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2008年01月 アーカイブ

2008年01月01日

『トーマス・クラウン・アフェアー』 昆布-JAPAN

B000QTEBDC.jpg『トーマス・クラウン・アフェアー』(1999) THE THOMAS CROWN AFFAIR 113分 アメリカ

監督:ジョン・マクティアナン 製作:ピアース・ブロスナン、ボー・セント・クレア 脚本:レスリー・ディクソン、カート・ウィマー 撮影:トム・プリーストリー 音楽:ビル・コンティ
出演:ピアース・ブロスナン、レネ・ルッソ、デニス・リアリー、フェイ・ダナウェイ、エスター・カニャーダス、ベン・ギャザラ、フランキー・フェイソン、フリッツ・ウィーヴァー

 スティーヴ・マックイーン主演の『華麗なる賭け』のリメイク。
 オリジナルは、マックイーンのお金持ち紳士役がどうもイメージと違ったのと、当時の今風を気取っていてそれほど好きではない。
 リメイク版も「どんなもんかな~」ってんで観に行ったが、やはりピンとこない。
 今回、観直してみて、ピアース・ブロスナン主演の犯罪アクション映画を期待したのが間違いで、レオ・ネッソ主演のロマンス映画としてみるべきだったのに気がついた。

 ニューヨークの美術館で『ART OF THE ROMANS』という展示会が開かれている。入り口に垂れ下がった各国の幕の中には日本の物もあり「昆布JAPAN」と書かれているのはご愛敬。何故に昆布? 劇中でトーマス・クラウン(ピアース・ブロスナン)は味噌汁飲んでるが、出汁はやっぱり昆布か? 「お手持ちの烏口」ほどではないが、謎だ。
 その会場から1億ドル相当のモネの絵画が盗まれる。本格的な窃盗団を囮として使った大胆不敵な犯行だ。その絵にかけられた保険の保険会社が、独自の女性調査員キャサリン(レオ・ネッソ)を警察に送り込んでくる。そして、調査を続ける内に、意外な容疑者が浮かび上がる。それはクラウン投資の社長兼オーナーで、実業家として成功しているトーマス・クラウンという男だった。

 トーマス・クラウンは自宅の書斎にある秘密の場所にモネの絵を隠す。その場所を覆っているのがルネ・マグリットの『人の子』という絵だ。山高帽を被り顔が青リンゴになったビジネススーツの男を描いたもので、どんな絵かは“ルネ・マグリット 人の子”でネット検索してもらうと簡単に画像を調べることが出来る。
 美術に関してはまったく疎いが、印象派の代表とも言えるモネの絵を、シュルレアリスムのルネ・マグリットの絵が覆い隠すところが面白いのかもしれない。そしてこの、別の物が他の物を覆い隠しているというのがこの作品の重要ポイントだ。真が偽を隠している場合もあれば、偽が真を隠している場合もある。
 この山高帽の男が、ラストでは大活躍。作品全体のにテンポはゆっくりだが、このシーンはスピード感もあって知的な犯罪ゲームとして楽しめる。
 ラストの刑事のセリフじゃないが「先週は自分の幼子を殴り殺した男を逮捕した。それに比べればこれはお金持ちの知的ゲームだ。たかが絵が一枚盗まれたぐらい俺にはどうでもいい」

 中盤のトーマス・クラウンとキャサリンのロマンスが少々だれる。というか、個人的に興味がない。
 グライダーに自家用ジェット、リゾート地のマンション。そしてお金持ちの色男。「お前はハーレクイン・ロマンスか」ってな感じ。一流レストランにブランド物の服とブランド物のダイヤのネックレス。
 キャサリンは人間としてのトーマス・クラウンに魅力を感じたんじゃなくて、お金じゃないか? と疑ってしまいたくなる。女性には面白いのかな?
 キャサリンを散々に振り回し、なかなか本心を見せないトーマス・クラウン。つまるところ恋の駆け引き。うん、やっぱりロマンス映画だ。

2008年01月02日

『三十九夜』 美女と手錠で繋がれて

B000LXINRS.jpg『三十九夜』(1935) THE 39 STEPS 88分 イギリス

監督:アルフレッド・ヒッチコック 原作:ジョン・バカン 脚本:チャールズ・ベネット、アルマ・レヴィル、イアン・ヘイ 撮影:バーナード・ノールズ 音楽:ルイス・レヴィ
出演:ロバート・ドーナット、マデリーン・キャロル、R・マンハイム、ペギー・アシュクロフト、マイルズ・メイルソン

