『WANTED/ウォンテッド』 DEAD OR ALIVE:生死を問わず

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B0002TT0QE.jpg『WANTED/ウォンテッド』(1986) WANTED: DEAD OR ALIVE 107分 アメリカ

監督:ゲイリー・シャーマン 製作:ロバート・C・ピータース 製作総指揮:アーサー・M・サルキシアン 脚本:ゲイリー・シャーマン、マイケル・パトリック・グッドマン、ブライアン・タガート 撮影:アレックス・ネポンニアシー 音楽:ジョセフ・レンゼッティ
出演:ルトガー・ハウアー、ジーン・シモンズ、ロバート・ジェローム、メル・ハリス、ウィリアム・ラス、スーザン・マクドナルド、イーライ・ダンカー

 2008年10月10現在、『ウォンテッド』が劇場で絶賛公開中だが、1980年代が青春だったオレにとってこのウォンテッドと言えばまずこの『WANTED/ウォンテッド』である。
 1958年よりテレビ放映された西部劇TVシリーズ『拳銃無宿』(原題は『WANTED, DEAD OR ALIVE』)という作品がある。主人公のジョッシュ・ランドルを演じたスティーヴ・マックイーンはこれで人気に火がついたそうだが、そのジョッシュの曾孫にあたるニック・ランドルが今回の主人公。演ずるルトガー・ハウアーは『ブレードランナー』よりもさらに渋みを増していて『ヒッチャー』(1985)などオレとしては一番好きな時期。これより数年後の『ウェドロック』(1991)などになるとちょっと余分な肉が目立つようになってしまう。
 『拳銃無宿』との関係は、ニックが子供の頃に祖父から曾爺さんのジョッシュの事を聞いたというエピソードが出てくるぐらいで『拳銃無宿』を観ている必要はない。オレも観たことないし。ファンにはその設定が嬉しいぐらいのことで、おそらく関連性はモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズとモンキー・パンチの『ルパン三世』程度の物だろう。

 ニックは元CIA工作員の賞金稼ぎ。冒頭で警官殺しの犯人を捕まえるが、殺して捕まえた場合(DEAD)が2万5000ドルで、生きたまま捕まえた場合(ALIVE)が4万ドル。西部劇に登場する“WANTED”の張り紙だと「DEAD:$25,000 ALIVE:$40,000」となっているはず。生きたまま捕まえる方が難しいし、裁きにかけるという意味からも生きたまま捕まえる方が賞金が高い。ただし、一刻も早く捕まえなければならない凶悪犯の場合は生きたの死んだのと言ってられないので「生死を問わず(DEAD OR ALIVE)」でどちらでも同額の賞金が出る。どうも『DEAD OR ALIVE』が「生か死か」と勘違いされているケースが時折あるが、その点は要注意。
 いつもながら色素の薄い青というよりもむしろ水色の瞳が実に格好良い。ビルの上にある倉庫と港に停泊したボートの二ヶ所を根城にしていて、いかにも社会からはみ出した一匹狼の雰囲気を醸し出している。特に倉庫の方はだだっ広くて業務用エレベーターで車ごと乗り込み、バイクも駐めてある。射撃練習のスペースや銃器の保管庫があり、その隅にちんまりとソファやテレビが置かれていて、男の隠れ家といった感じ。実際に住んだら不便だろうが、あんなところに暮らしてみたい。
 今回の悪役はイスラム系テロリストのマラク・アル・ラヒム。ロサンゼルスの化学工場を爆破して毒ガスを発生させ、数万人単位でロス市民を殺害するテロを企んでいる。演ずるのは大御所ヘヴィメタバンド“KISS”のジーン・シモンズ。KISSとして活動中はヘヴィメタメイク、最近で例えるならば『デトロイト・メタル・シティ』のクラウザーさん風なメイクをしている。ただ、クラウザーさんはメイクを落とすと人畜無害な顔立ちとなるが、ジーン・シモンズの場合は素顔の方がさらに凶暴そうで怖い。ほんとーに悪党面。
 ルトガー・ハウアー自身も整った顔立ちだが正義の味方の面構えではなくニヒル。個性派対個性派の戦いだ。
 銃撃戦やカーチェイスはちょっと地味。製作はB級映画の帝王ロジャー・コーマンが設立したニューワールド・ピクチャーズ。パラマウントやワーナーのようなメジャースタジオではないので予算もさほど多かったのだろう。もう長いこと名前を見ないがさすがに潰れたのかな。
 ニックとラヒムの決闘もあっけなく決着が付く。だが、そこからがこの作品最大の見せ場。ラヒムの口に手榴弾を咥えさせてCIAに引き渡し、報酬の25万ドルは事件の最中にニックの身代わりに死んだ刑事の未亡人に支払うよう告げると、生きて捕まえた場合のボーナス5万ドルは「これが俺のボーナスだ」と手榴弾のピンを引き抜く。周りの人間が慌てて逃げ出し、ただ一人取り残され狼狽えるばかりのラヒムの頭部が数秒後にBooooooom!!
 いやー実に爽快。当時の劇場で大笑いしたもんだ。
 だが友人と恋人を失ったニックが一人寂しく水辺に佇む悲しげなカットで映画は終わる。やっぱこの頃のルトガー・ハウアーが一番渋い。

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このページは、東森時音が2008年10月10日 20:38に書いたブログ記事です。

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