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『インベージョン』 その人は昨日とどこか違う。あの人もどこか違う

B0011Z7ET8.jpg『インベージョン』(2007) THE INVASION 96分 アメリカ

監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル 製作:ジョエル・シルヴァー 製作総指揮:ロイ・リー、ダグ・デイヴィソン、スーザン・ダウニー、スティーヴ・リチャーズ、ロナルド・G・スミス、ブルース・バーマン 原作:ジャック・フィニイ 脚本:デヴィッド・カイガニック 撮影:ライナー・クラウスマン 衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト 編集:ハンス・フンク、ジョエル・ネグロン 音楽:ジョン・オットマン
出演:ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、ジェレミー・ノーサム、ジャクソン・ボンド、ジェフリー・ライト、ヴェロニカ・カートライト、ジョセフ・ソマー、セリア・ウェストン、ロジャー・リース、エリック・ベンジャミン

 ドン・シーゲルの『恐怖の街』(1956)、フィリップ・カウフマンの『SF/ボディ・スナッチャー』(1978)に続き、ジャック・フィニイのSF小説『盗まれた街』の三度目の映画化。えっ、1993年にも『ボディ・スナッチャーズ』として映画化されてるの?それは観たことがないや。ってんで四度目の映画化。これだけ繰り返し映画化される原作も珍しい。
 今回の主人公は精神科医のニコール・キッドマン。小学生の息子を離婚した夫の元に一晩だけ預けてある。息子を探しだして守るために、エイリアンに寄生された人々を相手に逃げ回り、時に戦う。冷静な表情で何事にも動じない素振りをしていると、仲間だと思い騙されてしまうエイリアンは意外に馬鹿だ。
 エイリアンの侵攻や、寄生された要人によって反戦条約が締結されて世界が平和になっていくなどの皮肉な結果もテレビの映像などを通じて描写される。全ての人がエイリアンになったらもう戦う意味などないのだ。でもそれって全体主義じゃなかろうか。
 それまで良き隣人だった人が、翌日にはどこがどうとは言えないが、何か違うと感じられる。これは別人だと。これはやっぱ怖いね。もしも自分だけが異変から残った時に、違っているのは他人なのか自分なのか分からなくなるんじゃないだろうか。
 前後が交錯するアクションシーンのカット割りは、緊張感を出そうとしているのだろうがあまり効果を上げていない。そして、エイリアンが仲間を増やす手段はゲロではなくてやはり緑色の莢じゃないとダメだろ。ゲロは止めろゲロは。
 ニコール・キッドマンはちょっと顔つきが変わったか?頬の辺りがふっくらして以前より優しい顔になっている。子供を愛する母親にはぴったりの顔だ。眠るとエイリアンになってしまうゲロをその顔面にぶっかけられて感染してしまい、必死に眠気をこらえ、薬物を服用してまで睡魔と戦おうとする。しかし、ちょっと気を抜くと睡魔がそろりそろりと触手を伸ばしてきて……うーん、受験勉強を思い出すなぁ。マジメにやってないけど。睡魔に連戦連敗でしたよ。
 新ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグも冷静な医師を演じていて、頼りになるナイスガイ。肝心な時に役に立たんが。
 ラストは少々ご都合主義だが、一番怖ろしいのは人間だという皮肉さ。でもだからこそ人間。オレとしては1978年版が救いようのないラストを含めて一番好きだが、2007年版も社会全体を描くことを止め母と息子に焦点を当てた話作りは悪くない。

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