『三十四丁目の奇蹟』(1947) MIRACLE ON 34TH STREET 96分 アメリカ
監督:ジョージ・シートン 製作:ウィリアム・パールバーグ 原作:ヴァレンタイン・デイヴィス 脚本:ジョージ・シートン 撮影:チャールズ・クラーク、ロイド・エイハーン 音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:エドマンド・グウェン、モーリン・オハラ、ジョン・ペイン、ナタリー・ウッド、ジーン・ロックハート、ポーター・ホール、ウィリアム・フローリイ、セルマ・リッター、ジャック・アルバートソン、ジェフ・コーリイ
妊娠中に夫に裏切られ、それ以来夢を持たなくなった主人公(モーリン・オハラ)は、自分の娘にもおとぎ話などを一切せずに現実的な子供として育てていた。
デパートの上層部で働く主人公は、クリスマス向けのパレードで、酔っぱらったサンタ役の男を追い出し、代わりに通りすがりの老人をサンタクロースに据える。立派な白いヒゲと、でっぷりとしたお腹はサンタクロースそのもの。それどころか、彼は、「自分の名はクリス・クリングルで、もちろん本物のサンタクロースだ」と主張して止まない。
優しく暖かで、その言動は確かに本物のサンタクロースとしか思えない。
次第に、「彼は本物かも」と思い始める母と娘だったが、クリス・クリングルは本物のサンタクロースであるか否かの裁判にかけられてしまうことになる。
クリスマス映画の定番。アメリカではクリスマスの度にテレビで放映されているそうで、「どのチャンネルも『三十四丁目の奇蹟』ばかりだ」というセリフを映画か小説で見かけた覚えがある。
前半はクリングルを雇ったデパートと、主人公と隣人の若手弁護士を中心にして話は進むが、後半は裁判劇になっている。アメリカ人って裁判が好きだなー。サンタが本物かどうかってのは裁判で決める物なのかと。
来年に検事の選挙を控える裁判長は、票のためにもサンタの存在を否定するわけにはいかない。クリングルのサンタ人気を利用して売り上げを伸ばそうとするデパートの役員や、保身のために判決に悩む裁判長。この辺りのシニカルさも、単なる子供向け映画ではない。
法廷でサンタの存在は認められたが、被告席にいるクリングルがサンタであるというのはまた別問題だ。そこで、確固たる証拠を提出しなければならないが、その方法が笑った。
いわば、現代のおとぎ話。SFXなど特殊効果を使わなくても、ファンタジー映画を撮ることは出来るということを見事に示した。
バリバリ働く主人公は赤毛のモーリン・オハラ。仕事に子育てにと肩に力を入れてがんばっている。その娘は幼き日のナタリー・ウッド。やっぱこの頃から上手いわ。
いるから信じるのではなく、信じるからいる。サンタとはそのような物なのだろう。
若い頃に観た時は、「ケッ、ハートウォーミングですか。サンタなんていませんが」と馬鹿にしましたが、今観ると面白いし、やはり心温まる。
「オレも老いてきたのかな。反逆精神に満ちあふれた心のパンクスじゃなかったのかよ。逆立ったトゲは抜けちまったのか?」と思い、感動作と言われている某作品を借りてきて観たら「ケッー、ケッケッケッーのケッー」だったのでまだ大丈夫。