『アルファヴィル』(1965) ALPHAVILLE 100分 フランス/イタリア
監督:ジャン=リュック・ゴダール 製作:アンドレ・ミシュラン 脚本:ジャン=リュック・ゴダール 撮影:ラウール・クタール 音楽:ポール・ミスラキ
出演:エディ・コンスタンティーヌ、アンナ・カリーナ、ラズロ・サボ、エイキム・タミロフ
近未来、星雲都市アルファヴィルへと自らが操縦する宇宙船で1人の男が訪れた。新聞記者と称するその男レミー・コーションの正体はスパイ。人びとの感情まで管理されたその都市からある科学者を見つけ出し亡命させるのが使命だ。
SFである。スパイ物である。ハードボイルドである。
おそらくセットの一つも組まず、モノクロフィルムでロケされたパリが未来都市アルファヴィルとなる。
宇宙船も単なる普通乗用車。「何で?」などと悩まない方がいい。ミニチュアをSFXで撮影した『2001年宇宙の旅』の様な宇宙船も乗り物ならば、普通乗用車も乗り物。ゴダールのなかではどちらも同じなのだろう。
SF的セットや小道具も必要ない。それっぽいのはどこかの会社でロケした大型コンピューターが記録テープをグルグル回して動作している所ぐらい。予算がないのを開き直っているとかではないとオレは考える。そもそもゴダールにとっては近未来も現在も過去もあまり意味がないのだろう。ま、そこら辺を考え始めるときりがないので考えない。
主人公はスーツの上にコートを着て帽子をかぶった古典的ハードボイルドスタイル。フラッシュ付きの小型カメラを持ってやたらとパチリパチリと撮影している。
演ずるエディ・コンスタンティーヌはB級ハードボイルド映画に多く出演していた俳優だそうだ。途中で『大いなる眠り』を読んでいるシーンもあり、1940、50年代のハリウッド映画ハードボイルド映画へのオマージュ的側面も大きいのだろう。
ホテルにチェックインして部屋でくつろぐなりいきなり謎の男に襲われる。無音のカットを含んだここでの突発的な暴力シーンに驚く。「止まれ!」などの制止抜きでいきなり発砲される拳銃。しびれるねぇ。
尋問部屋の扉を破って脱出し、表にいた敵のエージェントを射殺するところの唐突さもいい。
かと思うと、地下駐車場での格闘アクションシーンは、ほとんど動きのないカットを積み重ねただけのコミックのコマ割りのような仕上がり。ゴダール流の格闘アクションなのか、それとも興味がないだけなのか。
エレベーターの中で主人公が左右へと振り回されるシーンもいい。
α60というコンピュータによって支配され感情を持つことを許されない管理社会。妻が死んだときに泣いたなど夫など感情を捨てきれない物は銃殺によって処刑される。プールでの処刑シーンはコミカルさが含まれている分だけ余計と怖ろしい。
ラストになってある人物が封印されていた記憶を取り戻し愛を始めとする感情に目覚める。あちこちとワケわかんねぇだったとしても、ここさえわかればOKだ。