『バビロン A.D.』(2008) BABYLON A.D. 101分 アメリカ/フランス/イギリス TWENTIETH CENTURY FOX
監督:マチュー・カソヴィッツ 製作:イーラン・ゴールドマン 製作総指揮:アヴラム・ブッチ・カプラン、デヴィッド・ヴァルデス 原作:モーリス・G・ダンテック 脚本:エリック・ベナール、マチュー・カソヴィッツ 撮影:ティエリー・アルボガスト プロダクションデザイン: ソーニャ・クラウス、ポール・クロス 編集:ベンジャミン・ヴァイル 音楽:アトリ・オーヴァーソン
出演:ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ヨー、メラニー・ティエリー、ランベール・ウィルソン、マーク・ストロング、ジェラール・ドパルデュー、シャーロット・ランプリング、ジェロム・レ・バンナ、ジョエル・カービー、ダヴィッド・ベル
最近パッとしなかったヴィン・ディーゼル主演の近未来SF映画。これがまたパッとしない。
そもそもストーリーがよく分からない。ヴィン・ディーゼル演ずる傭兵がロシアからニューヨークまで一人の少女とお付きの女を運ぶことになるのだが、この少女の設定がイマイチ分かりづらい。
30年前のロシアの原子力潜水艦を捜査したり、生まれて2歳で19カ国語を話していたという謎の経歴の持ち主。その正体はある教団が奇跡を示すために科学者に命じてスーパーコンピュータで胎教して生まれた時から全ての知識を持っているというのはまだ分かるのだが、なぜか突然双子を処女懐妊して、しかも超能力を発揮して目の前で爆発した小型ミサイルからバリヤーを張る。さらにウイルス保菌者でそのウイルスが金になるらしい。もうなんでかな。意味が分からない。彼女の出生の秘密も教団の陰謀もすべてごちゃごちゃのスパゲティ状態だ。
近未来のロシアは荒廃して武器売買が道ばたで平気で行われている荒れた世界で好みだが、ニューヨークはブレード・ランナーの世界から雨を引いたようないかにも近未来な世界観だし、ゴーグルやモニターなど近未来ガジェットのデザインもイマイチ垢抜けない。
SFをやるのはいいが、それっぽいことをやっているだけで細部を手抜きしているからSFモドキにしかなっていない。
ヴィン・ディーゼルと中国人レスラーの戦いもあるが、ただ絡み合っているだけで格闘戦の醍醐味が感じられない。
近未来世界を一人の少女を守って旅をするというプロットは良いのだが、それを活かし切れていない。なんでも監督曰く脚本状態から半分ほどに削らされたそうだから説明不足な点が多いのも仕方ないのかも知れない。
銃撃戦がちょっと面白いが、目新しい点はない。爆破シーンなどは真に迫っている。大雪原でのスノーモービルに乗りながらの無人戦闘機との戦いはかなり燃える。三人が移動している最中のアクションシーンは悪くない。
悪いのはそれがストーリーと結びついていないことだ。ストーリーは意味不明のままドッカンドッカンとアクションだけが弾けている。
せっかくミシェル・ヨーを出演させておきながら、彼女のアクションがほとんどないというのも納得いかない。
最後まで敵との決着は付かないが、これは続編があると言うことではなく、あいまい決着と言う奴だろう。教団は少女を諦め、双子を託されたヴィン・ディーゼルの戦いは続くのだ。ラストとしてはかなりひどい結末である。監督とFOXがもめたというから、これもそのせいなのだろうか。大風呂敷を広げるだけ広げてまとめられなかったといったところである。
結局なにが"バビロン"で"A.D."だったのかよく分からないまま映画は終わる。キリスト教徒なら分かるのか?
守られる少女役のメラニー・ティエリーはどことなく『フィフス・エレメント』のミラ・ジョボビッチを思わせる。浮世離れした天使めいた印象だ。
ヴィン・ディーゼルは例によって筋肉モリモリの男臭さを匂わせている。ややこしい映画に出ないで素直なアクション映画が似合う人なんだと思う。
教団の女性ボスがシャーロット・ランプリング。この人が一番迫力があった。

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