『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』(1991) HARLEY DAVIDSON AND THE MARLBORO MAN 99分 アメリカ
監督:サイモン・ウィンサー 製作:ジェレ・ヘンショウ 脚本:ドン・マイケル・ポール 撮影:デヴィッド・エグビー 音楽:ベイジル・ポールドゥリス
出演:ミッキー・ローク、ドン・ジョンソン、チェルシー・フィールド、ヴァネッサ・ウィリアムズ、トム・サイズモア、ダニエル・ボールドウィン、ビッグ・ジョン・スタッド、ティア・カレル、ジャンカルロ・エスポジート、ケリー・フー
1991年製作で、舞台が1996年と極近未来映画となっている。
目薬として点眼する麻薬や、悪の手下が使っているのが未来的デザインのステアーカービンを使っているが、それ以外に特にSF的なストーリーや小道具は登場しない。
どうやら、アメリカ建国220周年を舞台にしたかっただけのようだ。なんじゃ、そりゃ。
2年ほどロサンゼルスから離れていたハーレー・ダビッドソン(ミッキー・ローク)が、バイクにまたがって帰ってくる。途中、ガソリンスタンドで強盗に出くわすが、ピストルを突きつけられても動ずることなく、それどころか叩きのめしてしまう腕の立つ男だ。
ロスの昔なじみの店に行き、かつての相棒マルボロマン(ドン・ジョンソン)と再開する。彼らの恩人である店のオーナーから、250万ドルを用意しないと店が立ち退かねばならぬと聞いたハーレー・ダビッドソンとマルボロマンは、かつての仲間を集めて銀行の現金輸送車を襲撃し強盗することに決める。
上手くいったかに思えた作戦だったが……
ミッキー・ロークとドン・ジョンソンがカッコエー。二人とも脂がのりきった時期で、特にミッキー・ロークのライダースーツ姿は似合う。カウボーイスタイルのドン・ジョンソンも添え物ではなく映える。
この中年オヤジ二人組が中心になって、いい年をしたバカな連中がプロでもないのに強盗をしたり、麻薬組織の悪党どもを敵に回して逃げ回ったり、対決したりと、実にバカな映画だ。さして真剣にもならない無責任な部分も含めて、言いようによっては、男のロマンとも言える。
強盗を企てるのも「金がないなら盗もう」と気楽なものだし、仲間が殺されてもさして深刻にはならない。たまたま盗んだ相手が大悪党だったからアクション娯楽映画となっているが、普通の現金輸送車だったら単に頭の悪い犯罪者だよな、こいつら。
ハーレー・ダビッドソンもマルボロマンも、無職のようで酒場での賭けなどで生計を立てているようだ。だからといって将来に不安を持つことなくお気楽に暮らしている。中年ニートだ。
マルボロマンの元の彼女である白バイ警官から「時としてあんたたちがうらやましくなるわ。他のみんなは仕事に一生懸命なのに、あんたらときたらその日暮らしでお気楽ね」と言われてしまうぐらいだ。
だからといって、その言葉に反省したり、最後には真っ当な真人間になるわけでもない。ただ、少しだけ成長する。すこーしだけ。
まだ日本の景気が良く、アメリカへの買収攻撃していた頃の話なので日本への敵対意識が見られるシーンがある。
マルボロマンが乗っていたバイクは調子が悪く、ついには「このポンコツめ」と銃をぶっ放して壊してしまうが、タンクには“KAWASAKI”のエンブレム。そうカワサキの日本製バイクなのだ。後のシーンでマルボロマンは新しいマシンを手に入れるがこちらはハーレー。アメリカ人ならハーレーに乗れなのだ。
そういえば、『ブラックレイン』(1989)のオープニング近くでも、マイケル・ダグラスの運転するハーレーがスズキだかホンダだかの日本製バイクとのゼロヨンみたいな直線勝利で勝っていました。
さらに、敵側のボスであるトム・サイズモアが、日本企業の面々とビデオ会議をしているのだが、ここでサイズモアは意味不明の原語をしゃべる。しばらくして気がついた。これは日本語のつもりなのだ。「みーなさーま、こぅこぅでぇしれいして、うじゃがじゃがじゃが」
『プライベート・ライアン』の軍曹役などではすっかり体格が良くなってしまったサイズモアだが、この頃は痩せてた。でも、今の方が良いよな。太って成功した俳優というのも珍しい。
サイズモアは銀行の頭取だが、裏では麻薬売買を取り仕切っており、防弾衣で武装した部下(ダニエル・ボールドウィン)らをハーレーとマルボロマン退治に送り出す。
双方が対決する、軍用機の墓場はその場所をロケ地に選んだだけで、映画としては勝ち。
腕は立つが、銃はからっきしという役をミッキー・ロークが楽しげに演じている。終盤では銃弾の値段が高いリボルバーを武器にして、敵に一発も当たらないまま弾切れになってしまい、「2ドル、4ドル、6ドル」と金額をカウントしながら装填していくシーンが笑えた。
1992年にはボクシングし合いのために来日し、かの“猫パンチ”で一世を風靡?した。その頃から人気も落ち始め、体付きも太ってきたし、整形美容のため顔が以前とは変わってしまい、脇役中心になってしまった。最近、復調の兆しもあるようだが、さてどうなる?
ドン・ジョンソンについては、『サンタモニカ・ダンディ』(1989)、デニス・ホッパー監督の『ホット・スポット』(1991)とこの『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』が三作続けて面白かったので期待したのだが、その後はあまりぱっとしないまま。TVムービーの『マイアミ・バイス』から世に出たドン・ジョンソンだが、結局TV界に帰って『ナッシュ・ブリッジス』シリーズをヒットさせたそうだ。両方とも見てないので、知らんが。