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『国際諜報局』 遊びじゃ出来ないスパイ稼業

B000BSQQV8.jpg『国際諜報局』(1964) THE IPCRESS FILE 107分 イギリス

監督:シドニー・J・フューリー 製作:ハリー・サルツマン 原作:レン・デイトン 脚本:ビル・キャナウェイ、ジェームズ・ドーレン 撮影:オットー・ヘラー 音楽:ジョン・バリー
出演:マイケル・ケイン、ナイジェル・グリーン、スー・ロイド、ガイ・ドールマン、ゴードン・ジャクソン

 マイケル・ケインが英国スパイ“ハリー・パーマー”を演ずる本格スパイ物。シリアスで全体的に重く、遊びやロマンスの要素はなし。シビアにスパイという職業を冷静にカメラが捉えている。
 全三部作だが、日本でDVDソフトになっているのは2作目の『パーマーの危機脱出』(1966)だけ。1作目と3作目の『10億ドルの頭脳』は10年ほど前にビデオになっているので、大型店なら見つかるかもしれない。

 このシリーズはリアルに、といっても実際のスパイの仕事姿など知りようがないので推測に過ぎないのだが、カジノもステアーでなくシェイクしたマティーニも美女とのロマンスとも関係なく、英国情報部に就職して国家公務員(だよな)として忠実に任務に就く諜報員ハリー・パーマーの姿を描いている。
 出張するときにはちゃんと仮払伝票を書いて、帰ってきては経理に精算書類を提出してそうな、撃った銃弾の金額をちゃんと経費として伝票を切ってそうな、色んな意味でリアルなスパイだ。情報屋から情報を買ったときもちゃんと領収書をもらっているのだろう。

 だからといって物語が平凡で、9時から5時までデスクワークをして終わるわけではない。上のはあくまでもイメージで、ハリー・パーマーは腕利きのスパイとして誘拐された科学者の捜索任務に当たる。そこにはミサイルを発射するパーマーカーも、Qが作るような秘密兵器も、金属の入れ歯をはめた怪人も登場しない。
 このハリー・パーマーが渋くて格好いい。黒縁眼鏡のマイケル・ケインがプロフェッショナルな雰囲気を醸し出している。『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』(2002)にパワーズの父親として英国情報部員のマイケル・ケインが黒縁眼鏡で出てきたが、あれはハリー・パーマーへのオマージュだろう。

 007シリーズの対極を行くようなこの作品だが、では007と無縁かというとそうではない。007へのアンチテーゼとして、娯楽方面に突き進んでいく007に対してそれとは違うスパイ像を描いたという点で、007とは違う方向へ進むという意味で大きな影響を受けているのだ。
 ここで、「いや原作のレン・デイトンをかなり忠実に描いているので、007は関係ない」という指摘が出てきそうだが、出てきても無視する。オレが話しているのはスパイ映画についての話であって、スパイ小説の話ではない。原作は原作だし、映画は映画。別物だ。

 007シリーズ以前にもスパイ映画は当然あった。国同士の関係がより複雑という点からか、アメリカ映画よりもヨーロッパ映画中心だった。ドイツ出身のフリッツ・ラングやイギリス出身のアルフレッド・ヒッチコックもスパイ映画を手がけている。
 しかし、007誕生以降のスパイ映画は、意図しているしていないに関わらず、何らかの形でその影響を受けている可能性が大きいと言うことだ。

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コメント (2)

けん:

ショーン コネリーのように男臭くないマイケル・ケイン スリムでサラリーマンスパイの感じがよくでてました。

東森時音:

007なんて「ボンド、ジェームズ・ボンドだ」って平気で名前を名乗りますからね。そんなに目立ってどうする。そのてんパーマーは良い意味で地味。

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