『スティーブン・キングのゴールデン・イヤーズ』(1991) STEPHEN KING'S GOLDEN YEARS 238分 アメリカ
監督:ケネス・フィンク、アレン・クルーター、マイケル・ゴーニック、スティーヴン・トルキン 製作総指揮:リチャード・P・ルビンスタイン、スティーヴン・キング 原案:スティーヴン・キング 脚本:スティーヴン・キング、ジョセフ・アンダーソン 撮影:アレックス・ネポンニアシー 音楽:ジョー・テイラー
出演:キース・ザラバッカ、エド・ローター、フランシス・スターンハーゲン、フェリシティ・ハフマン、R・D・コール、ビル・レイモンド、スティーヴン・キング
原作小説はなく、キング原案・脚本で製作されたテレビ用映画。エンドクレジットを観ると、どうも前中後の3部に分かれていて、キングは前・後編の脚本を担当した様子。制作面だけではなく、シカゴ行きバスの運転手としてちょこっと出演もしている。
政府組織、主に陸軍が主体となって秘密の研究を行っている会社があった。主人公はそこで掃除夫として働いている老人のハーラン。ある日、粒子加速器の実験中に事故が起き、ハーランは爆風に含まれていた緑色の粉を浴びてしまう。そしてその時から、彼は日に日に若返っていくのであった。
その事実を知った“ショップ”は腕利きのエージェントであるアンドリュースを送り込んでくる。このままではハーランやその妻ジーナの身が危ないと、現場の女性警備主任と将軍(エド・ローター)が彼らを脱出させシカゴへと向かう。
そんな中、太陽が西から昇り一日が遡っていく現象が起きる・・・
なにはともあれ238分は見応えがあった。せめて2日に分けてみるべきだったろう。極端に深刻なシーンや残酷なシーンはないのでラストまでついつい観てしまった。
粒子加速器で行っていたのは生物の再生に関する実験で、傷を癒やしたり、損傷した部位を復活させるためのものだった。緑色の粉末はハーランの体組織に影響して老化した部分を再生させていったようだ。
と思っていたら時間の逆行現象が起きたり、ハーラン夫妻の娘はシカゴで合流して一緒に行動していたはずなのにいつの間にかいなくなっている。ラストはピカピカッと緑の光が満ちあふれて、なんだこりゃと思っていたらなんかそのまま終わり。えっ、終わり?まぁキングらしいといえばキングらしい終わり方ではある。
SF的要素に冒険小説的テイストを合わせて、そして軸となるのは70歳のハーランとジーナの老夫婦によるロマンス。結婚しておよそ50年になるという設定だが、こうなると一人でいたときよりも二人になってからの方が倍以上長い。この頃の夫婦間の愛情というのは、結婚当初、10年目、20年目とどのように変わってくるのだろうか。この作品では変化はしてきても基本的には結婚当初に近い部分は残っているようだ。ベッドで寝ているときにハーランが「踊るかい?」とジーナに持ちかけるがどうも性交渉のことを言っているようで、ジーナも応じている。老人と性についてもちらりと描かれている。個人差もあるんだろうが、性欲ってのはいくつぐらいまであるんだろうね。
善玉、悪玉ともに魅力的なキャラクターが揃っている中、騒動の大本であるイカれた科学者が単なるマッドサイエンティストで終わっているのが残念だ。ある夜にとっくに死んだ父親の墓へとやってきて、その前で幼児退行したスタイルで「父さん、父さん」と呟きながら寝てしまうシーンがあるので、ファザーコンプレックスの持ち主ではあるようだが詳細は不明。父親を甦らせようと企んでいたのではと思うのだが。
デスクワーク専門で規律にうるさい小太りな少尉(だったかな)が、騒動に巻き込まれていく内に少しづつおかしくなっていく。「トン、トン、トン」などと意味不明なことを言ってたかと思うと最後は大声でわめきだしてついには警官に射殺されてしまう。キング的な登場人物だ。
ハーランの妻ジーナを演ずるフランシス・スターンハーゲンは『ミザリー』(1990)に続いてのキング作品出演となる。オープニングでは特別出演といったような扱いだったが、全編を通じて登場。
若い側も老人側も、女性の活躍が目立つ作品であった。