷英二が特技監督を務めているだけあって特撮のクオリティは高い。お気に入りのメカがメーサー殺獣光線車だが、こいつがメーサー光線を横になぎ払うと、立ち並ぶ木が光線にあわせてなぎ倒されていく。おそらくやってることはミニチュアの木に火薬を仕掛けて順番に爆発させていくなど単純なことなのだろうが、効果としては抜群である。それにしてもメーサー殺獣光線車のデザインは見事。『ウルトラセブン』で有名な成田亨デザインでいいのかな。
 しかし、サンダは山の怪獣なのにガイラは何で海の怪獣になったのか。何で人間を食うようになったのかは不明のままである。
 人を食うに関しては幼少時に人間と触れ合わなかったものだから、単に食料としてしか思っていないのだろう。生きるためには物を食べなければならない。食べられる人間側としてはたまったものではないが、怪獣としての道理は通っている。
 サンダが人間を食べないのは幼少時に水野久美ら京都のフランケンシュタイン研究所の人間と親しくして教育を受けたからだ。サンダの怒りは正当なものだが、それをガイラに分かれというのも無理があるのだろう。
 巨大な海彦と山彦はしょせん相容れない存在だったのだ。そう考えると、怪我をした弟に必死で湖の水をかけてやる光景が悲しくてならない。
 2匹の戦いは人間型であるがゆえに、恐竜型のゴジラなどと比べて遙かにアクションの自由度が高い。終盤の銀座→港での戦いは迫力物である。
 音楽は伊福部昭が担当し存分に伊福部節を聞かせてくれる。特に、山でのガイラとの戦いでかかるマーチは最高の出来だ。
 ラストは唐突に海底火山の噴火が起こって海で繰り広げられる世紀の兄弟ゲンカはなんだかよく訳の分からないまま無理矢理決着が付いてしまう。これもデウス・エクス・マキナと言っていいのだろうか。

B001CSMH2S.jpg『ロンリー・ブラッド』(1985) AT CLOSE RANGE 115分 アメリカ METRO GOLDEN MAYER

監督:ジェームズ・フォーリー 製作:エリオット・ルウィット、ドン・ゲスト 原案:エリオット・ルウィット、ニコラス・カザン 脚本:ニコラス・カザン 撮影:ファン・ルイス・アンシア 音楽:パトリック・レナード
出演:ショーン・ペン、クリストファー・ウォーケン、メアリー・スチュアート・マスターソン、クリストファー・ペン、ミリー・パーキンス、アイリーン・ライアン、アラン・オートリー、キャンディ・クラーク、トレイシー・ウォルター、クリスピン・グローヴァー、キーファー・サザーランド、デヴィッド・ストラザーン

 田舎で貧乏暮らしをしているブラッド(ショーン・ペン)の元に謎の男(クリストファー・ウォーケン)が現れる。
 男の正体はブラッドの実の父親ブラッド・シニア。彼は窃盗団のボスだった。
 父親の影響で窃盗団の一員となったブラッドだが、窃盗団による密告屋の殺害現場を見てから抜けることを考えるようになる。
 恋人のテリーとの逃走資金を稼ぐために、友人達と大規模なトラクター泥棒をやるが、あっさりと警察に捕まってしまう。
 ブラッドを残して他の友人達は保釈になるが、ブラッドは窃盗団との関与を疑われて取り調べのために留置所に残される。
 ブラッドは頑として口を割ろうとしないが、ブラッド・シニアはブラッドの友人達を始末して土に埋め、テリーを暴行する。
 ようやく保釈になって出てきたブラッドはテリーと遠くへ逃げようとするが、窃盗団の連中に拳銃の乱射を食らってしまう。テリーは死に、生き残ったブラッドは父に復讐しようとその家へと足を向ける。

 暗い、暗い話である。これが78年にペンシルバニアで起きた実話ベースだと言うからなお暗い。
 それにしてもこの頃のショーン・ペンは良い。今も良いけど。世をすねた睨みつけるような目つきが強烈だ。なんというか世の中を敵に回してでもいるように攻撃的なのだ。
 対するクリストファー・ウォーケンは口ひげはともかく妙なヘアスタイルなのだが妙にセクシーだ。こちらも目つきが強烈。二人が父子という設定は抜群である。
 この父子の愛憎劇が主題となっており、最初は犯罪者の父に憧れた少年が、犯罪の実体を見てそこから逃れようとするが、自分の息子に歪んだ愛情を持っている父親は逃そうとはしない。
 終盤のテリーと窃盗団から銃で撃たれるシーンは、ブラッド・シニアは知っていたのか、それとも窃盗団が勝手にやったのか。知ってたんだろうな。
 犯罪に手を染めた少年とその恋人ということで最初は『ウィズダム 夢のかけら』や『地獄の逃避行』物かと思っていたが違った。それにしてもテリーは哀れすぎる。不良のブラッドに惚れたばかりに。
 ショーン・ペンの実弟クリストファー・ペンがブラッドの弟役で出ているのには笑ってしまった。似ているな、当たり前か。こちらは弟と言ってもブラッド・シニアとは血が繋がっていない設定。
 他には、ブラッドの友人役で端役だがキーファー・サザーランドも出ているので注目。出番が少ない上ので探すのにちょっと苦労する。
 ラストの大陪審のシーンで、「あなたはブラッド・ジュニアだそうですね。ということはブラッド・シニアもいるのですか」と問われて、躊躇したあげく泣きそうな顔で「父です」と答えるショーン・ペンの演技は鬼気迫る物がある。思わずゾクッとしたね。
 それを冷徹な顔で見守るクリストファー・ウォーケン。こちらもゾクッときた。
 エンディングではマドンナの"Live to tell"が流れて......そういえば1985年はショーン・ペンとマドンナが結婚した年でもある。もうふたりが結婚していたという事実など遠い過去の話だけれど。
 脚本のニコラス・カザンは『エデンの東』などで有名な映画監督のエリア・カザンの息子だとか。なるほどと言った感じだ。

B001NABQ2M.jpg『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009) X-MEN ORIGINS: WOLVERINE 108分 アメリカ 20th CENTURY FOX

監督:ギャヴィン・フッド 製作:ローレン・シュラー・ドナー、ラルフ・ウィンター、ヒュー・ジャックマン、ジョン・パレルモ 製作総指揮:スタン・リー、リチャード・ドナー 脚本:デヴィッド・ベニオフ、スキップ・ウッズ 撮影:ドナルド・M・マカルパイン 特殊メイク:アレック・ギリス、トム・ウッドラフ・Jr プロダクションデザイン:バリー・ロビンソン 衣装デザイン:ルイーズ・ミンゲンバック 編集:ニコラス・デ・トス、ミーガン・ギル 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演: ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、リン・コリンズ、ダニー・ヒューストン、テイラー・キッチュ、ライアン・レイノルズ、ウィル・アイ・アム、ダニエル・ヘニー、ドミニク・モナハン、ケヴィン・デュランド、ジュリア・ブレイク、マックス・カレン、ピーター・オブライエン、アーロン・ジェフリー、アリス・パーキンソン、ティム・ポコック、パトリック・スチュワート

 スピンオフにしてウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)のビギニング物の一本。
 まさかウルヴァリンが南北戦争以前から生きていたとは思わなんだ。
 そして一緒に各種戦争を戦い抜いてきたのは兄のビクター(セイバートゥース)(リーヴ・シュレイバー)。こいつもミュータントで長寿、爪を伸ばして相手を切り刻む山猫のような戦法を採る。
 南北戦争、第一次大戦、第二次大戦、ベトナム戦争、そして彼らの特殊能力が軍の上層部にバレて同じように特殊能力を持ったミュータントを集めたミュータント部隊が米軍内に設立された。
 このころからビクターは凶暴な性格をあらわにするようになっていて、そのためローガン(ウルヴァリン)は袂を分かって、山にこもり製材所で働き、小学校の先生ケイラと愛し合うようになる。
 だがそこへビクターが現れ、ケイラを殺してしまう。ローガンも片手の爪を折られてしまう。あれは基本的に骨なので踏みつけただけで案外簡単に折れてしまうものだったのか。復讐に燃えるローガンの前に軍のストライカー(ダニー・ヒューストン)が現れ、お前に復讐のための武器をやろうと言う。それが例のアダマンチウムの骨格でミュータントとしての再生能力と併せて不死身の肉体を手に入れる。
 しかし、昔のミュータント仲間からストライカーの秘密を知ったローガンは、ある島にある実験施設を強襲するのだった。

 孤高の正義の味方、分かりやすい悪役、個性的な仲間達とアクションの王道を行く作品である。
 ローガンは兄と別れ、愛した女性も殺され、復讐心に燃えるも、その復讐に意味がないことを知ってしまう。まったくもって孤独な男である。
 途中でローガンを助ける老夫婦が出てくるが、彼らは殺して欲しくなかった。息子のジャケットを着て愛車のバイクにのったローガンが立ち去るのを見送らせてやりたかった。
 バイクアクションはかなり派手で仮面ライダー顔負けである。そう言えばローガンも悪の組織に改造されたのだ。「やめろぉストライカー!」
 仲間のミュータントの数はそれなりに出てくるが、あまり活躍しないで消えていってしまうのがもったいない。肌がダイヤのように硬くなる女性など良かったのに。X-MEN正伝のように様々なミュータント同士の戦いが観たかった気もするが、そこはローガンに絞ったということでいいのだろう。
 最後は"島"ことスリーマイル島に隠された軍の秘密実験基地での死闘。「ここは盲点だろ」とか言っていたが、原子力発電所ということもありマスコミの目が光っているのではないだろうか。
 ちなみに目が光ってビームを放つ少年も出てくるがあれはスコット(サイクロプス)か?最終的に原子炉(見せかけだけの張りぼてかも知れない)の一つが壊れて世に言うスリーマイル島原子力発電所事故が発生するが、あれが起きたのは1979年。少年は高校生ぐらいだったからスコットって意外と年食ってるんだ。
 ストライカーは全てのミュータントからDNAを取り出し全ての能力を持ったミュータントを開発中だった。XI(イレブン)と呼ばれるそのミュータントは再生能力、手から刀を出す、テレポート能力、目からビームなどの各種能力を駆使する。
 この最強ミュータントといかにしてウルヴァリンは戦うか。兄であるセイバートゥースと手を組み、各種戦争を生き抜いてきた時のように背中合わせになって戦う。兄弟の絆復活である。原子炉の排気塔の上でスリリングな戦いが繰り広げられる。なにしろ相手は自由にテレポートするし、遠距離からビームを放ってくるから始末が悪い。
 施設に捕らえられていた少年少女は意外な人物が救出する。といってもキャスト欄(クレジットには記載なし)を観れば一目瞭然だが。
 そして正伝でローガンが記憶を無くしている理由付けもちゃんとされている。でも、あれだと自分自身についての記憶だけじゃなくて言葉からなにからすべて記憶喪失になってしまわないのかね。
 悪は滅ぼされ、記憶を失ったローガンはガンビットというトランプやビリヤードのキューを武器にするミュータントに迎えに来られるが、その時、地面に横たわって死んでいる一人の女性を目にする。彼女の手を取るローガンは何かを感じるが何も思い出せない。切ないシーンだ。
 結局、ミュータントという特殊能力を持って生まれてしまったばかりに、失ってばかりの人生を送るローガンである。
 ヒュー・ジャックマンはこのローガンという役がよほどお気に召しているようで、製作にも名前を連ねている。全裸になって牧場を走るし燃えてますな。端から観ていると間抜けだが。
 エンド・タイトルのラストに思わせぶりな映像があるので注目。この映像は次作に続くのか?多分続かないだろうけど。

B002MWR7NM.jpg『ウィッチマウンテン/地図から消された山』(2009) RACE TO WITCH MOUNTAIN 98分 アメリカ ディズニー

監督:アンディ・フィックマン 製作:アンドリュー・ガン 製作総指揮:マリオ・イスコヴィッチ、アン・マリー・サンダーリン 原作:アレグサンダー・ケイ 原案:マット・ロペス 脚本:マット・ロペス、マーク・ボンバック 撮影:グレッグ・ガーディナー プロダクションデザイン:デヴィッド・J・ボンバ 衣装デザイン:ジュヌヴィエーヴ・ティレル 編集:デヴィッド・レニー 音楽:トレヴァー・ラビン 音楽監修:リサ・ブラウン
出演:ドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)、アンナソフィア・ロブ、アレクサンダー・ルドウィグ、カーラ・グギーノ、キアラン・ハインズ、トム・エヴェレット・スコット、クリストファー・マークエット、ゲイリー・マーシャル、ビリー・ブラウン、キム・リチャーズ、アイク・アイゼンマン、トム・ウッドラフ・Jr、ケヴィン・クリスティ

 その昔、TVの洋画劇場で観た『星の国から来た仲間』。超能力を持った孤児たちが実は宇宙人で、最後はUFOが迎えに来るという話だった。懐かしいな、もうほとんど覚えていない。

 そのリメイクがこの作品。といってもストーリーは大幅に書き換えられている。
 ジャンルとしてはファミリームービー。ドンパチがあっても人が死んだ様子がない。列車と小型UFOが激突しても「機関士は無事だった」とちゃんとセリフで説明が入るぐらい。大爆発してるのにタフな機関士だ。
 主人公のジャック・ブルーノ(ドウェイン・ジョンソンこと元ザ・ロック)は昔は悪だったが今は真面目なラスベガスのタクシー運転手。今日も今日と朝からご出勤。ふと気付くといつの間にか後部座席に二人の少年少女が乗っている。兄のセス(アレクサンダー・ルドウィグ)と妹のサラ(アンナソフィア・ロブ)だ。1万5000ドルもの大金を持っているこの兄妹を砂漠の空き家まで連れて行くのが今日の仕事。
 実はその前日、宇宙からUFOが地球に墜落した。それもラスベガス近くに。

 タクシーを使ったカーアクションもそれなりに迫力があるし、それでいて過剰に暴力的ではない。それはやはりディズニー映画だからだろう。
 ウィッチマウンテンは見た目、『未知との遭遇』のデビルズ・タワーで、特殊軍事基地として利用されていて地図に載っていない。そこに政府の手の者によって回収されたUFOを兄妹が母星に帰るために取り返すのが終盤の見せ場となる。
 ウィッチマウンテンの秘密がもっとあれば面白かったのだが、普通に軍事基地。『インデペンデンス・デイ』のエリア51の様な怪しさが欲しかった。
 地球に来て困っている宇宙人を助けるというアイディアの原点は『E.T.』だろう。この場合、助けるのは少年じゃなくてむくつけ男のジャック・ブルーノなわけだけど。
 面白いのが、手詰まりになって困ったジャック・ブルーノが助けを求めるのがUFO EXPOで公演をする女性科学者アレックス・フリードマン博士というところ。最初はからかわれていると思ったアレックス博士が彼らの超能力を見て興奮しまくるところは楽しい。この人、真面目な学会ではもう相手にしてもらえず、大学を三つも追われてそれでもUFO研究を続ける信念の人。サラからワームホールの話しを聞いてこれまた大興奮。
 UFO EXPOはあまり真面目な集会とは言えず、コスプレをしたマニアがわんさかうろついている。ストーム・トルーパー、『スター・ウォーズ』の砂漠族、中にはディズニーの特撮映画ということか『トロン』のコスプレ男までいる。女性のコスプレが少ないのが残念だ。
 食堂で政府の手の者に追い詰められた時に、こっそり天井の扉から逃がしてくれるウエイトレスは良い役、政府の手の者に逆らう保安官も良い役だとおもったら、オリジナル版で妹役を演じたキム・リチャーズとアイク・アイゼンマンだったりとオリジナルに敬意を表しているのも好感を持てる。
 兄妹が危険を冒してまで地球にやってきたのには意味があった。それは地球人類の存亡に関わることだったが、政府の手の者にはそんな理由は通用しなかった。そもそも話すら聞いてくれずに実験体にしようとする。
 政府の手の者は黒いスーツ姿とすっかり定番の格好で、非情な悪役を演じている。実際には自国にUFOが落ちてきたら回収して宇宙人もいればそれも一緒に研究するのが当たり前なのだが、映画では大抵悪役。割の合わない仕事である。

 偶然、兄妹を車に乗せてしまっただけなのに、最後までつきあうジャック・ブルーノはいい男。責任感が強いのだろう。夢は『ブリット』でスティーブ・マックイーンが乗っていた1968年式濃緑のムスタングを真っ当な稼ぎで手に入れること。
 最初に言ったようにファミリームービーなので退屈はしないが、これぞという大きな見せ場は多くない。兄の超能力で弾丸を受け止めるとかそんなぐらい。最初に粗筋を聞いた時はドウェイン・ジョンソンが宇宙人の子供達を助けて、タクシーで突っ走り、時には格闘アクションを繰り広げるハードなSFアクションかと思っていたのでちょっと拍子抜け。
 ラストでジャック・ブルーノが兄妹を狙う宇宙人の暗殺者との戦いになるが、さすがに手も足も出ない。
 エンド・タイトルでのちょっとしたお遊びも面白い。
 それまで宇宙人のためあまり感情を表さなかったアンナソフィア・ロブが人間らしい顔つきになるラストにはちょっとぐっとくる。というかアンナソフィア・ロブ可愛い。

B002SXKN72.jpg『トランスポーター3 アンリミテッド』(2008) TRANSPORTER 3 103分 フランス EUROPA CORP

監督:オリヴィエ・メガトン 製作:リュック・ベッソン、スティーヴ・チャスマン キャラクター創造:リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン 脚本:リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン 撮影:ジョヴァンニ・フィオーレ・コルテラッチ プロダクションデザイン:パトリック・デュラン 衣装デザイン:オリヴィエ・ベリオ 編集:カミーユ・ドゥラマーレ、カルロ・リッツォ 音楽:アレクサンドル・アザリア アクションコレオグラファー:コリー・ユン
出演:ジェイソン・ステイサム、ナタリア・ルダコーワ、フランソワ・ベルレアン、ロバート・ネッパー、ジェローン・クラッベ、アレックス・コボルド、ヤン・サンベール、エリック・エブアニー、デヴィッド・カンメノ、シルヴィオ・シマック、デヴィッド・アトラッキ、セーム・シュルト

 車から20メートル以上離れたら爆発するブレスレットをはめられてしまったフランク(ジェイソン・ステイサム)は赤い包み2つと赤毛の女を運ぶ仕事を無理矢理引き受けさせられてしまう。
 こうしてカースタントと格闘アクションの旅が始まった。

 赤毛の女がそばかすだらけでブサイク。これがヒロイン役なのと最初は疑問に思っていたが、最後には多少可愛らしく見えてくる。
 格闘シーンで例によって上半身裸になっていくフランクに欲情して、後のシーンで男性ストリップを迫ってくる積極派だ。麻薬はやるしウォッカは飲むしでフランクが惚れるタイプの女性ではないと思うのだが、ラストでは一応くっついている。
 このヒロインがうっとうしいので映画の魅力が半減している感じだ。何ですか、あの首の後ろの『安』のタトゥーは。それとアウディから20メートル以上離れてしまうからといってガソリンスタンドのお店の床でおしっこしちゃいかんだろう。下品だ。それでいて途中でころっと性格が変わってまともな女性になってしまう。どうにも安定感がない。

 多数対フランクの格闘戦はもはやこのシリーズの定番だ。今回もシャツやネクタイを駆使して大勢の敵を倒していく。その際に上半身裸になっていくのはさっきも言った通り。 コリー・ユン振り付けによるアクションはスピード感があってキレがある。それでいてフランク達白人がやっているので重量感もあると言うことなし。

 車から放り出されたフランクが、走っていく愛車アウディから20メートル以上離れないために、街中を走り自転車で突っ走り、建物の中まで自転車で突き抜けていくアイディアは面白い。作業中のオバちゃんたちも机の上を自転車が走っていって大騒ぎだ。
 フランクが車から放り出された理由は、こんな簡単な仕事に君のようなプロを使う必要はなかった。自動車運転免許さえあればいいんだから。とのことなのだが、だったら最初から自分たちで運べば良いではないか。わざわざ外部の者を使う意味がよく分からない。ヒロインは環境大臣の娘で大臣の対する人質なのに、ブレスレットの爆弾を付けてしまったり(まぁ逃げないためなんだろうが、万が一の事故の場合はどうする気だ)、銃を突きつけたりと悪人の行動に一貫性がない。
 環境大臣の娘を人質に取ったのは、産業廃棄物をウクライナに廃棄させるためで、企業が絡んでいる。大臣は信念を取るか、娘を取るか。あの娘だったらそんなにデメリットはないし信念を取った方が政治家として立派だと思うんだがなぁ。やっぱ親心か。
 終盤の走行中の列車の上にアウディで乗ってしまったり、切り離された列車の前の車両にアウディで飛び乗ったりとマンガチックなカーアクションが展開される。
 その後の銃撃戦は良いが、敵ボスキャラのロバート・ネッパーがカット割りがやたらと細かく、早回しまで使っているのが残念である。ロバート・ネッパーがアクションを出来なかったのであろう。
 ジェイソン・ステイサムはジェット・リーに憧れて本気でマーシャルアーツを始めてしまった元スポーツ選手だからアクションはかなりこなせるのだ。
 巨大な男を相手に戦った時、殴っても蹴っても効果がなかったのを、床に穴を開けて膝まで落として乱れ打ちにしてようやく倒し、倒れた大男が床に大穴を開けて倒れたところに赤いバラの花を一輪投げ入れるシーンなど笑ってしまった。
 前二作よりは出来としては落ちるが、カーアクションとマーシャルアーツ満載で、お馴染みのタルコニ警部も良い味を出してくれており、悪役のロバート・ネッパーもウィレム・デフォー風で悪くない。これでヒロインさえ良ければなのだが、はすっぱなのはリック・ベッソンの趣味なのだろう。
 それにしても湖に落ちて水に沈んでも、引き上げればエンジンがかかるアウディ。恐るべし。

B000J6H3S2.jpg『その後の仁義なき戦い』(1979) 128分 日本 東映

監督:工藤栄一 企画:日下部五朗、奈村協 原作(?):飯干晃一 脚本:神波史男、松田寛夫 撮影:中島徹 美術:佐野義和、高橋章 編集:市田勇 音楽:柳ジョージ 助監督:鈴木秀雄
出演:根津甚八、宇崎竜童、松崎しげる、原田美枝子、ガッツ石松、松方弘樹、小池朝雄、成田三樹夫、山城新伍、山崎努、松尾嘉代、小松方正、花紀京、片桐竜次、細川俊之、金子信雄、絵沢萠子、宮内洋、泉谷しげる、松方弘樹、萩原健一

 東映が柳の下の3匹のドジョウ目当てで作った作品。
 監督は深作欣二から工藤栄一へと変わっている。
 3人の若いヤクザのあれこれを描いた作品で、青春ヤクザ物とも言っていいだろう。
 旧シリーズと違い、3人が遊びに行くのがディスコという時点ですでに違う。過去のシリーズだったらキャバレーのはずだ。
 1人にヤクザ松崎しげるがアイドル歌手になってしまうと言うシチュエーションも笑えるが、そこに金目当ての根津甚八が元ヤクザであることをばらさないのを条件に金をゆすりに来るシーンはリアリティがある。実際、歌手が元ヤクザだとばらされたら人気は急降下だろう。
 宇崎竜童は敵対する親分を倒した代わりにあっさりと殺されてしまう。
 そして生き残った根津甚八もらすとではあっさりと殺されてしまう。ヤクザの末端の生涯なんてそんなもんだ。
 かたぎになって(芸能界がかたぎかは別にして)歌を歌い続けた松崎しげるだけが生き残った。
 工藤栄一らしく逆光や濡れた路面などなど独特の映像美が光る。これでカメラが仙元誠三だったら言うことなしなのだが、贅沢は言うまい。
 せっかく金子信雄が出ているのに泣き落とし芸が見られないのがもったいない。
 ヤクザ映画と言うよりも青春映画として優れた一本。

B000J6H3RS.jpg『新仁義なき戦い 組長最後の日』(1976) 91分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗、橋本慶一、奈村協 脚本:高田宏治 撮影:中島徹 美術:雨森義允 編集:市田勇 音楽:津島利章 助監督:野田和男
出演:菅原文太、成田三樹夫、松原智恵子、和田浩治、藤岡琢也、小沢栄太郎、桜木健一、地井武男

『仁義なき戦い』シリーズの8作目にして深作欣二による最終章。
 関西の坂本組と九州の七人会との抗争を描く。
 抗争と言っても坂本組と七人会は本格的な抗争に至ることはなく、小競り合いで終わる。
 その小競り合いの中で野崎(菅原文太)の親分筋に当たる組長が女のマッサージ師に化けたゲイバーのオカマに殺されたことで、野崎の坂本への復讐が始まる。

 ダンプカーまで使った派手なカースタントや、銃撃戦などもこれまでのシリーズと比べると洗練された物になっている。
 逆にそれは、実録物が売りだった『仁義なき戦い』シリーズを否定することにもなっている。
 柳の下のドジョウ目当てで会社から半ば無理矢理撮らされたのではないかと思われる『新仁義なき戦い』シリーズのラストは、実録物の雰囲気を感じさせないヤクザエンターテインメントとなっている。(『仁義なき戦い』がエンターテイメントであるのは別にして)
 実録物という縛りから解き放たれた『新仁義なき戦い』シリーズは娯楽映画という面ではより優れているのかも知れない。
 だが、見るべき俳優が菅原文太と成田三樹夫ぐらいなのは寂しい。二人が顔を揃えるシーンはほとんど無いし。やはり松方弘樹とか北大路欣也、梅宮辰夫、山城新五などなどの豪華キャストでこそ『仁義なき戦い』なのだ。
 藤岡琢也や地井武男と言われても困ってしまうのだ。『渡る世間は鬼ばかり』じゃないんだから。
 野崎の坂本への復讐はラストに遂げられるが、その野崎もチンピラに腹を刺されて虫の息。復讐は復讐を呼ぶ。
 野崎が坂本を撃ち殺した瞬間にはカタルシスがあったが、やはり暴力団なんて碌なモンじゃない。格好つけてもしょせん世間のはみだし者。
 任侠映画のワンパターンを打ち破ったと言われて当時の若者にも人気沸騰だったこのシリーズも、結局ワンパターンの罠にはまってしまった。
 こうして『仁義なき戦い』シリーズは終わった。

