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『シャイニング』(1997) 奴らは心の隙につけ込む

B000FQW0C0.jpg『シャイニング』(1997) THE SHINING 268分 アメリカ

監督:ミック・ギャリス 製作:マーク・カーライナー 製作総指揮:スティーヴン・キング 原作:スティーヴン・キング 脚本:スティーヴン・キング 撮影:シェリー・ジョンソン 音楽:ニコラス・パイク
出演:レベッカ・デモーネイ、スティーヴン・ウェバー、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ、コートランド・ミード、ウィル・ホーネフ、エリオット・グールド、ジョン・ダービン、スタンリー・アンダーソン、パット・ヒングル、シンシア・ギャリス、スティーヴン・キング、サム・ライミ、ショウニー・スミス

『シャイニング』といえばスタンリー・キューブリックの1980版が思い浮かぶと思うが、原作者のスティーブン・キングがその映画を嫌っていたというのも有名な話。
「彼(キューブリック)はホラーを分かってない」と言ったとか。
 そのキングが今回は本人製作、本人脚本、本人ちょっと出演で作り上げたオレ映画がこの1997年版。今回は劇場用ではなくTV用映画として製作された。上映時間は4時間を超え、全3回で放送された。

 一番大きな違いは、キューブリック版では父親(ジャック・ニコルソン)自身の中に最初から狂気があったのに対し、キング版では父親は酒を断って5ヶ月のアルコール依存症患者でかんしゃくもち、しかも家族に対して権力を持つ父親の元で育ったアダルト・チルドレンでもあるようだが、ごく普通の善良な男で、なにより妻や息子を愛していること。
 彼の弱点につけ込んで次第に自分たちの世界に引きずり込んでいくホテルの亡霊たちと、それに揺れ動かされながら家族への愛を取り戻す。モンスターとして死んだジャック・ニコルソンとは対照的に夫として父親として死んでいく。
 ラストシーンも含めて家族の愛情が描かれた作品だ。

 前回観たときは英語音声日本語字幕だったが、今回は確認のためのながら見だったので日本語吹き替えで観てみた。
 父親の声を担当していたのが大塚明夫。ニコラス・ケイジなんかを吹き替えてる人ですな。そして彼が無線機を通じてとうの昔に死んだはずの父親と会話をして叱咤されるシーンがあるのですが、その声だけの父親を吹き替えているのがチャールズ・ブロンソン役などで有名な大塚周夫。って、それそのまんま大塚親子共演じゃんか。日本語吹き替え版製作スタッフの遊び心にニヤリ。

 監督のミック・ギャリスは他のキング作品も幾つか手がけているが、相変わらずかもなく不可もない演出ぶり。いや、厳密には不可もないが可もないか。冒険心や野心は感じられず、与えられた脚本をきっちり映像化している感じ。
 ミック・ギャリスをさして評価する気はないし、そもそも2作品を比べることにどれだけの意味があるのか分からないが、オレとしては1997版を支持する。というか、キューブリック嫌いだしなぁ。

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