『バーチャル・ウォーズ』(1992) THE LAWNMOWER MAN 109分 アメリカ
監督:ブレット・レナード 製作:ジメル・エヴェレット 製作総指揮:エドワード・シモンズ、スティーヴン・A・レイン、ロバート・プリングル、クライヴ・ターナー 原作:スティーヴン・キング 脚本:ブレット・レナード、ジメル・エヴェレット 撮影:ラッセル・カーペンター 音楽:ジョン・ワイマン
出演:ピアース・ブロスナン、ジェフ・フェイヒー、ジェニー・ライト、マーク・ブリングルソン、ジェフリー・ルイス、ジェレミー・スレート、ディーン・ノリス
キングの短編は短編といいつつも長めな作品が多いが、『バーチャル・ウォーズ』の原作となる『芝刈り機の男』(『トウモロコシ畑の子供たち』収録)は18ページちょっとのれっきとした短編。長編の映画化は上映時間の関係で色々難しいが、これならば大丈夫。
しかし、完成した映画を観てキングは激怒した。それは原作の内で使われているのは警官同士の会話のみ。残りはすべて監督にして脚本も担当したブレット・レナードの作り出したサイバーパンクワールド。
でも、意外に面白いんだな、これが。
全体的には『アルジャーノンに花束を』をサイバーパンクでやっている感じ。この頃流行のヴァーチャル・リアリティが大きな役割を果たす。
主人公のピアース・ブロスナンはヴァーチャル・リアリティ技術を利用してチンパンジーの知能を高める実験をしている科学者だ。ある薬品と組み合わせて脳の特定の部位を活性化させるのだ。
そして科学者は芝刈りの助手として生計を立てている知恵遅れの青年にその実験を応用してみる。すると、小学生低学年程度の知能しかなかった青年の脳はみるみる成長し、知能も上がった。
そこに目を付けた政府機関“ショップ”が薬とヴァーチャル・リアリティ・プログラムを書き換えて、彼に兵士としての闘争心と残忍さを植え付ける。そのせいで青年の心は歪んでいくが、同時に脳の古い部分を刺激することでテレパシーやテレキネシスなどの超能力を身につける。
最終的に青年は肉体を捨て去り、研究所のメインフレームコンピューター経由で世界中のネットワークにプログラム人格として乗り込み、すべてのネットワークを通じて人類を支配しようと試みる。
『探偵レミントン・スティール』は観ていなかったので、この作品や同年の『ライブワイヤー』などで初めてまともにピアース・ブロスナンの姿を見た。これが次期007候補で結局TVとの契約関係でダメだったやつかと思っていたら後にボンド役に抜擢された。しかし、大作よりもちょっとB級的な娯楽作の方がこの人には合っている。
『バーチャル・ウォーズ』でも意味なく上半身裸で胸毛と腹毛を出してタバコを吸うのが色んな意味で様になっている。
1980年後半にウイリアム・ギブソンの小説などによってSF界にサイバーパンク・ムーブメントが起こったが、映画で本格的にサイバーパンクに取り組んだのは『バーチャル・ウォーズ』ではないかと思っている。
確かに使われているCG、特に神父が燃え上がるシーンは炎や水の表現はかなり難しいとはいえ時代を感じさせる。ヴァーチャル・リアリティという言葉自体が古びてしまって「使うと恥ずかしい」というレベルだ。
しかし、サイバーパンク小説でコネクターや薬物を用いてコンピューターやネットワークの中に人格を投影させてしまうシーンは多いが、それを商業映画でやったのはこの作品が始めてではないだろうか。
今でこそ『攻殻機動隊』や『マトリックス』シリーズのおかげでネットワーク上の人格という物も理解されやすくなってきたが、当時は思うような評価は得られなかっただろう。
コメント (2)
東森さん、こんにちは。スティーブン・キングはアメリカの
人気海外ドラマ「Xファイル」の脚本を手がけてます。「ドール」という作品で、呪いの人形が織り成す恐怖談が語られています。
http://www.excite.co.jp/event/xfiles/x_title.dcg?sid=05&id=107
演出には、厚底メガネやメーン州ナンバー、懐メロソングなど、キング作品の特徴的なモチーフが盛り込まれていて、これまでのテレビ長編作品と変わりない力作となっています。
ちなみに、この作品が収録されているデスクには、ウィリアム・ギブソンが脚本を担当した「キル・スイッチ」という作品も収録されています。こちらも、人工知能生命体との対決
をスリリングに描いた中々のできですまた、傑作エピソードとして上位に上げられる「吸血」(吸血鬼のユーモラスな描写がおかしい)も同時収録されていて、なんともお買い得というか鑑賞得というか豪華な内容となっていますので、スティーブン・キング特集で是非、取り上げて欲しいですね。
デアゴスティーニでも売ってます。
http://www.jbook.co.jp/p/p.aspx/3091048/s/
Posted by: ネスカフェ | 2007年04月06日 17:14
日時: : 2007年04月06日 17:14
ネスカフェさん
『X-ファイル』の脚本までやってるんですか。しかも原作なしの書き下ろしで。暇なんですかね?あの執筆量から考えるとそんなはずはないので、本当に書くのが好きというか中毒みたいな物なのでしょう。
『X-ファイル』はディープスロートが殺される辺りまでは観てましたね。ですから1stシーズンだけですか。当時はここまで長寿番組になるとは思ってもいませんでした。
ウイリアム・ギブソン脚本のエピソードも収録されているとなると該当DVDはなんとかして観てみるつもりです。
レンタル屋にあったかなぁ。買うのはちょっと・・・はまってしまうと全部揃えてしまいそうで怖いです。
Posted by: 東森時音 | 2007年04月07日 17:23
日時: : 2007年04月07日 17:23