« 『いんちき商売』 令嬢誘拐事件でドタバタだ | メイン | 『我輩はカモである』 独裁者が戦場でドタバタだ »

『御冗談でショ』 アメフト試合でドタバタだ

51TrjKf1PaL._AA240_.jpg『御冗談でショ』(1932) HORSE FEATHERS 67分 アメリカ

監督:ノーマン・Z・マクロード 原作:バート・カルマー、ハリー・ルビー、S・J・ペレルマン 脚本:バート・カルマー、ハリー・ルビー、S・J・ペレルマン 撮影:レイ・ジューン 音楽:バート・カルマー、ハリー・ルビー
出演:グルーチョ・マルクス、チコ・マルクス、ハーポ・マルクス、ゼッポ・マルクス、セルマ・トッド、デヴィッド・ランドー

 マルクス兄弟映画は困難に陥った若い男女を助けるというのが基本だというのはすでに書いた。ヒロインは純真無垢な女性の場合が多いのだが、今回は裏で敵方と通じている悪女の未亡人という珍しい作品だ。

 大学が舞台で、グルーチョはそこの学長。ゼッポは学長の息子で大学に12年も通っている落第生。アメフトのチームに所属していて、未亡人に恋している。
 大学の名誉のために、次のアメフトの試合にはなんとしても勝たなければならないのだが、助っ人として呼ぶはずだったプロのアメフト選手は敵側のチームに取られてしまい、その二人と勘違いしてグルーチョが連れてきたのがチコとハーポの二人組。
 こうして、学内と終盤はアメフトフィールドでのドタバタが始まった。

 ドタバタギャグはもちろん多いのだが、主題歌として『EVERYONE SAYS I LOVE YOU』が繰り返し歌われ、効果的に使われている点でも異色作と言える。
 ゼッポはベッドで朝食を取る未亡人に向かって歌い、チコはピアノを弾きながら隣に座った未亡人に向かって歌う。ハーポはしゃべらない設定なので、二階の窓に向けてハープでこの曲を弾き、グルーチョは公園の手こぎボートの上でギターを奏でながら歌う。
 それぞれに少しずつ歌詞が違い、その意味合いも微妙に違う。特に、グルーチョのはかなり皮肉を込めた内容になっている。
 この歌はウディ・アレンの『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996)の中でも使われており、映画の原題はそのまんま『EVERYONE SAYS I LOVE YOU』だったりする。『世界中がアイ・ラブ・ユー』の中では全員がグルーチョ・マルクスの扮装をしたパーティが開かれていたりと、ウディ・アレンのマルクス兄弟への敬愛がうかがえる。
 考えてみれば、マルクス兄弟もウディ・アレンも同じユダヤ人だ。よく「ユダヤ陰謀説」とかいって、世界を裏から支配しているのはユダヤ人だなどという意見があるが、彼らや同じくユダヤ人のコメディアン・映画監督のメル・ブルックスなどのバカッぷりを見ると、そういう説は眉唾に思えてくるのはオレだけだろうか。

 前作にもましてゼッポのポジションが上がっているが、これは『いんちき商売』でも書いたとおり、あまりに兄たちと比べて目立たない役柄になってしまうゼッポがマルクス兄弟を抜けたがっていたからだそうだ。憶測だが、ギャラの配分などでも差があったのかも知れない。

 例によって字幕の出来が悪い。だれだれとの仲がが、中がになっているのは誤植として許すとしても、1932年製作なのに「1988年からは」となっているのには驚いた。SFだったのかよ。これはもちろん「1888年から」が正解。
 あまりコストをかけられないから仕方ない面もあるのだろうが、バイトによるチェック程度で防げるように思う。原盤が海外生産なのだろう。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4728

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません