『ソイレント・グリーン』(1973) SOYLENT GREEN 98分 アメリカ
監督:リチャード・フライシャー 製作:ウォルター・セルツァー、ラッセル・サッチャー 原作:ハリー・ハリソン 脚本:スタンリー・R・グリーンバーグ 撮影:リチャード・H・クライン 音楽:フレッド・マイロー
出演:チャールトン・ヘストン、エドワード・G・ロビンソン、リー・テイラー=ヤング、チャック・コナーズ、ジョセフ・コットン、ブロック・ピータース、ポーラ・ケリー
先日、2008年4月5日に映画俳優チャールトン・ヘストンが亡くなられた。オレとしてはあまり興味のある俳優ではなかったが、大画面大作時代を代表する映画スターであった。
晩年はマイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』などで描かれているように全米ライフル協会の活動など右翼的面が強調されているが、『狼よさらば』の回で書いたように、アメリカ人には銃に対する伝統と価値観がある。オレは一般人が銃を所有することに反対だし、アメリカ社会からも銃が無くなって欲しいとは思うが、最終的にそれを決めるのはアメリカ人の権利だ。とりあえず、マイケル・ムーアのチャールトン・ヘストンに対する敬意の無さだけでも『ボウリング・フォー・コロンバイン』は嫌悪している。
『ソイレント・グリーン』は主演のチャールトン・ヘストンよりもリチャード・フライシャー監督作として興味のある作品だ。
人生や社会に絶望した人への安楽死、格差社会、そして食糧危機など、このところ毎日のように入ってくる硫化水素を利用した自殺のニュース、日本の食糧自給率の低さといった現在の日本社会を思うに実に先見の明がある作品だ。世界的な人口増加や農作物などの欠乏といった現在社会が抱えている問題を予言している。SF作品では明るい未来も暗い未来も描かれていたが、21世紀を迎えた今日、暗い未来だけが現実となっていると思うのは考えすぎだろうか。『1984』などで描かれた管理社会に我々は生きているように思えてならない。
あくまでも救いようが無く、かといって安易なバッドエンドとも違う、人間も社会も突き放した視点のリチャード・フライシャーの演出が見事だ。ただし、締まりがかけ緊張感に乏しいシーンが多いのも事実。
コメント (2)
30余年前の新婚早々観ています。エドワード・G・ロビンソンが幼少の頃の駆けずり回った野山、待ちわびていた春の美しく咲き乱れる草花、輝く満天の星たち・・。それらが病室の天井に大きく映し出される。綺麗な調べに合わせて安楽死して行く・・。そんなではなかったかしら。まあー、新婚旅行から帰り三日目に観る映画じゃないね(笑)。
Posted by: オンリー・ザ・ロンリー | 2008年04月07日 23:41
日時: : 2008年04月07日 23:41
オンリー・ザ・ロンリーさん
調べてみたところ、『ソイレント・グリーン』公開前年の1972年にエドワード・G・ロビンソンはアカデミー名誉賞を受賞しているのですが、その時すでにガンに冒されていたそうです。
映画の公開年度と製作年度にはある程度間が空くでしょうが、おそらく病をおしての出演だったのではないでしょうか。かつての恰幅の良さからは考えられない憔悴した老いを感じさせる外観でした。そんなエドワード・G・ロビンソンに安楽死を選ぶ役に据える残酷さに映画としての一種の美しさを感じてしまいます。
チャールトン・ヘストンとは『十戒』(1956)で共演していますから長年の友達だったのでしょう。ハリウッド映画には相応しいとは思えないストーリーが映画化されたのには、チャールトン・ヘストンが制作にかなり熱心だったからと聞いた記憶があります。(不確かですが)友情あってこそこの役を引き受けたのではないでしょうか。
そんなことを考えると感慨深いものがあります。ただし、切れ切れの資料を基に想像しただけですので、現実にはまったく違っている可能性も多大にあります。
色々なことを考えさせてくれる問題作ではありますが、とりあえず結婚して間もない頃に観る映画ではやはりないでしょうね。デートで観に行ったら気まずくなること間違いなしの作品ですよ。と、北野武の『3-4×10月』をデートで観に行ってケンカになった私が言ってみます。
Posted by: 東森時音 | 2008年04月08日 15:49
日時: : 2008年04月08日 15:49