« 『シャイニング』(1997) 奴らは心の隙につけ込む | メイン | 『アイス・ステーション』 ブロス・ノーモア »

『ナイトフライヤー』 セスナに乗った吸血鬼

filmothek_50.jpg『スティーヴン・キング/ナイトフライヤー』(1997) THE NIGHT FLIER 97分 アメリカ

監督:マーク・パヴィア 製作:リチャード・P・ルビンスタイン、ミッチェル・ゲイリン 共同製作:アルフレッド・クオモ 製作総指揮:デヴィッド・R・カッペス 原作:スティーヴン・キング 脚本:マーク・パヴィア、ジャック・オドネル
出演:ミゲル・ファーラー、ダン・モナハン、マイケル・H・モス、ジュリー・エントウィッスル

 アメリカは広い。そのため、小型機しか離着陸できないような小型空港が各地にある。個人が管理人をやっているその小型空港についてある噂がささやかれていた。
「真っ黒のセスナ機が夜になってから着陸してくる。そしてそいつが飛び去った後に残されているのは血を一滴残らず抜き取られた死体だけだ」と。
「わたしはエイリアンに誘拐された」だの「プレスリーは生きている」だのを第一面に載せるような類のゴシップタブロイド紙『インサイド・ビュー』の花形記者リチャードは自家用セスナ機と飛行免許を持っており、この事件の担当となる。自分がこれまでに手がけてきた記事の内容などまるで信じていない現実主義者のリチャードは、この事件はホラー映画マニアの犯行だろうと思っている。だが取材を続ける内に彼はある者の存在を信じ始めていく。

 終盤まではホラー映画というよりもむしろ『羊たちの沈黙』や『ザ・ウォッチャー』など、猟奇殺人鬼をFBI捜査官が小さな手がかりで追い詰めていく犯罪捜査物に近い印象だ。
 小型のテープレコーダを持ち歩き、インタビューや音声メモに使う様子は今は懐かしい『ツイン・ピークス』のカイル・マクラクランを思い出す。
 リチャードを演ずるミゲル・ファーラーは『ロボコップ』で警察用ロボットEDがご披露の場でコントロール不能になってしまったときに、すかさずロボコップ計画を社長にご注進した青年重役を演じていた人だ。キング作品では『ザ・スタンド』で悪党側の幹部を演じている。
 この人は父親がアカデミー主演男優賞俳優のホセ・ファーラー、もっとも晩年は訳分からん映画にばかり出てましたが。母親がローズマリー・クルーニー。そして従兄弟がジョージ・クルーニーの俳優一家。似てないが双方とも顔が長い。
 卑劣な小悪党的な役柄が得意な人だが、今作ではハードボイルドに事件を追い詰めていく記者を演じていて、これがなかなか渋い。

 夜に飛ぶ吸血鬼だからナイトフライヤーと安直に名付けられたその人物が初めて本格的に登場するのはラストの中型空港のトイレ。洗面台に向かうリチャードの背後で小便器に何者かが小便をするのだが鏡には誰の姿も映っていない。そして、その小便は真っ赤な血だった。そう血尿である。とっとと病院に行けナイトフライヤー。いや、飲むのが血だから排泄するのも血なのか。

 金がかかっていないのは確かだが、及第点は充分にクリアしている。セスナ機を棺桶として使う吸血鬼というアイディアも面白い。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4697

コメント (2)

ネスカフェ:

東森さん

東森さんのつっこみで思ったのですが、尿は栄養素を搾り取った残りの水分なわけでありますので、吸血鬼の栄養源となる血液に関しても、尿として分泌される場合は、やはり水分だけの透明の液体になるのではないかと思います。吸血鬼が
血を飲むのはおそらく血液中の赤血球などの成分が必要なんでしょうね。
そう考えてみると、やはりこの吸血鬼はやはりなんらかの病気もちなのかもしれません。まあ、「ゾンビは繁栄すると逆に生存競争が激しくなり、自滅が早まる」というと同じ屁理屈なんですが・・駄文失礼しました。

東森時音:

ネスカフェさん

血尿に関しては見た目の面白さでOKだとは思いますが、あえて理屈を付けるなら吸血鬼が動物や死人の血ではなく人間の生き血を吸うのは、養分が必要なのではなく霊的な精気などのスピリチャルな物を求めているのではないでしょうか。
物質としては変化していないので血のまま排泄されるのかと。
ジョージ・A・ロメロの『リビング・オブ・ザ・デッド』シリーズではゾンビが食うのは生きた人間だけで死体や動物は食わないようですから同じような理屈なのかも知れません。

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません