『ゴースト・ハンターズ』(1986) BIG TROUBLE IN LITTLE CHINA 100分 アメリカ
監督:ジョン・カーペンター 製作:ポール・モナシュ、キース・バリッシュ、ラリー・フランコ 脚本:ゲイリー・ゴールドマン、デヴィッド・Z・ワインスタイン 撮影:ディーン・カンディ SFX:リチャード・エドランド 音楽:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル、キム・キャトラル、デニス・ダン、ジェームズ・ホン、ヴィクター・ウォン、ケイト・バートン、スージー・パイ、カーター・ウォン、アル・レオン
好き。大好き。ジョン・カーペンター作品の中で一番好きなバカ映画。
やっぱジョンはバカだ。愛すべき大バカ。
クンフー、中国魔術、モンスター、SFX、銃撃戦、そしてバカな主人公。
伏線も何も無しで観客が付いてくるかなど気にせずラストまで突っ走るストーリー。
本場香港映画ではクンフー映画スターのカーター・ウォンを連れてきたが、アメリカ人観客のどれだけが分かるというのだろうか。
SFXの神様リチャード・エドランドの無駄に派手なSFXが画面を彩る。
予算はカーペンター映画としては破格の2500万ドル。
そして主演は朋友カート・ラッセル。
ジョン・カーペンターが趣味に走って作り上げた一大娯楽リトルチャイナ(中華街)エンターテインメントランド。楽しまなきゃ損だ。
ツイ・ハークの香港映画作品に『蜀山奇傅・天空の剣』(1984)があるが、その影響を大きく受けているのは間違いなし。ワイヤーワークアクションには本家にとてもかなわないが、その分はSFXでカバー。緑や青の光線や雷光が画面狭しと飛び交い、謎のクリーチャーも出現する。
主人公のジャック・バートン(カート・ラッセル)は長距離トラックの運転手。中華街に荷物を運んできた彼は、友人のワン・チー(デニス・ダン)を空港まで送っていったばかりに中華街(リトル・チャイナ)での大騒動(ビッグトラブル)に巻き込まれることになる。
このジャック・バートンはトラックのCB無線であまり意味のない放送をするのが趣味なプアホワイト。言うことはでかいが、銃を上に向けて撃ったら天井が壊れて落ちてきた岩で頭を打って気絶したりとあまり頼りにならない。それが次第に頼もしく見えてくるから不思議。反射神経のネタはちゃんと伏線が張ってあるし。なんだ、ちゃんと伏線あるじゃん。
「ジャック・バートン、ミー」のセリフは予告編時代からのお気に入り。予告編は地下迷宮でモンスターと戦いながら女性を助けに行くというイメージだった。映画も確かにそういう流れではあるんだが・・・あの予告編は観客に誤ったイメージを与えるよな。JAROってなんじゃろ。
『トレマーズ』で雑貨屋店主を演じていたビクター・ウォンや『地獄のヒーロー』のジェイムズ・ホンなど中国系俳優が脇を固めて中国物としてのリアリティを確立している。でも、中国人から見たら中華街のシーンなどを中心に色々と奇妙に見えるんだろうとは思う。ハリウッド映画で日本を扱った場合に日本人からは奇妙に見えるのと同じような物だ
とはいえ、日系俳優の層の薄さに比べると中国系俳優はそれなりに地位を固めているようでうらやましい。
悪役ロー・パンには数多くの手下がいるが、そのトップは雷鳴・稲妻・雨の嵐三人組。そのうち、雷鳴を演ずるのが香港のクンフースターであるカーター・ウォン。さすがに動きの迫力が違う。死に様がまたすごいが。オレは「顔を見たことがあるな」程度だが、香港映画ファンには有名なのだろう。
個人的にはロー・パンの下部組織構成員としてアル・レオンが出演しているのが嬉しい。相変わらず中途半端なハゲ、意味不明なひげだ。序盤の葬式での乱闘シーンからラストまで顔を見せ、結構大きく映っていてクンフー技も決まっている。
音楽は例によってカーペンター本人だが、今回は主題歌まで歌っている。
「びーっぐとらぶる、いんりとるちゃいな」とちょっと脱力っぷり。DVDにはカーペンター出演のプロモーションビデオまで収録されている。
『BIG TROUBLE IN LITTLE CHINA』というイカすタイトルを『ゴースト・ハンターズ』などというパクリ映画のように変更してしまった配給会社の罪は大きい。どう売ったらいいか困ったんだろうけどさ。
もはやハリウッド映画に香港映画の要素が含まれているなんて当たり前。このごった煮振りは今こそ評価されるべき。
エドランドのSFXもノリノリで光学合成がひたすら派手。達人同士が放つ光線の中で中国の神が戦うシーンなんてもはや美しい。
ラストのオチがまた無意味でいかにもB級。いいね。