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『ミザリー』 あなたのナンバーワン・ファンなの

B000KGGBS4.jpg『ミザリー』(1990) MISERY 108分 アメリカ

監督:ロブ・ライナー 製作:アンドリュー・シェインマン、ロブ・ライナー 原作:スティーヴン・キング 脚本:ウィリアム・ゴールドマン 撮影:バリー・ソネンフェルド 音楽:マーク・シェイマン
出演:ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ、ローレン・バコール、リチャード・ファーンズワース、フランシス・スターンハーゲン

 スティーヴン・キングがマーク・デービッド・チャップマンによるジョン・レノン殺害事件をヒントに書き上げた小説が原作。チャップマンのメモにキングの名前もあったと聞いた記憶があるが、調べた限りではそのような事実はなかった。

 ロマンス小説で有名なポール・シェルダンという小説家が、そのロマンス小説からの脱皮を目指して山荘で新作を書き上げ、その帰り道で吹雪に遭いくるまが事故を起こしシェルダンは両足の複雑骨折など大怪我を負い意識も失ってしまう。
 再び目を覚ましたときはベッドの上で、傷も手当てされていた。彼を助け出し治療をしたのは肥満気味で中年の元女性看護師で名前をアニーと言った。ここは町から離れた農家で、町までの道は雪で閉ざされ電話も普通になっていると彼に告げる。そして彼のナンバーワン・ファンだとも。彼女はミザリーの熱狂的なファンだったのだ。
 献身的にシェルダンの介護をしてくれるアニーだが、彼女からはどこか不安定な物を感じる。それが明らかになるのはミザリーシリーズの新刊として発売された『ミザリーの子供』を彼女が読み終えたときだった。シェルダンはミザリーシリーズを完結させるために作品の最後でミザリーを殺したのだが、それが彼女の怒りに触れたのだ。
 彼女はすでに熱狂的ファンの仮面を外し狂信的ファンとなっていた。

 助けの来ない孤立した家で狂人に監禁されてしまう。その狂人は時に愛情を示したと思えば、次の瞬間には怒り狂っている。足の骨折のため歩くこともまま成らず、アニーが留守にしている間に車椅子で家の1階部分を調べるのがやっとだ。そしてシェルダンはアニーが心底イカれている証拠を見つける。このままでは自分の命も危ない。
 目を背けたくなるような残酷な描写は一ヶ所だけだが、ほとんど密室劇とも言えるこの映画全体を狂気が支配している。
 タフガイな男性的俳優ジェームズ・カーンが一人の中年女性によって完全に支配権を握られまさに手も足も出ないという皮肉さ。監禁事件は悲しいことに時折発生するが、他人に生命与奪権をを奪われ自由を失ってしまっては、人格を破壊されて洗脳状態になってしまうかもしれない。
 州警察がシェルダンは雪に埋まって死んだ。捜索は雪が溶けてからと結論づけた中、田舎町の保安官だけは地道に捜査を続ける。この老保安官のリチャード・ファーンズワースが実に良い味を出しているのだが、あの最後はないよな。

 監督のロブ・ライナーは同じくキング原作の『スタンド・バイ・ミー』を手がけた男。この作品では自らが主催する映画製作会社『キャッスルロック・エンタテインメント』として製作も手がけている。この『キャッスルロック』はもちろん『スタンド・バイ・ミー』で主人公の少年たちが暮らしていた架空の町キャッスルロックである。
 脚本家はベテランにして実力派のウィリアム・ゴールドマン。ロブ・ライナーとはすでに『プリンセス・ブライド・ストーリー』で一緒に仕事をした仲で、最近では『アトランティスのこころ』や『ドリームキャッチャー』でキング作品の脚本を手がけている。
 原作本のハードカバー版『ミザリー』のカバーを外すとちょっとしたおまけがある。文庫版は知らないが。

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