« 『ゴースト・ハンターズ』 チャイナタウンの大騒動 | メイン | 『ゼイリブ』 きっと奴らも溶けたチーズのような顔だ »

『パラダイム』 悪魔対論理物理学

B00008453L.jpg『パラダイム』(1987) PRINCE OF DARKNESS 103分 アメリカ

監督:ジョン・カーペンター 製作:ラリー・フランコ 製作総指揮:シェップ・ゴードン、アンドレ・ブレイ 脚本:マーティン・クォータマス (ジョン・カーペンター) 撮影:ゲイリー・B・キッブ 音楽:ジョン・カーペンター、アラン・ハワース

出演:ドナルド・プレザンス、ジェームソン・パーカー、リサ・ブロント、ヴィクター・ウォン、デニス・ダン、スーザン・ブランチャード、アン・マリー・ハワード、アン・イェン、ケン・ライト、ダーク・ブロッカー、アリス・クーパー

 個人的に一番つまらないカーペンター作品だ。
 序盤はつまずき、中盤は盛り上がらず、終盤はぱっとしない。
 これまでに題材にしてきた殺人鬼や霊魂以上に邪悪で、神と相対する「PRINCE OF DARKNESS」という存在を描こうとしているのは分かるが、全体的に地味すぎ。今回DVDを観直したんだが、風邪引きで薬を飲んでいるという体調もあるのだが途中で何度か寝たよ。
 アリス・クーパー演ずるホームレスが自転車のフレームで登場人物を刺し殺す辺りから面白くなるかなと思ったら相変わらず地味なまま。うー、眠い。

 閉鎖された教会の地下で眠る緑色の液体が入った謎の容器。そこには悪魔が眠っていた。
 その物体と同時に保存されていた書物について、神父が大学の物理学と言語学の学者に解明を依頼するというストーリーは面白い。冒頭で物理学専攻の学生同士がシュレディンガーの猫について議論していたりする。劇場で観たときは「生きてたり死んでたりする猫ってなんだよ。哲学的な会話なのか?でも物理とか言ってるしな」と頭を捻った。
 教会に週末を利用して教授と学生が泊まり込んで研究を続ける様子は、現代的エクソシストとも言える。研究を進めていけば行くほど緑の物体の謎が深まり、悪魔的存在を認めなければ説明が付かなくなってくる。
 学生の一部が悪魔に乗っ取られてゾンビ的にうろつき始めたり、封じ込められた「PRINCE OF DARKNESS」が鏡を通じて現世に現れようとする面白さは理解できる。悪魔と物理学という組み合わせも面白い。
 だが、展開が非常にゆっくりとしていて、映画の前半だけで終わってしまった印象だ。あるいは三部作の第一部という感じ。

 カーペンターが新しい試みにチャレンジしたことは評価するが、この時点ではまだまとまっていなかった。
 1994年の『マウス・オブ・マッドネス』の前章と捉えることもできる。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4655

コメント (2)

宇都城久:

 東森さんがカーペーンター特集をやってくださるおかげで「映画バカ黙示録」を見るのが楽しみです。
 『パラダイム』は19年前の初公開時に一度観たきりですが、そんなにつまらない映画でしたっけ? それなりに楽しめたような記憶がありますが……でもいま公開されたら、DVDになるのを待つレベルの作品でしょうね。
 『マウス・オブ・マッドネス』は未見で、前から観たいと思っているのですが、ビデオショップでは見つかりません。観たいといっても、500円以上のお金を投資するつもりはありませんが…

東森時音:

風邪をひいていて薬を飲んでいたので眠くなったのかなとも思いますが、劇場公開時もあまり面白かったという印象がないんですよ。
教会の近くにぞろぞろと集まってくるホームレスや、窓に貼り付いているミミズもどき、そして不気味にうごめく緑の物体など細かいネタを積み重ねていって、単にショッキングなだけではない本格ホラーをやろうとしているのは理解できますし、その点では成功しているとは思うんですが・・・
おそらくあまり個人的に評価していないのはカーペンターっぽさが欠けているからだと思います。
『ゴースト・ハンターズ』でカート・ラッセルの相方を演じたデニス・ダンが学生役で出ていて、終盤で悪霊に取り憑かれた人間に追い詰められますが、ここでなんの前振りもなく唐突にデニス・ダンがクンフーで戦い始めるてくれないかなと。
目覚めつつある闇の王子がグチャドロのモンスターとして暴れるとかしてくれないかなと。
きちんとまとまった映画を撮る人はいくらでもいますが、カーペンターが撮った作品の多くは彼にしか撮れない物。その点で物足りなく感じているのだと思います。

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません