『海底二万哩』(1954) 20,000 LEAGUES UNDER THE SEA 127分 アメリカ
監督:リチャード・フライシャー 製作:ウォルト・ディズニー 原作:ジュール・ヴェルヌ 脚本:アール・フェルトン 撮影:フランツ・プラナー 音楽:ポール・J・スミス
出演:カーク・ダグラス、ジェームズ・メイソン、ポール・ルーカス、ピーター・ローレ、ロバート・J・ウィルク、テッド・デ・コルシア、カールトン・ヤング、J・M・ケリガン、パーシー・ヘルトン、テッド・クーパー、フレッド・グレアム、エディー・マー、ハリー・ハーヴェイ
小学生の頃、ジュール・ベルヌなどSF小説にハマった。文庫本の方ではなく、児童向けに翻案された物である。一日三冊ぐらいのペースで読んでいたのではないだろうか。三冊というのは、貸し出し数が三冊までだからで、貸してくれれば多分もっと読んだ。
ジュール・ベルヌはとにかく発想とアイディアがすごい人で、どこにも存在していない物をさも見たかのように書く。代わりにストーリーに深みがなく、人間を上手く描いていないとは今になって思う。その点は、オレがあまり好きではなかったH・G・ウェルズの方が上手い。
月にも人間を送ったし、地底探検も行わせたジュール・ベルヌが、海面下の世界、つまり海底に目を付けないはずがない。
そしてチョウザメを思わせるフォルムの潜水艦ノーチラス号の公開を描いたのが、この『海底2万里』(海底2万マイルとも言う)だ。原作が発表された1870年には夢の技術だった潜水艦が主たる舞台である。しかも動力はどうやら原子炉。
映画で注目すべきは、ストーリー面ではなく映像面だろう。実際に珊瑚礁などで海中撮影を行ったシーンは、『砂漠は生きている』などドキュメンタリーも得意とするディズニーならではだ。
なかでも見せ場はラスト近くの大王イカとノーチラス号クルーの戦いだろう。SFXの都合によって嵐のシーンの中、10本の腕をウネウネと動かしながら襲ってくる大王イカが怖い。感情がなく無駄に大きいあの眼が怖い。足の付け根でカチカチいってるとんび(口)が怖い。うえ~ん、イカ焼き食えないよぉ。ゲソ揚げから逃げちゃうよぉ。
最近はクラーケンとか言う8本足野郎がデカい顔を(そりゃデカいわ)しているようだが、8本より10本の方が2本多い。それに製作年度は50年以上前だが、迫力は大差ない、と思う。
ここで、無駄キャラだと思っていた銛打ちのカーク・ダグラスが生きてくる。海の男は荒っぽいが良い奴らだぜ。
ネモ艦長がペットにしているのが犬ならぬアシカで、前ひれの拍手でカーク・ダグラスのギターと合奏したり、ニューギニアの島で人食い人種に襲われたりとお笑いシーンもあり。黒人の人食い人種ってのは今では出来ないネタだな。クールー病(共食いから起こる狂牛病の一種)があるから。って、いやいや。
例の作品のファンのためにいっておきますと、もちろんネモ船長はパイプオルガンを弾き鳴らします。ヒゲオヤジです。でも、女の子は出てきません。ライオンの子も出ません。
でも、これだけ進んだ技術を持ちながら、ノーチラス号備え付けのボートは手こぎなんだよ。モーターとか小型エンジンとかも作れよ、ネモ。
コメント (7)
カーク・ダグラスは荒っぽい海の男の役が良く似合う。バイキングとか。
Posted by: けん | 2008年02月29日 16:41
日時: : 2008年02月29日 16:41
カーク・ダグラスは映画俳優として大成する前に海軍に所属していたことがあるそうです。なるほど、海の男が似合うわけです。
Posted by: 東森時音 | 2008年02月29日 23:06
日時: : 2008年02月29日 23:06
小学低学年の頃に浅草で観ました。今、はっと発見しましたが原題は20,000 leaguesですか?。知りませんでした。だとすると1 leagueは3マイルだから邦題は「海底6万哩」が正解になりますね。leagueを使うなら原作者はイギリス人ですか?。当時の輸入会社、6万より2万のが耳に心地よいなんて勝手にかしら。まあそれはそれとしてディズニーはやはり大変な偉人ですね。「ファンタジア」はもう芸術の域と思います。音楽と映像が完全融合した。「砂漠は生きている」はドキュメンタリーの秀逸と思いますが唯一ヤラセがありましたよ。鷲が地上の小動物を襲うシーンです。カメラ・ポイントを小動物と同一レベルにするアイディアは解りますが、とどのつまりは低い位置の「カメラを襲う」ことになります。まー、許しますか。たまには。
Posted by: オンリー・ザ・ロンリー | 2008年03月10日 18:12
日時: : 2008年03月10日 18:12
オンリー・ザ・ロンリーさん
1 leagueは3マイルなんですか。辞書を引いて納得。
原作者のジュール・ベルヌはフランス人です。原書はフランス語の様なので翻訳間違いがあったのかもしれません。
ただし、原作の発表は1870年で第二次大戦前にはすでに日本でも翻訳版が発行されていたとのことですから、犯人は原作の翻訳者・編集者ですね。
『ファンタジア』は1980年末頃にリバイバルで観ましたが、名古屋での公開はすでに無くなってしまった“シネプラザ50”という観客収容数が50人の小劇場でした。スクリーンの小さいこと小さいこと。しかも観客が私一人で、微妙に居心地が悪い。でも、映画が始まるとスクリーンの小ささや居心地の悪さは気にならず没頭しました。
ドキュメンタリーについては、私は子供の頃にそれと知らずにニュースでヤラセ役を演じさせられてしまって以来、ニュースの映像もドキュメンタリーもどうせヤラセなんだろうと思うようになってしまいました。『砂漠は生きている』全体の良心的かつ製作にかかったであろう苦労を考えると、まー許しますね、同じく。
Posted by: 東森時音 | 2008年03月10日 18:38
日時: : 2008年03月10日 18:38
いつも東森さんの研究熱心、疑問に対して調べ上げる所に頭が下がります。そうですか、ならば最初の翻訳者・編集者の大チョンボなんですね。しかし、正確には「海底約10万キロ」になる訳で海や船にとんと弱い、でも年間5万キロは車で走る私には抵抗もかかる船がそれも潜水艦が10万キロも航行出来るなんてびっくりです。潜水艦の耐久年数とか航行距離に付いてペンタゴンにでも聞いてみたいです(笑)。それとも10万キロなんて楽勝なんですかね、全く船は解らん。「子供の頃」面白く拝読しました。童心を深く傷つけられた事になりますね。ドキュメンタリーに対する考え方、異議なし!ですよ、ご同輩、ハイっ!。
Posted by: オンリー・ザ・ロンリー | 2008年03月10日 20:02
日時: : 2008年03月10日 20:02
カーク・ダグラスの本作品はリメイクなんですね。本作品の前に1916年に作られたものは邦題はきちっと換算され「海底6万哩」になっています。恐らくリーグは日本で馴染みがないから換算して6万哩に。リメイクの際に担当者がリーグとマイルがごっちゃになり勘違いしたと考える事にしましょう。やれやれ。そのまま題名を引き継げば良いのに。
Posted by: オンリー・ザ・ロンリー | 2008年04月12日 21:45
日時: : 2008年04月12日 21:45
家の本棚を漁っていたら、昭和31年第一刷発行の岩波少年文庫版『海底二万里』が出てきました。(ウチのは昭和48年第18刷ですが)。奥付を見ると原題はフランス語で『Vingt mille lieues』となっていました。調べてみるとvingtは20、milleは1000だそうで、20×1000で二万ですか。でlieueはリーグと。そうなると海底六万里が正しいのだとは思います。
日本のSF作家押川春浪が1900年に発表した『海底軍艦』はジュール・ベルヌの『海底二万里』から大きな影響を受けているそうです。ということは、それ以前に翻訳版が出版されていたのでしょう。当時の日本人にとって馴染みのないリーグではなく里を使い、それがそのまま引き継がれてきたのでしょう。
個人的には原作小説の『海底二万里』が先に頭にあるので、このままでいいだろうと思います。
Posted by: 東森時音 | 2008年04月13日 00:10
日時: : 2008年04月13日 00:10