2007年6月アーカイブ

51WM545RKGL.jpg『ダイヤルMを廻せ!』(1954) DIAL M FOR MURDER 105分 アメリカ

監督:アルフレッド・ヒッチコック 原作:フレデリック・ノット 脚本:フレデリック・ノット 撮影:ロバート・バークス 音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:レイ・ミランド、グレイス・ケリー、ロバート・カミングス、アンソニー・ドーソン、ジョン・ウィリアムズ、パトリック・アレン

 Blu-rayだのHD-DVDだの、次世代DVDの話題になっている。いや、あんまりなってないかも。
 その昔、80年代後半に映像ディスクが登場した。
 この時も二つの規格が競合した。レーザーディスク(LD)とVHDである。
 オレはVHDを買った。
 「なんだ、負け組だな」と言われるかもしれない。
 だが、貧乏学生だったオレがセルソフトのみ(試験的にレーザーディスクタイトルのレンタルは行われたそうだが)の映像再生機を買ったのは、ある作品を観るためであった。
 その作品を観るには、どうしてもVHDでなければならなかった。
 だから、後悔していない。

 その作品とは、アルフレッド・ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』である。
 実のところを言うと、この作品をちゃんと観ている人は意外と少ない。というか、かなり少ないはずだ。
 「そんなことはない。ちゃんとビデオやDVDで観たぞ」といった声もあるだろう。
 だが、それらは言うならば完全版ではないのだ。
 なぜなら、『ダイヤルMを廻せ!』は、立体映画だからだ。

 VHDには液晶シャッター式のゴーグルをかけることによって、立体映像を再生することが出来た。
 もちろん、『ダイヤルMを廻せ!』は、その立体映画ソフトとして発売された。
 正確な情報ではないのだが、日本での劇場公開は通常の2D映画として上映されたようなので、日本においてちゃんとした立体映画『ダイヤルMを廻せ!』を観ることが出来たのは、VHDのみということになる。
 しかし、VHDでも一部の高級機、しかも一つ1万円程度だった記憶があるゴーグルを買う必要がある。
 ただでさえレーザーディスクに敗北したVHD。時代もまだ日本においてセルソフトが一般的でなかった頃のことだ。『ダイヤルMを廻せ!』もそれほど本数が売れていないのではないかと思う。
 で、さきほどの話に戻るが、ちゃんとした『ダイヤルMを廻せ!』はかなり少ないだろうということだ。

 3D映像というと、映画よりもテーマパークでのアトラクションで接した人の方が多いかもしれない。
 偏光グラスをかけて観る、USJの『ターミネーター2 3-D』や、ディズニーランドの今は無き『キャプテン・イオ』などだ。
 一般映画だと『ジョーズ3』や『13日の金曜日part3』、最近だとロバート・ロドリゲスの『スパイキッズ3D』などがある。
 立体映画のほとんどは、立体映像を見せ物として使っている。
 ジョーズが画面から飛び出してきたり、ジェイソンが使う凶器が飛び出してくる。
 そして、観客はキャーッと驚く。
 そんな中、オレの知る限りでは唯一そんなギミックではなく、映画の演出手段にまで高めたのが『ダイヤルMを廻せ!』である。さすが、ヒッチコックだ。
 逆に、DVDで観るとその部分がマルマルっと欠けてしまう。長回しではなく、普通にカットを割った『ロープ』みたいなモンだ。多分。
 DVDで観ても面白い『ダイヤルMを廻せ!』だが、立体で観ると「こんな使い方があったのか」とさらに面白い。
 『ジョーズ3』や『13日の金曜日part3』、『スペースハンター』などの立体映画ソフトも買って、楽しんでみていたが、映画としての完成度はもちろん、立体映像の使い方に関するセンスや演出力がまったく比較にならないほどの差だ。
 とはいえ、VHDプレイヤーはとっくの昔に壊れてしまったし、ソフトの方も売っぱらったか、実家の物置の隅でホコリをかぶっているかのどちらかだ。
 だからあんまりはっきりと憶えていないので、ちと大げさに話している可能性もある。
 ともあれ、立体のグレイス・ケリー、しかも彼女をご贔屓にしているヒッチコックが撮った彼女は、いつにもまして美しかったのは確かだ。

41BK22AC76L.jpg『ミスティック・リバー』(2003) 138分 アメリカ

監督:クリント・イーストウッド 製作:クリント・イーストウッド、ジュディ・ホイト、ロバート・ロレンツ 製作総指揮:ブルース・バーマン 原作:デニス・ルヘイン 脚本:ブライアン・ヘルゲランド 撮影:トム・スターン 美術:ヘンリー・バムステッド 編集:ジョエル・コックス 音楽:クリント・イーストウッド
出演:ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローラ・リニー、エミー・ロッサム、ケヴィン・チャップマン、トム・グイリー、スペンサー・トリート・クラーク、アダム・ネルソン、キャメロン・ボウエン、ジェイソン・ケリー、コナー・パオロ、ケイデン・ボイド、イーライ・ウォラック、ロバート・ウォールバーグ、ジェニー・オハラ、ジョナサン・トーゴ、アリ・グレイノール、ウィル・ライマン

 まず言っておくが、この作品はミステリーでもなければサスペンスでもない。現代社会の闇を暴いた映画でもない。
 だから、トリックや謎もなければ、事件は解決することなく、爽快感もなにも無いままに物語は完結する。
 これは、悲劇についての映画なのだ。

 ティム・ロビンスの最後が理不尽だ、不条理だという声もある。だが、理不尽だから、不条理だから悲劇なのだ。
 シェークスピアの『ロミオとジュリエット』では、無事に逃げ延びるはずだった若き二人が、運命の巡り合わせから二人とも死んでしまう。
 それについて、「不条理だ。理不尽だ」と言うヤツがいるか?

 ガキの頃からの親友を信じられなかった男、過去のトラウマから逃れられなかった男、自分の夫を信じられず密告してしまった妻、誰が殺人を犯したかについて見当が付いているのに捕まえることの出来ない刑事。
 そういった人々が、運命に振り回され、苦痛と苦悩を味わうが、そのきっかけは悪意でも何でもなく、単なる子供のちょっとしたイタズラという残酷さ。
 この作品において、犯人が誰だとか、正義とはなにか、幼児虐待の否定などを語ることは全く意味を持たない。
 ヒーローでもなければ大悪党でもない。血と肉を持った人々の心にある暗部が、肥大化し、人を裏切り、静かに狂っていく。
 そして、、最後にはそれでも今後とも日常が続いていくことを象徴するかのように、パレードのシーンへと繋がる。それはハッピーエンドやバッドエンドといった、定型の終わり方ではない。
 救いの欠片もないまま幕を閉じることによって、『ミスティック・リバー』は観客の甘さにとどめを刺す。

 観終わった後に納得できなかったり、後味が悪くて不快だった人もいるだろう。
 これが、変に難解な映画だとしたら、難解さ故に理解できないと放り出して、それで納得する人も多いのかもしれない。
 しかし、『ミスティック・リバー』は、きわめて単純なストーリーに、腹にズドンと来るストレートな演出だ。そのため、逆に誤解されているのかもしれない。
 観た人がどんな感想を持ったとしても、それがその人の正解だ。
 不快だった=出来の悪い作品、ではない。

 思えば、監督デビュー作である『恐怖のメロディー』や、シリーズで唯一監督を務めた『ダーティーハリー4』なども、根底には理不尽さと悲劇が横たわっている。
 監督クリント・イーストウッドの作品を順に追っていくと、『ミスティック・リバー』や『ミリオンダラー・ベイビー』、『父親たちの星条旗』などを最近のイーストウッドが撮っているのはむしろ必然に違いない。

B000IJ7IRQ.jpg『ラヴ・ハッピー』(1949) LOVE HAPPY 85分 アメリカ

監督:デヴィッド・ミラー 製作:メアリー・ピックフォード、レスター・コーワン 脚本:ベン・ヘクト、フランク・タシュリン、マック・ヘノフ 撮影:ウィリアム・C・メラー
出演:ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、グルーチョ・マルクス、イロナ・マッセイ、ヴェラ=エレン、マリオン・ハットン、レイモンド・バー、エリック・ブロア、マリリン・モンロー

 ハーポ、チコ、グルーチョの3マルクスが出演しているが、チコそして特にグルーチョの出番は少なく、厳密にはハーポ・マルクスの主演作である。
 マルクス兄弟作品でないことを象徴するかのように、これまでは墨で書いただけだったグルーチョの口ヒゲがちゃんとしたヒゲになっている。

 ハーポは貧乏劇団の一員で食べ物調達係。調達すると言っても買ってくるのではなく、高級食料品店の前で待ちかまえていて、店から出てきた客の荷物を車まで運びチップをもらうついでにカゴから食品を例のよれよれのコートに放り込んで盗むのだ。
 このコートときたらまるでドラえもんの四次元ポケットで次から次へと缶詰などが入っていく。
 パトロールの警官の目から隠れたところ、たまたまその食料品店の地下倉庫に入り込んでしまう。
 しめたとばかりにどんどんコートに食品を詰め込むが、いくら詰め込んでもコートはふくらむだけで一杯にならない。その中の一つにマルタ十字のマークがついたイワシの缶詰(オイルサーディン)の中味がロマノフ王朝から盗まれた100万ドルのダイヤモンドの首飾りだったことから大騒動が始まる。

 学生時代に学校近くのレンタルビデオ屋にあったので借りて観て、それ以降店頭にあった試しがなく、今回のDVD化でおよそ15年ぶりに観た。
 マルクス兄弟だっと意気込んで観たので、『我が輩はカモである』を始めとする他のマルクス兄弟作品と比べて大人しい内容に少々物足りなかった。大騒動が始まると書いたが、その大騒動がそれほどハチャメチャではないのだ。
 今回はマルクス兄弟映画ではなくハーポ主演映画として観たので十分に楽しかった。

 ストーリー自体は苦難な目に遭っている若い男女を助けるという、後期マルクス兄弟映画とほぼ同じ。今回は資金難から芝居に使う大道具や衣装が用意できず、新作ミュージカルの公演中止と劇団解散の危機に陥っている主演男優兼座長と恋人の主演女優を救うことになる。
 鍵となるのはロマノフ王朝のダイヤモンド。悪女がイワシの缶詰に潜ませてアメリカに密輸した物だが、これをハーポが中味を知らずに盗み劇場に持ち込まれる。
 悪女一味はハーポを捕まえて缶詰の在処を吐かせようとするが、なにしろハーポというのは一言もしゃべらないのが売りのキャラクターである。どんなに拷問をして責め立てても吐くはずがない。
 そうこうしているうちに缶詰は劇場内を転々とし、ごみ箱に捨てられたあげくについには猫の餌に。
 様々なギャグやチコによるピアノの演奏、そしてもちろんハーポによるハープの演奏など、ドタバタは少ないが盛りだくさんな内容だ。

 字幕などで説明がないのであまり気づかれなさそうなギャグの紹介を一つ。
 牛の後ろ足をやっている俳優が櫛で髪の毛をとかしながら芝居がかった大げさな口調で「イワシではなく他の食べ物をくれ」と言っているところに、ハーポがハムを渡しながら「あんただ」という風に俳優を指さすシーンがある。これはハム=大根役者という意味があるのでそれをかけたギャグ。
 シルベスタ・スタローンが日本で伊藤ハムのCMに出ていたことがあるが、そのCMを来日していたマイケル・J・フォックスだかがホテルのTVで見てアメリカに伝わり、コメディアンのネタにされたらしい。

 ラストはダイヤモンドを巡ってブロードウェイのビルの上で悪党とハーポが追いかけっこ。過去の作品のような派手なアクションはないが、ネオンサインを使ったりハーポが煙を吐くなどギャグは多い。
 それまで語り手として探偵事務所にいたグルーチョもようやくストーリー上に登場する。

 キャストにマリリン・モンローの名があるが、唐突に登場したなと思ったらすぐに退場。

 映画は探偵役であるグルーチョのアップから始まるが、顔にしわが目立つ。これは他の二人も同じで老いを感じさせる。
 チコが1987年生まれ、ハーポが1988年、グルーチョが1890年。1949年作品だから、一番年下のグルーチョでも60歳間近だ。
 この作品を最後にチコとハーポは映画界から姿を消し、グルーチョも後に2本出演作があるだけだ。
 映画界で輝き、多くの観客を笑わせ、オレを含むコメディの制作者に数多くの影響を与えたマルクス兄弟。モノクロトーキー時代を駆け抜けた彼らは、その終わりとほぼ同じく頃に映画界から去っていった。

jvd-3089.jpg『ルーム・サーヴィス』(1938) ROOM SERVICE 78分 アメリカ

監督:ウィリアム・A・サイター 製作:パンドロ・S・バーマン 原作:ジョン・マーレイ、アレン・ボレッツ 脚本:モリー・リスキンド 撮影:J・ロイ・ハント 音楽:ロイ・ウェッブ
出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、ルシル・ボール、アン・ミラー、フランク・アルバートソン

 ホテルの中だけで物語が完結する、ちょっと実験的要素が多い作品。
 原作はヒットした舞台劇だそうで、なるほど納得だ。
 当時、MGM所属のマルクス兄弟を、RKOが借りて撮った作品だそうで、音楽やアクションが見所だったMGM作品とは違い、じっくりとドラマを語るマルクス兄弟を観ることが出来る。
 お馴染みのチコによるピアノや、ハーポのハープの演奏は登場しない。
 その辺りが面白くもあるが、マルクス兄弟主演という意味があまり感じられず、個人的には不完全燃焼だった。
 カトゥーン風のホテルの客室のドアが三枚並び、それがクルクルと回転する毎に、キャスト名やスタッフ名が書き換えられていくオープニングクレジットの出し方は面白い。
 そこで期待したのだが、マルクス兄弟のハチャメチャぶりがあまり上手く活かされておらず、なかなか笑いに繋がってこない。
 モスクワ劇団出身のホテルのボーイや、ホテルの支配人、そしてホテル会社の重役など、いいキャラクターなのに使われ方が中途半端で残念。
 日本未公開作品となったのも、致し方ないと言ったところだろうか。

318STQVSYDL._AA192_.jpg『マルクス捕物帖』(1946) A NIGHT IN CASABLANCA 85分 アメリカ

監督:アーチー・L・メイヨ 音楽:ウェルナー・ジャンセン
出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、リゼッテ・ヴィリア、チャールズ・ドレイク、ルイ・コリア、ルース・ローマン

 前作『マルクス兄弟デパート騒動』』(1941)から太平洋戦争を挟んで、5年ぶりの新作。
 チコはすでに60歳、ハーポで59歳、一番若いグルーチョで56歳だから、さすがにみんな老けた。
 全盛期に比べると、動きに鋭さがなく、ドタバタというよりはドタドタと言った感じ。

 第二次大戦後のモロッコを舞台に、ナチスがフランスから奪い、モロッコで行方不明になった隠し財宝を巡って、元ナチの高官とマルクス兄弟が対決する。
 恋する男女の危機を救うのはいつものことだ。

 散りばめられた細かいギャグには笑えるが、これぞという大きなギャグは少ない。
 それでも、ハーポが建物に寄りかかっていて、「お前はそいつを支えているつもりか」と警官に場所を移動させられた途端、建物が崩れ落ちるという、伝説的ギャグが冒頭に登場する。これを見るだけでも価値あり?
 終盤の、ナチ高官の部屋で、マルクス兄弟が見つからないように、クローゼットやトランクへと隠れながら移動していくギャグはやはり面白い。
「ナチの高官、うしろ?」と叫びたくなるのはお約束。

313XJ4NWCSL._AA192_.jpg『マルクス兄弟デパート騒動』(1941) THE BIG STORE 83分 アメリカ

監督:チャールズ・F・ライスナー 製作:ルイス・K・シドニー 原作:ナット・ペリン 脚本:シド・カラー、ハル・フィンバーグ 音楽:ジョージ・ストール
出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、トニー・マーティン、ヴァージニア・グレイ、ダグラス・ダンブリル、ヘンリー・アーメッタ、マーガレット・デュモント

 西部劇から一転して、大都会の大型デパートを舞台にしたマルクス兄弟映画。
 グルーチョの歌や、チコのピアノ、ハーポのハープなど、音楽シーンが少々長すぎる感じがするが、ギャグも豊富で、特に終盤のアクションがスゴイ。
 デパート内で、犯行現場を写した写真を巡って、探偵のグルーチョとその助手のハーポ、そしてチコが、悪人に追われて大騒動。
 特に、ハーポのワイヤーアクションが見所で、棚の上をローラースケートで走っていて、隣の棚へと飛び移るとか、電球から電球へと、ターザンのように飛び移っていくシーンなど、ハラハラドキドキ。
 これをヒントに、後にジャッキー・チェンが『ポリス・ストーリー』の終盤が作られた・・・かは知らない。

