『ドラゴン ~竜と騎士の伝説~』(2004) GEORGE AND THE DRAGON 94分 アメリカ/ドイツ/イギリス
監督:トム・リーヴ 製作:ロメイン・シュローダー、マイケル・コーワン、ジェイソン・ピエット 製作総指揮:デヴィッド・ロジャース、アレックス・マーシャル 脚本:マイケル・バークス、トム・リーヴ 撮影:ユースト・ファン・スターレンバーグ
出演:ジェームズ・ピュアフォイ、パイパー・ペラーボ、パトリック・スウェイジ、マイケル・クラーク・ダンカン、ジャン=ピエール・カスタルディ、ポール・フリーマン、ヴァル・キルマー
十字軍の一員としてイスラム教徒と戦い、故郷のイングランドへ帰ってきた騎士が主人公。どこかに土地を手に入れて牛でも飼って平和に暮らそうとする主人公に、父親は自分の両足を食いちぎった竜の話をする。その竜は最後の生き残りで胴体には父が刺した槍が刺さっているという。
それを単なる昔話だと聞き流した主人公は、王都へと向かう。その頃、政略結婚から逃れるために城を抜け出したお姫様は湖の畔で伝説の竜と出くわしそのまま行方不明になる。姫を取り戻すために政略結婚の相手である騎士(パトリック・スウェイジ)と手を組んだ主人公は、探索の旅に出ることになる。
とまあ、粗筋を話すと王道的騎士物語だ。ところが実際の映画はかなりハチャメチャなストーリーでナイス。姫様は竜にさらわれたわけでなく、最後の竜が産んだ卵を守るために洞窟に立てこもっていたのだ。中世において希少な野生動物の保護に命を張るとは、ずいぶんと環境保護意識の高いお姫様である。
普通ならばライバル的に扱われるパトリック・スウェイジも終盤までは主人公と仲が良く、一緒に戦うシーンでは息もピッタリ。お姫様強奪を企む武装集団との戦いなど剣や弓を使った戦闘シーンもあるが、人が斬り殺されるところなどはあまり映し出されず、娯楽映画の雰囲気を壊していない。
頑として洞窟から出ようとしない姫様のために荷馬車に巨大な卵を積んで街道を進むが、「ありゃ何だ?」とばかりに振り返る通行人がいるなどギャグも多く、全体的にコメディタッチ。酒好きの神父や主人公の手下気取りの弓が得意な少年、修道女などの脇役も上手く使われている。
DVDのパッケージは本格派ファンタジーっぽく仕上げてあるので騙されたと感じる人もいるかもしれない。竜を退治する話ではないし、そもそも竜の出番はほとんどない。でも、このハチャメチャは面白いぞ。傑作の類ではないが、映画の隅々まで作り手の愛情が感じられ、観ているこちらも嬉しい。
『グリーンマイル』などで有名な黒人俳優マイケル・クラーク・ダンカンも主人公の友人役で出演しているし(ただし、冒頭と終盤以外は出てこないが)、なかなか良い老け方をしているパトリック・スウェイジも良かった。未公開が残念だが、主人公の騎士とお姫様があまり聞かない名前だし微妙に低予算っぽいから仕方なしか。
エンディング・クレジットにはジャッキー映画のようなNGシーン付き。台詞のとちり系が多いが、映画のラストで主人公がお姫様に心を打ち明けているところで吹き出してしまうところがある。お姫様役のパイパー・ペラーボは「何で笑うのよ!」と怒っているが、実は彼女の背後にいる馬が馬糞をボタボタと……場の空気を読めよ。って、馬に言っても無駄か。
オレの好きなヴァル・キルマーが出ているが、出演シーンがあまりにも短いし、その扱いのひどさ。とはいえ、それがまたヴァル・キルマーらしさでもある。