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『ニードフル・シングス』 悪魔の吐く誘惑は甘い

B000666RJQ.jpg『ニードフル・シングス』(1993) NEEDFUL THINGS 120分 アメリカ

監督:フレイザー・C・ヘストン 製作:ジャック・カミンズ 製作総指揮:ピーター・イエーツ 原作:スティーヴン・キング 脚本:W・D・リクター 撮影:トニー・ウェストマン 音楽:パトリック・ドイル
出演:マックス・フォン・シドー、エド・ハリス、ボニー・ベデリア、アマンダ・プラマー、J・T・ウォルシュ、シェーン・メイア、レイ・マッキノン、リサ・ブロント

 エド・ハリスの限りない渋格好良さ、J・T・ウォルシュの小役人的憎たらしさ、マックス・フォン・シドーの邪悪な存在感。この3つでもうOK、満足だ。
 終盤でエド・ハリスがパトカーからショットガンを取り出す所などゾクッとくるね。

 田舎町キャッスルロックに骨董品店が開店する。“ニードフル・シングス(必要不可欠な品)”というその店の店主がマックス・フォン・シドー。彼はその相手がどうしても欲しいという商品を用意しては、少額の金と“ある行為”を要求した。
 1枚だけコレクションから欠けていたメジャーリーグカードを欲しがった少年からは90数セントの他に七面鳥牧場夫妻の妻に、干してあるシーツに七面鳥の糞と泥を塗りたくり、その後青リンゴをいくつも家に投げ入れガラスなどを壊した。
 この悪戯がある女性による物だと思い込んだ妻はその女性に脅しをかける。そしてついには包丁による殺し合いで二人とも死ぬ。
 キャッスルロックは人口数千の小さな町だ。エド・ハリス演ずる保安官は都会で警官をやっていたが、溢れる犯罪にうんざりして田舎町のキャッスルロックにやってきた。しかし、一見平和に見えるこの町も水面下ではささいな憎しみや衝突がいくつも存在し、決して牧歌的な町ではなかった。田舎町ほど人間関係がややこしくうっとしいところもないのだ。
 それでもそれなりに大きな事件もなく過ごしてきたが、マックス・フォン・シドーはそんな住民を甘い餌で釣って心の隙間に付け入り、憎しみや恐怖で満たしたのだ。
 マックス・フォン・シドーの正体は悪魔だが、地獄の業火を使うでもなく、町の住人に“ちょっとした悪戯”をさせることで負の連鎖を起こし、ついには町中で暴動が起こり、破滅寸前まで行く。
 あれをやったら相手がこうして、そうしたらああなって、ついには人殺しに。「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなもんだ。あるいは“負のピタゴラスイッチ”。
 カトリックの神父とバプテスト派の牧師が殺し合いをする所など見物である。悪魔の武器が口八町というのが面白い。

 ただ、原作では心理描写が非常に重要だったので、仕方のないことではあるがその辺りはバッサリと切られていて残念。
 ラストでは悪魔と主人公エド・ハリスの対決するが、エド・ハリスが集まった住人に怒り任せで「お前らこんなことでいいのか!?」と説教することでみんな反省して解決。なんだかんだで善良な小市民に手をあげたマックス・フォン・シドーは「他にもっと良い町があるさ」と去っていく。
 あなたの町に骨董品屋が出来たらご用心を。日本の田舎でこれやられたらほんと壊滅するってと元名古屋圏住人、現在田舎在住のオレなんかは思うのである。

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