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『デスレース2000』 競争と殺戮がアメリカの文化だ

B00005HW8O.jpg『デスレース2000』(1975) DEATH RACE 2000 80分 アメリカ

監督:ポール・バーテル 製作:ロジャー・コーマン 原案:イブ・メルキオー 脚本:ロバート・ソム、チャールズ・B・グリフィス 撮影:タク・フジモト 音楽:ポール・チハラ
出演:デヴィッド・キャラダイン、シルヴェスター・スタローン、シモーネ・グリフェス、ハリエット・メディン、ルイザ・モリッツ、メアリー・ウォロノフ、ドン・スティール、ジョイス・ジェームソン、フレッド・グランディ、マーティン・コーヴ、ジョン・ランディス

 1975年当時、25年先の2000年は近未来だった。幸いなことに、2000年は無事に過ぎ去り、アメリカ大陸横断殺人レースが開催されることはなかった。

 『デス・レース2000年』は“B級映画の帝王”ことロジャー・コーマン製作による、低予算B級映画。
 アイディアが振るっていて、ニューヨークからロサンゼルスまで5台の車によるレースが行われるのだが、重要なのはタイムではなく点数。では、その点数はいかにして稼ぐかというと、通行人を轢き殺すことでポイントとなるのだ。年齢別に獲得ポイントが違って、一番大きいのは70歳以上の老人を殺した場合の100点。倫理も何もあったもんじゃない。
 主人公フランケンシュタイン(デヴィッド・キャラダイン)らの乗る車がイカれていて、70年代の特撮ヒーロー物に登場したようなゴテゴテデザイン。車の先頭には槍やナイフが付いていて、それで通行人を殺すのだ。
 実はこのゲーム、アメリカ大統領の独裁による市民の不満を抑えるために開かれている。おおっ、デストピア物だったのか。SFじゃん。同じ1975年には、管理社会への不満を過剰な暴力ゲーム『ローラーボール』で紛らわせるというその名も『ローラーボール』(1975)があった。映画の規模で行くと、『ローラーボール』の圧勝だが、アイディアでは負けてはいない。

 管理社会と言うことで、当然のようにそれに反発するレジスタンスが登場するが、これがバカ。レーサーを殺すために女装して標的になったり、断崖絶壁の前にニセのトンネル(ベニヤ板に書いた絵)を作って、そこに飛び込んだレースカーが転がり落ちるなど、こいつら真面目に反抗する気があるのか? ふざけているとしか思えない。
 そして、大会主催者側は、このレジスタンスによる妨害を、フランス人による物だと決めつける。レースにサボタージュが行われているが、サボタージュはフランス語だ。だからフランス人が悪い、んだそーだ。ホント、昨日の『ブラザーズ・グリム』じゃないが、アメリカ人ってフランス人が嫌いだ。
 ちなみに「サボる」はこのサボタージュが語源。サボタージュという言葉が日本に入ってきたのは大正時代になってからだそうだが、テレビ時代劇で「おい、さぼってんじゃねーぞ」なんてセリフを耳にしたことがある。まぁ、テレビ時代劇はファンタジーのような物なので、「時代考証が間違っている」と重箱の隅をつつくようなことは言わない。ただ、笑っただけ。

 フランケンシュタイン(デヴィッド・キャラダイン)は黒い服に黒いマント、黒いマスクと、安っぽいダースベーダーのような格好をしている。パッケージ写真の中央に写っているのがフランケンシュタインだ。
 左手の手首から先が義手になっているのもダースベーダーと同じ。はっ、もしかして、ジョージ・ルーカスはフランケンシュタインをモデルにダースベーダーを作り上げたのかっ!!

 無名時代のジョン・ランディスがメカニックの役で出演しているようだが、画面では判別できなかった。
 撮影のタク・フジモトは日系人のようで、後にロジャー・コーマン門下生のジョナサン・デミが撮った『羊たちの沈黙』や『フィラデルフィア』でも撮影監督を務めており、一流撮影監督の仲間入りをした。
 音楽のポール・チハラは、フルネームがポール・セイコ・チハラなので、こちらも日系人かと思われる。
 ロジャー・コーマンは節約第一主義で、『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』という自伝を出している。興行的に成り立ってこその映画だというのだ。ロジャー・コーマンの基本的な考え方は、100万ドルで映画を撮って、150万ドルの興行成績を上げたら50万ドルの儲けだが、10万ドルで映画を撮って100万ドルの成績を上げた方がリスクも小さいし儲かるというものだ。
 だが、監督として撮った『血まみれギャングママ』や『機関銃ケリー』はなかなかに良作。
 全ての映画が『タイタニック』や『スパイダーマン』シリーズのように1億ドルで撮るという訳にはいかなのだから、ロジャー・コーマンの精神はこれからも生き続けるであろう。

 ジェイソン・ステイサム主演でリメイクされるってのは本当か?この映画、21世紀に映像化可能なのか?通行人を轢くとポイントになるあたりが縮小されていたら、ちょっとヤダ。でも、なんか楽しみ。

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