『スティーブン・キングのランゴリアーズ』(1995) THE LANGOLIERS 180分 アメリカ
監督:トム・ホランド 製作総指揮:リチャード・P・ルビンスタイン/ミッチェル・ゲイリン 原作:スティーヴン・キング 脚本:トム・ホランド 撮影:ポール・マイバウム
出演:パトリシア・ウェティグ/ディーン・ストックウェル/ブロンソン・ピンチョット/ケイト・メイバリー/デヴィッド・モース/マーク・リンゼイ・チャップマン/フランキー・フェイソン/バクスター・ハリス/キンバー・リドル/クリストファー・コレット
ロサンゼルスからボストンに向かうジェット機の中で盲目の少女が目を覚ましたとき、隣に座っていたはずの叔母さんを始めとして乗客の大部分が消え去っていた。わずかに残っていたのはたったの10人。たまたま乗り合わせていたパイロットがジェット機を着陸させるが、空港に人の姿はなく電話や無線も通じなかった。さらには、売店のサンドイッチは味がせずビールはまったく泡が立たなかった。そしてマッチを擦っても火がつかない。
異常な状況下の中、乗客の一人である推理作家はある仮説を皆に説明し始める・・・
スティーヴン・キング原作によるアメリカのテレビドラマ。上映時間が180分と長目で、2時間枠の全2回で放映されたようだ。
時間の裂け目に落ちてしまった、例えるなら“マリー・ヘレスト号の乗客”になってしまった飛行機が直面する不可思議な出来事が描かれる。
他人の心が多少読めるなど驚異的な直感力を持った盲目の少女や、幼い頃から父親の抑圧下で育ったため激しいノイローゼに陥っている証券会社のエリートビジネスマンなど、実にスティーヴン・キングらしい登場人物だ。
“時空の裂け目”や“異次元”など設定のスケールは大きいが、一機のジェット機と空港だけで物語のほとんどが進行し、メインの登場人物も10人なので意外に低予算で上手く仕上げている様子だ。人気のない空港は完成してまだ開港前の新しい空港だろうか。飛行中のジェット機の外観をCGで作っているのも予算の関係だろう。もはや、ミニチュアよりもCGの方が安い場合が多いのだ。『エアフォース・ワン』(1997)のラストで湖に墜落する大統領専用機並のCGだがテレビムービーなのでOKだろう。『エアフォース・ワン』は未だに不許可だが。
設定的にはSFだし、物語の3分の2まではSFとして進むが、ラスト近くになって“ランゴリアーズ”が登場する。
CGで映像化されたその姿は、一言で表現して“トゲトゲの生えた黒いパックマン(邪悪)”の集団だ。口をパクパクさせながら、ドットの代わりに時間の止まった世界そのものを食い尽くしていく。
この唐突なモンスターの登場がいかにもスティーヴン・キングで、その“いつもっぷり”には逆に安心してしまう。SFとして大人しく終わらせることも出来たのだろうが、最後の最後になってやはり書かずにはいられなかったと思われる。『トミー・ノッカーズ』や『ドリーム・キャッチャー』などもそのパターンで、キングはSFファンなのだろうがSF作家ではないということだろう。
風景がどんどん削られていくCGはなかなか良い出来。
「この人は死なないだろう」という登場人物があっさり死んでしまうシビアさと、ラストのみんなでスキップスキップランランランとのギャップが笑える。キング自身が1シーンだけ登場しているのはいつものこと。
上映時間360分の『ザ・スタンド』が不完全燃焼だったので続けて観た。合計9時間。こちらはレンタルに日本語吹替版があるので気楽に観られた。やはり面白い。