« 『アイ・スパイ』 しゃべくりスパイ、ハンガリーにあらわる | メイン | 『9デイズ』 インスタントスパイの素:9日間待つのだぞ »

『スパイ・ライク・アス』 オレらみたいなスパイ

B000IU4OOK.jpg『スパイ・ライク・アス』(1985) SPIES LIKE US 102分 アメリカ

監督:ジョン・ランディス 製作:ブライアン・グレイザー、ジョージ・フォルシー・Jr 製作総指揮:バーニー・ブリルスタイン 原作:ダン・エイクロイド、デイヴ・トーマス 脚本:ダン・エイクロイド、ローウェル・ガンツ 撮影:ロバート・ペインター 音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ダン・エイクロイド、チェヴィー・チェイス、スティーヴ・フォレスト、ドナ・ディクソン、ブルース・デイヴィソン、ウィリアム・プリンス、バーニー・ケイシー、トム・ハッテン、マット・フルーワー

 制作された1985年は故ロナルド・レーガン政権下で、ソビエトとの緊張感も強い時代だった。レーガンといえばタカ派として有名で、敵が発射した大陸間核弾頭を衛星からレーザーで破壊するスターウォーズ計画なんてのが立案されたのもこの時代。
 スターウォーズ計画は結局頓挫するのだが、軍のお偉いさんがこっそり同様の兵器を実用化し、テストを行おうとしていた。ソビエトの核ミサイルを発射させ、それを撃ち落としてテストついでに東西両陣営にデモンストレーションをして示威しようというのだ。
 そのためにCIAのスパイをソビエトに送り込むこととなった。選ばれたのはもちろん最高のスパイ。そして、目くらましのためにおとりとしてもう1チーム送り込むこととした。こちらは発見されて殺されるのが前提なので優秀なスパイを使ってはもったいない。だから最低のスパイ。
 ダン・エイクロイドとチェビー・チェイスがどちらのチームかはあえていう必要もないだろう。

 ダン・エイクロイドは電子機器などの技術や語学に優れているが、気が弱くて上司に強く出ることができず下っ端のままだった。
 チェビー・チェイスは口先八丁で相手を煙に巻く名人だが、根っからのいい加減で女ったらしときてる。登場シーンではテレビでミュージカル映画を観ているが、その映画で男女の間を割って現れるのが俳優時代のロナルド・レーガン。日本では宮崎県知事にそのまんま東が当選したが、大根俳優を大統領にしたアメリカに比べればまだまだスケールが小さい小さい。
 チェビー・チェイスは他の作品でも女ったらしを演ずることが多いが、不思議とモテる。どうも男性的魅力を持っているように描かれているのだが、あの中途半端な髪型とにやけた顔がアメリカ女性にはセクシーなんだろうか。よくわからん。
 この二人が海外駐在の昇格試験でカンニングをするシーンや、任務に選ばれて即席仕上げ特急訓練を受けるシーンはなかなか笑える。
 訓練のシーンでは耐G訓練でGによって後ろに押しつぶされたような変な顔になる。ここまではよくあるギャグだが、次のシーンで訓練が終わって廊下を歩いているシーンでもその顔のまま。単に二人が顔ギャグをやっているだけなのだが大笑いしてしまった。変な顔をするギャグとか変なメイクをするギャグというのは嫌いなのだが、今回はやられた。
 訓練のシーンでは二人と教官だけいればよさそうなものだが、バックに他の訓練兵たちが「わっせわっせ」と無意味大勢登場して訓練中。好きだな、こういうの。

 スパイ物ではあるが、それ以上に1940年代を中心に制作されたビング・クロスビーとボブ・ホープのコンビによる『珍道中』シリーズのオマージュだろう。
 オレが観たことがあるのは『アラスカ珍道中』と『バリ島珍道中』だけで、「絶対にそうか」といわれるとちょっと困るが、1シーンだけボブ・ホープがゲスト出演しているのだからやはり間違いなし。しかし、どんな広いバンカーだ。

 後半は実際にパキスタンに送り込まれ、そしてソビエトのトレーラーによる移動式核ミサイル基地へと至る任務に就く。砂漠や雪山を二人で珍道中だ。
 ここからはちょっとだれた印象なのは否定できない。ストーリーの展開よりも二人のやり取りによるギャグが中心なのだが、このコンビが微妙に噛み合っていない。
 ダン・エイクロイドが木訥・誠実な役柄を演じるのはいつものことだから、相方のチェビー・チェイスがもっと無茶をやってくれれば面白くはなるだろう。だがコメディアンとしてのチェビー・チェイスのキャラクターはおとぼけタイプだから、そこから大きく逸脱するわけにはいかない。
 やはりダン・エイクロイドの永遠の相方はジョン・ベルーシだったなと再確認。ベルーシは存在自体が無茶だったからな。
 それでもジョン・ランディス大好きなオレとしては彼が『トワイライトゾーン』(1983)の悪夢からかなり抜け出せた感じがするだけでOKなのだ。
 オチのひねりは利いていて映画として着地成功だろう。ラストに彼らがやっているクイズゲームの名前がちなみに『トリビア』。他の映画でも張り込み中のFBI捜査官が時間つぶしにやってたな。あれはなんて映画だったか?

 ミサイル迎撃衛星コントロールセンターが潰れたドライブインシアターの地下に極秘裏に建造されている。レーザー発射にはこのドライブインシアターのスクリーンなどがミニチュア撮影で攻撃モードに変形するのだが、このSFXがなかなか良くできている。
 シンプルなデザインのおかげもあるのだろうがスケール感があって、ちゃんと何十メートルもあるように見える。スクリーンで観たときはおっという迫力だった。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4643

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません