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『クリープショー』 キングとロメロのコミカルホラーショー

B00005G0LY.jpg『クリープショー』(1982) CREEPSHOW 120分 アメリカ

監督:ジョージ・A・ロメロ 製作:リチャード・P・ルビンスタイン 脚本:スティーヴン・キング 撮影:マイケル・ゴーニック 特殊メイク:トム・サヴィーニ 音楽:ジョン・ハリソン
出演:E・G・マーシャル、テッド・ダンソン、レスリー・ニールセン、フリッツ・ウィーヴァー、ハル・ホルブルック、エイドリアン・バーボー、スティーヴン・キング、トム・アトキンス、ヴィヴェカ・リンドフォース、ゲイラン・ロス、エド・ハリス、キャリー・ナイ

 スティーヴン・キングはホラー小説作家だと思い込まれている感があるが、実際には主にホラーを主題にして人間を描く作家だ。人間の持っている暗い欲望とか業について書くことが多いが、感動作だろうが恋愛物だろうがその気になればいくらでも書ける。
 今回は監督のジョージ・A・ロメロ、特殊メイクのトム・サビーニと一緒にキャッキャキャキャと存分に楽しみながらコメディホラーを撮っている。

 ホラーコミック好きの少年が父親に大好きなコミックを捨てられてしまう。そしてそのコミックに収録されている短編が実写映画になって登場する。実写の短編と短編がコミックブックをめくるアニメーションで繋がれている面白さ。脚本をキング本人が手がけており、あれこれ楽しんで書いて、それだけでは物足らなかったのか二つめのエピソードではほぼ単独主演でアホ面をさらしている。もともと類人猿っぽい顔のキングはちょっと崩すとホントアホ面。他の原作作品にも顔を出していることが多いが芝居はそれなりに出来ていて、いかにも素人という感じではない。
 キングがアホな役をやっている代わりにレスリー・ニールセンが妻と愛人への復讐に燃える夫役でシリアスな演技を見せてくれる。というか、この人の場合こちらが本来の芸風で晩年になっておかしくなった。晩年といってもまだ生きてるけど。
 まだ売れる前のエド・ハリスがほんの脇役で登場。このころはまだ毛があった。他にはハル・ホルブルックやテッド・ダンソン(『スリーメン&ベビー』の父親陣の一人)など意外にキャストも豪華。
 コミックの持ち主である少年を演ずるのはキングの実子。名前はジョーだとか。そして終盤には特殊メイク担当のトム・サヴィーニが顔を出してくる。この人は『ゾンビ』にしろ『フロム・ダスク・ティル・ドーン』などで分かるように出たがりだからな。

 収録されたエピソードは『父の日のケーキ』『緑まみれのキング』『波打ち際に埋められる』『木箱』『ゴキブリ』の全5エピソード+オープニングとエンディング。
 ここぞという場面ではコミックの効果線や安っぽいカラーの照明、トム・サヴィーニの悪趣味特殊メイクなどが色を飾り、B級っぽさを演出している。
 一番有名なのはゴキブリのエピソードだろう。人工物ばかりに囲まれた真っ白い病室を思わせるペントハウスに暮らしている潔癖性の大富豪がいる。強引な乗っ取りで他人を苦しめた悪行から呪いにかけられる。その呪いとはゴキブリ。最初に部屋へ現れるゴキブリは1匹、2匹と少数だが、それがどんどん増えていき最終的には3万匹。研究所で無菌繁殖されたゴキブリだそうだが、そいつらが画面の端から端まで埋め尽くす。首が飛ぼうが腕が切り取られようが、もはや特殊メイクに馴れてしまったオレは笑って観てられるがこいつはダメだ。きっと大昔、人類とゴキブリは覇権をかけた争いをし、その時の恐怖がオレたちの深層心理に埋め込まれているに違いない。そうでなければ、なぜ単なる昆虫があんなに怖ろしいのだ。
『木箱』の主人公ハル・ホルブルックが妄想の中で口やかましい悪妻をショルダーホルスターから抜いた大型リボルバーで射殺するが、やはり『ダーティーハリー2』(1973)からの引用だろうか。

 日本公開は遅れに遅れて1986年の2月。同時上映はサム・ライミの『XYZマーダーズ』だった。ちなみにパンフレットは1冊にまとめられていて、右から読むと『クリープショー』、左から読むと『XYZマーダーズ』というお得仕様。
 120分という上映時間は多少長目でちょとダレる。『クリープショー2』では3エピソードで93分となっていたが、時間的にはそれぐらいの方が合っているだろう。

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