2009年2月アーカイブ

B001FYZOBK.jpg『レプリカント』(2001) REPLICANT 99分 アメリカ

監督:リンゴ・ラム 製作:デヴィッド・デイドン、ダニー・ラーナー、ジョン・トンプソン、ウィリアム・ヴァンス 製作総指揮:トニー・カタルド、ボアズ・デヴィッドソン、ダニー・ディムボート、アヴィ・ラーナー、トレヴァー・ショート 脚本:ローレンス・デヴィッド・リギンス、レス・ウェルドン 撮影:マイク・サウソン 音楽:ガイ・ゼラファ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、マイケル・ルーカー、キャサリン・デント、ブランドン・ジェームズ・オルソン

 今回のヴァン・ダム特集まで観ていなかった。失敗失敗大失敗。
 だって、ヴァン・ダムがまた一人二役だっていうし、犯罪者の毛髪からレプリカント(クローン)を作って犯人捜しに使うという設定がイマイチ意味不明だし興味を引かれなかったのだ。

 連続して発生する女性惨殺事件。犯人を追う刑事ジェイク(マイケル・ルーカー)は結果を出せないまま警察を引退しボートの修理業を始める。そんな彼の元に国家安全保障局をを名乗る人物が現れ、秘密の研究所へと連れて行かれる。そこでは、1年前に入手した犯人の毛髪からレプリカント(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)を作り出していた。
 レプリカントを託されたジェイクは、その行動から犯人を割り出すことを依頼される。最初は犯人の分身であるレプリカントを憎み行動の程度の低さから人間扱いしなかったが、次第に成長していくレプリカントに奇妙な友情を感じるようになる。
 そんな中、犯人(こちらも当然ヴァン・ダム)は次なる犯行に取りかかる。

 レプリカントが犯人の記憶を持っているのは、DNA情報を引き継いだというトンデモな設定ではなく、遺伝子操作でテレパシー能力を高めており犯人と感応することが出来るからなのだ。まぁ、これもトンデモだが。
 1年で成人男性に成長したのはこれもなんか細工をしたんだろう。
 ヴァン・ダムの一人二役は『ダブル・インパクト』の協力して戦うや『マキシマム・リスク』の出合った時には片方は死んでいるだったが、今回は敵と味方に分かれており、終盤は二人の対決が見物。ジェット・リーの『ザ・ワン』と似た構図だ。体格が似ていて同じようなアクションが出来るスタントマンを探してこないといけないので撮るのがむずかしそうだ。

 だが、今回の見所はヴァン・ダムの演技。最初は赤ん坊状態で、次第に知恵を付けて成長していく様子を上手く演じている。特に、娼婦に誘われてベッドインし、「ここから先は100ドル払ってよ」と言われているのにそれを理解できず女性に抱きついて興奮しているところなんか上手い。そのヴァン・ダムの演技をサポートするのがオレの好きなマイケル・ルーカー。地味ながら骨太な演技で最初はレプリカントを手錠で繋ぎ犬のような扱いをするが、次第にその人間性を認めていく。
 ここまでのまるでフランソワ・トリュフォーの『野性の少年』(1969)を思わせる展開がなかなか感動的である。
 この無垢なレプリカントに対して、残虐非道な殺人鬼の相反する演技が見物。幼児期に母親から虐待を受けたトラウマから子供を虐める母親を殺して回る殺人鬼とただの殺人鬼じゃない。悪役のヴァン・ダムも良いね。ニヤリと笑うと色気のある悪意が見て取れる。

『レジョネア 戦場の狼たち』の回でネスカフェさんに紹介いただいた淀川長治著『いいねぇ!素敵だね!男優編』の古本を取り寄せてみた。
 ゲイリー・クーパーやバート・ランカスター、ケイリー・グラントといった古株からアンソニー・ホプキンス、トム・ハンクス、ハーヴェイ・カイテルにトム・クルーズといった最近の俳優まで37人がずらっと勢揃い。その中に、ヴァン・ダムやシュワルツェネッガー、スティーヴン・セガールが入っているのが日曜洋画劇場と関わっている本とはいえ淀川さんの好みが分かって良い。肉体派好きだもんな。シュワルツェネッガーに冗談じゃなく本気で「一緒にお風呂入りましょうよ」と言った人だ。
 ヴァン・ダムに関しても肉体の美しさについて書いている。シュワルツェネッガーのような超人的な肉体ではなく、人間の男のからだの日常のなかの男の美しさのベスト・ワンとまで書いている。そして、書いた当時のヴァン・ダムは35歳で今はアクションスターで良いが40歳を過ぎてからどうするかが勝負だ。「大人のからだに子供の心。肉体派にはこれが多い。そして時に悲劇を生んで、ジョニー・ワイズミュラーのごとく老人ホームで孤独、しかも頭が狂った。そのような悲劇もある。ヴァン・ダムよ、マーロン・ブランドにはなるな、もっとすごい、俳優になり給え。」
『サドンデス』(1995)の頃のヴァン・ダムにこんなことが書けるのが淀川さんの怖ろしさ。当時、そういった目でヴァン・ダムを捉えていた人が他にいただろうか。
『その男ヴァン・ダム』でヴァン・ダムの演技力に気づいたオレなんかほんと足元にも及ばないのである。それにしても、淀川さんに『その男ヴァン・ダム』を観せて上げたかった。必ずや喜んでくれたに違いない。

B00006S25Y.jpg『ファイナル・レジェンド 呪われたソロモン』(2001) THE ORDER 89分 アメリカ

監督:シェルドン・レティック 製作:ボアズ・デヴィッドソン、ダニー・ラーナー、ジョン・トンプソン 共同製作:レス・ウェルドン 脚本:レス・ウェルドン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム 撮影:デヴィッド・ガーフィンケル 音楽:ピノ・ドナッジオ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、チャールトン・ヘストン、ブライアン・トンプソン、ベン・クロス、ソフィア・ミロス、ヴァーノン・ドブチェフ

 これまでは毎年一本かあるいは二本ペースで作ってきたヴァン・ダムだが、前作から1年空いている。それだけ力を入れたプロジェクトだったのであろう。単に1年休暇を取っただけかも知れないが。

 今度のヴァン・ダムは古美術を専門にした怪盗。今日も今日とてロシアン・マフィアが所有している卵の美術品を盗みに入った。ところが警報装置がないはずがちゃっかりあって警備員に追われてすんでのところで逃げ切る。
 ところがこのオープニングは本編にはまったく関係なく、考古学者である父親の研究室を訪れたところから、物語は始まる。十字軍がエルサレム侵攻をしていた時に、殺戮に倦んだ十字軍兵士がキリスト教徒、ユダヤ教、イスラム教の三大宗教とは違う“オーダー”というまったく新しい宗教を作り出したというのだ。そして父親が持っていたのがオーダーの聖典“ファザー”の最後の一枚。それを持ってイスラエルへ向かう父親だが行方不明になってしまう。
 父を追ってイスラエルを訪れたヴァン・ダムを迎えるのが名優チャールトン・ヘストン。なんでこんな作品に出ているんだと思いきや、登場から10分ぐらいで死んでしまう。ゲスト出演だったのね。
 こうしてファザーを巡りオーダー急進派、そして警察を巻き込む大騒動が始まる。

 ヴァン・ダム版『インディ・ジョーンズ』と言えなくもないが、内容的にはイスラエルの街をヴァン・ダムが建物の屋根から屋根へと逃げ回ったりするジャッキー・チェン的映画。スタントマンの多用が目に付くが、ヴァン・ダムの仕事はアクションでスタントではないから良いのだ。
 大々的なイスラエルロケが魅力で、嘆きの壁を始めとしたイスラエルの名所を観ることの出来る観光映画ともなっている。ヴァン・ダムがユダヤ人に変装したりでイスラエル資本なんだろうか?
 オーダー自体は平和を愛する宗教なのだが、一部急進派がリーダーを爆死させ自分が新リーダーになる。そしてイスラム教とが集まる場所を地下から爆破しようとする。その場所がファザーに書かれていた“ソロモンの秘宝”が集められた秘密の地下室。だが、宝物に目もくれずオーダーの新リーダーの頭には爆破のことしかない。もったいない。
 この新リーダーを演ずるのがブライアン・トンプソン。どうやら『ターミネーター』の冒頭でターミネーターをナイフで刺そうとして腹を突き破られるパンク野郎でデビューしたようだ。ヴァン・ダム映画の『ライオンハート』にも出ていたようだが、覚えていない。DVDの特典によると合気道の黒帯だそうだが、ラストのヴァン・ダムとの戦いは肉弾戦ではなく剣での戦い。十字軍のイメージなのだろうが、せっかく肉体派を敵に持ってきたのにもったいない。
 監督は『ライオンハート』『ダブルインパクト』の監督や『レジョネア 戦場の狼たち』の脚本などでヴァン・ダムとは縁が深いシェルドン・レティック。特に冴えた演出は見せてくれないが、無難な映画を撮る。今回も無難。
 それにしても、さっきも書いたがチャールトン・ヘストンは何をしに出てきたのやら。せめて謎のヒントを残すとか印象的な死に方をして欲しかった。

B0009J8EO6.jpg『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』(1999) UNIVERSAL SOLDIER: THE RETURN 83分 アメリカ

監督:ミック・ロジャース 製作:クレイグ・ボームガーテン、アレン・シャピロ、ジャン=クロード・ヴァン・ダム 製作総指揮:マイケル・ラックミル、ダニエル・メルニック 脚本:ウィリアム・マローン、ジョン・ファサーノ 撮影:マイケル・A・ベンソン 美術:デヴィッド・チャップマン 衣裳:ジェニファー・L・ブライアン 編集:ペック・プライアー 音楽:ドン・デイヴィス
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、マイケル・ジェイ・ホワイト、ハイジ・シャンツ、ザンダー・バークレイ、ジャスティン・ラザード、キアナ・トム、ダニエル・フォン・バーゲン、ジェームズ・ブラック、カリス・ペイジ・ブライアント、ビル・ゴールドバーグ

『ユニバーサルソルジャー』から数年、ドルフ・ラングレンとの死闘を戦い抜いたヴァン・ダムはユニバーサルソルジャー2500の開発に携わっていた。
 ってなんでだよ。自身がユニバーサルソルジャーになってあれだけヒドい目にあったのに、今度は死んだ兵士をユニバーサルソルジャーにする側になってどうする。政府に強制されているとかではなく自ら進んでやっている様子。設定の意味が分からん。
 前作のテレビレポーターをその妻とし娘が生まれた後に死んだ設定になっているが、その娘が人質になっている様子でもでもなさそう。ちなみに妻は死んでいるのがセリフで簡単に説明されて終わりです。出てくれなかったんだろうな。父親役のヴァン・ダムはちょっとレア。
 この『サイボーグ009』がブラックゴースト団で新型サイボーグの開発を行っているような設定がどうしても納得がいかん。

 ともあれ、そうして作られた新型ユニバーサルソルジャー2500は何が2500なのかは不明だが、ヴァン・ダムたち初代ユニバーサルソルジャーよりも強い。しかもヴァン・ダムは改造が解かれて普通の人間になっているので戦って勝ち目はない。
 というわけでユニバーサルソルジャーとヴァン・ダムの格闘戦はほとんどない。ひたすら銃撃戦と爆破。ならヴァン・ダム出す必要ないじゃん。プロレスラーのビル・ゴールドバーグを出す理由ないじゃん。

 ユニバーサルソルジャー2500計画の中心はスーパーコンピューター“SETH”が担い手となっている。ところが「軍事予算削減」のために計画が中止になってしまうことをしった“SETH”はソルジャーたちを操って叛乱を起こすのだ。コンピュータの叛乱物だな?。
 普通のアサルトライフルで撃たれたぐらいでは蚊に刺されたぐらいにしか感じないソルジャーを相手に一般兵士は大苦戦する。うーむ、やはり計画は中止しなかった方がアメリカにとってその後の“イラク戦争”なんかで良かったんじゃないの。
 で、ヴァン・ダムとSETHとの対決となるが、スーパーコンピューターを相手にヴァン・ダムが戦っても絵にならない。そこで“SETH”のメイン回路を人間に埋め込んだスーパーコンピューターソルジャーが登場する。でも大したアクションシーンにならないまま、映画は終わってしまうのであった。

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『ヴァン・ダム IN コヨーテ』 (1999) INFERNO 96分 アメリカ

監督:ジョン・G・アヴィルドセン 製作:イヴツェン・コラー、ジャン=クロード・ヴァン・ダム 脚本:トム・オルーク 撮影:ロス・A・ミール 音楽:ビル・コンティ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、パット・モリタ、ダニー・トレホ、ガブリエル・フィッツパトリック、ラリー・ドレイク

?オレはいつでも燃えている その26?
 砂漠の中にある小さな街。そこは悪党に支配されていた。軍隊時代の友人に会うため、たまたまその街にやってきたエディ(ヴァン・ダム)は友人と一緒に悪党退治に乗り出す。
 と、粗筋を書くといつものヴァン・ダム映画に思える。だが街の住民は悪におびえる善良な一般市民ではなく、風変わりでどこか常識外れの連中ばかり。それにエディは正義の味方ではなく、こいつこそが一番の悪党かも知れない。途中で事件は広がるが、そもそものきっかけは友人(ダニー・トレホ)に贈るはずだったバイクを悪玉の息子たちに奪われたから。それで悪党どもを皆殺しとは、やりすぎじゃないか?

 格闘や銃撃戦などのアクションはヴァン・ダム映画としては控えめ。それよりもエディと風変わりな街の人々との関わりが中心だ。
 中でもパット・モリタ演ずる便利屋と銃砲店のジイさん、そして酒場のパキスタン人店主のジジイ三人組が楽しい。どたばた騒いでるだけかと思ったら意外な活躍をしてくれる。ジジイファンにはぜひともお薦め。
 エディが倒した相手の死体は便利屋がビニールシートで包むと小型トラックで谷へと捨てに行く。最初は2体だが、最後の戦いが終わった後にはどさどさっと豪快に落としている。灼熱の砂漠、1ヶ月後にはまさにINFERNO(地獄)な光景になってそうだ。

 街の近辺でよくUFOが目撃されそれが乏しい観光資源であることや、空軍基地からのジェット戦闘機が時折轟音をまき散らしながら低空飛行で通過していくことなどが上手く活かされている。特にUFOの件はそれを上手く利用して街を活気を取り戻し、悪人たちの死も無駄じゃなかったか。

 休戦状態でにらみ合う犯罪組織同士を上手く対立させて相打ちにさせようというのは黒澤明の『用心棒』およびセルジオ・レオーネの『荒野の用心棒』だ。これは憶測ではない。映画のラストでバスの運転手が食堂のウェイトレスを「サムライの映画を観に行かないか。日本人のやる西部劇で『用心棒』という映画なんだ」とデートに誘うシーンがあり、きちんとオリジナルへの敬意が示されている。

B000OQDSSG.jpg『ノック・オフ』(1998) KNOCK OFF 90分 アメリカ

監督:ツイ・ハーク 製作:ナンサン・シー 脚本:スティーヴン・E・デ・スーザ 撮影:アーサー・ウォン 音楽:ロン・マエル、ラッセル・マエル
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ロブ・シュナイダー、レラ・ローション、マイケル・ウォン、カーメン・リー、ポール・ソルヴィノ

『レジョネア 戦場の狼たち』と同じ年に製作されたとは思えないほど色合いの違う作品となっている。監督は『ダブルチーム』以来二度目となるツイ・ハーク。
『ダブルチーム』にそれほど香港映画色はなかったが、今回は初っぱなから大爆発に派手なアクション。どこか安っぽい映像ともろに香港映画。アメリカ映画となっているが製作は香港人だし香港資本なのか?
 脚本はあの『ダイ・ハード』のスティーヴン・E・デ・スーザ。でもどちらかというと『ストリートファイター』のスティーヴン・E・デ・スーザといった方が正解だろう。緻密な伏線もキャラクターの深みもなく単純で分かりやすくそれでいて何だかよく分からないところも香港映画している。

 時は1997年6月末の香港。長年のイギリス領から中国に返還を迎える直前が舞台だ。これまでのヴァン・ダム作品には何度も香港が登場したが、全編を通して香港からカメラが出ないのは初めて。(エンドクレジットを見るとマニラロケもしているようだが、設定上は香港)
 ヴァン・ダムは元偽造品のブローカー。タイトルの『ノック・オフ』は“打ち負かす”と“模造品”の『KNOCK OFF』をかけているのだ。無駄に凝ってるな。
 現在では足を洗い、アメリカのジーンズメーカー香港支社代表として堅気の仕事をしている。そこへ、ロシアが開発した超小型爆弾が関わる事件が発生する。この爆弾は香港を経由して各種製品に入れられてアメリカに送られる。そして衛星経由で信号を送り爆発させるのだ。同時に、ヴァン・ダムの会社が出荷したジーンズに模造品が含まれていることが分かり、アメリカから美人女性役員が視察にやってくる。さらにはCIAまで登場して事態は混乱の一途をたどるのだった。

 さっきも言ったが、さして複雑ではないのにどうにも意味が分かりにくいストーリー。だがそんなことを気にせずハチャメチャな香港流アクションを楽しめばいい。船大爆発、人力車レース、車は倉庫の二階から飛び出すわ、ヴァン・ダムは原付で室内を疾走する。ついには大仏大爆発。
 アクションの豊富さという点ではヴァン・ダム映画ナンバーワンではないだろうか。それも香港なのでいちいち無茶なアクション。そこで使う意味が分からない超クローズアップや、スコープで狙い撃ちする人物の目にスコープの中をカメラが通って寄っていくなど独特の映像にツイ・ハークは本国へ帰って生き生きとしているのが感じられる。
 敵が香港のアクション俳優やスタントマンなので、空手家のヴァン・ダムでは少し動きが遅いが蹴りを駆使した格闘を見せてくれる。
 波を被った貨物船の甲板で、水に滑りながらの銃撃戦も面白い。えっ、スタントマン使ってるんだろうって?ヴァン・ダムはアクション俳優でスタント俳優じゃないから別に気にしない気にしない。格闘シーンでスタントはあまり使って欲しくないけど、スタントシーンでは問題なし。
 笑わせ役でヴァン・ダムの相棒のロブ・シュナイダーも活躍してくれる。この人、アメリカ本国ではかなり売れっ子なのだが、コメディーがあまりウケない日本では今一つマイナーな存在。面白いんだけどね。

 多分、テレビ東京系の洋画劇場で放映されるタイプの映画。解説の木村奈保子が「あなたのハートには何が残りましたか?」と締めくくるんだろうけど、何も残りません。
 でもそこが良い。お気楽に何も考えずに楽しむんだ!

B00005RUWT.jpg『レジョネア 戦場の狼たち』(1998) LEGIONNAIRE 98分 アメリカ

監督:ピーター・マクドナルド 製作:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、エドワード・R・プレスマン 脚本:シェルドン・レティック、ジャン=クロード・ヴァン・ダム 撮影:ダグ・ミルサム 音楽:ジョン・アルトマン
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、スティーヴン・バーコフ、ジム・カーター、ニコラス・ファレル、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ダニエル・カルタジローン、アナ・ソフレノヴィック

 ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演だがアクション映画ではなくフランス外人部隊を題材にした戦争映画という異色作。

 1925年、フランスのボクサーヴァン・ダムは八百長試合で負けるはずが自らのプライドを優先させて勝ってしまい、犯罪組織にその身を狙われる。八百長を請け負った友人も殺され駆け込み寺のように逃げ込んだのがフランス外人部隊の新兵募集受付。外人部隊に入隊し、南アフリカに派兵されることで身の安全を確保したのだ。しかし、アメリカ行きを約束していた恋人の行方は不明のまま。
 そして、派兵先では過酷な訓練と地獄の戦場が待っていた。

 フランス外人部隊は英語で“French Foreign Legion”。Legionの兵士だから原題は『LEGIONNAIRE(レジョネア)』で、軍団兵などと訳されるようだ。
 アクション部分は序盤の試合のシーンとそれに続く逃走劇だけ。それ以降は完全に戦争映画となっている。
 敵となるのは砂漠の騎馬民族。部隊がどこかははっきりと語られていなかったと思うがモロッコかナイジェリアだろう。フランスが植民地として占領し、それに反抗する現地人との戦いである。
 外人部隊に入隊してくる者は何かしらの過去を背負っている。ヴァン・ダムのように他人から狙われていたり、犯罪者として追われている者。故郷に錦を飾るのが目的な者様々である。
 その中で、恋人の両親から交際を反対され、この外人部隊で男を上げて帰ったらその恋人と結婚するんだと言う男がいる。訓練でも落ちこぼれ気味なこの男だが、戦争映画で「俺、この○○が終わったら結婚するんだ」と発言した者は十中八九死ぬの法則を見事に証明してくれる。
 終盤は半壊した砦に立て籠もって、馬に乗った現地人との激しい戦いである。一人また一人と外人部隊の隊員たちが倒れていく。ヴァン・ダムの命を狙って送り込まれたボクシングの対戦相手も戦友として戦いそして死ぬ。入隊時からヴァン・ダムの戦友だった元イギリス陸軍少佐は、ヴァン・ダムから受け取った最後の銃弾で自らの頭を撃ち抜く。そしてヴァン・ダムは、押し開かれた門から現地人たちが待ち受ける表へと出て行く。
 ここでシュワルツェネッガーやスタローンならば機関銃をバリバリ撃ちまくって、敵を全滅させてしまうところだろう。スティーヴン・セガールならば素手で全員をぶち殺してしまうはずだ。
 だが、この作品でのヴァン・ダムは大勢の敵を前に手も足も出ない。これは本来当たり前のことだがヴァン・ダム映画でこの展開は読めなかった。そして、「お前は勇敢だ」と敵から見逃してもらい恋人が逃げ延びたというアメリカを目指すのだ。

