『アイアンマン』(2008) IRON MAN 125分 アメリカ
監督:ジョン・ファヴロー 製作:アヴィ・アラッド、ケヴィン・フェイグ 製作総指揮:ジョン・ファヴロー、ルイス・デスポジート、ピーター・ビリングスリー、アリ・アラッド、スタン・リー、デヴィッド・メイゼル キャラクター創造:スタン・リー、ドン・ヘック、ラリー・リーバー、ジャック・カービー 脚本:マーク・ファーガス、ホーク・オストビー、アート・マーカム、マット・ハロウェイ 撮影:マシュー・リバティーク 視覚効果監修:ジョン・ネルソン 編集:ダン・レーベンタール 音楽:ラミン・ジャヴァディ
出演: ロバート・ダウニー・Jr、ジェフ・ブリッジス、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロー、ショーン・トーブ、レスリー・ビブ、ファラン・タヒール、スタン・リー、サミュエル・L・ジャクソン、ポール・ベタニー
麻薬中毒でいわゆるヤク中となったため一度映画界から干され、復帰したなと思ったらまた麻薬に手を出して干され。そして二度目の復活を遂げたロバート・ダウニー・Jr。
配役がそのまんまなヤク中アニメ『スキャナー・ダークリー』(2006)や、ダークで重苦しい『ゾディアック』(2006)などへの出演は納得なんだが、まさかアメコミ原作のヒーロー物大作で主演をやるとは驚き。『ゾディアック』ならばロバート・ダウニー・Jrがまた麻薬問題を起こしても公開可能だろうが、『アイアンマン』じゃそうはいかないだろう。もう問題を起こさないと判断できるレベルまで麻薬から抜け出せたのかな。一度薬物中毒になると断ち切るのは非常に苦しいというが、依存から抜け出そうと努力している人には励ましになる作品なのかも知れない。
異星人だとか遺伝子操作をしたクモに噛まれたとかで生身のままで超人的力を持っているアメコミヒーローには珍しく、アイアンマンは肉体は常人でパワードスーツを着込むことで強くなる。爆発に巻き込まれて怪我をし、人工心臓だか心臓ブースターみたいのを胸に埋め込んでいるが、それで力が強くなるとか足が速くなるとかではなく、重要なのはパワードスーツ。
このパワードスーツ“アイアンマン”のデザインが実に素晴らしい。『ロボコップ』よりもさらに洗練されていて、色は燃えるような赤。ピカピカと光沢があってワックスを塗ったばかりの新車のボディのよう。ただ顔面がちょっと残念。画像を見てもらえば分かるが『ロケッティア』風。あちらは第二次大戦頃が舞台であえてレトロデザインだから格好いいのだが、アイアンマンの場合は顔だけ妙にのっぺりしてるし、ちと悪役が入っている。
主人公のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は軍事企業の経営者にして天才的兵器開発者。しかし、テロに巻き込まれてテロリストの人質になり、脱出のためにプロトタイプのパワードスーツを作り上げる。
自分の作ってきた兵器が世界中で悲劇を引き起こしていることの気づいたスタークは、会社の上層部であるステイン(ジェフ・ブリッジス)らの反対を押し切り、軍事産業からの脱却を宣言し、研究室に一人閉じこもると平和を守るために改良を加えたパワードスーツ“アイアンマン”の製作に打ち込む。ところが……
見せ場はなんといっても終盤の敵が復元したプロトタイプとアイアンマンのパワードスーツ同士による戦い。『マトリックス レボリューションズ』では「パワードスーツならガッツンガッツン格闘戦をやらせなきゃウソだろ」と怒ったものだが、今作では空中戦を含めてガッツンガッツンぶつかり合う。嬉しいねぇ。
アイアンマンは両足の裏からロケット噴射をして空を飛ぶ。これ自体はよくあるが、両手の平にも噴射口があって、それでバランスを取ったり方向転換をしている。これは初めて見た。考えてみれば、翼や羽があるわけじゃないから足からの噴射だけじゃ安定した飛行は難しいよなってんでなるほどな設定。そもそも足からのロケット噴射で空を飛べるはず無いだろなんて野暮なつっこみはなしね。
スタークの研究室は色々な道具や小物が転がっていたり、ディスプレイがいくつもあるコンピューターシステムや作業工具など実に魅力的。『WANTED/ウォンテッド』でルトガー・ハウアーが暮らしているビルの倉庫もそうだったが、あれこれガジェットがある男の隠れ家ってのは羨ましい。オレもスタークのような研究室が欲しいものだ。まぁなにを研究開発できるわけじゃないが。
「人工衛星に使われている金属の配合を調べろ」など音声で受け答えが出来るコンピューターも便利そう。工場で使われているようなアーム型ロボットは開発中にスタークから「役に立たん。マヌケ」と言われているが、スタークの大ピンチでは指示もされていないのに自分で判断して彼を助ける。スタークの美人秘書も彼を支える重要で魅力的な役だが、あの瞬間オレにはアーム型ロボットが彼女を上回ったね。ヤツは心を、魂を持ってるよ。
日本の作品でパワードスーツといえば『宇宙刑事ギャバン』の系列か。『仮面ライダー』はサイボーグだよな。『キカイダー』はアンドロイドと。
『アイアンマン』の燃えるような赤となると『宇宙刑事シャリバン』(1983?84)か。リアルタイムで観てたけど、イメージ検索してみると今見てもなかなか格好いいわ。
20年以上前にこのデザインのヒーローが実写でアクションしていたわけで、やはり日本の特撮ヒーロー物はあなどれない。でもテレビまでで映画となるとさっぱりなのは何故だ?出てきたなと思ったら『CASSHERN』(2004)や『キューティーハニー』(2003)に、あげくの果てには『デビルマン』(2004)ときたもんだ。
『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』では結婚式の受付で追い返されていた原作者にして製作総指揮のスタン・リーは、今回は両手に美女でモテモテ。
最後の最後まで観るとS.H.I.E.L.D.のニック・フューリーとしてサミュエル・L・ジャクソンが登場し、“アベンジャーズ”という単語まで出てくる。マーベルコミックのヒーローが顔を揃えるヒーロー連合の『アベンジャーズ』を実写映画化するのは俳優のギャラだけを考えても不可能に近いだろうから今後への伏線と言うよりはファンへのサービスなんだろう。それともそろそろ年齢的に限界が来そうなスタン・リーは集大成としてマジでやる気なんだろうか。