『間諜最後の日』(1936) THE SECRET AGENT 87分 イギリス
監督:アルフレッド・ヒッチコック 原作:サマセット・モーム 脚本:チャールズ・ベネット 撮影:バーナード・ノールズ 音楽:ルイス・レヴィ
出演:ジョン・ギールグッド、パーシー・マーモント、ピーター・ローレ、マデリーン・キャロル、ロバート・ヤング、リリー・パルマー
『月と六ペンス』で有名なサマセット・モームの原作をヒッチコックが映画化したスパイ映画。ま、『月と六ペンス』しか読んだこと無いけど。間諜ってのはスパイのこと。原題のTHE SECRET AGENTそのままで秘密情報員だな。シークレット・エージェントマン、シャンパンの瓶に液体火薬を詰めるシークレット・エージェントマン。
葬儀のシーンから映画は始まる。弔問客が全てさった後、左腕のない男が棺を片付けようとすると中味は空っぽだった。本来、そこに収まっているはずだった作家はRという政府関係者に呼ばれ、秘密諜報員に任命されたのだ。ドイツのスパイを捜し出すためにスイスに派遣される主人公。そこでは彼のパートナーを務める妻役の女性スパイと、将軍と呼ばれるメキシコ人スパイが待っていた。彼らは無事に任務を達成できるのだろうか?
ヒッチコック作品では一般人、せいぜい警官ぐらいの人が事件に巻き込まれて主人公となるパターンが多いが、秘密諜報員=スパイというのは珍しい。もっとも、任命されたばかりの素人スパイで腕利きとはほど遠い。
あるドイツ人をスパイだと思い込んで、雪山登山中に暗殺を試みる。ここで主人公が怖じ気づいて殺しを将軍に任せ、展望台から望遠鏡で覗いているという距離感が上手い。
ホテルで主人を待っていたドイツ人の愛犬がまるで何かを感じたかのように不安がりついには遠吠えすところがカットバックで挿入されここも良い。ただし、子供の頃に犬を飼っていて、現在はミニチュアダックスフンドの飼い主であるオレは言い切れる。犬はそんなに利口じゃねぇ。つーか、こいつら馬鹿よ。散歩と飯と遊びに命を賭けていて、他に興味ないから。オレがインフルエンザかなんかで高熱を出して寝込んでいても「遊んで、遊んで~」とうるさいですから。実家に猫がいるが猫なら主人の死を感じ取るぐらいありそうだ。
設定がスイスというだけあって、スパイが潜んでいると思われるチョコレート工場にもカメラは入り込む。ストーリー的にあまり意味はないが、流れ作業を延々と続けている女工さんたちが、『女工哀史』ならぬ『チョコ哀史』っぽい。騒音の中、ほとんどセリフが聞き取れず、互いに耳打ちしているのがなかなか面白い。そこへ「工場に二人のイギリス人スパイが来ている」という情報を聞きつけた当局が乗り込んでくるまでも上手くシーンが切り替えされていてサスペンスを盛り上げる。
終盤は、人々でごった返した駅からコンスタンティノープル行きの列車へと進んでいく。ヒッチコック作品で駅や列車は度々登場し、重要なシーンでもある。ヒッチコックが鉄ちゃんである可能性は非常に高い。列車のミニチュアも今となっては低レベルな特撮だが、モノクロなのでそれなりに観られる。オレはI.V.CのDVDで観たが、画質が悪いってのもあってあまり気にならない。
ラストはイギリス空軍の爆撃で列車は転覆。でもってうやむやにハッピーエンド。結局、主人公とヒロインはほとんど何の役にも立っていないのに、のうのうと幸せってのはどうなのよ。割と純朴っぽい主人公と、はねっ返りで気の強いヒロインが最後に結ばれるってのはヒッチコックの黄金パターン。オレ的にも黄金パターンだ。
コメント (2)
お初です。
最近映画評ブログを立ち上げたばかりの新参者ですが
リンクをさせていただいたいのでうが、
如何でしょう?
宜しくお願いいたします。
Posted by: ハルゥ | 2008年05月05日 23:02
日時: : 2008年05月05日 23:02
リンクについてはご自由にどうぞ。
『NEXT』はダメですか。製作開始の話以来、ほとんどニュースが聞こえてこなかったのでなんとなく納得です。
Posted by: 東森時音 | 2008年05月07日 00:39
日時: : 2008年05月07日 00:39