 ちょうど先日NHKBS2で放映された『ボー・ジェスト』(1939)を合わせて観た。ゲイリー・クーパー出演のこの作品もある事件のために外人部隊に入った主人公。終盤は砦に立て籠もっての現地人との戦い。こちらの砦は壊れておらずちゃんとした作りだがデザインはほぼ一緒。主人公一人だけが生き残るところも一緒。恋人のエピソードもある。ひょっとしたら製作にも名を連ねているヴァン・ダムは自分版『ボー・ジェスト』をやりたかったのではないだろうか。

 いわゆるヴァン・ダム映画とは趣が違い、ラストもハッピーエンドとは言い難い。役柄を広げるという意味では成功しているが、ファンの評判はどうだったのだろうか。結局はヴァン・ダム映画に戻ってきたのであまりウケなかったのだと予想するが。

B001FYZOA6.jpg『ダブルチーム』(1997) DOUBLE TEAM 93分 アメリカ

監督:ツイ・ハーク 製作:モシュ・ディアマント 脚本:ドン・ジャコビー、ポール・モネス 撮影:ピーター・パウ 音楽:ゲイリー・チャン
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、デニス・ロッドマン、ミッキー・ローク、ポール・フリーマン、ナターシャ・リンディンガー、ション・シンシン

 監督はこれがハリウッドデビュー作となる香港のスピルバーグことツイ・ハーク。共演は相棒役に元バスケのスーパースターであるデニス・ロッドマン。悪役にミッキー・ロークとなかなか豪華な顔ぶれだ。

 ツイ・ハークは根っからの香港人だと思われがちだが、実はベトナムで暮らしていたことがあり戦争難民として子供時代に香港にやってきた。学生時代にはアメリカへ留学し、テキサス州立大学で映画作りを学んでいる。
 そのためか、他の香港出身監督のハリウッドデビュー作になんらかの違和感を感じるのに対し、ツイ・ハークはハリウッドの映画作りを理解しているように思う。萎縮した感じはなく伸び伸びとやっている。

 今回のヴァン・ダムは元凄腕スパイ。今は引退して妊娠した妻とフランス郊外でのんびりと暮らしている。そんな彼の元に新たな依頼が届く。それは彼と過去に因縁を持つフリーランスの悪党ミッキー・ロークと捕まえるという物だった。
 だが、作戦が実行段階に移り、いよいよという時点でヴァン・ダムが躊躇してしまい、ミッキー・ロークには逃げられ彼の妻と子供を殺してしまう。
 この任務失敗で、ヴァン・ダムは死亡扱いされ、死んだことになっている元スパイたちが暮らす島に送られる。そこで彼等は各情報の分析に勤しんでいるのだ。
 水中にはレーザー網が張られ、外界との唯一の接点は荷物を投下し回収していく飛行機だけ。テロの情報を分析中に、ミッキー・ロークが自分が生きていることを知っており、身重の妻を人質に取ったことを知ったヴァン・ダムは怪我した身体をリハビリで鍛え直しなんとか島を脱出し、協力者を求めて武器商人のデニス・ロッドマンの元を尋ねる。
 こうして二人のチーム(ダブルチーム)はミッキー・ロークを追うこととなる。

 まず、ミッキー・ローク捕獲作戦でヴァン・ダムが実施命令躊躇した理由が分からない。麻酔銃を使うので息子の目の前で殺そうというわけではない。
 次いで、武器を求めに来ただけのヴァン・ダムにデニス・ロッドマンがそれほどまでに入れ込む理由が分からない。昔に借りがあるとかそういう訳ではないので、最後の最後までヴァン・ダムに身の危険を冒して付き合う理由がよく分からない。
 などなど疑問点はいくつもあるのだが、それを気にさせないアクションの連打はさすがだ。香港映画のようにはいかないが、全体をアクションを繋げることで構成しており、細かいことをあれこれ考える暇がない。アクションの撮り方はやはり上手い。
 なかなか良い対戦相手に恵まれないヴァン・ダムだが、今回はホテル内でツイ・ハークが香港から連れてきたション・シンシンとの戦いがある。足技を中心としたこの対決はなかなかの見物で、ション・シンシンの動きの早さにヴァン・ダムがついて行けていないシーンもある。
 そしてラスボスはローマの円形闘技場でのミッキー・ローク。生まれたばかりのヴァン・ダムの息子を人質に取り、上半身裸で競技場の真ん中に突っ立っている。この肉体がなかなかムキムキ。そういえば、ミッキー・ロークはボクシングをやるのであった。“猫パンチ”だけれども。
 アクション俳優ではないことを考えるとミッキー・ロークの戦いぶりはそれなりに見事。しかも味方に本物の虎が付いている。いや、完全な味方じゃないか、しょせん動物だしな。

 そもそもタイトルの『ダブルチーム』がバスケ用語なデニス・ロッドマンがバスケネタを言い過ぎたり極秘任務中なのに登場する度に髪型が変わっていたり(いつ変えとんじゃ)、途中で関係ない通りすがりの民間人が多数犠牲になるなど、ちょっとこれは……と思うシーンもあるが、爆発する車をバックに歩いて行くミッキー・ロークの姿や、彼の使うフルオートマチックの拳銃の格好良さ、貴重な文化遺産である円形闘技場をなんの躊躇もせず爆破してしまう無茶ぶりは良い。しかし、どれだけ威力のある地雷なんだ。

B00005G0KD.jpg『クエスト』(1996) THE QUEST 94分 アメリカ

監督:ジャン=クロード・ヴァン・ダム 製作:モシュ・ディアマント 脚本:スティーヴン・クライン、ポール・モネス 撮影:デヴィッド・グリブル 音楽:ランディ・エデルマン
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ロジャー・ムーア、ジャネット・ガン、ジェームズ・レマー、ジャック・マクギー、ルイス・マンディロア、アキ・アレオン、北尾光司
 ヴァン・ダムの初監督作品。ちなみに現時点で唯一の監督作品。だが、所々で素人監督を感じさせるものの意外とまともな作品に仕上がっていて、アクション部分以外も楽しめる作品となっている。

 現代のニューヨーク。飲み屋に杖を突いた老人が現れた。その老人は店に押し入ってきた三人組の強盗をいとも容易く叩きのめして追い出してしまう。「あんた、なんでそんなに強いんだね」と尋ねる店主に、「そうだなあれは1925年だったか……」と老人は驚くべき冒険譚(クエスト)を語り始める。

 当時、ニューヨークの街で浮浪児たちを率いてはこそ泥まがいの犯罪で生計を立てていたヴァン・ダムだが、犯罪組織から大金を盗んだことから命を狙われ港に停泊していた船に潜り込む。出航後に見つかり手錠をかけられてこき使われていたヴァン・ダムを助けたのは海賊まがいの行為をしているロジャー・ムーア。しかし、この男はとんだ食わせ者でヴァン・ダムをムエタイ島の住人に売りつけると自分はさっさと逃げ出してしまう。
 ムエタイ島というからにはムエタイが島技で半年間の間、ヴァン・ダムもみっちり修行を積む。
 その頃、チベットの忘れられた町で開催される極秘の総合格闘技大会“ガンゲン”の招待状が各国の猛者たちに届けられた。アメリカのボクサー、フランスのサバット使い、中国のクンフー使い、ブラジルのカポエラ使い、そして中には日本の関取(元横綱・双羽黒こと北尾光司もいた。
 ヴァン・ダムはアメリカのボクサーと戦い、代わりに出場権を得る。果たして強敵を相手に勝ち抜き、見事優勝することが出来るのだろうか。

 総合格闘技戦ということで、ヴァン・ダムの『ブラッドスポーツ』(1987)が思い出される。
 様々な格闘技が完璧とは言えない物のかなり再現されており、格闘技マニアには嬉しい作品ではないだろうか。
 中にはキルト姿のスコットランド人なども出デビュー作てくるが、スコットランドに独自の格闘技があっただろうか。なんか、丸太を投げているぐらいしか思い浮かばないが、あれは格闘技じゃないだろうし。
 日本人としてやはり注目したいのは北尾の相撲。『ブラッドスポーツ』の関取は単なる体格の良い香港人だったが、北尾は色々と問題があったとはいえ一時期は大相撲の頂点に立った男。まずは沖縄代表との戦い。(日本と沖縄は別扱いになっている)。琉球空手の使い手の技を容易く受け流し投げ一本で試合を決めてしまう。さすがだ。
 トルコ代表の試合では立ち会いのぶちかまし一本で決まり。強い。
 この調子で優勝争いに関わってくると思われた北尾だが、モンゴル代表に叩きのめされてしまう。相撲がモンゴル人に打ち負かされてしまう。これはモンゴル人横綱・朝青龍などモンゴル人力士に日本人がねじ伏せられている現在の日本の大相撲の状況を予言していたのではないだろうか、と無駄に深読み。このモンゴル代表が最後の対戦相手となる。
 ヴァン・ダムはムエタイを使い、華麗な足技などで勝ち残っていく。
 そんな最中、黄金で出来た龍の像を盗もうと画策するロジャー・ムーアがコメディ・リリーフとして活躍してくれる。最初は、なんでこんな映画にロジャー・ムーアが出ているんだと思ったが、軽めでちょっと詐欺師っぽい役が実に似合う。
 『ブラッドスポーツ』と同じく、女性記者がヒロインとして登場するが、物語においてはほとんどいなくてもかまわない存在だ。男ばかりの画面を嫌っての起用だろう。

 時折使われる妙なスローモーションが素人監督を感じさせる。スローモーションといっても高速度撮影によるものではなく、通常の1秒間24コマで撮影したフィルムを編集段階で引き伸ばした物。オレはこれを“ニセスローモーション”と呼んでいる。
 素人監督はスローモーションやズームなど機械的演出を使いたがるが、上手く使いこなしている人は少ない。

 実際に出場してから面白くなるが、それまでのヴァン・ダムがこき使われたり売り飛ばされたりする前半部分が少々退屈。

B000STC8YE.jpg『マキシマム・リスク』(1996) MAXIMUM RISK 100分 アメリカ

監督:リンゴ・ラム 製作:モシュ・ディアマント 脚本:ラリー・ファーガソン 撮影:アレクサンダー・グラジンスキー 音楽:ロバート・フォーク
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ナターシャ・ヘンストリッジ、ジャン=ユーグ・アングラード、ザック・グルニエ、ポール・ベン=ヴィクター、フランク・センジャー、ステファノス・ミルトサカキス、ステファーヌ・オードラン

 毎日のようにヴァン・ダム映画を製作年度順に続けて観ているが、とにかく勢いで突っ走ってきたヴァン・ダムがこの辺りで息切れがしてきた感じがする。これ以降、いわゆるヴァン・ダム映画の率が格段と高くなっていく。
 監督のリンゴ・ラムは香港出身でアクション一辺倒ではなく文芸風の作品もこなす俊才。この作品がハリウッドデビュー作となるが、同じくヴァン・ダム映画でハリウッドデビューしたジョン・ウーと比べると、ヴァン・ダムとの息が合っていない感じ。文芸色も上手く活用されておらずちぐはぐだ。

 フランス南部の街で一人の男が何者に追われて逃げまくったあげくに事故死する。その男はフランス警察のある刑事と瓜二つであった。
 刑事は死んだ男が生き別れだった双子の弟だったと母から聞き出し、その足跡を追ってアメリカへと渡り、弟がロシアン・マフィアの一員であったことを知る。そして、裏切り者の弟と間違われてロシアン・マフィアに追われることになる。

 双子というネタはすでに『ダブル・インパクト』で使っているし、しかも今回は二人が顔を合わせた時点で片方はすでに死んでいる。弟に間違われるというのもさほどサスペンスとして役に立っているとも思えない。
 ロシアン・マフィア側の力関係や役割も整理されているとは言い難く、FBIの二人組においてはストーリーを混乱させるために出てきたとしか思えない。とにかく敵の目的意識がはっきりしない。これらのため、さほど複雑ではないはずのストーリーが込み入ってしまっている。
 敵側に怪力の巨漢男が登場するが、それも使いこなせていない。タクシーの運転手ももったいない。
 どうにも粗ばかり見えてきてしまうが、歯車が上手く噛み合っておらず数々の要素が機能していないのだ。アクションはがんばっているので、上手く話しが回れば面白い映画になっていた可能性は大いにある。
 それにしても、カーアクションのシーンではぶつかったり壊れたりする車が見事なまでに全て年季の入った中古車。ヴァン・ダムの車ぐらい新車を使えないものだろうか。

 前作『サドン・デス』では父親役だったので脱ぐシーンがなかったが、その分を取り返すかとばかりにヴァン・ダムは脱ぐ。しかも今回は脱ぐ相手が『スピーシーズ/種の起源』のナターシャ・ヘンストリッジ。ほとんど脱ぎ合戦である。ロシアン・マフィアが集うサウナでは腰にタオル一丁で戦うヴァン・ダムの姿を観ることが出来る。ほんと、脱ぐの好きだな。
 そんな中、ヴァン・ダムの仕事仲間の刑事役のジャン=ユーグ・アングラードが「俺はここで何をしているのだろう」と言わんばかりの困った顔が記憶に残る。
 ちなみにこの作品、DVDだけではなくBlu-rayも出ている。ジャン=ユーグ・アングラードがキャスト面での無駄遣いならば、『マキシマム・リスク』のBlu-rayは技術の無駄遣いと言ったら怒られるだろうか。

B0019K0X8O.jpg『サドン・デス』(1995) SUDDEN DEATH 110分 アメリカ

監督:ピーター・ハイアムズ 製作:モシュ・ディアマント、ハワード・ボールドウィン 製作総指揮:アッシュ・シャー、アンダース・ジェンセン、サニル・シャア、サンディップ・シャー 原案:カレン・ボールドウィン 脚本:ジーン・クインターノ 撮影:ピーター・ハイアムズ 音楽:ジョン・デブニー
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、パワーズ・ブース、レイモンド・J・バリー、ホイットニー・ライト、ロス・マリンジャー、ドリアン・ヘアウッド、ケイト・マクニール、マイケル・ガストン、オードラ・リンドレイ、ブライン・ディレイト

 ヴァン・ダムは消防士だったが、現場で煙と火に巻かれた少女を助けることが出来なかった心の傷から引退し、今ではスタジアム・アリーナの消防管理官をやっている。明らかにはされていないが、これがきっかけとなって離婚し息子と娘の親権は元妻に取られているようである。
 今夜、アリーナでアイスホッケーの大事な否試合が行われ、数万人の観客に副大統領まで特別ボックス席で観戦している。ヴァン・ダムも元妻との取り決めを破って子供たちを会場に連れてきてた。そのアリーナがテロリストに乗っ取られるが、一般観客はそのことに気づかず試合を楽しんでいる。試合終了時に大爆発が起こるとは知らずに。

『ダイハード』や『沈黙の戦艦』などのテロリストによる占拠物だが、人質の大半が自分たちがどんな事態に陥っているか知らずに試合を観戦し続けているというのが珍しい。
 華やかなその裏でヴァン・ダムがテロリストと死闘を繰り広げる。

 副大統領に出す料理が作り終わって料理人はみんな帰ってしまって無人の調理場でヴァン・ダムが戦うのだが、ステーキを焼いている鉄板で火傷しそうになるわ、フライドポテトを揚げている熱い油に頭を突っ込まれそうになる。誰か調理してるんじゃないのか?他にも素材が出しっぱなしになっている。スタッフが勝手につまみ食い?もし調理機器を加熱したままにして帰っているのならば、それこそ消防管理官であるヴァン・ダムの仕事だろう。
 元消防士が何故こんなに強いのか。そして爆弾の解体まで出来るのか。果ては、キーパーの防具に身を包んでリンクに立ちホッケーに出場しなければならないのか。それもこれもヴァン・ダムだからだ。

 監督は前作の『タイムコップ』と同じピーター・ハイアムズ。
 選手が活躍し観客が楽しむ試合のシーンと副大統領が人質になっていて人も殺されている特別ボックス席、そして駆けずり回るヴァン・ダムの主に三つの舞台がモザイク状に組み合わせて試合と物語のクライマックスが相互に増幅しあって盛り上げていく手法はさすが。
 意外すぎる裏切り者やご都合主義的すぎる展開、外で爆発が起きているのに観客が一切気づかないなど重箱の隅をつつきたくところもあるが気にしない気にしない。20個は仕掛けられているはずの爆弾解体も途中からどうなったんだか。
 ただ、テロリストが民間人を気楽に殺しすぎるのはちょっと嫌な感じだ。だから悪投なんだろうが、娯楽作としては後味が悪い。

 アイス・ホッケーは15分毎の休憩をはさんだ各20分のピリオド三つで行われる。そして第3ピリオドが終わった時点で同点の場合は先に点を入れた方が勝ちの“サドンデス”となる。(そうでないルールもあるようだが)スポーツのルールに“サドンデス(突然死)”とはさすがアイス・ホッケーは氷上の格闘技だけあって荒っぽい。ま、ゴルフやサッカーでもサドンデスはあるそうだけど。オレにはTV番組『たけしのお笑いサドンデス』が最初に思い出されてしまう。
 終盤はドームアリーナの上での高所アクション。ヴァン・ダムの場合、こういうスタント的アクションは意外と珍しい。
 悪党もよりによってヴァン・ダムの娘を人質に取らなくても良いのに。

B0009J8EG4.jpg『ストリートファイター』(1994) STREET FIGHTER 102分 アメリカ

監督:スティーヴン・E・デ・スーザ 製作:エドワード・R・プレスマン 脚本:スティーヴン・E・デ・スーザ 撮影:ウィリアム・A・フレイカー 音楽:グレーム・レヴェル
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ラウル・ジュリア、ミンナ・ウェン、ウェス・ステューディ、バイロン・マン、ダミアン・チャパ、ロシャン・セス、カイリー・ミノーグ、澤田謙也、ロバート・マモーネ、ジェイ・タヴァレ、グレッグ・レインウォーター、アンドリュー・ブリニアースキー、ピーター・トゥイアソソポ、ミゲル・ヌネズ・Jr、サイモン・キャロウ、グランド・L・ブッシュ

 前回紹介の『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』はバカ映画かと思って観に行ったら意外にしっかりした本格的な映画だった。そして『ストリートファイター』はジャン=クロード・ヴァン・ダム主演と言うことでド派手な格闘アクション映画かと思って観に行ったらバカ映画だった。

 監督と脚本は『ダイハード』の脚本家スティーヴン・E・デ・スーザ。さすがに頭を使いしっかりと書き込まれた脚本だ。ただし、その力のうち92.48%はいかにキャラクターたちにゲームでの服装をさせるかに使われている。そういえば『バトルランナー』の脚本家でもあるのか・・・
 原作はカプコンの格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズ。登場するキャラクターからすると『ストリートファイターII』の系統だろう。ゲーム中では白や赤の胴衣はまだしも、チャイナ服や相撲取り、腰に巻いた下着だけのインド人などが登場する。映画では最初はみんな普通の服装だ。それをどうやってコスプレ衣装にもっていくかが見所である。

 一番極端な例であるダルシムについて説明しよう。ダルシムとは先ほど紹介した腰巻きと首輪・腕輪だけを身につけたインド人で、ゲームではヨーガの修験者ということになっている。
 映画では修験者ではなく科学者だ。ダルシム博士である。当然裸同然のスタイルではなく、白い服を着ている。バイソン将軍に捕らえられて研究を強要されており、首かせ・手かせを鎖で繋がれている。演じているのはベン・キングスレーにちょっと似ていなくもないインド系の俳優で、ちゃんと髪の毛もある。
 それが終盤の騒動に巻き込まれて火災に遭い、服は焼け髪も燃えてスキンヘッドとなってしまう。首かせ・手かせは金属製なので燃えずに残っており、ほーらちゃんとゲームと同じ格好に。スティーヴン・E・デ・スーザの見事な手腕である。
 アメリカ映画と言うことで主人公はヴァン・ダム演ずるガイルに変更。ゲーム中の得意技サマーソルトキックもちゃんと使う。バク転しながら蹴るというこの技は、思えばヴァン・ダムのスクリーンデビュー作である『シンデレラボーイ』で悪役をやったときに、主人公の少年ジェイソンに決め技として食らわされた物だ。それをヴァン・ダムが主人公として使う日が来ようとは。ファンにとっては感慨深いものがある。
 春麗がちょっとオバサンになっていて可愛くない。代わりにキャミーが可愛いからいいか。ロシア人レスラーのザンギエフもバカで可愛い(?)。ダイナマイトを積んだトラックが自陣地に突っ込んでくるのをモニターで見ていて「チャンネルを変えろー」と叫んで、まわりの連中に「バカ?」って目で見られている。さらにはバイソンのイカれた演説に本気で感動していて、自分たちが正義の側でガイルたち連合軍が悪だと思い込んでいる。だがラストでは勘違いに気づいて主人公たちを助ける味のあるキャラだ。

 リュウの波動拳(両手をかめはめ波風に使う単なる突き)やケンの昇竜拳(極端なアッパー)などトホホ感があってある意味うれしい。
 敵の親玉バイソン(日本のゲームではベガという名だが、女性的な名前(琴座のベガね)と言うことでアメリカではバイソンに変更されている)が、『アダムズ・ファミリー』や『ルーキー』のラウル・ジュリアということで、ラストのヴァン・ダムとの死闘はアクション的には期待できない。そもそも、本格的な格闘アクションができる出演者があまりいない。アクション映画と言うよりもコメディ映画色の強いバカ映画だ。

『ストリートファイター』が実写で映画に登場したと言うことでは実はジャッキー・チェンの『シティハンター』(1993)の方が先。豪華客船の中にあるゲーム機が暴走して、なぜかジャッキーたちがゲームキャラに変身してしまい、戦うシーンがある。
 ジャッキーが変身するのは女性キャラの春麗。豪快にスピニンバードキック(上下逆さまになって足を開脚し、竹とんぼの様に回転しながら飛び回るキック)を放つ。ゲームの技を見事に映像化しているが、ジャッキー女装かよ。
 企画段階では『ストリートファイター』にはジャッキーも出演し、ヴァン・ダムと二枚看板になる予定だったそうだ。ひょっとしたらジャッキーの出演が不可能となった時点でアクション映画からバカ映画に変更されたのかも知れない。

 バイソンが操るコンソールがジョイスティックに6つボタンの『ストリートファイター』仕様となっているのはギャグなんだろうが、ガイルがバイソンの頭を鐘に叩き付けると「ゴーン、ゴーン」となるのは「ギャグ」なんだか「本気」なんだかちょっと微妙だ。バイソン軍の兵士は特撮ヒーロー物の悪役みたいだしなぁ。この微妙感がこの作品の魅力でもある。まぁ魅力かどうかも微妙だが。
『ストリートファイターII』は学生時代にダッシュの頃から遊んでいた。ちなみにダルシム使い。当時「塩釜口ダルシム」と言えば有名だった。オレの中では。世間では知らん。
 就職して会社の寮に入り、同期のヤツの部屋に遊びに行ったら『ストリートファイターII』の基盤があり、そいつをテレビに繋げてプレイしていた。結構高い金を出して買ったんだそうだ。
「そこまでしなくても、スーパーファミコン版があるじゃん」と言ったら、「そっちじゃ技の出るタイミングが微妙に違うんだ」と反論された。

 ラストカットは主人公側のキャラが全員揃って決めポーズでストップモーションに。
 苦労しただけあって、みんなゲームと同じ服装になっている。うむうむ。

 ハリウッドで再映画化の企画がされそちらは春麗が主役。タイトルは『ストリートファイター レジェンド・オブ・チュンリー』だが内容はシリアスのようで春麗は普通の服装だし、アクションも普通でスピニングバードキックなどはしないようだ。ベガやバルログ、バイソンは出るようだが……あれ?アメリカ版だと名前が違うんだよな。
 結局、一番ゲームに忠実なチュン・リーは『シティ・ハンター』内でジャッキー・チェンが演じたやつかも知れない。

B0007XG6AS.jpg『タイムコップ』(1994) TIMECOP 99分 アメリカ・日本

監督:ピーター・ハイアムズ 製作:モシュ・ディアマント、サム・ライミ、ロバート・タパート 原作:マイク・リチャードソン、マーク・ヴァーヘイデン 脚本:マーク・ヴァーヘイデン 撮影:ピーター・ハイアムズ デザイン:シド・ミード 音楽:マーク・アイシャム
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ミア・サラ、ロン・シルヴァー、ブルース・マッギル、グロリア・ルーベン、スコット・ベリス、ジェイソン・ションビング、スコット・ローレンス

 冒頭でLARGO ENTERTAINMENT PRESENTSの文字が出る。あったなー、ラルゴ・エンタテインメント。JVC=日本ビクターが出資した会社でハリウッド映画を製作したのだが、最初の作品『ハートブルー』(1991)がちょっとウケたぐらいで、あまり大した作品は残していない。
 バブルの時期は金余りという奴で、余った金の出資先としてハリウッド映画が標的になったのだ。松下もユニバーサルを傘下に持つMCAを買収した。でも、大概がこけて成功したのはコロンビアのSONYぐらいだ。映画はその国の文化だから、単に金があれば簡単に手に入るってものじゃないのだ。
 そのコロンビア・ピクチャーズで大ヒットシリーズ『スパイダーマン』を撮ったサム・ライミが製作に名を連ねている。この人、実は監督作よりも製作業の方が忙しいぐらいに多くの作品を手がけている。

 監督はピーター・ハイアムズ。『2010年』のようなSFから『シカゴ・コネクション/夢みて走れ』のような刑事物まで幅広い作品を手がける。最近は『ヤング・ブラッド』(2001)や『サウンド・オブ・サンダー』(2004)など冴えない作品が多いが、脚本も書けば撮影監督もやるという多芸ぶり。この作品でも撮影も担当している。

 近未来の2004年(今となっては過去だが)、タイムマシンが実用化され過去へのみ時間旅行が可能になっていた。そこで過去を変革することで現在に影響を及ぼすことを防ぐために時間警察が設立された。彼等こそ時間を守る“オタスケマン”……じゃなくて時空管理委員会タイムコップ。
 ヴァン・ダムはそのタイムコップ隊員の一人。元同僚が1929年の大恐慌に飛び、暴落しまくった株を買いあさって未来で高値になったところを売ろうと企んでいるところを逮捕する。そこで、元同僚個人の犯罪ではなく、時期アメリカ大統領候補が黒幕として存在していることを知る。

 時間移動して現れる時に、むにゃ?んと空間が歪む。今見るとちゃちなCGだが、これが意外と効果的。走ってくるトラックの前に現れるシーンなど面白い。
 ただ、タイムマシンはロケットにて高速で水平発射されるタイプなので、そのタイムマシン本体も一緒に消えるのだが過去に現れるのは人間だけ。マシンがどうなってしまうのかは謎。それと、移動している運動エネルギーはどうなってしまうのか。タイムトラベル時に消費するのか?原案の二人はダークホース・コミックス社の人間だし、細かい理屈よりも見た目優先なんだろう。
 タイムマシンや2004年の未来カーをデザインしたのは『ブレードランナー』などのシド・ミード。正直、両方とも感心するデザインではない。特に未来カーは普通の車に白いデコボコの板をゴテゴテと貼りまくっただけだし、中は宇宙船のコクピットのように閉鎖的で息が詰まりそうだ。
 SFメインなのでアクションは控えめ。ただ、またもやヴァン・ダムは脱ぐ。自宅で床にこぼれた水に致死的電流ガンの電流が流れるのを防ぐために流しに180度開脚のシーンもきっちりパンツ一丁。
 ストーリーとしては早い段階で悪役がはっきりしてしまうのと、「こいつは裏切るだろうな」というのが分かってしまうので少々物足りない。“同一の物は同一の場所に存在できない”というのも理屈が謎。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでドクも同じようなことを言っていたが、あれは気絶するだけだったはず。ところがこちらはグチャラグチャラのドロンドロン。
 タイムマシン物と言えばタイムパラドックスだが、この作品ではかなりお粗末。死んだみんなは過去を変えて生き返らせちゃえばいいじゃんとお気楽なもの。
 ラストでヴァン・ダムは生まれてこなかったはずの10歳の息子が生きている世界に帰ってくることになるが、この場合は息子と10年を過ごしたヴァン・ダムはどこへ行ってしまったんだろうか?同様の疑問は『バック・トゥ・ザ・フューチャー1』のラストでも感じたことだけど。成功した両親たちと暮らしてきたマーティーの存在はどうなっちゃったの?

B0019K0X8Y.jpg『ハード・ターゲット』(1993) HARD TARGET 100分 アメリカ

監督:ジョン・ウー 製作:ジェームズ・ジャックス、ショーン・ダニエル 製作総指揮:サム・ライミ、ロバート・タパート 脚本:チャック・ファーラー 撮影:ラッセル・カーペンター 音楽:グレーム・レヴェル
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ランス・ヘンリクセン、アーノルド・ヴォスルー、ヤンシー・バトラー、ケイシー・レモンズ、ウィルフォード・ブリムリー、チャック・ファーラー

 今となってみると『ボディ・ターゲット』は『ハード・ターゲット』にあやかったパクリっぽいタイトルに見えるけど、アメリカ公開はそれぞれ1993年1月に1993年8月、日本公開は1993年9月に1994年1月と『ボディ・ターゲット』の方が半年ほど先なんだよね。
 ジョン・ウーが監督というのが当時それほど売りになったとも思えないし、まだ公開されていない海のものとも山のものともつかない作品からタイトルを持って来るとも思えないんだが『ハード・ターゲット』の原題がそのまま『HARD TARGET』なのに対し『ボディ・ターゲット』は『NOWHERE TO RUN』だから影響がないとも言い切れない。『ターゲット』シリーズで売ろうとしたのか?でもたしか配給会社は違うんだよな。ちょっと謎。

 製作総指揮にサム・ライミの名前がある。サム・ライミは『ダークマン』(1990)や『死霊のはらわた3 キャプテン・スーパーマーケット』(1993)を撮ってた頃で、『スパイダーマン』シリーズで有名となっている今とは違いまだまだ一部の人以外にはマイナーだった。ジョン・ウーのハリウッドデビューのはサム・ライミが大きく関わっているのだ。
 個人的想像だが「香港で面白い映画を撮っている奴がいるからこっちで一本撮らせてみねぇ」が企画の発端だったのではないだろうか。今でこそ香港や中国の映画監督がハリウッドで映画を撮ることも多くなったが、その第一弾とも言えるのがこの『ハード・ターゲット』。
 ジョン・ウーはその後ヒット作を飛ばし、『ウインドトーカーズ』(2002)のような歴史的興行失敗作も作るが最近では『レッドクリフ』シリーズで腕を振るっている。
 この映画はあくまでもジョン・ウー映画でヴァン・ダム映画ではないと思っている。まずなによりジョン・ウーに格闘アクションを真面目に撮る気がない。主人公のチャンス・ブドロー(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)とヒロインが出合うシーンでヒロインのカバンを奪おうとしたチンピラを素手で叩きのめすのだが、これがひたすらスローの連打で工夫が感じられない。銃撃戦のシーンになると一転して輝き始めるのと対照的だ。
 格闘アクションと言えばヴァン・ダムの本領、銃撃戦と言えばジョン・ウーの本領。前編に散りばめられた銃撃戦がこれがジョン・ウー映画であることを明確に示している。

 ニューオリンズの街に一人の女性がやってくる。彼女は母親と離婚して長いこと行方不明だった父を捜しているのだ。
 だが、父はホームレスに身を落としていて、金持ちが人狩り業者に依頼して行っている人狩りの餌食となっていた。真実に近づくほど、二人の身にも危険が迫る。今回のヴァン・ダムは襟足が長目の髪型で、彼としてはちょっと珍しい。

