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『ストレイト・ストーリー』 兄貴のとこまで何マイル?緑のトラクターで行くんだよ

B0000A4HSJ.jpg『ストレイト・ストーリー』(1999) THE STRAIGHT STORY 111分 アメリカ

監督:デヴィッド・リンチ 製作:アラン・サルド、メアリー・スウィーニー、ニール・エデルスタイン 脚本:ジョン・ローチ、メアリー・スウィーニー 撮影:フレディ・フランシス 音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン・スタントン、ジェームズ・カダー、ウィリー・ハーカー、エヴェレット・マッギル

 日本のテレビドラマならば「これでもかぁ、これでもかぁ」とばかりに無理矢理盛り上げようとするのだろうが、リンチはただひたすらに淡々と、歩くのと大して変わらないスピードのトラクターによる老人の数百キロの旅を描く。

「意味分かんねぇ」
「難解すぎ」
etc.etc.
 そんなことばかりを言われて、デヴィッド・リンチは少し気にくわなかったかも知れない。
「オレが撮ってるのは、オレにとってしごくストレートで分かりやすい映画だ」とか思っていたのかも知れない。
「じゃぁ、お前らこういうのが良いんだろ。他のだってこれだってオレの映画だ」
 そう思ったのかは知らないが、リンチが初めて脚本をすべて他人に任せて作り上げた実にストレートな映画が、このストレイトジイさんのロードムービー『ストレイト・ストーリー』である。

 印象的なのがたき火だ。
 若い女性ヒッチハイカーとたき火を挟んでの会話
 そして、脳卒中の発作で病院に担ぎ込まれた兄と会ったという、牧師との会話。
 交通事故で車にはねられて死んだ鹿の肉をたき火で焼いている。
 近頃では、庭先でたき火をやるなんてのも近所から苦情が来るご時世だが、やはりたき火は良い。良いたき火を出来る人は実に格好いいと思うのだ。
 もちろんリチャード・ファーンズワースのたき火は格好いい。

 リンチ組としてはハリー・ディーン・スタントンがファーンズワースの兄役で出演。でも1920年生まれのファーンズワースに対して1926年のスタントンが兄というのは若干無理があるかも。
 他には、『ツイン・ピークス』でガソリンスタンドの店主役ビッグ・エドを演じたエヴェレット・マッギルが、トラクター販売店の店主役で顔を出している。この人は『砂の惑星』で砂の民の族長も演じている。

 彼らのような顔の知られた俳優は少なく、大半は見知らぬ顔ばかりだ。
 飲食店の店員や、近所の住民など、役名もないような彼らが実に味わいのある顔つきの人ばかりで、奥深さを感じさせる。
 ボソボソと一言ごとに語るファーンズワースはやはり良い。
 いわゆるリンチ的なシーンは女性が乗用車で鹿を轢いてしまったところぐらいだが、いやいや、やはりリンチだ。

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