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『馬鹿が戦車でやって来る』 馬鹿が映画を撮っている

B000O17BZC.jpg『馬鹿が戦車でやって来る』(1964) 93分 日本

監督:山田洋次 製作:脇田茂 企画:市川喜一 原案:團伊玖磨 脚本:山田洋次 撮影:高羽哲夫 美術:佐藤公信 音楽:團伊玖磨
出演:ハナ肇、犬塚弘、岩下志麻、松村達雄、花沢徳衛、谷啓、東野英治郎、飯田蝶子、戦車87号

 完璧である。
 タイトルは。

 馬鹿がやって来るんである。
 しかも、戦車でやって来るんである。

 これはもう、タイトルアカデミー賞があったら、上位入賞間違いなし。
 タイトルは。

 学生時代に、このタイトルを聞いた時は驚いた。
 『男はつらいよ』なんて駄作を撮っている山田洋次が、こんなパンクでアナーキーでバカなタイトルの映画を手がけていたとは。
 そして、ビデオでこの作品を観る機会があった。
 最高だった。タイトルは。
 後はもう、かなりどうでもいい映画だ。しょせんは、山田洋次。パンクでもアナーキーでも、そして馬鹿でもない。

 馬鹿ことハナ肇が鬱屈させた思いがついにぶち切れて、戦車で村を破壊しまくるが、爽快感がない。閉鎖的村社会に、弱者がついに牙を剥く重要なシーンなのに、その意味すら感じさせない。
 どうやら山田洋次に“馬鹿”というものが理解できていないようだ。
 香具師であるヤクザ者の車寅次郎を、お調子者のお人好しとしてしか描けなかったのも無理はない。

 社会風刺か、寝ぼけたような映画史しか撮れない馬鹿な山田洋次が、喜劇映画の重鎮となってしまったことは、実に悲劇である。
 このことで、日本の喜劇映画はゆうに20年は後れを取った。未だに『釣りバカ日誌』が続いているなんて、ひどい話もあったものだ。

 ちなみに、オレにとってバカは褒め言葉。馬鹿はけなし言葉。口頭だと区別が付かないので、“馬鹿“は“頭が悪い”と呼んでいる。東大を出ていようが、馬鹿は馬鹿だ。

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