 ヒッチコックお得意の巻き込まれ型サスペンスで、ロマンスとサスペンスが見事な融合された、一言で言って傑作だ。

 軽音楽や芸人が芸などを披露するロンドンの小劇場。
 舞台には驚異的な記憶力を誇る暗記男が、その雑学を披露していた。すると、ピストルの音が数発。慌てた観客たちが表へと飛び出していく中、主人公は難儀していた女性を助け、自分のアパートへと連れて行く。
 ところが、その女性は国家機密の漏洩について調査中の情報部の情報員だった。そして、その女性が刺殺されてしまい、主人公は殺人犯と疑われ、自らの無実をはらすべくスコットランドへと逃亡の旅に出ることとなった。

 女性が刺殺された後、犯人たちがアパートを見張る中、主人公は牛乳配達人の服を借りて抜け出す。その口実が、「ある家に浮気に来ていたのだが、夫やその友人が表から見張っている」というものだった。すると、牛乳配達人は「ならばお互い様だな」と気楽に衣装と車まで貸してくれる。お互い様とはどういうことだろうか? 『モンティ・パイソン フライング・サーカス』でも人妻が牛乳配達人と浮気? をしているというスケッチがあったが、向こうの間男というと牛乳配達人が頭に浮かぶのだろうか?

 鉄道や荒野を走るなどして逃げ続ける主人公。逃げる逃げる、ひたすら逃げる。
 途中、知り合った女性と警察を名乗る物によって手錠で繋がれ、共に逃亡を余儀なくされる。強気な女性で最初は反発していたのに、次第に打ち解けていく二人。いいねぇ。ヒロインが濡れたストッキングを脱ぐところなど別に必要のないカットだが、色っぽくて良い。で、いい雰囲気になったと思ったらまたケンカ。
 主人公たちをかくまう田舎の家の妻やホテルの女将さんなど、いい味出してるな~。他にも印象的な脇役が多く、列車で同席になった女性用下着のセールスマン同士の会話まで面白い。

 講演会で講演者と間違われて、適当な講演をでっち上げたら妙にウケてしまったり、車内で話しているカットがそのまま1カットで車外に出て車を見送るカットなど実にヒッチコック的だ。今作では車だったが、後には列車でそれをやることになる。

 悪役について分かっているのは手の小指の先が欠損しているということだけ。下手を打ったヤクザ?
 機密漏洩について別の人間が調べていたが、書類の一枚もなくなっていない。やはり主人公たちは嘘を言っているのではないか?
 ここで冒頭の複線が活きてくる。ネタとしてはキアヌ・リーブスが主演した『JM』(1995)の元祖みたいなものか。

2008年01月03日

『海底二万哩』 海は青く、どこまでも深い

B000BKDREU.jpg『海底二万哩』(1954) 20,000 LEAGUES UNDER THE SEA 127分 アメリカ

監督:リチャード・フライシャー 製作:ウォルト・ディズニー 原作:ジュール・ヴェルヌ 脚本:アール・フェルトン 撮影:フランツ・プラナー 音楽:ポール・J・スミス
出演:カーク・ダグラス、ジェームズ・メイソン、ポール・ルーカス、ピーター・ローレ、ロバート・J・ウィルク、テッド・デ・コルシア、カールトン・ヤング、J・M・ケリガン、パーシー・ヘルトン、テッド・クーパー、フレッド・グレアム、エディー・マー、ハリー・ハーヴェイ

 小学生の頃、ジュール・ベルヌなどSF小説にハマった。文庫本の方ではなく、児童向けに翻案された物である。一日三冊ぐらいのペースで読んでいたのではないだろうか。三冊というのは、貸し出し数が三冊までだからで、貸してくれれば多分もっと読んだ。
 ジュール・ベルヌはとにかく発想とアイディアがすごい人で、どこにも存在していない物をさも見たかのように書く。代わりにストーリーに深みがなく、人間を上手く描いていないとは今になって思う。その点は、オレがあまり好きではなかったH・G・ウェルズの方が上手い。

 月にも人間を送ったし、地底探検も行わせたジュール・ベルヌが、海面下の世界、つまり海底に目を付けないはずがない。
 そしてチョウザメを思わせるフォルムの潜水艦ノーチラス号の公開を描いたのが、この『海底2万里』(海底2万マイルとも言う)だ。原作が発表された1870年には夢の技術だった潜水艦が主たる舞台である。しかも動力はどうやら原子炉。
 映画で注目すべきは、ストーリー面ではなく映像面だろう。実際に珊瑚礁などで海中撮影を行ったシーンは、『砂漠は生きている』などドキュメンタリーも得意とするディズニーならではだ。
 なかでも見せ場はラスト近くの大王イカとノーチラス号クルーの戦いだろう。SFXの都合によって嵐のシーンの中、10本の腕をウネウネと動かしながら襲ってくる大王イカが怖い。感情がなく無駄に大きいあの眼が怖い。足の付け根でカチカチいってるとんび(口)が怖い。うえ~ん、イカ焼き食えないよぉ。ゲソ揚げから逃げちゃうよぉ。
 最近はクラーケンとか言う8本足野郎がデカい顔を(そりゃデカいわ)しているようだが、8本より10本の方が2本多い。それに製作年度は50年以上前だが、迫力は大差ない、と思う。
 ここで、無駄キャラだと思っていた銛打ちのカーク・ダグラスが生きてくる。海の男は荒っぽいが良い奴らだぜ。
 ネモ艦長がペットにしているのが犬ならぬアシカで、前ひれの拍手でカーク・ダグラスのギターと合奏したり、ニューギニアの島で人食い人種に襲われたりとお笑いシーンもあり。黒人の人食い人種ってのは今では出来ないネタだな。クールー病(共食いから起こる狂牛病の一種)があるから。って、いやいや。
 例の作品のファンのためにいっておきますと、もちろんネモ船長はパイプオルガンを弾き鳴らします。ヒゲオヤジです。でも、女の子は出てきません。ライオンの子も出ません。

 でも、これだけ進んだ技術を持ちながら、ノーチラス号備え付けのボートは手こぎなんだよ。モーターとか小型エンジンとかも作れよ、ネモ。

2008年01月11日

『TAXi4』 カースタントがないのは残念だが

B000WPEJ5U.jpg『TAXi4』(2007) TAXI 4 91分 フランス

監督:ジェラール・クラヴジック 製作:リュック・ベッソン、ミシェル・ペタン、ロラン・ペタン 製作総指揮:ディディエ・オアロ 脚本:リュック・ベッソン 撮影:ピエール・モレル
出演:サミー・ナセリ、フレデリック・ディファンタール、ベルナール・ファルシー、エマ・シェーベルイ=ヴィークルンド、エドュアルド・モントート、ジャン=クリストフ・ブヴェ、ジャン=リュック・クシャール、フランソワ・ダミアン、ジブリル・シセ

 シリーズ最新作というよりも、むしろ番外編か?主人公はダニエルでもエミリアンでもなく署長だな、これは。カースタントもほとんどないし。

『TAXi3』でダニエルとエミリアンには男の子が産まれたが、その子たちも成長し小学校低学年ぐらい。独身でスタートしたダニエルたちもすっかりお父さんだ。ダニエルの妻の父である将軍も良いおじいさんとして子供たちと戦争ごっこをしている。
 そんなマルセイユにベルギー人の大犯罪者が護送されてきて、あとはシッチャカメッチャカのドタバタが始まる。
 署長のバカっぷりを受け入れられるかで評価はかなり異なるかと。一般的に持っている気取ったフランス映画のイメージは欠片もない。『ザ・カンニング[IQ=0]』(1980)など、フランスの泥臭いコメディの系統だ。
 日本ではほとんど公開されないだけで、フランス映画には娯楽映画も多いそうだ。

 学生時代の友人に去年の春、男の子が産まれた。
 この正月に初めてその子にも会ったが、友人はお父さんしてた。
 かつては、「子供が出来たからって、その子の写真が入った年賀状をもらってもなぁ」と言っていた友人からの年賀状は夫妻と子供の3人による集合写真でした。
 ダニエルとエミリアンもお父さんになって無茶は減ったのかな。その分以上に署長が無茶だ。
 エミリアンの奥さんで刑事として同僚でもあるペトラは相変わらず綺麗で強い。ダニエルの奥さんはパリに行っているという設定で登場しなかったのがちょっと寂しい。

 DVDには日本語吹替音声として劇場公開時の芸能人版と、1~3と同じ声優版の二種類が収録されている。芸能人版だけだったらどうしようかと思ったよ。

2008年01月15日

『プレステージ』 全てがトリック

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『プレステージ』(2006) THE PRESTIGE 130分 アメリカ

監督:クリストファー・ノーラン 製作:クリストファー・ノーラン、アーロン・ライダー、エマ・トーマス 製作総指揮:クリス・J・ボール、ヴァレリー・ディーン、チャールズ・J・D・シュリッセル、ウィリアム・タイラー 原作:クリストファー・プリースト 脚本:クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン 撮影:ウォーリー・フィスター 衣装デザイン:ジョーン・バーギン 音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、パイパー・ペラーボ、レベッカ・ホール、デヴィッド・ボウイ、アンディ・サーキス

