『メル・ブルックスの大脱走』(1983) TO BE OR NOT TO BE 108分 アメリカ
監督:アラン・ジョンソン 製作:メル・ブルックス 脚本:トーマス・ミーハン、ロニー・グレアム 撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド 美術:テレンス・マーシュ 音楽:ジョン・モリス
出演:メル・ブルックス、(アン・バンクロフト)、ティム・マシスン、チャールズ・ダーニング、ジョージ・ゲインズ、クリストファー・ロイド、ホセ・ファーラー、ジェームズ・ハーク、ジョージ・ワイナー、ジャック・ライリー、ルイス・J・スタッドレン、ヘンリー・ブランドン
エルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』(1942)のリメイク。
メル・ブルックスなのに、パロディではなくリメイク。オリジナルにはなかったメル・ブルックス的ギャグも含まれているので、リメイク8に対してパロディ2ぐらいの割合だろうか。
ストーリーはオリジナルにかなり忠実。そして出来も割と良い。この2点が『メル・ブルックスの大脱走』の最大の弱点とも言える。
今作ではメル・ブルックスは製作と主演のみで、監督や脚本には携わっておらず、しょーもないギャグは抑えてオリジナルに勝負を挑んでいるのだが、正攻法でいって勝てる相手ではない。
結果、『メル・ブルックスの大脱走』はメル・ブルックス嫌いな人でも意外と楽しめると思うが、『生きるべきか死ぬべきか』と比較するのはやはり酷というものだ。
いっそのことパロディ8:オリジナル2ぐらいにハチャメチャにしてくれた方が、個人的には嬉しかった。
ドイツに占領されたポーランドの首都ワルシャワ。舞台を開いていた劇団が、地下組織メンバーの名前が記載された密書や、仲間の救出などでナチスを相手に大活躍。
といっても、銃や爆弾が使えるわけでもない。彼らの武器はお芝居だ。
お得意の演技でドイツ兵やゲシュタポを煙に巻いて、徹底的にコケにする様は痛快である。
国立大学で演劇を専攻したもののずっと端役に甘んじてきた役者が、ドイツ兵を前に「ユダヤ人だって人間なんだ」と大芝居を打つシーンでは、バックで思わずドイツ兵が涙をこぼしていたりする。
唄ったり踊ったり、重要人物に変装したりで役者に専念したメル・ブルックスはやはり芸達者。主題歌や劇中歌の作詞や作曲を手がけている場合も多い。
空軍の若い将校さんが恋に落ちるにはちょっと年増じゃないかなのアン・バンクロフトもさすがの大女優ぶりを魅せる。役柄は実生活と同じくメル・ブルックスの妻の大女優。
その恋の相手のティム・マシスンは『アニマルハウス』でデルタのリーダー格をやっていた人。
対するドイツチームは(チームかよ)、ゲシュタポの大佐チャールズ・ダーニングとその部下クリストファー・ロイドの怪演が目立つ。
ラストは連続オチが見事に決まり、飛行機は着地し映画も着地する。
メル・ブルックス未体験者はこの作品か『逆転人生』からだと入りやすいだろう。