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『ブレージングサドル』 悪と戦え、黒人保安官

B000IU4OHW.jpg『ブレージングサドル』(1974) BLAZING SADDLES 93分 アメリカ

監督:メル・ブルックス 製作:マイケル・ハーツバーグ 原作:アンドリュー・バーグマン 脚本:メル・ブルックス、ノーマン・スタインバーグ、アンドリュー・バーグマン、リチャード・プライアー、アラン・ユーガー 撮影:ジョセフ・バイロック 作詞:メル・ブルックス 音楽:ジョン・モリス
出演:クリーヴォン・リトル、ジーン・ワイルダー、メル・ブルックス、ハーヴェイ・コーマン、マデリーン・カーン、スリム・ピケンズ、デヴィッド・ハドルストン、キャロル・アーサー、ドム・デルイーズ

黒人が主人公の西部劇というのも珍しい。そんなに数を観ているわけではないが、他にはマリオ・ヴァン・ピープルズの『黒豹のバラード』(1993)ぐらいしか思いつかなかった。
 主人公のバートは黒人で、鉄道線路建設現場で働いている。
 黒人労働者の命など一文の価値もないと考えている現場主任の頭を叩きのめしたばかりに、あわれ絞首台行きへ。
 ところが、鉄道路線地に決まったある小さな街を安く買いたたくため、鉄道会社の重役が好色な知事(メル・ブルックス)を言葉巧みに騙して、バートを保安官としてその街に送り込んだ。
 黒人の保安官で住民たちが困惑しているところに、手下に街を襲わせて、住民を追い払おうというのだ。
 ところがバートは意外な活躍を見せ、次第に住民たちの信頼を得ていく。
 留置所にいた酔っぱらいも実は早抜き早撃ちで有名なフリスコ・キッド(ジーン・ワイルダー)で、バートの片腕として働いてくれる。
 業を煮やした悪党は、腕自慢の悪党どもを募集して集める。その中に、第二次大戦中のドイツ兵がなぜかいたりするが、気にするな。
 そして、悪の一団が街へと押し入ってくるが、バートの巧妙な罠が仕掛けられていた。

 と、ここまでだと割と普通なコメディ。ハチャメチャな展開になるのはこれからだ。
 バートたちと悪党どもは乱闘を繰り広げ、それを捉えたカメラはずずずずーっとズームアウトしていく。
 すると、そこはワーナースタジオの中に作られたオープンセットの中だった。
 自分たちのセットを飛び出した彼らは、ミュージカルを撮影中の室内セットに乱入して男性ダンサーたちと一騒動あったり、食堂でヒットラー役の俳優とパイ投げをしたりと大騒ぎ。
 悪の親玉はチャイニーズシアターへと逃げ込むが、そこで上映されていたのは佳境に入ったこの映画『ブレージングサドル』そのもの。映し出されているのは、親玉を追ってチャイニーズシアターにたどり着いたバートだ。

 どこまでが現実で、どこからが映画の中なのか。これも一種のメタ映画?
 撮る人によっては難解な芸術作品にもなる題材も、メル・ブルックスにとってはギャグのネタだ。

 メインキャストに大バカ者がいないので中盤に多少物足りなさを感じる。
 知事(上着の背中にガバナーの“GOV”と書かれている。なんでや)が出てくると、なにかにつけては女性に抱きついてばかりで楽しいのだが、出演シーンは少ない。
 バートが知恵者という設定だから、昔は名うてのガンマンとはいえ、今では酒で実を崩していたフリスコ・キッドにもうちょっとギャグ要員として活躍してもらっても良かったかもしれない。

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