B000J6H3RI.jpg『新仁義なき戦い 組長の首』(1975) 94分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗、橋本慶一、奈村協 脚本:佐治乾、田中陽造、高田宏治 撮影:中島徹 美術:鈴木孝俊 編集:堀池幸三 音楽:津島利章 助監督:清水彰
出演:菅原文太、梶芽衣子、成田三樹夫、渡瀬恒彦、西村晃、山崎努、織本順吉、室田日出男、ひし美ゆり子

 飯干晃一の原作とは関係のない、北九州の跡目争いを主題とした映画。
 九州が舞台なので「たい」「ばってん」などの用語が飛び交う。
 菅原文太の役柄は流れ者の黒田。冒頭でいきなり山崎努に代わって敵組長の玉を取り刑務所に7年間入れられてしまう。
 その間に山崎努の覚醒剤中毒になってしまう。冒頭のシーンで覚醒剤をやっている伏線がある。覚醒剤中毒の臨場感があって怖ろしい。覚醒剤止めますか、人間止めますかなのだ。
 その山崎努がヤクザの組長を殺して、そして跡目争いが始まる。
 その中で悪役の成田三樹夫が冷たく非情な次期組長を演じている。
 広島篇と比べると、かなりリアリティが薄まっていて、実録物とはほど遠くなっている。
 そしてラスト、全てが成田三樹夫の組長の首を取ることに向かっていく。
 暴力シーンは少なく、これまでになかったカーチェイスがあったりする。これまでのファンは違和感を覚えることだろう。
 キャストも豪華だが、前作までと比べると遙かに見劣りがする。そろそろ息切れがしてきた感じのする一本。

B000J6H3R8.jpg『新仁義なき戦い』(1974) 98分 日本 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:神波史男、荒井美三雄 撮影:吉田貞次 美術:雨森義充 編集:宮本信太郎 音楽:津島利章 助監督:藤原敏之
出演:菅原文太、金子信雄、中谷一郎、田中邦衛、宍戸錠、八名信夫、睦五郎、佐藤京一、白川浩一郎、松本泰郎、誠直也、渡瀬恒彦、司裕介、奈辺悟、広瀬義宣、安藤昇、守田学哉、内田朝雄、名和宏、秋山勝俊、汐路章、室田日出男、松方弘樹、西田良、志賀勝、川谷拓三、成瀬正孝、片桐竜次、鈴木康広、高並功、中原早苗、松尾和子、池玲子、橘真紀、小泉洋子、中村錦司、山城新伍、宮城幸生、畑中伶一、若山富三郎

 この作品は第一部の主人公広能(菅原文太)が刑務所に入所中に起きた第一次広島抗争について描かれている。第一部はその後に起きた第二次広島抗争が舞台だ。
 ドル箱映画『仁義なき戦い』シリーズをこのまま終わらせるのは惜しいと、会社側が無理矢理深作欣二に撮らせた感もあって、これまでのシリーズと比べるとテンションは低め。それでも並みの映画よりはずっとあるが。
 全体的にどこかで観たシーンの寄せ集めといった感じで、いきなり山守(金子信雄)の三好(菅原文太)への泣き落とし。
 それでダメとなったら夫婦揃っての泣き落とし。

 映画の冒頭での三好はまだ鉄砲玉で殺人を犯して8年の刑を処せられる。
 その間に、山守組は、勢力拡大を図る青木(若山富三郎)一派、山守につく坂上一派(田中邦衛)、中立を守る難波一派(中谷一郎)の三つに大きく分かれていた。
 ところが青木一派が難波を殺害し、さらに勢力を拡大。青木は三好を手の内に入れようと誘うが、三好はそれに乗らずに四国へと旅立つ。
 青木は山守を無理矢理引退させると、実質的ボスになった。
 山守は得意の泣き落としで三好に青木を殺させようとするが失敗。難波一派の残党と坂上が組んで青き殺害計画を立て実行する。しかし、最後にとどめを刺したのは青木一派に襲われ入院していた関(松方弘樹)だった。
 山守が開いた祝賀会の中で、三好に夫婦してすり寄ってきて「ようやってくれた。ようやってくれました」と頬ずりせんばかりの山守を憮然とした顔で無視する三好だった。

 第一部で出演した俳優が大挙して出演しているので、もはや役名と俳優名などメチャメチャである。共通しているのは山守夫妻ぐらいか?覚え直しをしなければならないのでややこしい。
 それでも始まってしまえば思わず興奮してしまう。今、このクラスのキャストを揃えた映画は作れないだろうな。
 最後の最後に自分で落とし前を付ける関。青木に向かって銃を撃つ度に、青木が頭を突っ込んだドラム缶に穴が開いたように見せる細かい演出がこのシリーズでは珍しい。
 第一部とは別の作品として観れば充分に面白い。広能にこだわりすぎるとダメかな。どちらにしろほぼ同じキャラクターとして描かれているんだし。
 ただ、三好が朝鮮人女性を愛人件玉避けとして呉へ連れて行くシーンがあるが、広能だったらこれはやらないのではないだろうか。
 それに冒頭で鉄砲玉をやらされるような人物が妙に重要視されているのは何故なんだろうか。
 ともあれこれまでの作品の中で一番山守の泣き落としが多かった作品。それにころっと引っかかってしまうんだからヤクザは単純だ。
 そのくせ親がどうの兄弟分がどうの杯がどうのとやたらしきたりがややこしい。媒酌人の作法がどうしただのオレだったらとても覚えていられない。
 若山富三郎が堂々としたボスめいた演技を見せてくれる。本当はこいつ以上に山守の方が悪党なのだが、ぎらぎらと油ギッシュで迫力がある。『カポネの舎弟』というシリーズがあるが、たしかに日本のヤクザというよりはギャングである。
 それでいて『子連れ狼』シリーズの拝一刀もやってしまうのだ。

B000J6H3QY.jpg『仁義なき戦い 完結篇』(1974) 98分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:高田宏治 撮影:吉田貞次 美術:鈴木孝俊 衣裳:豊中健 編集:宮本信太郎 音楽:津島利章 疑闘:上野隆三 助監督:皆川隆之
出演:菅原文太、伊吹吾郎、野口貴史、寺田誠、桜木健一、松方弘樹、唐沢民賢、白川浩三郎、小林旭、北大路欣也、西田良、曽根晴美、成瀬正孝、宍戸錠、山田吾一、誠直也、織本順吉、高並功、八名信夫、山城新伍、木谷邦臣、田中邦衛、国一太郎、川谷拓三、金子信雄、岩尾正隆、鈴木康弘、天津敏、内田朝雄、野川由美子、藤浩子、中原早苗、橘麻紀、賀川雪絵

 一作目で単なる気弱なチンピラだった田中邦衛がついに組長にまでのし上がった。でもって射殺される。諸行無常である。
 小林旭が政治結社"天政会"を作る。「日本に永久平和を」などの垂れ幕を掲げているが、何のことはないヤクザの隠れ蓑である。その天政会での勢力合戦がこの作品の主題となっている。若手の幹部北大路欣也がそこで裏をかきコネを使ってのし上がっていく様は才能のある人物を感じさせる。こんな人物がヤクザだというのは実にもったいない。
 菅原文太は前作のラストで刑務所に入ったきり、出てくるのは後半もだいぶ後になってから。刑務所で手記を書いているシーンなどが出てくる。これが後に『仁義なき戦い』の原作となる。
 1973?74の2年間に5本もの本数を作り、しかも力が入った作品群である。日本映画にやみくもなエネルギーがあった時代なのだ。
 笠原和夫脚本は4作目の『頂上作戦』までなので、4で完結。彼にとっては4で完結していたらしく、後を継ぐ高田宏治に資料を全部渡してしまったそうだ。それ故、この作品を番外編と捉える向きもあるようだ。だが、ストーリー的には繋がっており5作で第一部完結を考えて良いだろう。
 千葉真一が演じた大友役を宍戸碇が演じている。なんでも千葉真一のスケジュールが合わなかったそうだが、狂犬千葉真一が任侠宍戸碇に変わってしまっている。宍戸碇ももちろん味があるのだが、やはり大友役は千葉真一に演じて欲しかった。
 出所した菅原文太に小林旭が、「殺した奴はワシらよりも二回りも違うんよ。もうワシらの時代は終わりじゃ」と前作のラストと同じようなことを言う。
 そして昭和20年から始まった菅原文太のヤクザ生活も引退を持って終わるのであった。 本音を言えば菅原文太と金子信雄の対決が観たかった。金子信雄は1年かそこら刑務所に入っただけでほぼ一人勝ちである。
 みっともなく命乞いをする金子信雄に長ドスをすらりと抜いた菅原文太が迫る。そして白刃を振り上げ、「うぎゃあぁぁ」と金子信雄の悲鳴が響き渡る。カタルシスですよカタルシス。そうならないのが『仁義なき戦い』の魅力なんだろうが。
 シリーズを通して、しびれるセリフが飛び交い、このセリフこそ仁義なき戦いの命ですらと思う。それとアクションシーン。
 男たちの裏切りと策謀のドラマはこうして幕を閉じた。だが、まだ暴力団は存在し、善良な一般市民の生活を脅かしている。

B000J6H3QO.jpg『仁義なき戦い 頂上作戦』(1974) 101分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 美術:井川徳道 衣裳:松本俊和 編集:宮本信太郎 音楽:津島利章 疑闘:上野隆三 助監督:土橋亨
出演:菅原文太、梅宮辰夫、黒沢年男、田中邦衛、堀越光恵、木村俊恵、中原早苗、渚まゆみ、金子信雄、小池朝雄、山城新伍、加藤武、夏八木勲、遠藤太津朗、内田朝雄、長谷川明男、小倉一郎、葵三津子、城恵美、八名信夫、汐路章、室田日出男、鈴木瑞穂、野口貴史、小林稔侍、白川浩二郎、有川正治、曽根晴美、中村錦司、芦田鉄雄、誠直也、酒井哲、笹木俊志、小田真士、志賀勝、高月忠、木谷邦臣、松方弘樹、小池朝雄、小林旭

 中盤で菅原文太が逮捕されて退場。後半の実質的主役は小林旭になる。
 触れれば斬れんばかりの鋭さを持った小林旭は実質的主役をきっちりこなしている。
 実話をベースに素人が書いた原作を映画化したものだから、やはりストーリーに難がある。というか事実は小説より奇なり。実話ベースだからこそこれだけ複雑なのだろう。
 明石組と新和会の代理戦争の場となった広島で、警察はメンツをかけて頂上作戦を採る。明石組系の広能組(菅原文太=広能)と打本組(打本=加藤武)、神和会系の山守組(金子信雄)の対立はますます明らかになってきた。他にも細かい組がいくつも出てくるので、その名前とどちら側に付いているかを把握するだけでも面倒だ。
 シリーズ定番と言えば金子信雄の泣き落とし。悪役キャラクターとしては究極の域に達している。奥さんと一緒に仕掛ける泣き落としは見事な芸。シリーズの冒頭から今作のラストで微罪で逮捕されるまでは甘い汁を吸って吸って吸いまくる。一見好々爺が一番質が悪い。
 若者は暴走し、血が流れ命が失われる。
 印象的なエピソードが、組の若いチンピラが上の者にそそのかされて「ここらでお前も男にならんかい」と拳銃を渡され、恩のある松方弘樹を射殺してしまうシーン。その後警察に追われ逮捕されて懲役18年の刑に処される。結局、利用されただけなのである。
 ラストの菅原文太と小林旭の会話は「もうわしらの時代じゃないのかもしれんのお」と一つの時代の変わり目を感じさせる名会話だ。窓の隙間から雪が吹き込んでいるシチュエーションも良い。
 成田三樹夫が前作ラストで堅気になったため登場しないのが残念。キャスト面では悪くはないが一番地味かも知れない。
 それにしても田中邦衛はチンピラから上層部にまで見事のし上がった。最初の頃の情けなさが嘘のようである。
 代理戦争で菅原文太と金子信雄の直接対決が観られると思ったが、みんな警察に逮捕されて決着がついてしまう。これが実録物の限界か。
 このシリーズは今回初めて観るのだが、始めは菅原文太がバッタバッタと斬りまくる映画だと思っていたが、むしろ非暴力主義といってもよく広能組から仕掛けることは少ないし、文太が暴力を振るうシーンはもっと少ない。これも自分が主人公の実録物だからだろう。

B000J6H3QE.jpg『仁義なき戦い 代理戦争』(1973) 102分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 美術:雨森義允 衣裳:豊中健 編集:堀池幸三 音楽:津島利章 疑闘:三好郁夫 助監督:篠塚正秀、土橋亨、斎藤一重
出演:菅原文太、小林旭、渡瀬恒彦、山城新伍、池玲子、堀越光恵、中村英子、金子信雄、木村俊恵、成田三樹夫、加藤武、山本麟一、川谷拓三、北村英三、汐路章、内田朝雄、遠藤辰雄、室田日出男、五十嵐義弘、大前均、野口貴史、大木晤郎、平沢彰、曽根晴美、荒木雅子、丘路千、鈴木康弘、阿波地大輔、宇崎尚韶、成瀬正孝、中村錦司、国一太郎、司裕介、松本泰郎、矢奈木邦二朗、熊谷武、足田泰盛、堀正夫、岩尾正隆、名和宏、山本清、原田君事、木谷邦臣、小田真士、酒井哲、田中邦衛、丹波哲郎、梅宮辰夫

 この作品では菅原文太が全編に登場して主役としてのカリスマを見せている。
 相変わらず登場人物が多くて裏切りに背信、謀略と複雑なストーリーを、ナレーションを多用することによって分かりやすくしている。
 その脚本を書いたのは笠原和夫。名脚本家だけのことはある。
 何人か以前の作品で死んだ役者が別人役で登場している。スター俳優を使いたかったのだろう。そのいい加減さが勢いを感じさせる。
 ひたすらに裏切りと暗殺が繰り広げられる。
 暴力シーンの迫力は相変わらずで、手持ちカメラでぶれまくった映像が迫力を感じさせる。
 暴力シーン自体は前2作とくらべると少し少ないか。
 まだあまり太っていなかった頃の小林旭が渋い演技を見せてくれる。
 丹波哲郎も出演しているが、2枚の写真の中での出演である。実際の姿はスクリーンに映し出されない。
 終盤にはこれまでにない規模の銃撃戦が繰り広げられ、夜の町を破壊が彩る。
 駆け引きの連続で、単なる暴力映画になっていない。誰が誰に付き、誰が誰を裏切るかが見物だ。
 金子信雄のタヌキオヤジ振りも相変わらずで、このオヤジがいなければ広島はもっと平和だったに違いない。
 打本役の加藤武は儲け役。情けないのに狡猾で、飲み会の席で金子信雄にいじられるシーンには笑ってしまう。
 渡瀬恒彦がチンピラから菅原文太の組の組員になり、気の良い若者なのだが、彼もまた裏切りに合い最後には死んでしまう。若者達の命を奪うヤクザ抗争に良い点など一つもない。
 相変わらずエネルギッシュだが、前2作よりも知的側面が高く、複雑に絡み合った人間関係、組織内のパワーバランスなどが強調されている。
 菅原文太の行動一つ取ってもその場の激情ではなく考え抜かれたものとなっている。

B000J6H3Q4.jpg『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973) 100分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 美術:吉村晟 衣裳:松田孝 編集:宮本信太郎 音楽:津島利章 疑闘:上野隆三 助監督:清水彰
出演:菅原文太、千葉真一、梶芽衣子、山城新伍、名和宏、成田三樹夫、前田吟、木村俊恵、加藤嘉、北村英三、汐路章、室田日出男、八名信夫、小松方正、北斗学、宇崎尚韶、大木晤郎、国一太郎、中村錦司、志賀勝、広瀬義宣、野口貴史、白川浩二郎、堀正夫、唐沢民賢、鈴木康弘、西田良、秋山勝俊、川谷拓三、北川俊夫、笹木俊志、木谷邦臣、藤沢徹夫、福本清三、松本泰郎、大谷敬典、宮城幸生、森源太郎、波多野博、酒井哲、矢奈木邦二朗、片桐竜次、金子信雄、遠藤辰雄、小池朝雄、北大路欣也

 この作品の主演は菅原文太ではない。北大路欣也だ。
 ヤクザ=暴力団の組織に組み込まれ、その中で使い捨てにされていく大路欣也の哀れさを表している。
 菅原文太は広島を離れ呉で小さな組をやっていることが若干描かれるぐらいで、大幅なストーリーに関わる出番はない。
 手持ちカメラによる暴力描写は前作より増えていて、全作の半分ぐらいが闘争シーンに見えるほどだ。
 中でも狂犬・千葉真一の演技はぶっきれていてさすがタランティーノが後に目を付ける俳優だけのことはある。
 北大路欣也は予科練を目指しながら年齢で間に合わず、戦争で死ねなかった人間である。そんな彼が暴力団という組織に加わり、仁義というものを信じながらそれに裏切られ、ついには自殺をするというショッキングな終わり方には驚いた。
 愛人の梶芽衣子の美しさはもちろんのこと、この女性のためならば命を賭けられるという北大路欣也の気持ちも分からないではない。
 バラックの飯屋で無銭飲食をしようとした若者(北大路欣也)が暴力団に入ってのし上がり、ヒットマンとなって殺人を犯し刑務所から愛する女性のために脱獄する。なんとまあドラマではありませんか。
 成田三樹夫の演技の素晴らしさはもちろんのこと、小池朝雄の情けない死に方も良い。
 1作目よりも面白い2作目という意味で珍しい作品です。
 ストーリーは前作と同じく結構複雑。なにより登場人物が多い。丁寧なナレーションがないとついて行けません。それでもついて行かせてしまうだけのエネルギッシュなところがこの作品にはある。
 菅原文太は犬の肉を子分に食わされてしまうシーンが最高。金がないんだね。

B000J6H3PU.jpg『仁義なき戦い』(1973) 99分 日本 東映

監督:深作欣二 企画:俊藤浩滋、日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 美術:鈴木孝俊 衣裳:山崎武 編集:宮本信太郎 音楽:津島利章 疑闘:上野隆三 助監督:清水彰 ナレーション:小池朝雄
出演:菅原文太、松方弘樹、田中邦衛、中村英子、渡瀬恒彦、伊吹吾郎、金子信雄、木村俊恵、川地民夫、渚まゆみ、内田朝雄、三上真一郎、名和宏、中村錦司、曽根晴美、大前均、国一太郎、大木悟郎、志賀勝、唐沢民賢、榊浩子、小林千枝、東竜子、川谷拓三、宮城幸生、山田良樹、疋田泰盛、壬生新太郎、木谷邦臣、松本泰郎、西山清孝、奈辺悟、福本清三、片桐竜次、北川俊夫、梅宮辰夫

 義理と人情が中心だった東映の任侠映画をヤクザ映画に塗り替えてしまった一本。
 裏切りに次ぐ裏切りで意外にストーリーが複雑。というよりも登場人物の数がやたら多い。主要登場人物だけでもかなりの数がいる。
 小池朝雄のナレーションがなければかなり難解な映画になったに違いない。

 ファーストカットは広島に落ちた原爆の爆煙から始まる。
 戦場帰りの菅原文太がヤクザの道に足を踏み入れ、山守組に入り親分の金子信雄の下でのし上がっていく姿を描く。しかし、その先にあったのは裏切りと謀略で、ついに文太の怒りが爆発する。

 ぷわぁぁぁぁん、ぷわぁぁぁぁんのテーマ曲が独特で緊張感を呼び起こしてくれる。
 手持ちカメラを多用したアクションシーンは、アクションと言うには稚拙だがそこがまたリアリティを感じさせてくれて迫力は充分にある。
 オープニングのバラックの闇市はなかなかの出来で戦争を生き延びた人々の猥雑なエネルギーを感じさせる。当時の光景を思わせてくれる。そこで食い詰めた若者達がヤクザになっていく。
 とにかく人が死ぬ。それも闇討ちの様な形で突然撃たれたり刺されたりで、正々堂々とした戦いは存在しない。それがヤクザなのだ。そのシーンにはまぎれもなく痛みが存在する。
 伊吹吾郎が床屋でひげ剃りの最中に射殺されるシーンはハリウッドのギャング映画のオマージュだろう。
 へたをうってしまった文太が指を詰めるシーンで、庭に飛んでいった指を組員達が必死になって探し、ニワトリ小屋の中でニワトリにつつかれているのを見つけるシーンには笑ってしまったが、作品のカラーから言うと浮いている。
 金子信雄の守銭奴振りは悪役として見事に活かされている。親分として信用していると、その子分を平気で裏切る。策略を巡らして殺し合いをさせる。
 世界を釣る男、松方弘樹の熱演も見事だ。迫力があって特に「あんたは御輿やないの」のシーンは迫力満点だ。最後には自分の子供への土産のおもちゃ屋で選んでいるところを銃撃されて死亡する。ヤクザにも人間らしいところがあり、それが弱点となったのだ。
 主演の菅原文太は刑務所に入っているシーンが多くて、意外と出番が少ない。仁義を信じつつも、そんな物はいまのヤクザの世界にはないことに落胆する役割だ。狂言回しに近いのかも知れない。ラストの松方弘樹の葬式へ乗り込んでの乱射シーンは流石にすごみがある。
 殴り込みをしようかと言う時に、女房の腹の中に子供がいることを理由にちゃっかり逃げ出す田中邦衛が情けなくて良い。
 どいつもこいつも個性的で悪党で最高である。でもヤクザは嫌い。
 これだけのキャストを揃えてしまった深作欣二他製作陣の力量には恐れ入る。

B000PJZYSO.jpg『ピッチブラック』(2000) PITCH BLACK 108分 アメリカ UNIVERSAL PICTURES

監督:デヴィッド・トゥーヒー 製作:トム・エンゲルマン 製作総指揮:テッド・フィールド、スコット・クルーフ、アンソニー・ウィンリー 原案:ジム・ウィート、ケン・ウィート 脚本:ジム・ウィート、ケン・ウィート、デヴィッド・トゥーヒー 撮影:デヴィッド・エグビー 音楽:グレーム・レヴェル
出演:ヴィン・ディーゼル、ラダ・ミッチェル、コール・ハウザー、キース・デヴィッド、ルイス・フィッツジェラルド、クローディア・ブラック、リアンナ・グリフィス、ジョン・ムーア、サイモン・バーク

 宇宙船が定期航路を外れ未知の惑星に墜落した。40人の乗員乗客のうち生き残ったのは10名程度。
 その星には3つの太陽があり常に日が沈むことはなかった。しかし22年に一度皆既日食が起こり、星に夜が訪れた。そして、その夜に光を苦手とする肉食獣が飛来して彼らを襲い始めた。
 頼りになるのはただ一人、刑務所の脱獄囚で刑務所内で暗所でも目が見えるように改造されたリディック(ヴィン・ディーゼル)だけだった。

『アライバル 侵略者』など低予算で撮られたSF作品では実力を存分に発揮するデヴィッド・トゥーヒー作品。SFマインドの持ち主だ。
 ちなみにこの作品の続編が『リディック』となるがこちらは変に予算を使えたのとヴィン・ディーゼルが勘違いをしているのでひどい作品だった。やはりデヴィッド・トゥーヒーは低予算に限る。
 2000年の作品なのに宇宙を飛ぶ宇宙船をCGではなく模型で作るなどこだわりが感じられる。まぁ予算の関係かも知れないが。
 暗所でも物が見えるように手術されたため、普段はゴーグル型サングラスをかけているリディックが渋くて格好いい。彼に憧れて坊主頭にしてサングラスをかける少年、実は少女の存在もイカしている。
 ラストでは助かるであろう人物があっさりとモンスターに殺されてしまう非情さにこの作品のテイストが現れている。本来ならばラストで死ぬのはリディックのはずだ。
 時代もあるのだろうが、メッカ巡礼に息子3人を連れて旅行中のイスラム教徒が息子3人があっさりと無残に殺されてしまう哀れさよ。キリスト教徒だったらこうは描かないだろう。
 一人また一人と殺されていって、大体次に殺される人間は分かってしまうのだが、やはりスリリングだ。
 疑問なのが、モンスターの骨格。それによると真っ正面が死角なのだ。肉食獣としてそれはどうよ。リディックと正面に向かい合ってモンスターの振る首の方向へリディックが身をそらすシーンには思わず笑ってしまった。
 そもそも、この星には分かる範囲では生き物はおらず、すべてモンスターに食い尽くされてしまったようである。だったら、こいつら普段は何を食べて生きていんだ。
 共食いをしているシーンもあるが、それで22年は持たんだろう。謎である。まあ、ハードSFではなくスペースオペラが入っているからそれでも良いんだろうが。
 そのモンスターに対抗できるのは唯一光。発光ダイオードから酒での松明まで使って身を守る。次第に乏しくなっていく明かりが人類側の無力さを感じさせる。
 極限状態で、恐怖に駆られて勝手な行動を取り自分が食われるばかりか、他人にも迷惑をかけるキャラが出てくるのはお約束。
 リディックは殺人犯で脱獄犯の凶悪犯のはずなのだがそれを感じさせないのはマイナス。悪のカリスマをもっと感じさせて欲しかった。それとも全て冤罪か正当防衛なのだろうか。
 太陽電池で動くバギーにはなんで充電バッテリーを搭載していなかったんだろうと思ったが、22年に一度以外は常に太陽が出ている星だから良いのか。
 青い太陽の設定なので青のフィルターをかけただけの映像はちょっと安っぽく見えてしまう。終盤は暗闇のシーンばかりなので今度は見にくい。
 それにしてもこの頃のヴィン・ディーゼルは良かった。