 一度は依頼を断ったチャンスが、再び女性の前に現れるシーンはフォークリフトが運ぶ青いドラム缶が通り過ぎたらさっきまで誰もいなかったところにチャンスが立っているところを微妙なスローの繰り返しで見せる。格闘アクションのやる気のないスローと違っていわゆる“ジョン・ウースローモーション”。これだけで背筋がゾクゾクくる。
 悪役はランス・ヘンリクセン。痩せ形でギラギラした目つきが印象的だ。非情でイカれててピアノも上手い。傭兵として各地を戦い歩いてきた猛者で、よりよい稼ぎの道として人狩りの斡旋を始めたのだ。単発式の拳銃トンプソン・コンテンダー(『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』でも眼帯の敵役が使用)を愛用していてキャラクターを立たせている。部下のアーノルド・ヴォスルーとはちょっと同性愛っぽい雰囲気がある。
 ヴァン・ダムがバイクの手放しでしかも座席の上に中腰になっての拳銃乱射はさすがにちょっと無茶だが、後に『M:I-2』(2000)でトム君が「仮面ライダーかっ!」なバイクアクションの原形なのかも知れない。

 最大の見せ場はカーニバルの道具(ねぶた祭りのねぶたのような張りぼて)が山のように積まれた倉庫での一大銃撃戦。怪物じみた張りぼてが並んでいて、銃撃アクション物のラストで使われることの多い単なる工場などにはない華がある。チャンスの育ての親であるジジイが仲間に加わり、弓矢で参戦。意外な活躍ぶりを見せてくれる。手作りウィスキーを作っているこのジジイが良い味出してる。
 ヴァン・ダムが使うのは『男たちの挽歌』シリーズのチョウ・ユンファと同じくM92Fの二丁拳銃。もちろんハトも飛ぶ。
 敵はランス・ヘンリクセンがかき集めた人殺しに夢中な大金持ちたち。事情があって人を殺すのももちろんいけないが、こいつらはもっと悪い。楽しみのために人を殺す奴らだ。悪人面勢揃いっ!お前らに明日を迎える資格はないっ
 ここからはひたすらドンパチ。拳銃にサブマシンガン、ショットガンが炸裂する。あっちでドッカン、こっちでドッカンのやたらに派手な銃撃戦が実に過剰で嬉しい。チャンスのM92Fは撃っても撃っても弾切れにならないが、よく見ると倒した敵からマガジンを奪っているので、観客から見えないカットの変わり目にマガジンチェンジをしているのだ。きっと。
 他にチャンスが使うのは、モスバーグM500。こいつは『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』でテキーラ(チョウ・ユンファ)が使っていたショットガン。やはり着弾点が爆発する大袈裟な威力。
 散々M92Fを二丁拳銃で撃って撃って顔面に回し蹴り。そしてさらに撃って撃つ。チャンスは容赦しない男なのだ。そしてこれでもかの派手な銃撃戦の嵐。ランス・ヘンリクセンの情けない死に方も良い。手榴弾を分解せずとも投げ返せばいいじゃないか。
 チャンスとアーノルド・ヴォスルーが壁越しに背中合わせに会話をするところなどは、これまたジョン・ウーが前年に撮った『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』(1992)に似たシーンがある。ジョン・ウーの最高傑作である前作の影響は大きいようだ。『ハード・ボイルド』の銃撃戦はさらにスゴイ必見映画。

 ランス・ヘンリクセンがヘマをした部下の耳たぶをはさみで切り落とすところがあって、このシーンが残虐すぎると言うことでアメリカでは問題になったようだ。ジョン・ウーとしては「このぐらいは香港では当たり前」と不満だったとか。
 その他にも香港とアメリカの文化の違いでジョン・ウーはかなり苦労した様子。その苦労はしばらく続き、『ブロークン・アロー』(1996)の終盤には高い鉄橋のシーンがあるがその鉄橋から飛び降りようかとも思い悩んだそうである。

B001FYZO7O.jpg『ボディ・ターゲット』(1993) NOWHERE TO RUN 94分 アメリカ

監督:ロバート・ハーモン 製作:クレイグ・ボームガーテン、ゲイリー・アデルソン 原案:ジョー・エスターハス、リチャード・マーカンド 脚本:ジョー・エスターハス、レスリー・ボーエム、ランディ・フェルドマン 撮影:デヴィッド・グリブル 音楽:マーク・アイシャム
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ロザンナ・アークエット、キーラン・カルキン、テッド・レヴィン、ティファニー・トーブマン、エドワード・ブラッチフォード、アンソニー・スターク、ジョス・アックランド、ルアナ・アンダース

 まずはオープニング。荒野の丘を伸びている道の上を囚人護送バスが延々と走ってくる。遠くにポツンと見えるところからカメラの横を通り過ぎていくまでだからかなり長い。ヴァン・ダム映画にこのファーストショットを持ってくるセンスっていいね!これから何が起きるかゾクゾクさせるオープニングだ。さすが『ヒッチャー』の監督ロバート・ハーモンだけのことはある。
 他にもこの映画には妙に凝った映像が多くて、前に割り込んだ車にバスが衝突すると、その中の通路をカメラがダーッと前に向かって走ったり、ショットガンを持った悪人とヴァン・ダムが戦っているシーンでショットガンが発砲され壁に丸い穴が開く。その穴にカメラがグーッと寄っていくと、その壁越しに二人がもみ合っているなどなど「そういう撮り方にどんな意味があるんだ」と言いたくなってしまい嬉しい。
 バスから脱出した囚人のヴァン・ダムが池で行水をするなど例によって全裸シーンも満載。脱ぎたがりに関しては女優だとミラ・ジョヴォヴィッチ、男優だとジャン=クロード・ヴァン・ダムか?でも、幼女に下半身まで堂々と見せちゃ駄目だろ。ヴァン・ダム、アメリカではかなりな犯罪だぞそれは。警察に捕まるぞって逃走中か。
 基本ストーリーは『シェーン』(1953)だ。土地を買い占めている悪徳開発業者(ジョス・アックランド)が最後の一軒として狙いを付けているのが未亡人(ロザンナ・アークエット)が男の子と女の子の二人の子供を抱えながら女手一つで経営している牧場。そこへ現れた流れ者が未亡人を助けて悪人をやっつけるという王道パターン。
 だが、どこか外してくれるのがこの映画の嬉しいところで、ヴァン・ダムが未亡人一家と関わりを持つのが逃亡中にキャンプしてステーキを焼いている時に「あっ、塩が無い」というので家に忍び込んで塩を借りるのを男の子(マコーレー・カルキンの弟キーラン・カルキン)に目撃され“E.T.”と勘違いされてからだし、ちゃんと翌朝になると塩は食卓に戻されている。律儀だな、ヴァン・ダム。食堂でもステーキ食ってるし、どんだけ肉が好きなんだと。この食堂で出されているステーキがまたデカいし付け合わせもほとんど付いていない。肉だけじゃなくて野菜も食え。さもないと丈夫な身体に……なってるか。
 男の子は秘密の小箱に今は亡き父親の思い出としてグローブなどをしまっているが、実は幼い頃に死んでしまった父のことをほとんど覚えていない。おぼろげな父の姿をヴァン・ダムに重ねるのだが、ヴァン・ダムは未亡人から買い取ったバイクのトライアンフを修理したらそれに乗って旅立つつもりだ。そしてヴァン・ダムが敵に追い詰められた時に、箱の中にグローブと一緒に入っていた一丁の拳銃が意味を持ってくる。
 今回のヴァン・ダムは「カナダのケベックから来た」という設定。事実なのかごまかすための嘘なのかは分からないが、フランス語訛りがあるからだろう。肉体派アクションスターの多くがセリフ回しに難があるのは何故だろうか?シュワルツェネッガーはオーストリア生まれでドイツ語訛りがあるし、スタローンは出産時の事故で顔面にマヒがある。ジャッキー・チェンの英語は年を取ってから覚えたことを考えれば上々だが決して上手くはない。
 悪徳開発業者のジョス・アックランドは『ビルとテッドの地獄旅行』のデ・ノロモスを思わせるいかにもな悪人面。買い取りに応じない農家には火を付けるわ保安官は金で抱き込むわと水戸黄門に出てきそうな悪徳ぶり。土地の人を集めて説明会を開き「この開発計画は皆さんの利益にもなるのです」なんて言っているが、あれを聴いて信じる人がいるだろうかってぐらい見るからにずるそう。
 最後にヴァン・ダムと戦う敵役は『羊たちの沈黙』で“バッファロー・ビル”をやっていたテッド・レヴィン。トランプ手品で相手を幻惑するが、アクション俳優ではなく普通の俳優なので体格ではチビなヴァン・ダムより大きくてセリフ段階で向かい合っている間はさすがに役者が上だけども格闘アクションでは大きく見劣りがする。この点は『ブルージーン・コップ』でも感じたことで、演技を必要とする悪役の場合に肉体アクションまで要求することが難しい。西部劇や刑事物などの拳銃アクションならばかなり融通は利くんだが。その点を考慮してか、全体的にアクションは控えめな作りとなっている。燃焼不足を感じもするが、映画としてのバランスは取れている。
 未亡人役のロザンナ・アークエットは『グラン・ブルー』の人。アヒル顔は愛嬌があって良いのだが、細腕で頑張っているというか細腕すぎてちょいミスキャスト。何年もの間、再婚もせずに女手一つで牧場と子供たちを守ってきたのだからもうちょっとたくましい感じがあっても良かったのではないかと。ヴァン・ダムとも割と簡単に打ち解けてしまうが、もっと用心して反発するなどした方が物語も広がったのでは?

m870.jpg 写真はマルゼンが出しているレミントンM870のブラックバージョン。ストックが木で出来たウッドストックバージョンもあるが、そっちだと5000円ぐらい高いし品切れ状態のようだ。
 ショットガンに興味を持ったのは『ターミネーター』(1984)からだろうか。サラ・コナーを守るカイルが使うのはパトカーから奪いストックを切り詰めたオーソドックスなショットガンのイサカM37とターミネーターが使う近未来的なデザインのスパス12の戦いには燃えるものがあった。
 オレが好きなショットガンは銃身の下に装弾チューブが付いていてフォアエンドを前後させて廃莢・装填を行うポンプアクション式ショットガン。フォアエンドを動作させた時のジャキッ!という音や飛び出す空きショットシェルがたまらない。
 確実にファンになったのはジョン・ウー監督、チョウ・ユンファ、トニー・レオン主演の『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』。それまでの作品ではM92FやMP5シリーズを使うことの多かったチョウ・ユンファだが、やたらと火薬の使用量と発砲数の多いこの作品では上記の武器では威力不足と思ったのかショットガンを使用する。このショットガンは着弾点がまるで爆発したかのような圧倒的な威力で観客を魅了する。
 調べてみるとモスバーグのM500らしい。チューブが長いタイプなので装弾数は8発だが、そんな制限はおかまいなしに弾切れすることなくドッカンドッカン乱射するのは当たり前。
 本当はこいつが欲しくて、調べるとマルシンというメーカーが出していたのだが、こいつはショットシェルを使わないタイプなのだ。サバイバルゲームなどで使うには紛失しがちなショットシェルがなく装弾数が多い方が良いのだろうが、オレはゲームをやらないので関係ない。そこでM500に似たオーソドックスなデザインでショットシェルを使うガスガンのM870にしたのだ。
 M870も映画への登場数が多くて、有名どころでは『ターミネーター2』終盤の工場でサラ・コナーがT-1000を相手に使うのが折りたたみ式の金属製フォールディングストック仕様のを使っていたり、『バイオハザード』のラストで主人公のアリスが荒廃した街に放置されたパトカーから拝借してポンプアクションでコッキングさせたりしている。『ビバリーヒルズ・コップ』でタガード刑事が終盤の屋敷での銃撃戦で使っているのもM870。
 と、いかにも詳しいように書いているが、実はこれらの情報は「古今東西あらゆるメディアに登場した銃火器データベース」“MEDIAGUN DATABASE”で調べたもの。色んな映画やコミック、ゲームなどにどの銃器が登場しているか、それはどんな銃なのかを調べることが出来る。
 映画の中などで銃の名前が呼ばれている場合以外は、制作側が情報を公開しているわけでもないだろうから映像を観た人が「これはあの銃だ」と判断しているのであろう。絶対音感ならぬ絶対銃感と言ったところか。やはりどんなジャンルでもスゴイ人たちはいるものだ。

target090211.jpg マルゼンのM870は先ほども書いたがガス式。ストックの中にタンクがあって、そこにガスを注入する。ショットシェルには1?10発のBB弾を込められるがメーカー推奨は3発程度。そこで3発込めたショットシェルを4発装填して撃ってみる。ショットガンだからまともな照準(サイト)はなく銃身のパイプで見当を付けるだけ。しかも弾が散るのでリビングだと危険そうなので自室にて4.2メートルの距離から撃つ。
 一発ごとにポンプアクションさせ、宙を舞って廃莢される空きショットシェルが楽しい。さすがショットガンだけあって着弾は見事に散った。東京マルイの電動ガンの切れの良い弾道と比べると威力は弱い感じでスポンといった感触。飛距離もあまりなさそうだ。『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』のようなドカンという反動が期待できないのはトイガンだから仕方ないが、ちょっと残念である。
 この銃には最初ずいぶんと悩まされた。チューブに装填したり、ポンプアクションさせると弾詰まりをおこすなどトラブルが頻発したのだ。何度も動作、空撃ちを繰り返すことで少しずつ安定してきた。重要なのは力を入れて素早く扱うこと。ちょっと戸惑うとそこで不具合が発生する。フォアエンドをきっちり引ききる、押し切ることが重要。慣れればトラブルはほとんど起きなくなる。

B000244ROY.jpg『ユニバーサル・ソルジャー』(1992) UNIVERSAL SOLDIER 104分 アメリカ

監督:ローランド・エメリッヒ 製作:アレン・シャピロ、クレイグ・ボームガーテン、ジョエル・B・マイケルズ 製作総指揮:マリオ・カサール 脚本:リチャード・ロススタイン、クリストファー・レイチ、ディーン・デヴリン 撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ 特殊効果:キット・ウェスト 音楽:クリストファー・フランケ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレン、アリー・ウォーカー、エド・オロス、ジェリー・オーバック、レオン・リッピー、チコ・ウェルズ、ラルフ・モーラー、リリアン・ショーヴァン

 CAROLCO Pictures作品で製作がマリオ・カサールというのは『ターミネーター2』と同じ組み合わせ。ヴァン・ダム映画としても規模が大きく、おそらく制作費は一番多いんじゃないだろうか。でも『ターミネーター2』の制作費の何割どころか何分なんだろうけど。

 まずはベトナム戦争の夜から始まる。指揮官である軍曹のドルフ・ラングレンがイカれてしまって非戦闘員であるベトナムの村人だけではなく自分の部下であるアメリカ兵まで虐殺し始める。倒した相手の耳を削いではドッグタグ(認識票)に吊していく異常っぷり。もうすぐ除隊が決まっていて故郷に帰れるヴァン・ダムが立ち向かい相打ちになって二人とも死ぬ。
 翌朝、現場に駆けつけた軍の特殊チームは死体を大量の氷と一緒に死体袋に詰めると、「全員行方不明だとしておけ」と言い残してどこかへ持ち去っていく。
 それから25年。アメリカ本土のダムでテロリストが人質を取って立てこもる事件が発生した。警察では太刀打ちできないこのテロリストを短時間で制圧してしまったのが一切が謎の特殊部隊“ユニバーサルソルジャー”だ。
 おや、その中にはヴァン・ダムとドルフ・ラングレンの姿があるではないか。25年の月日がまるで経過していない若い姿のままなのは何故だ?

 冒頭ではスケールの大きさを感じさせる。監督はこれがハリウッドデビューとなるドイツ人のローランド・エメリッヒ。中盤からグダグダになっていき、この頃からエメリッヒはすでにエメリッヒ。
 ユニバーサルソルジャーは一度死んだ兵士を蘇生させ生化学的処理をして機能強化させた一種のサイボーグだ。記憶も封印し、感情を持たず上官の命令にのみ従う。どこか『ロボコップ』(1987)っぽい。筋肉ムキムキの男たちが感情を見せずに時に全裸で登場するところは『ターミネーター』か。
 司令部はマスコミの取材を断固拒否する。それはそうだろう、これでは情報公開できない。人権やらなんやらで袋叩きだ。
 感情を持たないはずのユニバーサルソルジャー。だが、ドルフ・ラングレンは殺人を喜びと感じているようである。
 そこへ、特ダネを求めた女性テレビレポーターがソルジャー基地に侵入したことから事態は一変する。レポーターを殺そうとしたドルフ・ラングレンからヴァン・ダムが守り、命令を無視して車で逃亡したのだ。追跡を始めるソルジャーたち。そして、ドルフ・ラングレンも命令を無視して暴走を始める。

 ドルフ・ラングレンが暴走を始めてからはSF色はすっかりなくなり追跡アクション、そして肉体派アクションスターによる格闘アクションへ。
 格闘はヴァン・ダムとドルフ・ラングレンという空手の達人同士の戦いなのにあまり見栄えがしない。ひたすらヴァン・ダムが蹴ってるだけでかなり大雑把。洗練されたカット割りもカメラワークも存在しない。ただぶつかりあってるだけで、先っちょの尖ったバナナじゃなかった先っちょの尖った物が映った時点でオチが見えてしまうし。
 変形トラック基地などのSFパートは上手いがアクションパートはせいぜい並み。印象に残っているのが、すっかり戦場モードになってしまったドルフ・ラングレンがスーパーで怒鳴り警備員を躊躇せず撃ち殺すところ。記憶が、死んだ時=ベトナム戦場のままなのだ。役者としての見せ場はヴァン・ダムよりもドルフ・ラングレンの方が多い。
 ソルジャーの一人がステーキ肉を生のまま食べて栄養補給しているが、その肉売り場にはデカい肉の固まりがゴロゴロ。細かな点だが日本人の感覚とは違うわ。あのステーキ肉、ちゃんと焼いてから食いたいなぁ。日本で買ったらいくらするんだろう。
 とにかくヴァン・ダムが脱ぎたがりで、あのシーンで全裸このシーンで全裸。ソルジャーは肉体が異常な高熱を発してしまうので冷却剤や氷で冷やす必要があるのだが、その設定もヴァン・ダムが脱ぎたいからでは?「俺の鍛え上げられた肉体に魅了されろ?!」なんだろうか。
 ヴァン・ダムが少しずつ感情を取り戻していくのだが、それを食堂で食ってるランチで表現。美味そうにメシを食う奴だ。

 ユニバーサルソルジャーという設定で、演技面にはちょっと弱いヴァン・ダムとドルフ・ラングレンをカバーしている。女性レポーターが途中で逃げ出さずに最後までヴァン・ダムに付いていく点にも説得力があり、これまた男性陣をカバー。

m16a2.jpg ベトナム戦争物でアメリカ兵が使っているM16A1ライフルを改良して作られたのがこのM16A2ライフル。開発製造はコルト社が行っている。
 見た目で一番違う点は銃身を覆っているハンド・ガード。A1では前から見た時に左右分割のおにぎり型の三角形だったのに対し、上下分割の丸形に変更されている。このハンドガードのパーツは上下とも共通だそうで、補給部隊が持っておくパーツは1種類ですむ。A1の場合だと2種類だから破損報告に対して補給する時でも気をつけなければならない。戦場で使う銃はシンプルな方がいろいろメリットがあるのだ。大きく言うと三つだな。シャンプーとリンスとコンディショナー……って、その“メリット”と違うだろ。
 トリガーを引いたら「ババババババッ」っと弾を撃ちっぱなしのフルオートではなく、「バババッ」の3連射までの三点バーストにして弾丸の浪費を防いだり、ストックの材質を変更するなど他にも細かい改良点があるようだが、映画を観ている分には三点バースト以外は分からないだろう。
 1982年に正式採用されたこの銃が映画に登場するのは主に湾岸戦争物。『スリー・キングス』(1999)の冒頭でマーク・ウォールバーグがイラク兵を撃ち殺していたのがM16A2。
 最近ではさらに改良を重ねたM16A3やM16A4、銃身を短くし伸縮式ストックにして取り回し易い長さにしたM4カービンなどがあるそうだ。M4は一目で分かるが、A2?A4の比較写真を見てもよくよく調べないと違いが分からなかった。映画ではアップにでもならない限り判別は難しそう。それをいとも容易くやってしまう人もいるんだろう。

 オレが持っているのは東京マルイの電動ガン。バッテリーを搭載し、モーターを廻して空気を圧縮しBB弾を飛ばす。マルイのバッテリーには銃によっていくつか種類があるが、M16A2は一番大きなラージ・バッテリーを使う。大きさはPSPをもうちょっと厚くしたぐらいか。ストックに収容するのだが、この出し入れでケーブルの取り回しなどが慣れるまでかなりめんどくさい。実銃とほぼ同じデザインと大きさなのでかなり苦労して収納スペースを確保しているのだろう。
 ハンドガンでは4.2メートルの距離からターゲットを撃っていたが、ライフルと言うことでほぼ倍の8メートルの距離にする。ダイニングとリビングが繋がっているので、工夫すればなんとかなる。BB弾がターゲットを外して物を壊すといけないので大きめの段ボール箱を後ろに設置。庭に出て建物方向に向かって撃つという手もあるが、近所の眼もあるのでさすがにやめる。
 バッテリーも含めると3,100グラムの重さがあるので構えるとずっしりと重量感がある。オレは右利きなので左手でハンドガードを支える事になるが、気を抜くとこの左手がゆらゆらして照準が定まらなくなってしまう。

target090208.jpg 20発撃った結果がこれ。
 下寄りで若干右にも飛んでいる。下に行くのは照準を部屋用の4メートルで調節しているからだろうか。腕力が弱っていて、いつの間にか下がっているのかも知れない。身体鍛えてないからな。

B000KGGC1K.jpg『ダブル・インパクト』(1991) DOUBLE IMPACT 110分 アメリカ

監督:シェルドン・レティック 製作:アショク・アムリトラジ、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ポール・マイケル・グレイザー 製作総指揮:モシュ・ディアマント、チャールズ・レイトン 脚本:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、シェルドン・レティック 撮影:リチャード・クライン 音楽:アーサー・ケンペル
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ジェフリー・ルイス、アロナ・ショウ、アラン・スカーフ、フィリップ・チャン・ヤンキン、ボロ・ヤン、コリー・エヴァーソン、エヴァン・ルーリー

 公開時のあおり文句は「ヴァン・ダムが二人でインパクトは二倍」だったが、当時の感想としては「ヴァン・ダムが二人でインパクトは半分」だったかな。
 香港の白人事業家が襲われ、夫婦は殺されたが赤ん坊だった双子は生きたまま離ればなれになってしまう。一人はロサンゼルスでエアロビクスと空手を教えていて、もう一人は香港で犯罪者となっている。もちろん、お互いの存在は知らない。
 ロサンゼルスヴァン・ダムの育ての親で事業家のボディーガードだった男が25年かけてようやくことの陰謀にたどり着き、香港ヴァン・ダムと合流して親の敵を討つために戦いを始めるのだった。
 それにしても25年も経つのにあまり老けてないな?悪人の皆さん。悪人こそ長生きするのか?

