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『メル・ブルックス/逆転人生』 「…でも俺の方が金持ちだ」「フンガーッ!」

B000P0I64W.jpg『メル・ブルックス/逆転人生』(1991) LIFE STINKS 95分 アメリカ

監督:メル・ブルックス 製作:メル・ブルックス 製作総指揮:エズラ・スワードロウ 脚本:メル・ブルックス、ルディ・デルカ、スティーヴ・ヘイバーマン 撮影:スティーヴン・ポスター 音楽:ジョン・モリス
出演:メル・ブルックス、レスリー・アン・ウォーレン、ジェフリー・タンバー、スチュアート・パンキン、ハワード・モリス、ルディ・デルカ、テディ・ウィルソン、マイケル・エンサイン、マシュー・フェイゾン

「なんだ、メル・ブルックスも普通の映画が撮れるんじゃんか」というのが真っ先の感想。

 メル・ブルックスは親の遺産を引き継ぎ、それをさらに大きくして、今ではアメリカ一の大富豪となった拝金主義者。生活面では苦労知らずのボンボンだ。
 そんな彼がロサンゼルスの貧困地区をぶっつぶして、巨大な近代都市を造ろうとしている。
『ロボコップ3』で、オムニ社が貧民街から住民を追い出して、デルタシティというのを作ろうとしているが、それと同じような物だ。
 ところが、建設予定地の半分はすでに所有していた物の、もう半分を貧民街から成り上がった別の実業家に買い占められてしまった。どちらも相手の持ち分が欲しいが、譲歩する姿勢を見せない。
 そこで、ある賭をして決着をつけることとする。
 それは、金も物も身分を証明する物も持たないホームレスとして、メル・ブルックスが争点となっている貧民街で30日間生き残ることが出来るか。
 メル・ブルックスの足首にはセンサーが巻き付けられていて、街から30秒以上離れると、そこで負けになってしまう。
 最初は自信満々だったメル・ブルックスだが、悲惨な現実を前に、次第に打ちのめされていく。

 寝る場所を確保するのも一苦労ならば、食べ物を手に入れるのも一苦労。
 ついに、ファーストフード店先に放置された食べ残しに手が伸びるが、店員に追い出されてしまう。
 もちろんお金を稼ぐのも一苦労。黒人の少年が、空き缶を前に「ハットゥハッ、ハットゥハッ」とダンスを披露していると、通行人が次々と小銭を入れていってくれる。
 それに目をつけたメル・ブルックスは、少年が立ち去った後、その場所で「ハットゥハッ、ハットゥハッ」とドタバタダンスを踊るが、通行人からはことごとく無視されてしまう。好きなシーンだ。

 そして、彼にも、昔は水兵になりたかったが病気でテストを撥ねられた愛称セーラーや、悪漢に襲われているところを助けてくれたバッグ・レディなどのホームレス仲間が少しずつ出来ていく。
 もうちょっとメル・ブルックスを追い込んで、価値観の大いなる逆転があり、人間としての深みが出てから事態が好転していく方が面白いかなと思うが、仲間が出来てからの方が話が広がるのでOKだろう。
 恋に落ちたメル・ブルックスとバッグ・レディが廃縫製工場に放置された布きれの中で踊るシーンはファンタスティック。いざ、ラブシーンだというときに、バッグ・レディの服を脱がしても脱がしても下に着込んでいるギャグは笑った。防寒や盗難防止のために、持っている衣装は片っ端から着込んでいるんだよな。
 泣けるシーンもあるし、それを泣きのままではなく最後にはギャグで落としたりと、メル・ブルックス節は満載だが、どぎついギャグや下ネタは少ないので、最初にも言ったがメル・ブルックスにしては普通のコメディ映画。

 メル・ブルックスと、元億万長者だという妄想を持った男が、「俺の方が金持ちだ」「いや、俺の方だ」と叩き合い、ついには妄想男が「それでも俺の方が金持ちだ」と捨て台詞を吐く度に怒りに狂ったメル・ブルックスが襲いかかる。
 この繰り返しのギャグが、ラストにもきっちり活かされて映画は無事着地。

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