B002AYP07C.jpg『サンゲリア』(1979) SANGUELLIA/ZOMBIE 2 91分 イタリア/アメリカ

監督:ルチオ・フルチ 製作:ウーゴ・トゥッチ、ファブリッツィオ・デ・アンジェリス 脚本:エリザ・ブリガンティ 撮影:セルジオ・サルヴァティ 特撮監修:ジャンネット・デ・ロッシ 特殊効果:ジノ・デ・ロッシ 特殊メイク:ジャンネット・デ・ロッシ 音楽:ファビオ・フリッツィ、ジョルジョ・トゥッチ
出演:イアン・マカロック、ティサ・ファロー、リチャード・ジョンソン、オルガ・カルラトス、アウレッタ・ゲイ、アル・クライヴァー、ステファニア・ダマリオ
 
 ニューヨークの港に無人の豪華ヨットが流れ着く。
 ヨットを調べた沿岸警備隊員の1人が、キャビネットに隠れていたゾンビに襲われ、命を落とす。
 主人公の新聞記者ウェスト(イアン・マカロック)はこの事件の取材を命じられ、ヨットの持ち主のアン(ティサ・ファロー)と知り合う。ヨットに忍び込んで調べていた彼らは父親からアンへの手紙を発見する。それはカリブ海の島マツール島で書かれた物だった。真実を知るべくマツール島を目指す2人。
 その頃、検死解剖されることになっている沿岸警備隊員の死体の腕がピクリと動いた。
 2人はマツール島へ送ってもらうべく休暇中のブライアン(アル・クライヴァー)とスーザン(アウレッタ・ゲイ)にマツール島まで船を出してもらうことにする。
 途中でスーザンがスキューバダイビングをするが、その際サメに襲われ船にぶつかりシャフトが曲がってしまう。そして海中でスーザンはゾンビと遭遇し、ゾンビ対サメの死闘が繰り広げられる。
 ようやくたどり着いたマツール島は死の島だった。奇病が流行っており、これに罹ると必ず死んでしまい二日後にはゾンビになって甦り生きている人間を襲うのだ。
 奇病を治療せんと奮闘しているメナード医師(リチャード・ジョンソン)と出会った彼らだが、病気は爆発的に蔓延し、ついに古くから地中に埋められていた死体まで甦って襲ってきた。
 彼らは病院に立てこもりなんとか応戦しようとするが、1人また1人とやられていく。
 ウェストとアン、そしてゾンビになったスーザンに噛まれたブライアンは船で脱出する。
 しかし、ブライアンは死亡してゾンビになってしまう。証拠としてキャビネットの奥にブライアンを閉じこめたウェストとアンだが、ラジオを付けるとニューヨークにゾンビの大群が出現したことを知る。
 果たして人類はどうなってしまうのか。

 ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(1978)のヒット後に柳の下のドジョウを狙って作られた亜流作品の中の一つ。その中ではかなり出来が良い。
 肌がボロボロのゾンビのデザイン、オープニングのヨットで転がり落ちる手首、メナード医師の妻の目を木片が貫く、ゾンビがむさぼり食う臓物、ミミズだらけのゾンビ等々生理的嫌悪感を感じずにはいられない。さすがルチオ・フルチである。
 病気で死んだ場合はゾンビになるのは二日後だが、噛まれて死んだ場合は即ゾンビになってしまう。そしてゾンビに噛まれた場合はその場はしななくても症状が悪化しいずれはゾンビになってしまうというゾンビ映画のお約束を守っている。
 胴体や腹を撃っても無駄で、頭を撃たなければ意味がないのもお約束。
 どうやら場所柄ブードゥー教が絡んでいるようで、現地人たちがならしているとおぼしき太鼓の音が鳴り響く。これが不気味さを引き立てる。
 眼球を貫かれて死んだメナード医師の妻をゾンビ達4人(?)がとりかこんで地獄の饗宴を繰り広げているシーンは阿鼻叫喚ものである。片足を食われ、内臓はホルモン状態。そこからレバーとおぼしきパーツを取り出してむさぼり食うゾンビにはゾッとする。
 ゾンビ対サメという取り合わせはアイディア賞物。サメにしがみつき肉を食らうゾンビと最終的にはゾンビの左腕を食いちぎるサメ。サメの勝ちか。
 南国と言うこともあってかゾンビの腐敗は激しそうである。だから肌はボロボロの肉はそげ落ちたゾンビになってしまうのだろう。映画だから分からないが、きっと臭いがひどいことになっているに違いない。
 ラストの病院での立てこもりはなかなかの迫力で、灯油で火炎瓶を作ってゾンビに投げつける。燃え上がるゾンビと病院は見所である。
 病院の裏から逃げ出した時に、ブライアンはスーザンのゾンビに出くわし、一瞬の隙が出来る。その隙に噛まれてしまうがゾンビになったとはいえ自分の恋人を撃ち殺すことが出来なかったのだろう。オレだったらとっさには撃てない。
 ストーリーはかなりいい加減だが、残酷描写にこの作品の価値がある。パワーは満点だ。奇病の謎も不明のままでブードゥー教との関わりも不明なまま。そもそもそれほど考えていなかったに違いない。
 墓場の地中からゾンビが甦ってくるシーンはマイケル・ジャクソンのプロモーションビデオ『スリラー』の1シーンそっくり。
 出演している女優さんが美人揃いなのも見所。特に看護婦役の女優さんはオレの好み。
しかも内2人は脱いでくれるって言うから嬉しいじゃありませんか。
 男優陣ではメナード医師役のリチャード・ジョンソンの熱演が渋い。(死に方はあんまりだが)

B001CF93J6.jpg『さよなら。いつかわかること』(2007) GRACE IS GONE 85分 アメリカ THE WEINSTEIN COMPANY

監督:ジェームズ・C・ストラウス 製作:ジョン・キューザック、グレイ・ロー、ガルト・ニーダーホッファー、セリーヌ・ラトレイ、ダニエラ・タップリン・ランドバーグ 製作総指揮:ポール・バーンスタイン、リーガン・シルバー、トッド・トレイナ、ジャイ・ステファン 脚本:ジェームズ・C・ストラウス 撮影:ジャン=ルイ・ボンポワン プロダクションデザイン:スーザン・ブロック 衣装デザイン:ハー・ウィン 編集:ジョー・クロッツ 音楽:クリント・イーストウッド 音楽監修:ダグ・バーンハイム
出演:ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、アレッサンドロ・ニヴォラ、マリサ・トメイ、メアリー・ケイ・プレイス

 ホーム・センターで働くスタンレー(ジョン・キューザック)は元兵士。本来ならば目が悪くて試験で落とされるはずなのだが、視力表を手に入れてそれを暗記して入隊した経歴の持ち主。そしておなじ隊の女兵士グレイスと出会って結婚。視力の件がバレて退役になったが女児2人をもうけて幸せな家庭を築いていた。
 しかしある日、そんなスタンレーの元を軍服姿の2人の男が尋ねてきた。グレイスがイラク戦争で戦死したというのだ。
 まだ上の子で13歳と幼い子供達に真実を打ち明けられないスタンレーは、姉のハイディ(シェラン・オキーフ)と妹のドーン(グレイシー・ベドナルジク)を車に乗せてフロリダの"魔法の庭"というテーマパークを目指す。

 役作りのため10kgは太ったであろうジョン・キューザックがほんと普通のおじさんである。
 御大クリント・イーストウッドが始めて他の人の作人に音楽を提供した一本。
 同じジョン・キューザック主演の『真夜中のサバナ』(1997)を監督したと言うこともあるだろうし、作品のテーマによることもあるだろう。
 主にピアノソロが中心で、静かに物悲しげなスコアを鳴り響かせる。
 主要登場人物は親子3人だけ。それと出番は少ないがスタンレーの弟のジョン(アレッサンドロ・ニヴォラ)がちょっとでてくるだけ。その分だけ各人の比重は大きくなり、特に子供達に母親の死をなかなか言い出せない、そして自分も妻の死をなかなか受け入れられないジョン・キューザックの演技が見せ場となる。子供達の演技も見事だ。
 スタンレー家の留守番電話は応答メッセージを家族全員で吹き込んでいるのだが、その妻に向かって何度かスタンレーが打ち明け話を録音するシーンがあってこれが良い。その留守録メッセージを姉のハイディが聞いてしまってある程度真実を知ってしまう残酷さ。 ハイディは父の行動に疑問を抱いているが、妹のドーンも何かおかしいというのを感じ取っていて、デパートで子供用のおもちゃの家に閉じこもるシーンがある。ただ無邪気にテーマパークに行けると思って楽しんでいるわけではないのだ。
 妻の死で心が空っぽになりながらも、2人の娘のことを第一に考えるスタンレーは良い父親だ。喪失感でいっぱいになったスタンレーの姿を静かに捉えている。
 イラク戦争での戦死者を扱っているが、反戦映画ではないと思う。愛国心がどうのよりも殉死者を持った家族への尊厳と鎮魂がメイン・テーマではないだろうか。
 夫の戦死を妻が聞くというのは日本人にも感覚的に分かるのだが、その逆はちょっとピンとこないがそれだけ女性の軍人もいると言うことだろう。
『GRACE IS GONE』を『さよなら。いつかわかること』とした邦題は見事。
 ドーンは腕時計にアラームをセットしていて、グレイスと同じ時間にお祈りをすることにしていた。それがラストに上手く使われている。

B000ENUYUE.jpg『ブレイキング・ニュース』(2004) 大事件/BREAKING NEWS 91分 香港/中国 銀河映像有限公司

監督:ジョニー・トー 脚本:チャン・ヒンカイ、イップ・ティンシン 撮影:チェン・チュウキョン 音楽:ベン・チャン、チュン・チーウィン
出演:ケリー・チャン、、リッチー・レン、ニック・チョン、ラム・シュー、ユウ・ヨン、マギー・シュー、サイモン・ヤム、チョン・シウファイ

 銀行強盗団とチョン警部補(ニック・チョン)指揮する刑事捜査課との間で銃撃戦が発生。その時、居合わせた警官が犯人に向かって両手を挙げて降伏してしまい、その映像がニュースに流れて警察の威信は地に落ちてしまう。
 そこで組織犯罪課のレベッカ警視(ケリー・チャン)は大胆なアイディアを思いつく。PTU(機動部隊)の班長に無線カメラを持たせ、犯人逮捕の映像を捕らえ、それをメディアに流すことで警察への信用を取り戻そうというのだ。
 チョン警部補とその部下は組織犯罪課の仕事だというのに暴走して犯人を追い、ついに高層集合住宅に犯人が潜んでいるのを嗅ぎつける。
 組織犯罪課も現場に急行し、メディアへの仕掛けを始めるが、犯人側もカメラ付き携帯やパソコンで情報戦を応戦しはじめる。
 そして人質解放に伴って刑事・PTUと犯人との激しい銃撃戦が始まる。

 まずオープニングの約7分間の1カットによる銃撃戦に驚く。カメラは流れるように動き、時に激しく動く。臨場感溢れる映像となっている。作中の所々では画面分割が効果的に使われており、ブライアン・デ・パルマを思い出してしまった。
 残念だなと思ったのが、無線カメラの映像が効果的に使われておらず、ほんのちょっと登場するだけで、物語の肝であるはずのアイディアが機能していないことだ。ひと思いに、リアルタイムで生中継ぐらいにしても良かったのではないだろうか。それでは警察の好きなように編集できず警察への好感度を上げる役目を果たせなくなってしまうが、緊張感は増しただろう。人質を取った犯人の要求というのではどうだろうか。
 香港映画といえば派手な銃撃戦だが、この作品での銃撃戦はジョン・ウーのような派手でダンスを踊るようなものではなくひたすら地味である。かなりの至近距離で撃ってもなかなか敵にも味方にも弾が当たらない。ハンドガンの実際の命中率はそんなものなのかも知れない。
 途中、殺し屋と銀行強盗が並んで料理をして、人質家族と一緒に飯を食うシーンがあって、妙にほのぼのとしてしまう。もっともこれもパソコンのwebカメラを使って配信されていて、犯人側のメディア戦略ではあるのだが。
 警察側、犯人側ともにメディアに情報を流してくるのだが、それは自分たちの都合の良い物に加工されてしまっていて、視聴者であるオレたちはそれを真実だと信じてしまう。鵜呑みにせずに疑問を持つことが必要だ。
 警察側は警察のイメージキャラクターであるジャッキー(チェン)まで撮影を中断させて現場での取材に引っ張り出す。ちらっと映るその人物はどう見ても偽物だが、まさか本物じゃないよな。
 集合住宅の中でたまたま殺し屋2人組と銀行強盗団が出くわしてしまい、結果として悪党同士仲良くなってしまう。そこがラストの銀行強盗団のボス・ユアン(リッチー・レン)の最後に繋がってくる。
 人質となるタクシー運転手(ラム・シュー)が良い味出している。この人は同じジョニー・トーの『PTU』(2003)にも出ていたが、情けなさが実に良い。
 チョンの部下でもうすぐ定年を迎える刑事も味があって良い。医長が弱いとのことでなにかにつけて屁をこいてるの。
 舞台を迷宮のような高層集合住宅にしたのは正解だった。狭い廊下での銃撃戦はリアルで迫力があった。
 これがハリウッドや日本映画ならばレベッカに恋愛話を絡めてストーリーを冗長なものにしてしまうのだろうが、そこら辺をばっさりと切り捨て、かなり詰まったストーリーを91分という短時間に収めてしまった手腕は見事である。

