« 『グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版』 母なる海へ帰る | メイン | 『ビートルジュース』 そいつの名前を三回呼んじゃいけない »

『レッドロック/裏切りの銃弾』 殺し屋急募。応募者は酒場まで

B000V2ZT76.jpg『レッドロック/裏切りの銃弾』(1992) RED ROCK WEST 99分 アメリカ

監督:ジョン・ダール 製作:スティーヴ・ゴリン、シガージョン・サイヴァッツォン 製作総指揮:マイケル・クーン、ジェーン・マッギャン 脚本:ジョン・ダール、リック・ダール 撮影:マーク・レショフスキー 音楽:ウィリアム・オルヴィス
出演:ニコラス・ケイジ、デニス・ホッパー、ララ・フリン・ボイル、J・T・ウォルシュ、クレイグ・リーエイ、ヴァンス・ジョンソン、ドワイト・ヨーカム、ティモシー・カーハート

 当時、就職で上京していたオレは新宿の映画館で観た。
 その後しばらくして、同じく上京組の先輩と会った。「この間、面白い映画観たんですよ」「おう、俺も面白いの観たよ」という会話になったが、実はお互いが言っていたのはこの『レッドロック』のことだった。
 話し合った結論としては「脚本は最高だが、演出が追いついてないよな」だった。15年振りに観直してみた結論も同じ。演出が明らかに弱いんだよなぁ。脚本を書いたジョン・ダールが監督も務めているが、脚本家としての才能と比べると監督の才能は平凡。というか平凡よりちょっと下かな。
 当時は「完璧な脚本だ」と思ったが、今回は「かなり良くできた脚本」と感じ方が変わっていた。先回から、昔はこう感じたが今はこうだってな話ばかりだが、人間は年が経てば価値観が変わるのだ。同じ本人ですら時と共に感想が変わるのだから、映画について全ての人に当てはまる絶対の尺度は無いと言うことだ。
 同じ映画を観ても人によって感想が違うのは当然。だからこそ映画にしろ小説にしろ面白い。

 それはともあれ、『レッドロック』は面白い。主人公のニコラス・ケイジは元海兵隊だが、任務中の事故で足を怪我して、除隊した今でも足の調子が悪い。失業中でワイオミングの友人を頼ってテキサスから肉体労働の作業現場に職を求めてやってくるが、足が不自由なことを理由に面接を落ちてしまう。
 手持ちの金もないので、取りあえずどんな仕事でも良いからと近くのレッドロックという小さな田舎町を訪れる。レッドロック・バーという酒場に立ち寄ったところ、カウンターの中にいたオーナーがニコラス・ケイジの車がテキサスナンバーなのを見て、仕事を依頼するためにテキサスはダラスから呼び寄せた男と勘違い。てっきりバーテンかなにかの仕事だろうと思ったニコラス・ケイジはこれ幸いと仕事を受けるが、実はオーナーの妻を殺してくれという内容だった。
 半金として5000ドルをもらったニコラス・ケイジはその金を持って街からトンズラする前に、夫があんたを殺そうと企んでいると警告するために女性に会いに行く。ところが、自分を狙う殺し屋が取引を持ちかけてきたと思い込んだ女性は、倍額払うから逆に夫を殺してくれと言い出す。
 すっかり泥沼にはまってしまったニコラス・ケイジだが、本物の殺し屋のデニス・ホッパーが予定より遅れて街に到着しさらに事態は悪化。こうして右を見ても左を見ても悪党ばかりの裏切りと欲望の物語が展開される。

 あれこれ粗筋を書くのはいかんなーと思っているのだが、またもや書いてしまった。でも、巻き込まれ型サスペンスの変種であるストーリーがこの作品最大の魅力であるし、話の展開が上手いので実際に観ると実に魅力的。こうくるか、そうきたかの連続でなかなか先が読めず良い意味での緊張感がある。
 始終困った顔のニコラス・ケイジが若い。オーナー役の故J・T・ウォルシュが痩せてて顔の幅が細い。妻役のララ・フリン・ボイルはまだちょっと若すぎて悪女の貫禄が足りない。『メン・イン・ブラック2』まで行ってしまうと貫禄付きすぎだが。デニス・ホッパーは相変わらずの怪演だが『ブルー・ベルベット』の悪人役と同じようなキャラクターで使い方がちょっと安易。製作がデヴィッド・リンチのプロパガンダ・フィルムだから問題はないか。ああっ、それでララ・フリン・ボイル(『ツイン・ピークス』で小悪魔的美少女役で出演)が出てるのか?

 DVDの発売元はユニバーサル・ピクチャーズ。ユニバーサル・ピクチャーズの旧作はとにかく字幕の翻訳がひどい、ひどすぎる場合が多いので心配だったがまともで安心。おそらくは劇場公開時と同じ翻訳かと。日本語吹替版も収録されていて、デニス・ホッパーの吹替が故・富山敬(1995年死去)だから新緑ではなくてビデオ発売時の日本語吹替版かテレビ放映版の音声だろう。さすが富山敬だけあって上手いのだが、実生活からしてイカれているデニス・ホッパーのイメージとは合わない。主人公声だからなぁ。

 ラストで、ニコラス・ケイジは50万ドルという大金を貨物列車からばらまくが、隅に落ちていた一束の札束はポケットへ。悪事で大金を手に入れようという悪党ではないが、最初に約束していた金額はきっちりもらっておく。根っからの善人ではない、つまりは普通の男ってこと。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/5014

コメントを投稿