『死霊伝説』(1979) SALEM'S LOT 183分 アメリカ
監督:トビー・フーパー 製作:スターリング・シリファント、リチャード・コブリッツ 原作:スティーヴン・キング 脚本:ポール・モナシュ 撮影:ジュールス・ブレンナー 音楽:ハリー・サックマン
出演:デヴィッド・ソウル、ジェームズ・メイソン、レジー・ナルダー、ランス・カーウィン、ボニー・ベデリア、リュー・エアーズ、バーバラ・バブコック、マリー・ウィンザー、ジョージ・ズンザ、エリシャ・クック・Jr、エド・フランダース
スティーヴン・キングの原作『呪われた町』を、『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーが映像化した作品。原題は『セーラムズ・ロット』。そんな名前のタバコがなかったっけ?
劇場用映画ではなくてテレビ用映画だったが、出来が良かったため日本では劇場公開された。ただし、オリジナル版が183分と長尺でこのまま上映するのは無茶だろうとカットされて-70分の110分版での公開となった。しかし、10分程度ならまだしも70分ってのは無茶じゃねぇ?オレが初めて観たのはテレビで放映されたときなので、CMなどをさっ引くと正味90分ほどになるだろう。こうなるとオリジナル版のおよそ半分程度の長さで、ストーリーが辛うじて分かる程度で、登場人物の細かい設定や各所の伏線などあったもんじゃない。
今、DVDで出ているのは『死霊伝説 完全版』の名の通り183分バージョン。レンタル版もあって、良い時代になった物だ。
題材は黒のタキシードに上顎から伸びきった二本の犬歯、霧になったりもできるが、十字架に弱く、建物の中にいる人物から招き入れてもらわないとそこに入れない古典的吸血鬼である。初期の作品とはいえスティーヴン・キングがこういう題材を扱うのはちょっと珍しい。きっと、一度は書いてみたかったんだろう。
『悪魔のいけにえ』でレザーフェイスにチェーンソーを振り回させ大暴れさせたトビー・フーパーがけれん味の少ないじっくりとした演出で、メイン州の小さな町を吸血鬼の災厄が疫病のように広まり支配していく様子を描く。
世間では勘違いされているように思うのだが、トビー・フーパーは奇をてらった演出をする監督ではない。古典的とも言える手法で真っ正面から映画を撮る人である。
主人公が吸血鬼の存在を確信した頃には、2匹が4匹、4匹が8匹と加速度的に吸血鬼の数は増えていた。吸血鬼の狩り場となったこの町を救うにはその元凶たる親玉を倒すしかない。そして、その親玉が隠れ住むのは古くから様々な事件が起こった古い邸宅へと物語は収束していく。
主人公の作家やホラーマニアの少年、教師や医師など登場人物の性格もちゃんと書き分けられており、ストーリー上の役割もちゃんと持たされている。
吸血鬼の親玉の姿がどう見ても初の吸血鬼映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)そっくり。