B002AQTCVK.jpg『ノウイング』(2009) KNOWING 122分 アメリカ SUMMIT ENTERTAINMENT

監督:アレックス・プロヤス 製作:アレックス・プロヤス、トッド・ブラック、ジェイソン・ブルメンタル、スティーヴ・ティッシュ 製作総指揮:スティーヴン・ジョーンズ、トファー・ダウ、ノーマン・ゴライトリー、デヴィッド・ブルームフィールド 原案:ライン・ダグラス・ピアソン 脚本:ライン・ダグラス・ピアソン、ジュリエット・スノードン、スタイルズ・ホワイト 撮影:サイモン・ダガン プロダクションデザイン:スティーヴン・ジョーンズ=エヴァンズ 衣装デザイン:テリー・ライアン 編集:リチャード・リーロイド 音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルソーン、ナディア・タウンゼンド、D・G・マロニー、アラン・ホップグッド、エイドリアン・ピカリング、タマラ・ドネラン、トラヴィス・ウェイト

 これはもう一つの『未知との遭遇』である。ただし、『未知との遭遇』が人類に残して言ったのは希望だが、こちらは絶望である。ただし、ある一部を除いては。
 1959年、小学校の創立記念で50年後に向けてのタイムカプセルが作られ、中には生徒達が描いた50年後の社会の絵が入れられた。ただその中に一つ、法則性のない数字のが書かれた紙があった。
 50年後、主人公ジョン(ニコラス・ケイジ)の息子ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が引き当てたのがその数字の紙だった。まったく意味のない物だと思っていたMITで教鞭を執っている天文学者のジョンはその数字がこれまでに起きた大惨事の記録であることに気付く。それを書いた女の子ルシンダ(ララ・ロビンソン)はそれら第三次を予言していたのだ。
 そしてその予言通りに飛行機は落ち、地下鉄の脱線事故が起きた。そして最後の予言は人類滅亡を意味していた。
 ジョンが数字の意味に気付く前半部分から、謎の男たちが現れる中盤部分、そして予言をした女性の娘ダイアナ(ローズ・バーン)と孫娘アビー(ララ・ロビンソン)に会いに行く後半部分、そして人類滅亡のラストと大きく四つに分かれている。
 飛行機の墜落事故や地下鉄の脱線事故はかなり迫力を持ってリアルに描かれていて、見ていて怖さが伝わってくる。実際にあの場にいたら腰を抜かしてしまいそうだ。特に飛行機の墜落事故は落ちてくる飛行機から、墜落現場を彷徨うジョンまでを1カット撮影で撮った力作である。臨場感とリアルさが倍増している。地下鉄脱線事故で脱線した地下鉄に弾き飛ばされ押しつぶされていく人々の描写もスゴイ。
 地球の絶滅は太陽のフレアが爆発的に膨張するスーパーフレア現象で、地殻まで放射能が届くものだからどんな核シェルターでも助からない。
 それではこのまま人類は滅亡してしまうのか。そうではない。
 ケイレブとアビーは謎の男たちに選ばれる。彼らの正体は宇宙人でもう一度人類にやり直しをさせようというのだ。
 新しいアダムとイブになった子供のままのケイレブとアビーは他の豊かな惑星に降り立ち、禁断の木の実のなる樹に向かっていく。ところで、2人はウサギを2匹連れてきたのだが、このウサギがウサギ算式に増えて豊かな作物を食い散らかしてしまう心配はないのだろうか。同性のウサギだったら大丈夫だろうが。
 ケイレブとアビーには時間が経ち再生した地球に大人になって帰ってきて欲しかった。
 宇宙人が神というのはありふれた結末だし、哀れにも他の人類は滅亡してしまうのだからひどい話ではある。これはもう一つの『2001年宇宙の旅』でもあるのだ。
 広げまくった風呂敷をなんとか上手く畳んでオチを付けている。
 最初はシャマラン的なオカルト話かと思いきや、途中から見事にSFに転じる。
 耳があまり良くなく補聴器を使っているケイレブとジョンがラストの別れのシーンで手話で「ずっと一緒だよ」と伝え合うシーンでは泣けてしまった。
 ダイアナもジョンの言うことを聞かずに、アビーのことだけを考えて暴走してしまうシーンは逆にリアリティがある。暴走したあげくに交通事故で死んでしまう展開はリアル。人生そんなもんだよな。
 ラストはハッピーエンドともバッドエンドとも言えない微妙なもの。ハリウッド映画では珍しい。エメリッヒの『2012』はどんななんだろうか。
 ジョンはランダム理論を信じる学者だが、この映画の出来事は偶然だったんだろうか、必然だったんだろうか。
 ラストの聖書的な面は欧米人にはウケがいいのかもしれないが、オレにはピンとこなかった。あっそって感じで。
 宇宙人達が最後に光り輝く本性を現すまでは普通の男たちで、一言も発しないのが良かった。これで宇宙人にお説教されたらたまったもんじゃない。
 シャマラン的側面もあるこの作品だが同じ宇宙人を題材にした『サイン』と比べてみるのも面白い。
 ちなみにジョンを吹き替えているのは声優の大塚明夫。ジョンの父を吹き替えているのが実父の大塚周夫である。

B002VZ2BLS.jpg『マーターズ』(2007) MARTYRS 100分 フランス/カナダ 

監督:パスカル・ロジェ 製作:リシャール・グランピエール、シモン・トロティエ 製作総指揮:フレデリック・ドニギアン、マルセル・ジルー 脚本:パスカル・ロジェ 撮影:ステファーヌ・マルタン、ナタリー・モリアフコ=ヴィゾツキー 編集:セバスティアン・プランジェール 音楽:アレックス・コルテス、ウィリー・コルテス
出演:モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・ベジャン、イザベル・シャス、エミリー・ミスクジャン

 フレンチ・ホラーだと思ったら宗教映画だった一作。
 前半は子供の頃に謎の組織に捕らえられ、監禁されていた少女リュシー(ミレーヌ・ジャンパノイ)が不思議なことに性的虐待は加えられていなかった物の心に傷を負い施設で療養した15年後に犯人を見つけ二連式ショットガンで復讐するまで。
 後半はリュシーの施設時代の友達アンナ(モルジャーナ・アラウィ)がその謎の組織に監禁され暴行を加えられるという話。
 謎の組織の目的は人為的に殉教者を作りだそうというもの。だから『ホステル』のような加虐目的でない分だけ質が悪い。彼らはつねに事務的で、アンナに殴る蹴るの暴行を加えるにしてもそれに喜びを見出さず、ただたんに仕事でやっているだけなのだ。
 映像的には"監禁・虐待"がテーマとなっていて陰惨だが、ストーリー的なテーマは"殉教"である。だから見た目はホラーだが話はホラーではない。宗教映画なのだ。ちなみに辞書を引いたら"MARTYR"の意味は「殉教」だった。映画のラストでは語源は証人と出る。
 前半のリュシーによる復讐は郊外の平和な一軒家に乗り込み、ショットガンで息子の進学問題で悩む平和そうな家族を撃ち殺す。リュシーから連絡を受けて駆けつけたアンナはまさかこの家族がリュシーを監禁していたとは考えられず、彼女の正気を疑う。しかし、組織の目的が殉教だからごく平凡で平和そうな家族が計画に加わっていたとしてもおかしくないのだ。
 そして謎の地下室を見つけ、そこで監禁施設と顔面を鉄仮面で覆われ傷だらけの女性を見つける。鉄仮面はビスで肉体に打ち付けられており、それをドライバーで力任せに外すシーンの怖ろしいこと。
 この作品が異色作として知られるようになったのは暴力の目的が狂気や加虐目的ではなく、殉教という宗教的なものだったからだろう。だからこそ余計と不快に感じる人も多いだろう。
 アンナは全てを受け入れ従順することで苦痛を乗り越える方法を身につける。食べ物を口に押し込まれればそのまま飲み込み、暴行を受ければそのまま殴る蹴るされたままでいる。ついには全身の皮を剥がれ、ついに殉教に入る。この皮を剥がれた様子が実に痛そうだ。理科の標本のようでもある。
 ラストは殉教したアンナが見た死後の世界を組織のトップである老婦人マドモアゼルに話し、そのマドモアゼルの話しを聞きに組織の名士たちが続々と家に押しかけて来る。
しかし、そこでマドモアゼルの取った行動は控え室で「疑いなさい」と言い残して拳銃自殺してしまうと言う物だった。
 このオチのインパクトは強い。あんなの見た物は何なのか、マドモアゼルが聞いたことは何なのか。それはひょっとしたら絶望を呼び覚ます物だったのか。それとも一刻も早く死後の世界に旅立ちたくて自殺したのか。本当に死後の世界はあったのか。「疑いなさい」の意味は。説明されずに謎のまま物語は終わる。
 物語間のギャップが大きくて、かなり強引な部分もあり、あまり丁寧な作りとは言えないが、ショッキングな映画である。
 ちなみにDVDの裏パッケージには宣伝文としてダリオ・アルジェントが乗っているのは良いが、『バッド・バイオロジー』のフランク・ヘネンロッターが「オチがあまりにも強烈な、真に知的な作品。」と言っている。ヘネンロッターに"知的"と言われてもあまり嬉しくない気がするのだが。

B002OC06GU.jpg『ミネソタ大強盗団』(1972) THE GREAT NORTHFIELD MINNESOTA RAID 92分 アメリカ UNIVERSAL PICTURES

監督:フィリップ・カウフマン 製作:ジェニングス・ラング 脚本:フィリップ・カウフマン 撮影:ブルース・サーティース 音楽:デイヴ・グルーシン
出演:クリフ・ロバートソン、ロバート・デュヴァル、ルーク・アスキュー、R・G・アームストロング、ダナ・エルカー、ドナルド・モファット、マット・クラーク、エリシャ・クック・Jr、ローヤル・ダーノ、ジョン・ピアース、ウェイン・サザーリン

『ライトスタッフ』(1983)、『SF ボディ・スナッチャー』 (1978)などで有名なフィリップ・カウフマン監督のハリウッドデビュー作。
 西部劇で何度も取り上げられてきたジェシー・ジェームズ物の1本である。もっとも主人公はジェシー・ジェームズ(ロバート・デュヴァル)ではなく『633爆撃隊』や『スパイダーマン』のベン・パーカー役のクリフ・ロバートソン演ずるコール・ヤンガーである。
 終盤まではコミカルなタッチで話は進む。義賊として有名なジェシー・ジェームズ一味にミズリー州が特赦を出そうとするが、それが反古になってしまう。ジェシー・ジェームズが銀行強盗に向かったのを止めようとしたコール・ヤンガーだが、彼も考えが変わりミネソタ州の中西部最大の銀行を襲うことにする。
 多くの映画で義賊的ヒーローか魅力的なアウトローとして描かれてきたジェシー・ジェームズが残忍で危険な男として描かれているのが興味深い。フィリップ・カウフマン流のジェシー・ジェームズはこうだったのだろう。

 ジェシー・ジェームズと言えば敵はピンカートン探偵社だが、こいつらはほとんど活躍せずに汽車に乗っているだけである。
 代わりに銀行を襲った大失敗に終わり仲間を2人殺されたコールとジェシーを執拗に追ってくるのが武装した市民達である。最後にはコールは捕まり刑務所に入れられ25年の刑を処せられる。ジェシーは隙を突いて逃げ出す。
 銀行で撃ち殺された一味の2人を棺桶に入れて左右において真ん中で記念写真を撮るというショッキングなシーンがある。
 コールは革で作った防護服を着ているが防弾チョッキの元祖的存在である。もう何発も撃たれて穴がいくつも開いている。それだけ危険な橋を渡ってきたのだ。
 ちょうど時代の変わり目の話であって、町には蒸気式トラクターや蒸気オルガンがあり、流行始めた野球を観戦するシーンもある。グラハム・ベルが電話を発明したというエピソードも出てくる。
 そんな銀行強盗や列車強盗が当たり前だった社会から、法が整備され犯罪者にとって生きにくい時代を描いている。そんな中、時代に取り残された男たちの悲劇が語られる。
 後半はドキュメントタッチで描かれ、ブルース・サーティースの光を強調したカメラも実に雰囲気に合っていて、凄みが伝わってくる。
 とにかくジェシー・ジェームズの登場シーンがトイレで大便をしているところから始まるというのが人を食った演出だ。それにしてもジェシー・ジェームズにロバート・デュヴァルというのも意外性をついたキャスティングだ。『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2007)ではブラット・ピットが『アメリカン・アウトロー』(2001)ではコリン・ファレルが演じている役なんだが。
 脚本もフィリップ・カウフマンが担当しており、この作品を観たクリント・イーストウッドが自身の監督作『アウトロー』(1976)の脚本家にフィリップ・カウフマンを起用したのも納得である。
 リアリティ溢れる作風の中で、一味が風呂に入っているシーンが悪ガキがはしゃいでいるようで微笑ましい。

