『蝋人形の館』(2005) HOUSE OF WAX 113分 アメリカ
監督:ジャウム・コレット=セラ 製作:L・レヴィン、スーザン・レヴィン、ジョエル・シルヴァー、ロバート・ゼメキス 製作総指揮:ブルース・バーマン、ポリー・コーエン、ハーブ・ゲインズ、スティーヴ・リチャーズ 原案:チャールズ・ベルデン 脚本:チャド・ヘイズ、ケイリー・W・ヘイズ 撮影:スティーヴン・F・ウィンドン 編集:ジョエル・ネグロン 音楽:ジョン・オットマン
出演:エリシャ・カスバート、チャド・マイケル・マーレイ、ブライアン・ヴァン・ホルト、パリス・ヒルトン、ジャレッド・パダレッキ、ジョン・エイブラハムズ、ロバート・リチャード
ヒロイン役のエリシャ・カスバートが良い。口を瞬間接着剤で塞がれ、指を切断され散々な目にあっても悪人に屈することなく立ち向かう姿が美しい。これが共演で友人役のパリス・ヒルトンが主役だったらとたんにB級っぽさが立ちこめるに違いない。
大学のアメフト大会を観戦するために旅をする若者が6人。内訳は女2人、男4人。そのうちエリシャ・カスバートとチャド・マイケル・マーレイは兄妹だ。
カーナビで近道を見つけるがその道は通行止めに。しかたなく脇の田舎道へと入っていく。夜も遅くなったので野原でキャンプをしていると不審な車が近寄ってくるが、それだけのことであとはいちゃついたりビールを飲んだりして楽しく過ごす。
この手の若者が殺されるのはホラーの法則第6条に明記されている通りである。もちろん彼らも殺人鬼の手によって惨殺され、ほんの一握りが生き残る。
翌朝、車のファンベルトが切断されているのに気付いたエリシャの恋人は仲間を先に行かせエリシャと共に近くにあるという小さな田舎町まで買いに行く事にする。
だがその田舎町は怖ろしい蝋人形の館だった。
1933年に製作され1953年にはリメイクされた『肉の蝋人形』の再リメイク。とはいえ、本物の人間を元に蝋人形を作る、つまり蝋人形の中に人間の死体が入っているという以外はあまり共通点はない。
製作はジョエル・シルヴァー&ロバート・ゼメキスが主宰するダークキャッスル・エンタテインメント。顔ぶれから見て分かる通り豪華なメンツである。設定はB級だがそれをA級にしているのもこのメンツだからだろう。
ダークキャッスルには珍しくメジャー資本の映画だが、残虐描写は独立プロ系にも負けていない。ニッパーで指を切断する。アキレス腱をハサミでちょん切るなど地味に痛い攻撃からナイフで刺す、首を切り落とすなど派手な描写まで揃っている。これがどれもリアルで痛いのだ。
一番イヤだったのがエリシャの恋人が生きたまま全身に溶けた蝋を噴射されて蝋人形にされてしまうところ。そして蝋人形になった後もまだ生きているのだ。指の一本も動かせずに死を待つだけ。ああイヤだ。怖い。
町には蝋人形館があり、この建物は壁も床も全てが蝋で出来ているぐらいに徹底した蝋人形館だ。だが、今は亡き蝋細工師の母親を慕う二人の狂人の息子は町全体を蝋人形の館にしてしまった。スーパーもペットショップもそして20人ほどの人と神父(どちらも蝋人形)が集まっている教会もすべて蝋人形の館の一部なのだ。町の住人全員を蝋人形にしてしまったあげく、通りかかる旅行者も片っ端から捕まえては蝋人形にしていたのだ。それは蝋人形師に追われるパリス・ヒルトンが大量の携帯電話や車を見つけるシーンからも分かる。ちなみにパリス・ヒルトンはあっけなく死にます。個人的にはどうでもいい女優さんですが死に方は良かった。
ラストは蝋人形の館が大炎上してどろどろと溶けていく。その中での蝋人形師との戦い。足場も定かではなくまるで熱したチョコレートの上で戦っているかのよう。熱した蝋の上での撮影は危険すぎるから粘土みたいな物を使ったのではないかと想像する。
最後には壁も柱も溶けてしまって蝋人形の館はペチャンコになる。ここは作品最大の見せ場だ。まさか実物大の蝋人形の館を蝋で造る事はないだろうから模型かCGなんだろう。個人的には『ポルターガイスト』のラストで潰れて消えていく家を思い出した。そういえば両方ともメジャー資本によるホラー映画だ。
蝋細工師は双子の兄弟で兄がおびき寄せ役、弟が蝋細工役を担当している。キャストを見てみると両方とも同じ俳優が担当していたみたいだ。こういう場合、ギャラは一人分なんだろうか、二人分なんだろうか。まぁ、演ずる人数はあまり関係なしに単にいくらで決まってしまうんだろうが。
エリシャにも兄役が登場し、共に力を合わせて蝋細工師と戦いますから兄弟がテーマでもある。そう考えると、町の映画館でロバート・アルドリッチの『何がジェーンに起ったか?』(1962)という善と悪の姉妹を描いた作品が上映されているのも納得だ。
ラストの保安官の「この町は奥まったところにあって、10年前に工場が閉鎖されてからは地図にも載ってないから気付かなかったんだ。今回の事がなかったらもっと続いたぞ」にはぞっとする。

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