 ファーストカットは林の中に転がる大量のシルクハット。そして、二人の若きマジシャンの憎しみと対立のドラマが始まる。

 重要な人物として、実在した天才科学者ニコラ・テスラ(デヴィッド・ボウイ)が登場する。この人を知っているかどうかで楽しみ方がぐっと変わってくるのでちょっと説明。
 この人は交流電流を発明した人で、直流電流を支持したエジソンと激しく対立した。エジソンが交流電流を非難するために、処刑用の電気椅子を交流電流にして「交流電流は危険だ」と主張したというエピソードを聞いたこともある。
 かなりな変人でもあったらしく、永久機関の研究にも熱心だったとか。「これが永久機関だ」と称する物を作ったが、「偽物だろ、それ」と言われて怒って壊してしまい本当に永久機関だったのかは闇の中というのもニコラ・テスラのエピソードじゃなかったかな。(違ったらすまん)ならば、この作品での出来事もあったのかもな、と思ったりもする。
 この部分を受け入れられるか、受け入れられないかで評価が変わってくるだろう。『タイムマシン』の作者H・G・ウェルズが実際にタイムマシンを作っていて、現在にやってくるという映画『タイム・アフター・タイム』があったが、そんな感じで観ればいいのかと。

 監督が『メメント』のクリストファー・ノランだけに、やたら時間軸が飛びまくる。タイプとしては好きではないのだが、面白いのでよし。
 内容がらストーリーについて述べないが、19世紀末のロンドンが舞台というのは単なる懐古趣味ではなく、様々な設定などから必要として決められたものだ。
 主人公のマジシャン二人が「そこまで確執を持たなくてもいいだろうに」とも思うが、細かな描写を重ねていって、ラストへと突入していく様子は面白かった。
 語り手的役割の「老いてもなお元気」なマイケル・ケインや、久しぶりに観たデヴィド・ボウイなど脇がしっかりしていてうれしい。
 ラストに到るまでの人物や事柄の描写がしっかりしているのでオチも活きる。
 舞台の上も、私生活も、人生そのものがトリック。

2008年01月16日

『ディテクティヴ』 ろくでなしデカだった男が……

B000X2XYXU.jpg『ディテクティヴ』(2006) UNTIL DEATH 113分 アメリカ

監督:サイモン・フェローズ 製作:モシュ・ディアマント 製作総指揮:ダニー・ディムボート、ジョン・トンプソン、アヴィ・ラーナー、ボアズ・デヴィッドソン、ウィリアム・ファイファー 脚本:ダン・ハリス、ジェームズ・ポートルース 撮影:ダグ・ミルサム 音楽:マーク・セイフリッツ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ウェス・ロビンソン、スティーヴン・レイ、セリーナ・ジルズ、マーク・ダイモンド、ウィリアム・アッシュ、スティーヴン・ロード、ゲイリー・ビードル、C・ゲロッド・ハリス、バフィ・デイヴィス

 ジジイ、カッケエェ。ジジイの登場シーンだけでオレは満足だよ。歓声をあげちまったよ。この映画の全てを認めるよ。

 このところ、なかなか充実した作品が多いジャン=クロード・ヴァン・ダム。今作では人間として悩み傷つく麻薬捜査官を演じている。昔ならば、「ヴァン・ダムに悩むとか似合わないでしょ」だったが、年齢を重ねて顔にシワも出てきたヴァン・ダムが、結構味があるんだな、これが。
 捜査に入れ込むあまり、妻のことも顧みず、アルコール依存症だけではなくついにはヘロイン中毒になってしまった主人公が、麻薬密売の大物によって頭を撃たれ、命は取り留めた物の、昏睡状態に陥ってしまう。そして半年あまり後、ようやく意識を取り戻し、リハビリなどの中でかつての自分を省みる。後悔と反省によって彼は不自由な足で新しい一歩を踏み出す。だが、麻薬密売組織が彼のことを放っておくはずはなかった。

 格闘アクションや銃撃戦はひかえめで、一匹狼という古いタイプの刑事が全てを失ってしまい、そこから再生していく物語。
 舞台はニューオリンズで、階数が低めの建物が建ち並ぶ光景は、同じくヴァン・ダム主演の傑作『ハードターゲット』を思い出させる。
 前半でのヴァン・ダムの髪型が少しパーマがかかっていて、しかも無駄に長いもみ上げ。クリント・イーストウッドの『ダーティーハリー』をイメージしているのか?敵役がキャラハンという名前だったりするしな。
 妙に凝ったカメラワークがあるが、作中では浮いている。監督のサイモン・フェローズはウェズリー・スナイプスの『7セカンズ』などを撮っている人だが、この人自体は上手いとは思わない。

2008年01月19日

『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』 何があろうと決して諦めない

B000WPEJ7S.jpg『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』(2006) THE MARINE 92分 アメリカ

監督:ジョン・ボニート 製作:ジョエル・サイモン、ジョナサン・ウィンフリー 製作総指揮:マット・キャロル、ヴィンス・マクマホン 脚本:ミシェル・ギャラガー、アラン・マッケルロイ 撮影:デヴィッド・エグビー 編集:ダラス・プエット 音楽:ドン・デイヴィス
出演:ジョン・シナ、ロバート・パトリック、ケリー・カールソン、アンソニー・レイ・パーカー、アビゲイル・ビアンカ、ジェローム・イーラーズ、マヌー・ベネット、ドリュー・パウエル

 映画が始まってすぐ、タイトル『THE MARINE』とともに海兵隊礼服のジョン・シナが敬礼をするところで、「これはちとヤバいかな」とハズレを覚悟したが、いやいやなかなかなバカアクション映画でした。

 イラクで人質となった米軍兵士を処刑寸前に単身で救助した主人公だが、命令違反と判断されて海兵隊を除隊になってしまう。
 愛する妻の元へと帰り、とりあえずビルの警備員の職に就くが、迷惑で暴力を振るう男を叩きのめしてしまいあっさり首に。そこで、しばらくの間、妻とのんびり旅をすることにしたが、立ち寄ったガソリンスタンドでダイヤモンド強盗団に妻を誘拐されてしまう。
 もちろん主人公は追いかける。銃撃されようと、殴られようと、爆発に巻き込まれようと、決して諦めずに主人公は追い続ける。

 主人公のジョン・シナはWWEのプロレスラーで、マット・デイモンの顔とアーノルド・シュワルツェネッガーの肉体を併せ持つ男。筋トレのみで鍛え上げた肉体と違い、リングの上でプロレスラーとして実戦を重ねた者が持つ強さを感じさせる。ちょっとやそっと殴られたり蹴られたりしてもさしてダメージは受けなさそうだ。オレなんかが思いっきり殴ったら、こっちの拳が痛むな。
 ロバート・パトリックを親玉とするダイヤモンド強盗団は、厳密な計画でダイヤモンド販売店を襲った割にはバカばかり。いちいち言い争うわ、考えなしに銃器をぶっぱなすわ、氷砂糖に幼少期のトラウマがあるわ。凶悪なんだけど、どこかコメディ担当でもある。悪党側に格闘の専門家が欲しかったところだが、楽しかったんだからいいや。

 ガソリンスタンドや酒場などが爆発。無駄に爆発。もちろん派手。
 主人公がパトカーで強盗団を追いかけるシーンでは、まずフロントガラスが無くなり、次にはボンネット、フロントバンパー、そして屋根まで吹っ飛ぶ。どこまで壊れていくのだろうかとワクワクしてしまった。
 出番はほとんどないのだが、前半で主人公が警備員をしていたときの同僚が、最初は嫌なヤツか無能なヤツだと思っていたのが、以外に良いヤツで嬉しかった。こういうちょっとした脇役が光ってるってのは好きだ。

 原題は『ザ・マリーン(海兵隊員)』だが、日本公開時は『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』に変更。やはり『マリーン』ではカニかまぼこみたいだからだろうか?
 主人公はけっして降伏しないし、肉弾で凶器だ。ぴったりの邦題である。ジョン・シナには今後も期待だ。

2008年01月22日

『ビリー'S KARATE MAN』 押忍!俺たちゃカラテマン

B000VEGDDS.jpg『ビリー'S KARATE MAN』(1996) BALANCE OF POWER 93分 アメリカ

監督:リック・ベネット 製作総指揮:アラン・M・ソロモン 撮影:ギレス・コルベイル
出演:ビリー・ブランクス、マコ、リサ・ボイントン、デニス・アキヤマ、ジェームズ・リュー、エイドリアン・ハフ
 
 DVDに収録されていた作品紹介で爆笑してしまったので、そのタイトルを返却と同時にこいつを借りてきた。
 ふーむ、この人がビリーズ・ブートキャンプの人か。初めて見た。
 さすがの筋肉質で、『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』のジョン・シナの肉体が大型トラックだとしたら、ビリーはスポーツカーといった感じ。
 映画そのものはB級というか、むしろC級ないしD級だが、オレ的には面白いぞ。

 日系マフィアに支配され、ドラッグや犯罪がはびこる街で、主人公のニコ(ビリー・ブランクス)は子供たちの心を強くし道を開かせるために空手道場を営みカラテを教えている。だが、ある事件をきっかけに、マフィアが開催する格闘トーナメントに出場することとなった。
 そのニコを指導し、より優れた武術家として鍛え直すのがマコ・岩松ことマコ。惜しくも2006年にこの世を去られたが、アメリカ映画界で長年にわたって活躍された日系俳優の代表とも言える人だ。
 武術に大切なのは肉体・技術はもちろんだが、なによりも重要なのは心だとマコは説く。ニコの心は陽が強すぎる。陰と陽のバランスが取れた安定した心を作り上げるべく、浜辺や雪山での修行が続く。『ベストキッド』か『レモ 第一の挑戦』てな修行シーンがうれしい。老師と弟子ってのは最近では少なくなったが、やっぱ黄金パターンだよな。マコ自身は格闘技を習得していないだろうが、あの鋭い目つきで武術の師匠を感じさせてくれる。そのくせ、孫娘が可愛くて仕方ない様子なのがちょっと可愛い?
 そして敵との戦いの中、ついに陰と陽とが釣り合い、太極図のような心となって悟りを開いたニコの強いこと強いこと。最強ですよ最強。殴って殴って、蹴って蹴ってさらに殴る。やり過ぎに見えるが、怒りで我を失うことはない。序盤の黒帯の割には頼りないし、街のチンピラにもすぐケンカを売っていたのが嘘のようだ。やはり、この映画は武術における力と心を描いた作品ですよ、うん。
 
 マフィアを潰すには格闘トーナメントでニコが優勝する他ないというのはちょっと論理の飛躍だが、最後には悪投は滅び良い人間は幸せになる。

 金はかかっていなそうだし、どこかで観たようなストーリーだが、その分安心して観ていられる。所々、日本と中国がごっちゃになっているのはいつものことだ。気にするな。

2008年01月24日

『ビリー'S GUN & FIGHT!』 筋肉コンビが大暴れ

B000VEGDE2.jpg『ビリー'S GUN & FIGHT!』(1995) TOUGH AND DEADLY 92分 アメリカ

監督:スティーヴ・コーン 製作:アラン・M・ソロモン 製作総指揮:ジェームズ・グリッケンハウス、レナード・シャピロ 脚本:スティーヴ・コーン 撮影:ジェームズ・W・ロバーソン 音楽:ウィリアム・キッド
出演:ビリー・ブランクス、ロディ・パイパー、リチャード・ノートン、ジェームズ・カレン、ゲイリー・カスパー、サル・ランディ、フィル・モリス、リサ・スタール、ブラント・フォン・ホフマン

 主人公ビリーの相棒となる私立探偵がロディ・パイパー、製作総指揮にジェームズ・グリッケンハウスと懐かしい名前が並ぶ。ロディ・パイパーはジョン・カーペンターの『ゼイリブ』で主人公を演じていた人で、本業はプロレスラー。この作品では、ビリーのカンフー系アクションと、ロディ・パイパーのプロレス系アクションの二つの格闘アクションが堪能できてお得だぞ。
 ビリーのアクションは一撃必殺の強力な破壊力はあまり感じられないが、締まった筋肉は柔軟で足の伸びたハイキックや素早いパンチ、バク転などもこなす身体能力の高さが魅力だ。ヴァンダムの得意技180度開脚までやってしまう柔軟さを持っている。今回調べてみたら、少年時代から空手やテコンドーの修行を始め、ムエタイやボクシングもやっているとか。本気の格闘家だったのか。

『ビリー'S KARATE MAN』はストレートで分かりやすいストーリーだったが、『ビリー'S GUN & FIGHT!』は多少話が込み入っていて、敵の正体もすぐには分からない。そもそもビリーが冒頭で敵に襲われ、薬を撃たれたり交通事故などによって記憶を失っているのでサスペンス的要素もある。そのサスペンスを「ビクトリーキック!」があっという間に吹き飛ばしてしまう。

 ビリーはロディ・パイパーの、仮釈放違反で逃走した人間を捕まえて賞金を稼ぐ仕事を手伝う。『ミッドナイト・ラン』でロバート・デ・ニーロがやってた仕事だな。そして、お互いに信頼を深めていく。ちょっとしたきっかけで、探偵事務所の中で二人が戦いを始めるが、基本的にじゃれ合いなので本格さはなく残念。二人の本気での対決も観てみたかった。
 探偵事務所で秘書として働く女性が、出番はそれほど多くはないが、ガキのような主人公二人を「しょうがないわね」といった表情をしながらも、裏からサポートする。いい女だ。
 格闘シーン、銃撃戦、爆破シーンと盛りだくさんだが、どれも低予算アクション映画の枠を越えてはいない。ストーリーも演出もごく平凡。観れば結構楽しいが、日本未公開だったのも無理はない。エクササイズプログラムの『ビリーズブートキャンプ』がヒッとしなければ、観る機会はないままだったろう。
 オレとしては、ビリーのアクションも良かったが、何よりもロディ・パイパーが元気そうなのを久々に観ることが出来ただけでも嬉しい。といっても、もう13年前の作品か。

2008年01月26日

ゲット・スマートとかガソリンの値段のこと

『それ行けスマート』のリメイクが、2008年秋公開予定で製作進行中だとか。
 『チャーリーズ・エンジェル』や『ミッション・インポッシブル』など昔のテレビシリーズの映画化も一段落付いていた。そろそろネタも尽きてきたのだろうか、なんてことを思っていたら『それいけスマート』か。その考えはなかったわ。オリジナルは1960年代のテレビシリーズなので観たことはないが、1980年に作られた『THE NUDE BOMB』だけ観ている。好きな作品なので、新作公開時にどさくさまぎれにDVDで出ないかなと密かに期待している。でも、『ヘアスプレー』の1988年オリジナル版も出なかったしなぁ。こっちは音楽の版権問題などがあるのかもしれないが。
『それ行けスマート』のスパイアイテムというとスマートが履いている靴が無線機になっているというのが有名だが、携帯電話前世の今だからこそこのギャグは残して欲しい。せめて、呼び出し音が鳴って、最初は靴を片方脱いで耳に当てるが、はっと気づいてポケットから携帯電話を取り出すというネタはダメかなぁ。そもそもオリジナルとは全く関係ない作品になっているかもしれないし。
『スタスキー&ハッチ』(2004)のように、日本での劇場公開はされずにビデオダイレクトの可能性も大きそうではある。

 ガソリンや灯油が高くなった高くなったと思ってはいたが、実際どれぐらい上がったのかというのは案外意識していなかった。先日、高速を使って遠出をしたので、出発前にセルフ式ガソリンスタンドで給油した。燃料計はエンプティに近かったが、マーチだし3000円もあれば満タンになるだろうと給油機に紙幣を投入。そしてガソリンを入れたが、満タンになる前にお金を使い切ってしまった。
 やっぱ高ーなと思いつつ、今日になって自宅の片付けをしていたら、昔給油したときのレシートが束になって出てきた。一番古いのが1998年10月20日とほぼ10年前。レギュラーガソリンの単価は愛知県のJOMOスタンドで1リットル88円。セルフじゃなくて、給油も窓ふきもやってくれるスタンドで88円。安いなー。
 ちなみに、その束で一番近い日付が2003年4月1日の同じスタンドで102円。

2008年01月27日

『ラッシュアワー3』 対峙、エッフェル塔

B000ZFTN6W.jpg『ラッシュアワー3』(2007) RUSH HOUR 3 100分 アメリカ

監督:ブレット・ラトナー 製作:アーサー・サルキシアン、ロジャー・バーンバウム、ジェイ・スターン、ジョナサン・グリックマン、アンドリュー・Z・デイヴィス 脚本:ジェフ・ナサンソン 撮影:ジェームズ・ミューロー プロダクションデザイン:エド・ヴァリュー 衣装デザイン:ベッツィ・ハイマン 音楽:ラロ・シフリン
出演:ジャッキー・チェン、クリス・タッカー、真田広之、ノエミ・ルノワール、マックス・フォン・シドー、イヴァン・アタル、工藤夕貴、ロマン・ポランスキー、ジュリー・ドパルデュー、チャン・チンチュー、ツィ・マー

 シリーズもついに第三作。気心の知れたスタッフとキャストで映画はテンポ良く進み、中国系マフィアの謎を追って大西洋を渡りジャッキーとクリス・タッカーはパリへと降り立つ。真田広之と工藤夕貴などを敵に回して、どう立ち向かうかデコボココンビ。

 とにかく、パリでジャッキーたちが乗ったタクシーの運転手が最高です。この人はこのシーン限りではなく再登場して欲しいなと思っていたら、こちらの予想以上に活かしてくれた。『TAXi』シリーズじゃないが、フランスのタクシードライバーは舐めたらいかんですよ。奥さん役は意味なくジェラール・ドパルデューの娘ジュリー・ドパルデュー。
 マックス・フォン・シドーの矍鑠たる姿も嬉しい。腹に一物ありそうなジジイを楽しげに演じている。オレが観たのは『マイノリティ・リポート』(2002)以来か?もうそろそろ80歳らしいが、100まで生きれば後20年。まだまだ出演してくれ。
 ジャッキー・チェンといえば石丸博也というわけで、日本語吹き替えで観たのだが、真田広之の吹き替えが真田広之ではない。色々事情はあるのだろうが、違和感が強かった。せめて、もうちょっと声質が似ている人にして欲しかった。石丸ジャッキーと誰かさん真田広之とを比べて石丸ジャッキーを選んだわけだが。

