『トーマス・クラウン・アフェアー』(1999) THE THOMAS CROWN AFFAIR 113分 アメリカ
監督:ジョン・マクティアナン 製作:ピアース・ブロスナン、ボー・セント・クレア 脚本:レスリー・ディクソン、カート・ウィマー 撮影:トム・プリーストリー 音楽:ビル・コンティ
出演:ピアース・ブロスナン、レネ・ルッソ、デニス・リアリー、フェイ・ダナウェイ、エスター・カニャーダス、ベン・ギャザラ、フランキー・フェイソン、フリッツ・ウィーヴァー
スティーヴ・マックイーン主演の『華麗なる賭け』のリメイク。
オリジナルは、マックイーンのお金持ち紳士役がどうもイメージと違ったのと、当時の今風を気取っていてそれほど好きではない。
リメイク版も「どんなもんかな~」ってんで観に行ったが、やはりピンとこない。
今回、観直してみて、ピアース・ブロスナン主演の犯罪アクション映画を期待したのが間違いで、レオ・ネッソ主演のロマンス映画としてみるべきだったのに気がついた。
ニューヨークの美術館で『ART OF THE ROMANS』という展示会が開かれている。入り口に垂れ下がった各国の幕の中には日本の物もあり「昆布JAPAN」と書かれているのはご愛敬。何故に昆布? 劇中でトーマス・クラウン(ピアース・ブロスナン)は味噌汁飲んでるが、出汁はやっぱり昆布か? 「お手持ちの烏口」ほどではないが、謎だ。
その会場から1億ドル相当のモネの絵画が盗まれる。本格的な窃盗団を囮として使った大胆不敵な犯行だ。その絵にかけられた保険の保険会社が、独自の女性調査員キャサリン(レオ・ネッソ)を警察に送り込んでくる。そして、調査を続ける内に、意外な容疑者が浮かび上がる。それはクラウン投資の社長兼オーナーで、実業家として成功しているトーマス・クラウンという男だった。
トーマス・クラウンは自宅の書斎にある秘密の場所にモネの絵を隠す。その場所を覆っているのがルネ・マグリットの『人の子』という絵だ。山高帽を被り顔が青リンゴになったビジネススーツの男を描いたもので、どんな絵かは“ルネ・マグリット 人の子”でネット検索してもらうと簡単に画像を調べることが出来る。
美術に関してはまったく疎いが、印象派の代表とも言えるモネの絵を、シュルレアリスムのルネ・マグリットの絵が覆い隠すところが面白いのかもしれない。そしてこの、別の物が他の物を覆い隠しているというのがこの作品の重要ポイントだ。真が偽を隠している場合もあれば、偽が真を隠している場合もある。
この山高帽の男が、ラストでは大活躍。作品全体のにテンポはゆっくりだが、このシーンはスピード感もあって知的な犯罪ゲームとして楽しめる。
ラストの刑事のセリフじゃないが「先週は自分の幼子を殴り殺した男を逮捕した。それに比べればこれはお金持ちの知的ゲームだ。たかが絵が一枚盗まれたぐらい俺にはどうでもいい」
中盤のトーマス・クラウンとキャサリンのロマンスが少々だれる。というか、個人的に興味がない。
グライダーに自家用ジェット、リゾート地のマンション。そしてお金持ちの色男。「お前はハーレクイン・ロマンスか」ってな感じ。一流レストランにブランド物の服とブランド物のダイヤのネックレス。
キャサリンは人間としてのトーマス・クラウンに魅力を感じたんじゃなくて、お金じゃないか? と疑ってしまいたくなる。女性には面白いのかな?
キャサリンを散々に振り回し、なかなか本心を見せないトーマス・クラウン。つまるところ恋の駆け引き。うん、やっぱりロマンス映画だ。