B001E7TRX4.jpg『パーマーの危機脱出』(1966) FUNERAL IN BERLIN 102分 アメリカ PARAMOUNT PICTURES

監督:ガイ・ハミルトン 製作:ハリー・サルツマン 製作総指揮:クリフォード・パークス 原作 レン・デイトン 脚本:エヴァン・ジョーンズ 撮影:オットー・ヘラー 0音楽:コンラッド・エルファース
出演:マイケル・ケイン、オスカー・ホモルカ、エヴァ・レンツィ、ポール・ハシミッド、ガイ・ドールマン、マルト・ケラー

 セルロイド枠の黒い眼鏡をかけて外さず、常にビジネス・スーツ。そして多くのシーンでベージュのコートを着ている。
 一見、普通の公務員に見えるこの男だが、いや確かに公務員なのだが所属が変わっている。イギリスの諜報部MI6勤務なのだ。
 そもそも常時眼鏡をかけているスパイというのが珍しい。『オースティンパワーズ』で主人公が眼鏡なのはこの作品のオマージュという説がある。2作目で主人公の父親役で眼鏡姿のマイケル・ケインが出てきたからまず間違いないであろう。
 あるソビエト将校の西側への脱出計画から始まって、物語は複雑に交差していく。
 イスラエルの情報機関モサドがポール・ルイ・ブルームなるドイツ人が第二次戦争中にユダヤ人から巻き上げた財宝を狙っている。またMI6の中からも裏切り者が出てくる。物語は虚々実々で主人公のパーマー(マイケル・ケイン)は誰を信頼して良いやら、いや誰も信頼してはいけない状態の中二転三転で話は進む。
 MI6は007シリーズを観るとずいぶんいい加減な組織だが、このMI6は違っていて、身分証明の書類を持ち出すのにもパーマーのサイン。必要経費を持ち出すにもパーマーのサインが必要なのだ。だが一般的な会社を考えればそれが当たり前という気もする。
 監督は『007 黄金銃を持つ男』などのガイ・ハミルトンだが、こちらには過剰なお色気や派手なアクションなど無く実に地味な仕上がりになっている。その地味さがたまらない。
 マイケル・ケインは常につまらなそうな表情で、下らないジョークをいってみせ、それでいて一流のスパイというギャップがたまらない。英国紳士ここにありといった感じである。
 ソビエト将校を西側に脱出させるための作戦が、死体に扮して棺桶に入れて東西の境界線を越えるというもの。だから原題が『FUNERAL IN BERLIN(ベルリンでの葬儀)』。泣き女が登場して棺桶が西側に渡り無事を確認すると報酬をもらってルンルンで帰って行くのが笑えます。
 しかし、棺桶の中に入っていたのはソビエト将校ではなく脱走の手引き屋だったことからことは複雑になっていきます。
 結局、みんなが狙っているのはポール・ルイ・ブルームが残した200万ドルと20年間の利子で、その中で唯一冷静なのがパーマー。
 事件が解決後、上司から前々から依頼していた車の融資800ポンドを支給しようではないかと言われて、「いや、歩いた方が健康に良いですから」と言ってロンドンの雑踏へと歩いて行くパーマー。組織の一員だけど、その組織には根っからは組み込まれない。常に自由人なのだ。格好いいー。
 DVDにはTV放送時の日本語吹き替えが収録されていて、時折英語音声日本語字幕になるのは性質上仕方ないのだが、パーマーを羽佐間道夫氏が吹き替えていて、シリアスなのにユーモラスという独特の雰囲気を醸し出すことに成功している。羽佐間道夫氏と言えば『俺はハマーだ!』か『ロッキー』のイメージが強いが、どちらとも違う演技を披露してくれる。調べてみると、羽佐間道夫氏はマイケル・ケインの吹替を割とやっているようだ。
『パーマーの危機脱出』を洋画劇場でやることはもうないだろうが、誰が吹き替えているかでまったく印象が変わってしまう。とりあえずマイケル・ケイン=羽佐間道夫氏は正解である。

B0000CCNGV.jpg『アライバル2』(1998) THE SECOND ARRIVAL 105分 アメリカ LIVE ENTERTAINMENT

監督:ケヴィン・テニー 製作:クラウディオ・カストラヴェッリ、レナード・シャピロ 製作総指揮:ジョン・タートル 脚本:マーク・デヴィッド・ペリー 撮影:ブルーノ・フィリップ
出演:パトリック・マルドゥーン、ジェーン・シベット、マイケル・サラザン

 前作の主人公ゼイン(チャーリー・シーン)は映像もなくいきなり死んでいます。エスキモーの集落で死んだとされていますが、これは自然死ではなく異星人による陰謀死でしょう
 その死を前もって勘づいていたのか、異星人による陰謀を義兄弟のジャック(パトリック・マルドゥーン)などに封書で送っておきます。
 それに巻き込まれた形でTVレポーターのブリジットが共に異星人への戦いを挑みます。

 正直言って1作目からはSFマインドが大きく欠落した作品。
 球状の何でも吸い込んじゃうぞ物体に人間が絡んでくるつまり吸い込まれる以外は前作と比べて目新しいシーンもない。
 ラストは如何にも次作へ続くといった終わり方だが、未だ『アライバル3』の話はまったっく聞かれない。
 そもそもオープニングのチャーリー・シーンの死ですら過去の画像だけで新作映像が全くないというところでこの作品の低予算どは推して知るべきだろう。
 低予算なら低予算なりに見せ方はいくらでもあると思うのだが、どうしても前作と比べてしまう。
 B級映画としても出来の悪い作品に仕上がっている。
 善作との評価の差はamazonのマーケットプレイスの価格を見れば一目瞭然である。かたや5000円台、かたや500円台とあからさまな差がある。市場価格は時にして作品の評価に繋がってくる。

B0000CCNGU.jpg『アライバル 侵略者』(1996) THE ARRIVAL 115分 アメリカ LIVE ENTERTAINMENT

監督:デヴィッド・トゥーヒー 製作:トーマス・G・スミス、ジム・スティール 共同製作:サイラス・I・ヤヴネ 製作総指揮:テッド・フィールド、ロバート・W・コート 脚本:デヴィッド・トゥーヒー 撮影:ヒロ・ナリタ プロダクションデザイン:マイケル・ノヴォトニー 衣装デザイン:マイェス・C・ルベオ 編集:マーティン・ハンター 音楽:アーサー・ケンペル 視覚効果・プロデューサー:チャールズ・L・ファイナンス
出演:チャーリー・シーン、リンゼイ・クローズ、テリー・ポロ、ロン・シルヴァー、レオン・リッピー、リチャード・シフ、トニー・T・ジョンソン、フィリス・アップルゲイト
 
 先月、デンマークでCOP15(第15回締約国会議)が行われたばかりだが、その地球温暖化問題を大胆に取り入れたSF映画がこの『アライバル 侵略者』だ。

 物語は北極点近くに花畑が出来ているシーンから始まる。地球温暖化によって大気の温度が上がり、そんな現象が起きているのだ。
 その頃、アメリカのとある電波天文台ではある恒星から謎の電波を受信していた。主人公のゼイン(チャーリー・シーン)はその情報を上に訴え出るが握りつぶされてしまい、それどころか解雇されてしまう。
 研究を続けるために衛星放送会社に入社したゼインは多数の家庭用パラボラアンテナを直結して一つの大きな天文用アンテナとして使うことを思いつく。
 隣家の黒人少年キキ(トニー・T・ジョンソン)の助けもあって作業は順調に進み、ついに電波を受信するがそれにはメキシコからのラジオ局の電波も混信していた。地上からの電波と宇宙からの電波が混信するはずはない。ゼインは単身メキシコへ向かう。
 ただでさえ暑いメキシコは地球温暖化によってさらに暑かった。くだんのラジオ局は前夜に火災で燃えてしまっていた。ゼインは北極点近くで花畑を観測した気象学者と知り合うが、気象学者は部屋に放たれたサソリによって殺害されてしまう。
 ゼイン自身も殺されかけるが、すんでのところで助かって犯人を追う。追い詰めた犯人は足の関節を逆に曲げるとジャンプして建物の上に飛び乗って逃げてしまった。
 謎を追う内にメキシコのとある巨大プラントを発見。そこに侵入する。そこは宇宙人が二酸化炭素を大量に作り出し大気中に放出している設備だった。
 殺人犯にされかかったところを辛うじて逃げ出し、アメリカに戻ったゼインはかつてのボスであるゴーディアン(ロン・シルヴァー)に面会に行く。ゴーディアンもまた地球人に変装した宇宙人だったのだ。その会話を録画したビデオテープを持って、恋人のシャー(テリー・ポロ)とキキと共に電波観測所へ向かう。放送衛星をジャックしてビデオテープを全世界に流そうというのだ。

 地球温暖化を1996年当時にすでに映画の題材として取り上げるデヴィッド・トゥーヒーの先見の明には恐れ入る。この人はタイムトラベルSF映画の傑作『グランド・ツアー』で監督デビューした人で、他には『逃亡者』などの脚本家としても活躍している。SF映画の佳作『ピッチブラック』もこの人の作品でSFを分かっている映画監督・脚本家である。
 何でも吸い込む球体などはSFマインド溢れる小道具で、見ていて嬉しくなってしまう。宇宙人の形態も基本は人間と同じだが爬虫類状の肌で足の関節が逆になっているというアイディアが面白い。カクッカクッと人間モードから宇宙人モードの間接に切り替えるシーンが上手く表現されていて、キキの変形シーンはCGを使って1カットでやっている。
 CGの使い方は上手く、1996年という時代を考えると上出来だろう。SFX担当は『バットマン・フォーエヴァー』を手がけたパシフィック・データ・イメージズだそうだ。
 大発見をしたはずなのに上司からは握りつぶされ、しかも解雇までされてしまい、業界に嘘をばらまかれて業界では仕事を出来なくなってしまう。自分を信じてくれるのはキキだけで(そのキキも監視の目的で近づいてきたのだが)他には頼る者も信じてくれる者もいない孤独な天文学者ゼイン。だがゼインはそこで落ち込んだりしない。自分で行動することで真実を追究していくのだ。なんと行動力のある天文学者だろう。
 巨大プラントに潜入するシーンでは、ちょっと太った身体で大活躍。といっても逃げ回っているだけなんだが。この作品でのチャーリー・シーンは役作りなのかそれとも噂されているように生活の乱れがたたったのか体型が小太り気味である。天文学者という役柄にはあっている。宇宙人と直接対決するシーンも少なく、眼鏡をかけ無精髭を生やした格好がイメージに合っている。
 最後まで誰を信用して良いか分からず、恋人のシャーのことも疑うことになるのは皮肉なことだ。
 宇宙人の侵略の仕方が『インデペンデンス・デイ』や『宇宙戦争』のように光線で建物を破壊してくるなどではなく、地道に二酸化炭素をばらまいているというのがいい。現実でも地球温暖化は問題になっているが、どこかの国に宇宙人がいて二酸化炭素をばらまいているのではないだろうか。京都議定書を批准しなかった国なんか怪しい。
 個人的には地球温暖化については騒ぎすぎではないかとも思うのだが、この映画を観た後ではそんなことは言えなくなってしまう。
 メキシコでの死者の日のロケーションも上手く使われていて、実際の死者の日にロケをしたわけではなく小規模な死者の日を演じているがその辺りにもセンスがある。
 キキの正体と1カットでの逆間接への変形は見事。そして鳥のように荒野を駆けていく。

B00005G03K.jpg『トゥームストーン』(1993) TOMBSTONE 130分 アメリカ CINERGI

監督:ジョルジ・パン・コスマトス 製作:ジェームズ・ジャックス、ショーン・ダニエル、ボブ・ミシオロウスキー 製作総指揮:アンドリュー・G・ヴァイナ、バズ・フェイトシャンズ 脚本:ケヴィン・ジャール 撮影:ウィリアム・A・フレイカー 音楽:ブルース・ブロートン ナレーション:ロバート・ミッチャム
出演:カート・ラッセル、ヴァル・キルマー、サム・エリオット、ビル・パクストン、パワーズ・ブース、マイケル・ビーン、チャールトン・ヘストン、ジェイソン・プリーストリー、スティーヴン・ラング、ダナ・デラニー、ジョアンナ・パクラ、ダナ・ウィーラー=ニコルソン、マイケル・ルーカー、ハリー・ケリー・Jr、ビリー・ゼイン、クリストファー・ミッチャム、ロバート・ジョン・バーク、ビリー・ボブ・ソーントン、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ポーラ・マルコムソン

 いわゆる『OK牧場の決斗』物の一本である。
 映画的な誇張はある物のかなり史実に忠実に作られていて、カウボーイズという悪党集団と、ワイアット・アープ達の『OK牧場の決斗』から、その後ワイアット・アープの兄がカウボーイズに襲われ片腕を失い、弟は命を失うところもちゃんと描かれている。
 その後、復讐に燃えるワイアット・アープはカウボーイズ狩りを始めて敵を追い詰めていく。
 そして実質的リーダーだったリンゴ・キッドとの決斗の後、事態は収束する。
 結核を患っていたドク・ホリディを療養所に入れて二人は最後の男の会話をする。

『OK牧場の決斗』『墓石と決闘』を合わせたような作品に仕上がっている。
 トゥームストーンの町は砂埃が立ちこめ、いかにも西部劇な風景を作り出している。
 男たちはみな口髭を生やし、特にワイアット・アープ(カート・ラッセル)のは立派である。病気を表現してかドク・ホリディ(ヴァル・キルマー)の髭は貧相だ。
 映画はロバート・ミッチャムのナレーションで始まる。そして『大列車強盗』の発砲シーンから本編が始まる。西部劇への愛を感じる。
 監督はジョージ・P・コスマトスことジョルジ・パン・コスマトス。『カサンドラ・クロス』『ランボー 怒りの脱出』などの監督だ。ギリシャ生まれの監督が西部劇を撮るというのもおもしろい話だ。それが傑作に仕上がっているからなおさらだ。
 最初は保安官を引退して平和に金稼ぎをしようと兄弟三人でトゥームストーンにやってきたのだが、ワイアット・アープのビジネスは成功し、自分たちの店を構えるかとまでになる。しかしそこでカウボーイズの蛮行に我慢できなかった兄と弟が保安官になってしまう。そして町中での銃器携帯を禁ずる条例を出したところ、カウボーイズの反感を買ってしまい決斗を申し込まれる。OK牧場に向かって横一列で歩いて行くワイアット・アープはやはり格好いい。
 ヴァル・キルマーは特に熱演で、顔色は常に青白く結核を表している。しかし、最後のリンゴ・キッドことジョニー・リンゴ(マイケル・ビーン)との戦いでは凄みを見せて勝つ。リンゴ・キッドが銃の曲芸回しで挑発してくるとウイスキーカップを回して逆に挑発してみせる。ピアノではショパンのノクターンを弾き、医者に止められているのに愛人とのSEXをかかさない。実に粋な男である。
 おいしいところをヴァル・キルマーに持って行かれてしまった感のあるカート・ラッセルだが、いやどうしてどうして。復讐に燃える男をタフガイとして演じている。タフな男を演じさせたら天下一品の役者である。ラストはリンゴ・キッドと対決して欲しかったが、映画としてはヴァル・キルマーがやって正解。
 最大の悪役リンゴ・キッドのマイケル・ビーンも憎々しげで見事に悪役を演じきっている。
 出演陣は豪華で、ワイアット・アープの兄がサム・エリオット、弟がビル・パクストン、ちょっとだけ出てくる牧場主はチャールトン・ヘストンときている。
 他にはビリー・ゼインにロバート・ミッチャムの息子のクリストファー・ミッチャム。途中でカウボーイズを抜けてワイアット・アープの味方に付くのがマイケル・ルーカー。そしてビリー・ボブ・ソーントンまで出ている。ただしビリー・ボブ・ソーントンはまだデビューして間もないのでほとんどエキストラ扱いだが。
 アヘン中毒になっている妻をほったらかしにしておいて美人女優と馬の遠乗りに出かけるワイアット・アープはどんなものかと思うが、男の友情に関してはドク・ホリディとのそれを最後まで大切にしていた。療養所での会話は泣ける。このシーンは『墓石と決闘』を思い出させる。『我が友ドク・ホリディ』とワイアット・アープが書いた本を抱いたまま静かに息を引き取るドク・ホリディが悲しい。
 ロケ地選びをしっかりやったようで、西部劇の風景を感じさせてくれる。草原、荒れ地、雲に夕焼け、満月。素晴らしい映像が繰り広げられる。
 衣装や小道具もきっちり作り込まれている。
 DVDは長らく廃盤となっている。再販が期待される一作である。

B002M2DWTU.jpg『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994) NATURAL BORN KILLERS 119分/ディレクターズカット版122分 アメリカ WARNER BROS. PICTURES

監督:オリヴァー・ストーン 製作:ジェーン・ハムシャー、ドン・マーフィ、クレイトン・タウンゼント 原案:クエンティン・タランティーノ 脚本:デヴィッド・ヴェロズ、リチャード・ルトウスキー、オリヴァー・ストーン 撮影:ロバート・リチャードソン 音楽:トレント・レズナー
出演:ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニー・Jr、トミー・リー・ジョーンズ、トム・サイズモア、ロドニー・デンジャーフィールド、エド・マックラーグ、デイル・ダイ、サルヴァトール・ゼレブ、リチャード・ラインバック、バルサザール・ゲティ、ラッセル・ミーンズ、プルイット・テイラー・ヴィンス、スティーヴン・ライト、ピーター・クロンビー、ジョー・グリファシ、ポール・ディロン、ジェームズ・ギャモン、マーク・ハーモン、アーリス・ハワード、デニス・リアリー、レイチェル・ティコティン、アシュレイ・ジャッド、エヴァン・ハンドラー

 ミッキー(ウディ・ハレルソン)とマロリー(ジュリエット・ルイス)は会った瞬間一目惚れした。
 これだけならば目出度い話である。問題は二人が最悪の殺人鬼だったことだ。

 マロリーは父親から性的虐待を受けているようだ。それを表すシーンがアメリカのシットコム風の画面に観客の笑いが入る演出を使っている。
 他にも16ミリの粒子の粗い映像を使ってみたり、ドキュメンタリータッチの映像を使ってみたり、アニメーションまで使っている。壁や窓に映像が映ったり画面が単色になったりと非常に凝った映像なのだ。
 この凝り具合がうっとおしい。映像の暴力と言ってもいい。さすがオリバー・ストーンだけのことはある、オレの気持ちをいらだたせたら右に出る者はない。しかも凝っている割に大味。日本語をしゃべる日本のテレビレポーターの女性が登場するシーンなんかこれでもかとばかりでうっとおしい。
 オリバー・ストーン嫌いなんだよ。『プラトーン』がダメでダメでさぁ、それ以来トラウマになってしまった。
 現代版『俺たちに明日はない』は最後主人公達は死なずにいずこへと去るが、殺人賛歌のようなこの映画で最後に主人公が生き残って良いのだろうか。なんてったって殺したのは53人だぞ53人。それもほとんどが意味なく殺されている。たまったものではない。
 とまあ社会派ぶらずに犯罪者として観るとそれなりに面白い。警察の無能振りには頭に来てしまう。刑務所の暴動のシーンはすごかった。刑務所長のトミー・リー・ジョーンズの揉み上げと死に様もすごかった。
 ミッキーとマロリーを利用してマスコミ界でのし上がろうとするゲール(ロバート・ダウニー・Jr)の最後は自身がニュースになって終わる。マスコミ界への批判も忘れないオリバー・ストーン。そこら辺がうっとおしい。でもゲールはオレも殺して良いと思ったけど。
 凝った画像使いやミッキーとマロリーが世界的なブームで若者のカリスマになってしまうなど全体的にオリバー・ストーンのこちらを見下ろしてくる高慢さが鼻につく。
 バイオレンス描写は全体的に意外とあっさりしていた。銃でバンと撃って終わり。しつこい残虐描写はない。
 原案はクエンティン・タランティーノ。タランティーノの原案をオリバー・ストーンが改変しまくったのでタランティーノは激怒したそうだ。社会派のオリバー・ストーンと娯楽派のクエンティン・タランティーノ。目指すところがまったく違うからねぇ。
 クエンティン・タランティーノによる再映画化を望むが、タランティーノはもうこの手の題材に興味はないだろうからなぁ。
 役者はいい人を揃えているが、それを上手く使いこなせているかというと疑問が残る。心から良かったと思うのはジュリエット・ルイスぐらいか。ウディ・ハレルソンは力入れすぎ。

B002TEC0F8.jpg『ドゥームズデイ』(2008) DOOMSDAY 110分 アメリカ ROGUE PICTURES、INTREPID PICTURES

監督:ニール・マーシャル 製作:スティーヴン・ポール、ベネディクト・カーヴァー 製作総指揮:ピーター・マカリーズ、トレヴァー・メイシー、マーク・D・エヴァンズ、ジェフ・アッバリー、ジュリア・ブラックマン 脚本:ニール・マーシャル 撮影:サム・マッカーディ 視覚効果スーパーバイザー:ハル・カウゼンズ プロダクションデザイン:サイモン・ボウルズ 衣装デザイン:ジョン・ノースター 編集:アンドリュー・マックリッチー 音楽:タイラー・ベイツ
出演:ローナ・ミトラ、マルコム・マクダウェル、ボブ・ホスキンス、アレクサンダー・シディグ、エイドリアン・レスター、デヴィッド・オハラ、ダーレン・モーフィット、ノラ=ジェーン・ヌーン、リック・ウォーデン、レスリー・シンプソン、クリス・ロブソン、ショーン・パートウィー、エマ・クレズビー、クレイグ・コンウェイ、マイアンナ・バリング

『ドッグソルジャー』『ディセント』など独特な映画を作り続けたイギリスの映画監督ニール・マーシャルがアメリカに渡って撮ったB級大作。

 2008年、イギリスのスコットランドでウイルスによる致死性の病気が蔓延した。政府はスコットランドを壁で覆いウイルスが外に漏れることを防いだ。
 そして2035年、ロンドンでも病気が発生した。そして人が死に絶えたはずのスコットランドに人間が生き残っていることが衛星写真から判明した。
 これはウイルスの治療薬が完成しているに違いないと、主人公の女性特殊部隊員エデン(ローナ・ミトラ)を隊長とした特殊チームが二台の装甲車で送り込まれた。
 しかし、塀の中は予想だにもしない地獄の光景だった。

 壁で閉鎖され見捨てられた町に目的があって侵入するところは『ニューヨーク1997』シリーズを思わせる。主人公のエデンは右目を失っていて、普段は義眼を使っているが時折アイパッチを付ける姿もスネーク・プリスケンを思わせる。
 隊員達は殺人パンク集団に襲われて次々と殺されていく。しかもこいつら人を食うのだ。丸焼きにされて肉をそがれる隊員の哀れなこと。

 そこを命からがら逃げ出したら、今度は中世の騎士の世界に。ここでもまた隊員が殺されるが食われないだけまだマシかも知れない。
 ここでウイルス研究者のケイン博士に会う。この任務の目的はケイン博士からウイルス治療薬を手に入れることだった。しかしケイン博士はウイルス治療薬を完成してはおらず、生き残った人間は免疫による物だった。

 免疫を持ったケイン博士の娘を連れて車で逃亡するが、パンク軍団が改造カーで追いかけてくる。ここはもろに『マッドマックス2』だ。派手なカーアクションが繰り広げられる。
 他には『エイリアン2』や『ゾンビ』も入っている。もうキャッキャ言って楽しんでしまった。

 この様に80年代的雰囲気に満ちあふれた傑作である。ストーリーからいえばパンク軍団から中世の騎士に繋がるなどかなり無茶苦茶なのだが、それをカバーするパワーがある。
 ローナ・ミトラが銃を構える姿が実に決まっていて美しい。タフでセクシー、不敵な笑みが似合う。完璧である。
 ケイン博士役のマルコム・マクダウェルはさすがの重厚さ。すっかりイカレてしまっている設定だが、それを見事にこなしている。それでいてカリスマ性も感じさせる。
 エデンの同僚ボブ・ホスキンスも哀愁のある雰囲気を醸し出していて、脇になかなか良い役者を使っている。
 とにかく一々派手で、手首が飛ぶ、首が飛ぶ。特に首が飛ぶにはこだわっているらしい。何人分、首が飛んだことやら。
 10代に観た映画を何本も思い出した。あーあんな映画あったよな。こんな映画あったよな。
 しかし、想い出に浸っているだけではないのがこの映画の凄さ。過去の作品をベースに更にパワーアップさせている。
 ラストの新しい女ボスの誕生のシーンには背筋が震えてしまった。
 年末年始に『トゥモロー・ワールド』と『ドゥームズデイ』とデストピア物をやるのはどうかと思うが、今年はどんな年になるのであろうか。デストピアになりませんことを。

 遅れましたが明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

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