 まず、双子という設定があまり活かされていない。勘違いされたり、お互いの動きがシンクロしてしまったりと双子ネタが満載だったジャッキー・チェンの『ツイン・ドラゴン』(1992)と比べるとあまりにもったいない。ただ、『ツイン・ドラゴン』の方が1年後なので、香港で撮影された『ダブル・インパクト』の影響を受けている可能性はある。
 最初はまだ双子それぞれの個性も違うのだが、終盤の戦いでは双方共に血みどろの戦いを繰り広げてそれが同じような戦い方なので区別が付きにくい。
 戦い方でも洗練された空手のロサンゼルスヴァン・ダムと喧嘩殺法の香港ヴァン・ダムみたいに分けることができたと思うのだが。都会的で洗練されたロサンゼルスヴァン・ダムに恋人が寝とられるんじゃないかと邪推しコンプレックスを抱く香港ヴァン・ダムはちょっと面白かった。
 監督は『ライオンハート』に引き続いてシェルドン・レティック。この人は脚本家出身であまりアクションを撮るのが上手くない。最近のハリウッド映画だと主に香港などからアクション監督を呼んで殺陣を付けてもらい、格闘の専門家ではない一般の俳優でもそれなりのアクションを見せることが出来るようになっている。数日前に『トランスポーター2』を観たが、元オリンピックの水泳飛び込み選手だから運動神経は抜群とはいえ格闘技経験はないだろうジェイソン・ステイサムに見事な格闘アクションを披露させていたのはアクション監督のコリー・ユン(『シンデレラ・ボーイ』の監督の人)がいたからだ。
 この頃にそういったシステムが出来て空手など格闘系アクションの撮り方が成立していなかったのは残念。また、やたら回し蹴りと撮ってばかり。ボクシングなどの殴り合い中心だったハリウッドの格闘映画からしてみればアメリカ人にはまだ新鮮だったのだろう。すでに香港映画のアクションに慣れ親しんでいた日本人にはやはり物足りない。ヴァン・ダム自身もそれを感じていたのだろう、数年後に本場香港からジョン・ウーを呼んで『ハード・ターゲット』(1993)の監督としている。ちなみに、すでにジョン・ウーを意識していたのかM92Fでの二丁拳銃が活躍する。ハトも飛ぶがこちらは多分関係ない。
 それでもアメリカではヒットしたようで、映画人としてのヴァン・ダムはこの頃からしばらくが一番充実していたのかも知れない。

1873.jpg ジョン・フォードの傑作、というかこの人は傑作ばかり撮ってる人でオレにとってはフォードの前にフォードなし、フォードの後にフォードなしな映画の神様で時音はジョン・フォードのジョンからも取っているのだが、ジョン・ウェインを一躍スターダムに押し上げたことこで有名な『駅馬車』(1939)という作品がある。えっ、観てない?それはいかん、とっとと観ろ。で、その序盤で街道をひた走る駅馬車を銃声がその足を止める。カメラがグーッっと寄っていくとそこには右手にウィンチェスターライフルを持ったジョン・ウェインが立っている。そして、特製の大きく輪になったトリガーガード後ろのレバーを中心にライフルをくるりと廻して再装填する。『ターミネーター2』でシュワルツェネッガーがやっていたのと同じだがこちらが元祖。『ターミネーター2』は明らかにオマージュ。
 オレが持つとちょっと持てあます大きさなのに、ジョン・ウェインが持つとサブマシンガンに見える。やはりデカい人だ。肉体も精神もな。
 他にはウィンチェスターライフルそのものを主役にした『ウィンチェスター銃'73』(1950)なんてのもあるぐらい、西部劇といったらウィンチェスターライフル。基本モデルは.45口径なのでS.A.A.と弾丸が共通で使えることからセットで出てくることも多い。
 マニュアルライフルというと、レバーを上げて引いて押し込んで下げるというのが現在では主流だが、M1873はトリガーガードを兼ねたレバーを下げて上げることで再装填できる。シューティングポジションを変えずにすむからこっちの方が有利なんじゃないのというのが映画を観ての思いだった。
 実際には、.45口径の拳銃弾なら問題はないがライフル弾には郷土が足りないとのこと。
 そして、エアガンを撃って思ったのだが、「疲れるわ、これは」だった。
 レバーの上げ下げで廃莢と新しい弾の装填を行うのだが、これが意外に力を必要とする。20発撃っただけでかなり疲れた。
 ちなみに、『駅馬車』の冒頭でジョン・ウェインがクルッと廻して再装填しているのはレバーを特注で大きく丸くしたモデルだから可能なことで、写真にあるオレが持っているスタンダードモデルでは不可能。やってもいいが指を痛めるか足に落とすな。発売元のKTWのサイトによるとオプションでループレバーというのが出ていて、ジョン・ウェインモデルに近づけることが出来るようだが、そこまでの根性はない。
 金属部品も多くて、なかなかコレクター魂をそそってくれる商品である。
 こいつにタナカのS.A.A.、そして鞍を積んだ馬がいればすっかり西部劇気分。馬をどうやって手に入れるかって?そんなの知らん。でも、オレは知多半島在住だが、その知多半島の先っぽの方を車で走っていたら、横にパッカパッカと馬が走っていたぞ(実話)。

 で、射撃なんだが、部屋の中の4.2メートルの距離で撃ったら上に集中する物のほぼ一点に当たった。
 そこで、場所をリビングキッチンに移して、8メートルの距離から撃ったら350ml缶大のターゲットに当たっている。当たってはいるんだが紙を貫通しないのであった。
 結局はコッキング式エアガンだから威力が弱いのか?
 まぁ、外観がとてもいいので個人的には壁にフックを付けて飾っているだけで満足なのだが。

B00005LMHD.jpg『ライオンハート』(1991) LIONHEART 105分 アメリカ

監督:シェルドン・レティック 製作:アッシュ・R・シャー、エリック・カーソン 製作総指揮:スンディップ・R・シャー 原案:ジャン=クロード・ヴァン・ダム 脚本:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、シェルドン・レティック 撮影:ロバート・ニュー 音楽:ジョン・スコット
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ハリソン・ペイジ、デボラ・レナード、リサ・ペリカン、アシュレイ・ジョンソン、ブライアン・トンプソン、ミシェル・クイシ、ビリー・ブランクス

 外人部隊でアフリカに駐屯中のリオンは弟が危篤状態なのを知り、脱走して貨物船に乗り込みロスへ向かう。だが、貨物船の船長に騙されついたのはニューヨーク。「お前は黙って働けばいいんだ」という船長を当然ぶちのめし、ニューヨークに降り立ったリオンだが一文無しでロスへの旅費もない。そんな時に、裏通りで行われているストリートファイトの賭け試合を見つけ、そこに飛び入りして戦いもちろん勝つ。リオンの腕前を見込んだ黒人マネージャーに付きまとわれ、「リオンじゃ弱そうだ。ライオンでどうだ」とファイターネームを付けられる。
『ストリートファイター』(1975)のジェームズ・コバーンにあたるこの黒人マネージャーを演ずるのはハリソン・ペイジ。ハリソン・ペイジ……?どっかで聞いた名だ。あーっ『俺はハマーだ!」のトランク署長じゃないの。ヒゲ面なんでぱっと見気づかなかった。「ハマー!(怒)」
 他に有名人としては『ビリー・ザ・ブート・キャンプ』のビリー・ブランクスが出ているよう。役名はAfrican Legionnaireでアフリカ系軍人といった意味だから、おそらく冒頭のリオンが独房に入れられそうになった時に、叩きのめされる連中の一人。アップもないのではっきりしないが、他に軍人が出てくるシーンはないから多分そうだろう。
『ビリー・ザ・ブート・キャンプ』をやるとダイエットや筋肉を付ける
 監督のシェルドン・レティックは『ブラッドスポーツ』や『ランボー3 怒りのアフガン』などの脚本を担当した人でこれが監督デビュー作。そういえば、脱走や軍から二人組が追ってくるなど『ブラッドスポーツ』にちょっと似てるか。他には主にヴァン・ダム作品を手がけ、他にはマーク・ダカスコスやドルフ・ラングレンの主演作を撮っている分かりやすい経歴の人。
 ようやくロスにたどり着いた時、弟はすでに死んでいて、義理の妹と姪は生活に追われお金に困っている。援助を申し出るが、リオンのことを嫌っている彼女は受け取ろうとしない。そこで、匿名で仕送りをしながら、リオンはストリートファイターとして本格的に活躍し始める。そして出来た女性スポンサー(悪女)が彼に「ライオンハート」と新しい名前を付ける。イングランド王リチャード一世の獅子心王と関係あるんだろうか。

 戦いはストリートファイトなので一対一の素手での戦い。回りを賭けをする連中が取り囲み武道大会とはやはり趣が違う。
 ぐるりと車で囲まれた中で戦ったり、水をほとんど抜いたプールの中で戦ったり。そんなファイターたちの血みどろの戦いを歓声を上げて楽しむ金持ちたちがじつにいやらしい。
 格闘シーンは並み。ファイターたちのレベルはそれなりなのだが、制作側のアクションの演出がお世辞にも上手いとは言えない。技がヴァン・ダムの回り蹴りに頼りすぎ。どんだけ炸裂させてるんだか。そりゃ好きだが・・・…。
 ラスト、ついに身体にガタが来て追い込まれたヴァン・ダム。だが、そこからの巻き返しが燃える。

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