 ベッド売り場では、カトゥーンアニメに出てくるような、床からせり上がってくる四段式のベッドや、暖炉がスライドして現れるベッド、金庫式ベッドなど面白発明品がいっぱい登場する。
 そこへ、12人の子供を連れたイタリア人夫婦や、これまた子だくさんの中国人家族、インディアン家族などが売り場を訪れ、これまた大混乱。
 全体的にパワー不足は否めないが、いやいややはり面白い。

icecucumber.jpg『ペプシアイスキューカンバー』

 ラベルに書かれたコピー曰く、
「CUCUMBER(キューカンバー)とは
 英語でキュウリのこと。
 コーラとキュウリ、驚きの
 コンビネーションの爽やかなコーラ!」

 キュウリコーラ?
 味の想像が付かなかったが、キュウリと言えばウリ科。
 メロンだってウリ科だから、そっちぽい味かなと思い、取りあえず買ってみた。
 色はメロンソーダのような薄い緑色。
 キャップを外すとその匂いは・・・キュウリ臭い。というか、昔飼っていたスズムシが入った虫かごの臭い。
 この時点で、かなりイヤな予感。
 でもまあ、味はさすがにそのままじゃないだろと、一口飲む。
 ・・・訂正。そのまんまキュウリ味。
 捨てるのはもったいないので、味わう暇を与えずに一気に飲み干したが、30分経っても後味が残っている。
 ペプシは何を考えているんだか。
 新しい味を作ろうと、成分を色々と組み合わせて試している内に、偶然キュウリ味が生まれてしまい、「これ、面白くね」と勢いで販売してしまったとしか思えない。
 リピータは付かないだろうな。罰ゲーム用で需要があるかも。

 しまった、面白そうだからって、もう一本買ってる!

 さて、どうするかと迷ったあげく、趣向を変えて飲んでみることにした。
 まず、キュウリを言えばマヨネーズ。
 マヨネーズ入りアイス・キューカンバーを作ってみた。
 だが、油のかたまりのマヨネーズがジュースに溶けるはずもなく、せいぜいが粒になって混ざるだけ。
 飲んでみる・・・思いついた自分を猛反省したくなった。
 それぞれが溶け合わずに、お互いに自己主張をして、炭酸がプシュ、マヨネーズがネチャ。単にくどいだけ。
 ならば、味噌を入れてモロキュウ風味でどうだと考え、お湯で溶かした赤味噌を入れる。
 結果、味が強い赤味噌が勝って、出来上がったのは甘い味噌汁だった。
 トホホのホだが、もったいないので最後の一滴まで飲む。
 もう、絶対買わないよ、これ。

313XJ4NWCSL._AA192_.jpg『マルクスの二挺拳銃』(1940) GO WEST 81分 アメリカ

監督:エドワード・バゼル 製作:ジャック・カミングス 脚本:アーヴィング・ブレッチャー 撮影:レナード・スミス 音楽:ジョージ・ストール
出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、ジョン・キャロル、ダイアナ・ルイス、ロバート・バラット

 前にも書いたことがあるが、『マルクスの二挺拳銃』との出会いは唐突だった。
 今は無き愛知県半田市の東宝系洋画劇場へ『プロジェクトA2』と『漂流教室』の二本立てを観に行ったら、さらに『マルクスの二挺拳銃』が加わった三本立てだったのだ。
 時期としては夏休みだったので、特別企画だったのだろうか。
 その映画館で、他にその様な組み合わせがあった記憶はないので、なんでそんなことをやったのかは、今となっては不明なままだ。
「さーて、マルクス兄弟を観に行くか」と思って出会ったのではない。まったく予期していなかったところで、初めてマルクス兄弟と遭遇したのだ。
 話しには聞いていたが、「これがマルクス兄弟かっ!」と、ギャグの連打とパワーに打ちのめされる結果となった。

