« 『拳銃の町』 ジョン・ウェインが西部のじゃじゃ馬娘と東部のお嬢様との三角関係に? | メイン | ゴジラシリーズについて。業を背負わされてしまった怪獣 »

『将軍たちの夜』 将軍は猟奇殺人鬼

B000R8XA6Q.jpg『将軍たちの夜』(1966) THE NIGHT OF THE GENERALS 149分 アメリカ

監督:アナトール・リトヴァク、製作:サム・スピーゲル 原作:ハンス・ヘルムート・カースト 脚本:ジョセフ・ケッセル、ポール・デーン 撮影:アンリ・ドカエ 音楽:モーリス・ジャール
出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、トム・コートネイ、フィリップ・ノワレ、クリストファー・プラマー、ジョアンナ・ペティット、ジュリエット・グレコ、ドナルド・プレザンス、チャールズ・グレイ

 時は1942年の第二次大戦、ドイツ占領下のワルシャワで娼婦が殺害される。ただの殺人ではなく、性器を激しくナイフで刺され、全身には100ヶ所以上の傷がある猟奇殺人。
 目撃者の男性は、壁の隙間から犯人のズボンだけを見ていた。それはドイツ軍人の物で、赤い線が入っていた。赤い線のズボン、それは将軍が着用している物だった。
 ドイツ人警官のオマー・シャリフはワルシャワにいた将軍のアリバイを調べたところ、ピーター・オトゥール、ドナルド・プレザンス、チャールズ・グレイの三将軍だけがその夜の所在が不明だった。犯人はこの中にいるのか、いるとしたら誰なのか。戦時下の将軍だろうが一般人を意味もなく殺害したら犯罪者、オマー・シャリフは捜査を始めるが、戦争という異常な状況下で、時代のうねりが立ちはだかる。

 戦争映画かと思いきや、猟奇殺人サスペンス。
 正直、犯人はすぐ分かる。ピーター・オトゥールの演技が異様すぎ。目つきがギラギラしていて風呂の温度が一度違うことで部下を叱責するなどほとんど異常者。パリでドイツが没収した美術品を見学に行った時に、ゴッホが精神病院に入院中に描いた有名な自画像を見て、汗をたらたら流しながら異様に興奮している。こいつが犯人じゃなかったら誰が犯人なんだよ。
 ミステリーを求める人にはあっけないだろうが、そもそも犯人当ての要素は無いに等しいので、このピーター・オトゥールの熱演が最大の見物。
 地獄の戦場を体験しているという設定なので、それが彼を異常者にしたのか?オレとしてはもともと異常者だったんじゃないかなと思う。

 終戦から20年経って、戦犯として収容されていたピーター・オトゥールの釈放に合わせて、当時はレジスタンスとして事件に関わり現在は国際警察の捜査官であるフランス人が今は亡きオマー・シャリフに変わって捜査を再開する。その現在のシーンが時折挿入される形で物語は進む。
 史実である将軍達による1944年7月20日のヒットラー暗殺未遂事件も登場するが、物語上は猟奇殺人と連携しておらずさして機能していないが「自分たちの長を軍の上層部の将軍達が暗殺しようとする」というもはや混乱と泥沼の極みだったドイツ軍の内部が読み取れる。

 チャールズ・グレイとドナルド・プレザンスという初期007シリーズ最大の敵ブロフェルドが二人も出演しているのがオレとしては嬉しい。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/5151

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません