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『鳥』(2006) ヒッチコック作のリメイクじゃないぞ

B000M9CDD6.jpg『鳥』(2006) DIE KRÄHE(THE CROWS) 94分 ドイツ

監督:エッツァルト・オネッケン 製作:マーティン・ガンツ、ロベルト・スタイマーリング 脚本:スヴェン・ボッチャー 撮影:ヨッヘン・スタブレイン 音楽:マウルス・ロナー
出演:スザンナ・シモン、ステファン・ユルゲンス、ナイキ・ファーマン、ドリス・クンストマン、マチアス・フレイホフ、ジュリアン・ギビンス、トーマス・メインハード、ルッツ・プロッシュバーガー、イボンヌ・ションヘル

 ツタヤで見つけた時は表紙だけ見て、「おっ、ヒッチコックの『鳥』のリメイクか」と思って借りてきた。そうしたら、オープニングクレジットがドイツ語ばかり。
 出演者やスタッフには、オネッケンやガンツ、ユルゲンスなどのいかにもドイツ人の名前が並ぶ。
「ドイツ映画なのか」と観ていたらタイトルが出た。
『DIE KRÄHE』
 KRÄHE? 鳥だったらVogelだよな。学生時代に使った独和辞典を十数年ぶりに開いて調べてみるとKRÄHEとはカラスのこと。英語にするとCROWだ。
 これは『鳥』ではなくて、横棒が一本少ない『烏』だったかとDVDを取り出してみるが、レーベルに大きく書かれた文字はやはり『鳥』(とり)。
 ふーむ、と観進めていくが、やはりヒッチコックの『鳥』は関係ない! 鳥が襲ってくること自体はオマージュだが、それ以外に繋がりはない。

 DVDは発売元:プライムウェーブの販売元:アルバトロス。
 アルバトロスか……やはりな。ツタヤが旧作100円レンタルだったので手を出したが、騙されたぜ。しかし、100円とはいえもったいないので観る。
 序盤はつまらない。庭でやっているバーベキューにカラスが襲来して、肉を奪っていくが、大して面白くない。
 ところが、妊娠七ヶ月の獣医である女性主人公が、カラスの異常に気付いて動き始めた辺りからぐいぐいと面白くなっていった。
 どうやらカラスは人為的に知能を高められたらしい。主人公は警告を発するが、妊娠で精神的に不安定なだけだと、夫ですらその警告を無視する。だが、カラスの数はどんどん増えていき、ついには平然と人間を襲い始める。
 委員会はカラスを毒餌で殺す決定を下すが、カラスは毒餌を見破り人間に対する攻撃性を増すだけだ。委員会に乗り込み、中止を訴える主人公だが……

 凡庸なストーリーだが、主人公を妊婦にすることによってサスペンスを増している。
 パニック映画でありがちな、主人公の警告を誰もが無視することについての説得力ともなっているし、大きなお腹を抱えた女性がカラスに立ち向かっていくのは絵になる。
 主人公が他人に笑われたり変人扱いされても問題に立ち向かっていくのは、なによりもお腹の中にいる赤ん坊が安全で暮らせる世界を守るため。自分の娘のためなのだ。
 カラスの大群を描写するCGは若干粗いが、それを忘れさせてくれる。
 主人公が乗っている車はフォルクスワーゲンのポロ。弁護士である夫が乗っているのがアウディ。どちらもドイツ車だ。
 それに対して、主人公の警告を無視する委員会の議員が乗っているのは日産。
 毒餌を撒く作業員が乗っているのが三菱。
 どちらも日本車。イメージが悪い人物が乗っているのは日本車か。すっげー分かりやすい。

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コメント (2)

おー、「鳥(烏)」を見られましたか。わたしは店頭で見かけたら買おうと思ってるんですけど(こんなのわたしぐらいしか買う人いない)、なかなか見かけないのです。
中身もおもしろそうですね。いまちょっとワケあってカラスの生態について調べているところなので、そういう点でも楽しみです。

東森時音:

とみさわ昭仁さん

序盤で「しまった外れだ~」と思っていたせいで、中盤以降ぐいぐいと面白くなっていくのを過大評価したという気もしますが、面白かったです。
主人公を妊婦にしたワンアイディアの勝ちですね。これが、男性鳥類学者だったら、また感想も違っていたと思います。
「こんなのはカラスの取る行動じゃない」と繰り返し言っていますので、カラスの生態を知るに役立つかは疑問ですが、ぜひとも「とみさわコレクション」に加えてやってください。

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