 時代は1870年。
 東部からグルーチョ、チコ、ハーポが、成功を夢見て西部へとやって来る。
 チコとハーポは金を掘り当てるため、グルーチョはインチキ臭い商品を売り歩くためだ。
 そして、鉄道が通る予定地となった『死者の谷』の権利書を巡って、悪の西部男を相手に、若くて善良な男女を助けることとなる。
 ストーリー自体は、いつものマルクス兄弟物だが、終盤の疾走する機関車でアクションとギャグが繰り広げられ、スケールの大きな物となっている。
 線路を外れて、農家の敷地内でメリーゴーラウンドのように回って走る機関車や、その屋根の上でのアクション。
 連結器を外された客車の間を、ハーポが手と足で繋いで、その身体がどんどん伸びていくギャグなどが楽しい。
 機関車の燃料である薪が無くなってしまって、代わりに貨物室の荷物から、ついには斧で客車を解体していって燃やしてしまうギャグは、『80日間世界一周』や『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』でも使われているが、オレが観た中で一番古いのは多分この作品。
 マルクス兄弟後期の作品としては、中だるみも少なく、お勧めの一本。
 しかも、DVDは次回作となる『マルクス兄弟デパート騒動』の二本収録でお得だ。両面一層は止めて欲しかったけどね。

31XMRSWADZL._AA192_.jpg『マルクス兄弟珍サーカス』(1939) AT THE CIRCUS 86分 アメリカ

監督:エドワード・バゼル 製作:マーヴィン・ルロイ 脚本:アーヴィング・ブレッチャー 撮影:レナード・S・スミス 音楽:ハロルド・アーレン、フランツ・ワックスマン
出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、マーガレット・デュモント、イヴ・アーデン、ケニー・ベイカー

 この作品辺りから、映画ファンの評価は一気に落ちるのだが、オレとしては『マルクス一番乗り』から盛り返したと感じる一本だ。
 今回は、サーカス一座のオーナーと、そこの花形スターとの恋とその危機を、グルーチョ演ずる弁護士や、座員であるチコとハーポが助けると言った話。
 毎度毎度ワンパターンじゃないの、と言われると確かにワンパターン。『我輩はカモである』を除くと、このパターンばかりだ。でも、いいじゃない。
 サーカス一座がチャーターした列車には、サーカス団員であることを示すバッチがないと乗ることが出来ない。そこへ、チコに呼ばれたグルーチョがやってきて、列車の入り口で番をしていたチコと再会する。そして、チコは「とりあえず、列車に乗ってくれ」と言って乗車口まで連れてきては、「あんた、バッチがないじゃないの」と追い返す。このネタがひたすら繰り返される。
 パターンとしては『マルクス一番乗り』でチコがグルーチョに、競馬の予想関連の品を次々と売りつけていくのと同じなのだが、『一番乗り』があまり笑えなかったのに対し、『珍サーカス』はテンポも良くて、大笑いできた。
 アクション的要素が高まっていくのもこの作品からで、ラストのサーカスのシーンでは空中ブランコでゴリラも交えて大騒ぎになる。
 このゴリラのスーツが、製作年度から考えるとなかなか良くできている。もちろん、リック・ベイカーってわけにはいかないが。
 オーケストラ楽団が、ひたすらプカプカと海面を流れていくラストのギャグも決まって、わははのはだ。

31KMVSKNV3L._AA192_.jpg『マルクス一番乗り』(1937) A DAY AT THE RACES 110分 アメリカ

監督:サム・ウッド 脚本:ロバート・ピロッシュ、ジョージ・シートン、ジョージ・オッペンハイマー 音楽:フランツ・ワックスマン、ジョージ・バスマン
出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、アラン・ジョーンズ、モーリン・オサリヴァン、マーガレット・デュモント、ダグラス・ダンブリル、シグ・ルーマン、ドロシー・ダンドリッジ、リチャード・ファーンズワース

 ギャグ映画、コメディ映画としては、マルクス兄弟物の中で一番出来が悪いと感じる。
 前作『オペラは踊る』で冴えた手腕を見せたサム・ウッドが監督を務めているのだが、全体的にテンポが悪く、観ていて非常にじれったい。
 音楽のシーンは個々では優れているのだろうが、数が多すぎてバランスを崩している。
 チコが演ずる競馬の予想屋が、競馬好きのグルーチョから、細かく1ドル1ドル巻き上げていくところなど、優れた芸なのだが、二人の姿をただ漫然と捉えたカメラは、鋭さがない。
 獣医がサナトリウムの医長となるハチャメチャな設定も活かされているとはいえない。
 にぎやかに終わるラストは好きだが。

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