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『ブルークリスマス』 青い血だろうと人間だ

B000CFWN6C.jpg『ブルークリスマス』(1978) BLOOD TYPE:BLUE 133分 日本

監督:岡本喜八 製作:嶋田親一、垣内健二、森岡道夫 脚本:倉本聰 撮影:木村大作 美術:竹中和雄 編集:黒岩義民 音楽:佐藤勝
出演:勝野洋、高橋悦史、沖雅也、岡田英次、竹下景子、仲代達矢、中条静夫、大滝秀治、新井春美、岡田裕介、八千草薫、天本英世、岸田森、神山繁、小川信司、稲葉義男、岡本みね子、松田洋治、大谷直子、草野大悟、小沢栄太郎、潮哲也、芦田伸介、中谷一郎、島田正吾、松本克平、永井智雄、田中邦衛

 世界中でUFOの目撃情報が相次ぐようになった。そして、光り輝くUFOを目撃した人は、血が青くなってしまう。だからといって健康に害はなく、精神面での欠点が治っていたりする。ひょっとしたら人類はUFOによって進化の次なる段階を登り始めたのかもしれない。
 しかし、青い血の人々を人間以外の物として考えた各国政府は、ついにその抹殺計画を企てる。

 雪で景色が白に染まるからホワイトクリスマス。殺害されたUFO人の青い血で染まるからブルークリスマス。
 人間の血管を流れているのは鉄と結びついたヘモグロビンだが、青い血の人に流れているのは銅と結びついたヘモシアニン。要はイカの血と同じだ。イカも血が青い。UFOからの“宇宙光線”で血液の質が変わってしまったのだ。
 国営放送JBC(大河ドラマとかを作っているようなので元ネタはNHKだろう)の記者仲代達矢が基本的な語り手。UFO事件について発言した科学者を追ってニューヨークへ飛んだり、パリ支局に転勤になったりとあちこち飛び回る。でも、その角刈りな髪型は微妙だぞ。
 もう一人の主役は国防省の自衛隊員勝野洋。行きつけの理髪店で働く竹下景子に恋心を抱いているが、彼女が青い血の持ち主だと知ってしまう。ついにはその抹殺命令を下され、任務と恋とに挟まれて苦しむ。
 UFOの姿は画面上に登場しない。目撃者の証言で語られるのみだ。ストーリーとしても重く、ハッピーエンドとはかけ離れた終わり方で、射殺された恋人の赤い血と青い血が雪の上を流れて、一つに交わるシーンに辛うじて希望を残す。
 新しい人種が生まれたら、それを人間と見なすか否か。劇中の各国政府はは侵略者と考える。そして、大衆の意識を「青い血は悪だ。青い血をした人は敵だ」と思い込ませていく。人種差別は肌の色の違いが主な理由だが、それが血の色になっただけだ。竹下景子が理髪店で観ているテレビ番組が、ナチスによるユダヤ人虐殺であることからも、この映画のテーマは浮かび上がる。
 最近では国会で「UFOは実在するか?」なんてことを真面目に議論しあっていて、アホかと思っていたが、ひょっとしたら政府は私たちの知らない新しい事実を知っていて、それを隠しているのかも。なんつってな。
 あれこれ理由を付けて、全国民の血液検査を強行する政府。自衛隊の上官が、「俺の血も青くなっているんじゃないかと不安でたまらないんだ」とナイフの傷が幾筋もついた左腕を見せるシーンの怖ろしさ。
 岡本喜八の骨太な部分が出たポリティカル・フィクション&SFの傑作。キャストも実に豪華だ。

「血が青くなったら、肌の色が変わるんじゃねーの」という野暮なツッコミもあろうが、あれは化粧でごまかしているのだ。UFO人の女性が寝る時に化粧を落とすと、顔面が青いというシーンがちゃんとある。
 SFXを使わなくてもSF映画は成立すると言うことを示した一本。

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