 途中でケンカ別れしたジャッキーとクリス・タッカーだが、ジャッキーは黒人が好むフライドチキンを、クリス・タッカーはチャイニーズ・フードを食べている。人種は違えど、長年の付き合いで命を預け合ったこともある二人はとっくにブラザーなのだ。サミュエル・フラーの『裸のキッス』(1964)の冒頭を思わせるシーンもあったりして、だらけてみている暇はなかった。
 アクションシーンは意外と少ないが、アクション映画よりもまずジャッキーとクリス・タッカーの掛け合いによるコメディ映画が先になっているのだろう。そのアクションシーンの目玉がジャッキー・チェン対真田広之の夢の対決とあっては、オールドファンは期待せずにはいられないだろう。素手での格闘ではなく、刀によるチャンバラなのが残念だが、この日をどれだけ待ったことか。二人とも全盛期の動きと比べるとさすがに落ちているが、それを補う貫禄がある。やっぱ真田広之は格好いいわ。オレにとってはまず何よりも『伊賀のカバ丸』や『コータローまかりとおる!』の真田広之なんだけどね。

 パリの空港に到着したジャッキーとクリス・タッカーを捕まえて部下に電話帳でブッ叩かせている役人がロマン・ポランスキー。あの映画監督のロマン・ポランスキーだ。自分の初期監督作品でもちょくちょく顔を出す出たがりだったとはいえ、あんた何しとんねん。『TAXi4』でも警官が容疑者を電話帳でブッ叩いていたが、なんでもダメージが強い割にアザなどの傷跡が残らないので尋問には便利らしい。というか、拷問ですな。

2008年01月31日

『ウィッカーマン』(2006) 訪れたら帰れない

B000YIASSW.jpg『ウィッカーマン』(2006) THE WICKER MAN 101分 アメリカ

監督:ニール・ラビュート 製作:ニコラス・ケイジ、ボアズ・デヴィッドソン、ランドール・エメット、ノーム・ゴライトリー、アヴィ・ラーナー、ジョン・トンプソン 製作総指揮:ダニー・ディムボート、ジョージ・ファーラ、ジョセフ・ローテンシュレイガー、エリサ・サリナス、ジョアン・セラー、トレヴァー・ショート、アンドレアス・ティースマイヤー 脚本:ニール・ラビュート オリジナル脚本:アンソニー・シェイファー 撮影:ポール・サロッシー プロダクションデザイン:フィリプ・バーカー 衣装デザイン:リネット・マイヤー 編集:ジョエル・プロッチ 音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:ニコラス・ケイジ、エレン・バースティン、ケイト・ビーハン、フランセス・コンロイ、モリー・パーカー、リーリー・ソビエスキー、ダイアン・デラーノ、マイケル・ワイズマン、エリカ=シェイ・ゲイアー

 主人公のエドワード(ニコラス・ケイジ)はある日、枝編み細工の家具で指を傷つけてしまう。翌朝、目覚めたエドワードは、自分の身体に新たな能力が備わっているのに気づく。植物のDNAとエドワードのDNAが結びつき、超人を生み出したのだ。柳の枝のようなしなやかさと木の幹の根の強靱さを兼ね備えたエドワードは、手製の木をイメージした衣装を身にまとい、“ウィッカーマン”としてロサンゼルスの悪と戦うことになったのだ。

 という映画ではありません。

 昔婚約していた女性から、行方不明になった娘を捜してと手紙が来たため、カリフォルニアで白バイ警官をしていたエドワードはワシントン州の小島を訪れる。閉鎖的な村、排他的な人々、そこで彼が目撃する不可思議な世界と恐怖。
どんよりとした風景。「私たちの先祖はケルト人」だとか、人も訪れない壊れて朽ち果てた教会などが雰囲気を盛り上げるが、「この島に移ってきたのは1800年代」というのがアメリカを舞台にした映画の限界ではある。新大陸のアメリカでは古い出来事なのだろうが、日本人からすると歴史において1800年代ってのはつい最近の感覚だ。
 1973年版のオリジナルはイギリス映画で、舞台も当然イギリスの小島となっている。数千年の歴史を持つ土地だから、ケルト人うんぬんなどの様々な設定がより重みを持っておどろおどろしく感じられることだろう。とはいえ、オリジナル版は残念ながら観ていない。以前、マイナーレーベルから期間限定で発売されたがすでに廃盤。2006年版と基本的なところは同じだそうだが、もっとバカな上にクリストファー・リーも出演している。観てぇ。すっげえ観てぇ。
 ニコラス・ケイジはマッチョなヒーローよりも、この作品のようなちょっと“へなちょこ”な部分がある方が好みだ。オレは警官だぞと脅したり暴力を振るっても、全然相手にされない。その相手にされなさ具合がいいな。

 農業を中心に営む平和な田舎の村だと思って訪れた先が、実はオウム真理教のサティアンだった。うぎゃぁぁぁぁ