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『セクシー地帯』 CALL GIRL・SEXY LINE

B0012P6BY6.jpg『セクシー地帯』(1961) 82分 日本

監督:石井輝男 製作:大蔵貢 企画:佐川滉 脚本:石井輝男 撮影:須藤登 美術:宇寿山武夫 音楽:平岡精二
出演:吉田輝雄、三原葉子、三条魔子、池内淳子、細川俊夫、沖竜次、鳴門洋二、高城美佐、佐々木孝子、九重京司

『セクシー地帯』と書いて『セクシーライン』と読む。
 とにかくオープニングクレジットと『The End』が素晴らしい。写真のコラージュにスタッフ・キャスト名は手書き文字。モノクロ映画なのでこれがまた雰囲気を増して、金はかかってないんだろうがセンスを感じる。
 秘密クラブの会員証を掏った女スリと関わった男が買春組織事件に巻き込まれていく。男は銀座に本社がある大企業の普通のサラリーマン。恋人は同じ会社で働くOLだが裏では取引先の相手を肉体で接待する特別要員でもあり、陰謀によって殺される。新東宝の作ったお色気映画だが、ヌードのシーンも胸や尻は巧妙に隠されており今となっては地上波で放映しても問題なさそう。セリフはやばいのがあるが。
 犯罪映画も多く手がけた石井輝男の手腕が冴え、洋画のフィルムノワールを観ているかのよう。スリ役が男女逆だが『拾った女』(1953)にちょっと似ている。フラーの方がドライだが、作風にもどこか共通点がある。そういえばどちらも自分で脚本も書くことが多い人。
 石井輝男脚本なんでかなり無理矢理な展開ありまくりで、だからこそ石井輝男。破綻しててもそれを感じさせずに突き進む。
 サブタイトルで使った『CALL GIRL・SEXY LINE』とはオープニングタイトルで『セクシー地帯』の後ろに書かれている言葉。外国で公開されたかは知らないが、もしそんなことがあったとしたらこれが洋題として使われたのかも知れない。
 お金がないのでやたらとロケの多い映画。そのおかげで1961年当時の銀座を始めとした東京中心部の様子を観ることが出来る。石井輝男は早撮りな人だったそうだが、この作品なんかごく少ない日数で撮影されのだろう。
 背中合わせに縛られ床に転がされた二人が、隠し持ったナイフで後ろでの縄を切ろうとするシーンを、モゾモゾ動いたりハァハァ呼吸する音の映像が細かいカットで構築している。性交シーンの暗喩なんだろう。女性が「初めてエレベーターに乗った時みたいだった」なんてセリフに思わずニャマリ。
「彼氏からトランジスターラジオって呼ばれてるのよ」「そりゃいったいどういう意味だい?」「すごく感度が良いらしいのよ」……“トランジスターグラマー”という言葉も連想させますしイカすやり取りだ。今となってはトランジスターラジオと言われてもピンと来ない人も多いだろうが(言っとくがオレもそうだ。小さな頃からトランジスターラジオなんて当たり前。それ以外に触れたことのあるのは、小学生の時に作ったゲルマニウムラジオぐらい)、現代風に言うならば「彼氏から地デジって呼ばれてるのよ」とか「彼女から光ファイバーって呼ばれてるぜ」なんかだろうか。
“地デジ”はともかく男性で“光ファイバー”ってのはつまり“早い”ってことで……ピーッ!ここは下ネタ禁止!教育的指導。
 ちなみに、現在『レッドクリフ PART1』が絶賛公開中のジョン・ウーもパブリッシャーカルチャー板『男たちの挽歌』シリーズのDVDに特典として収録されたインタビューで「石井輝男の影響を受けている」と語っている。『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969)や『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969)のインパクトが強すぎるのでとかくカルト監督の側面ばかり語られがちな石井輝男だが、ギャング物などの犯罪映画の存在を忘れちゃいけない。高倉健の代表作の一つ『網走番外地』シリーズで監督・脚本を務めたことももちろんだ。

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