『シャイニング』(1980) THE SHINING 119分or143分 イギリス
監督:スタンリー・キューブリック 製作:スタンリー・キューブリック 製作総指揮:ヤン・ハーラン 原作:スティーヴン・キング 脚本:スタンリー・キューブリック、 ダイアン・ジョンソン 撮影:ジョン・オルコット 編集:レイ・ラヴジョイ 音楽:ベラ・バートック、ウェンディ・カーロス
出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース、バリー・ネルソン、フィリップ・ストーン、ジョー・ターケル、アン・ジャクソン
緻密に組みたてられた映像で観客の歓心をひき、衝撃的なカットで怖がらせたつもりだろうが、さして面白い映画ではないと個人的には思う。
原作は原作、映画は映画で別物であるというのが持論だが、原作では古いホテルに長年の宿泊客たちが残していった悪意が澱のように溜まって歪んだ存在になっている。そこへ精神的に若干不安定な作家が越冬中の管理人として家族だけと暮らすことになり、次第にその悪意に取り付かれていく。そして父親・夫としての自分と作家としての自分のフラストレーションが作家を精神的怪物へと変貌させ惨劇が起こる。
しかし映画版の方は、ジャック・ニコルソンが登場した時点でこいつ普通じゃないだろ、どっかおかしいだろとしか見えない。ホテルで悪意に取り付かれたんじゃなくて、ニコルソン自身が最初から怪物だったとしか思えない。
三輪車でホテルの中を走り回るダニーをステディカムで捉えたカットや、エレベーターから大量の血があふれ出すシーン、そして不気味な双子などそれっぽい映像はあるが、キャラクターの内面に入り込まず表面をなぞっただけで映画はあっけなく終わる。
初めて観たのはガキの頃にテレビで。感想は「なんだ怖くないじゃんか、つまんねーの」だった。その時にはもちろんキューブリックなんて名前も知らなかった。
その後、一通りキューブリック作品は観たがほとんどがつまらない。『シャイニング』以前に、キューブリック自身が単なる映像主義の凡庸な監督としか思えないのでオレの趣味じゃないんだろう。